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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第十二話 幻竜の力

 
前書き
時空管理局に協力することになった大輔達。
大輔「それじゃあ…やるか?」
ブイモン[ああ]
大輔、ブイモン「[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]」 

 
大輔達が時空管理局に協力することになり、大輔とブイモンがアースラの自室で疲れを癒していた頃。
?「凄いや!!4人共、AAAクラスの魔導師だよ!!」
アースラのオペレーターであるエイミィ・リミエッタが、大輔達の戦闘データを見て、驚きの声を上げた。
クロノ「ああ」
エイミィの声にクロノが頷く。
エイミィ「こっちの白い服の子は、クロノ君の好みっぽい可愛い子だし」
クロノ「エイミィ…そんなことはどうでもいいんだよ!!」
エイミィの冗談に呆れるクロノ。
エイミィ「魔力の平均値を見ても、白い服の子で127万。黒い服の子が143万。そして通常の状態で灰色の服の子が150万。後、大輔君が僅差で負けるけど147万、遼君が一番魔力が高い156万。最大発揮時は更にその3倍以上。魔力だけならクロノ君より上回っちゃってるね!!」
クロノ「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と、的確に使用できる判断力だろ」
エイミィ「それは勿論!!信頼してるよ。アースラの切り札だもん、クロノ君は」
エイミィの言葉に微妙な顔になるクロノ。
エイミィ「でねでね。もう1つ驚く事があるんだ」
エイミィがそう言いながら、モニターを切り替える。
モニターに大輔達が映る。
クロノ「この3人がどうした?」
クロノがモニターを見て疑問符を浮かべる。
エイミィ「うん、実は大輔君のデバイスを貸して貰って少し解析してもらったんだ。」
クロノ「どうやってだ?本人は断固拒否していたのに。」
エイミィ「土下座して、貸してもらいました。」
クロノ「……」
クロノが心底呆れたように見つめる。
エイミィ「だって気になるんだもん!!あんな高性能なデバイスに触れられる機会なんて滅多にないし。」
クロノ「…確かに…それで?何が気になるって言うんだ?」
エイミィ「ええと、大輔君のことなんだけど…まず。」
モニターに映し出されたのはフレイドラモンの甲冑を纏っている大輔。
エイミィ「この形態だと、大輔君の魔力ランクはAAAクラス。の形態でもかなり強いよ。」
クロノ「後、5人の中でも彼はかなり実戦慣れしている。恐らく、5人の中では強い部類に入る。一番強いのは彼だな」
エイミィ「あれ?クロノ君が大輔君達を誉めるなんてね」
クロノ「どういう意味だ?」
クロノは睨みつけるようにエイミィに問いかける。
エイミィ「初対面でいきなりボコボコにされたし。クロノ君とは、ウマが合いそうになかったと思ったんだけど?」
クロノ「それとこれとは話は別だ。確かに僕個人としては彼に対して、余り好ましい感情は持っていない。けど魔導師としての彼の実力は認める。」
エイミィ「ふ~ん…大人だねぇ~」
クロノ「それで?」
クロノはエイミィに続きを促す。
エイミィ「あ、うん。次は」
次に映るのはライドラモンの甲冑を纏っている大輔。
クロノ「これは、あの時の形態か?」
エイミィ「うん。実はね、調べてみたんだけど、この形態の時の魔力値が僅かに上がる。しかも大輔君の場合、甲冑を切り換えると属性が付加されるんだ。」
クロノ「どういうことだ?」
エイミィ「例えば、あの紅い甲冑の場合は炎熱、黒い甲冑の場合は、電気の魔力変換資質が付加される。黒い甲冑の方が強いのは大輔君自身が電気の変換資質を持ってるから。しかも甲冑の数はこれだけじゃないようなんだよね」
クロノ「まだあるのか?」
エイミィ「まだ解析出来ないところがあるから完全とは言えないけど、大輔君の甲冑は後2つ残ってる。紅と黒の…3つ目の甲冑は、基本値で通常の倍の284万、最大で3倍の852万まで跳ね上がるって結果が出たんだ。」
クロノ「何!?」
エイミィ「これってさ、どう考えてもAAAクラスどころかSランクまで行くよ?敵じゃなくて本当に良かったね。」
エイミィが溜め息を吐きながらぼやいた。
すると、リンディが部屋に帰って来た。
エイミィ「あ、艦長」
リンディ「ああ。あの子達のデータね」
リンディがモニターを見つめる。
リンディ「確かに、凄い子達ね」
クロノ「これだけの魔力がロストロギアに注ぎ込まれれば、次元震が起きたのも頷ける」
リンディ「あの5人がジュエルシードを集める理由は分かったけど、こっちの黒い服の子は何でなのかしらね?」
リンディが疑問を口にする。
クロノ「随分と、必死な様子だった。何かよほど強い目的があるのか…」
リンディ「目的…ね」
リンディは呟いた後、少し悲しそうな目でフェイトが映ったモニターを見つめる。
リンディ「小さな子よね…普通に育っていたら、まだ母親に甘えていたい年頃でしょうに…」






























リンディ「と言う訳で。本日零時をもって、本艦全クルーの任務はロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収に変更されます」
アースラ艦長のリンディが全員に話しかける。
リンディ「また本件においては、特例として問題のロストロギアの発見者であり、結界魔道師でもあるこちら…」
リンディに紹介され、緊張しながら立ち上がるユーノ。
ユーノ「はい!!ユーノ・スクライアです」
リンディ「それから彼の協力者でもある現地の魔道師さん達」
なのはも緊張したように立ち上がる。
なのは「あ、高町なのはです!!」
大輔「本宮大輔です。」
賢「一乗寺賢です。」
遼「秋山遼、よろしく頼みます」
大輔と賢、遼も立ち上がり自己紹介を済ませた。
リンディ「以上5名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」
全員【よろしくお願いします】



































顔合わせの会議も終わり、大輔達はジュエルシードが見つかるまで待機になった。
ジュエルシードの捜索は時空管理局がやるらしい。
なのは「あの…大輔さん。賢さん。遼さん。」
大輔「ん?」
賢「どうしたの?」
なのは「お願い。私を鍛えて下さい!!」
なのはがいきなり頭を下げて頼み込んで来た。
大輔「え?」
遼「いきなりどうした?」
賢「理由を聞いてもいいかな?」
なのは「私…フェイトちゃんに勝ちたいの」
賢「テスタロッサさんに?」
大輔「フェイトに認めてもらうためか?」
なのは「うん。お願い大輔さん。賢さん。遼さん。」
賢「鍛えてあげたいのは山々だけど…僕と遼さんじゃあ、高町さんとはバトルスタイルが違い過ぎるからなあ…」
接近戦が得意な賢と遼では砲撃が得意ななのはとは戦い方が異なる。
この中で一番、なのはに近いとなると…。
大輔「…分かった。俺が教える。俺は教えるなんてやったことがないから、そこのとこは覚えとけ」
なのは「はい!!」
そして5人はジュエルシード発見の知らせを受け、現場に急行する。































結界の張られたそこでは、ジュエルシードによって変貌した巨鳥が暴れまわっている。
ライドラモンの甲冑とスティングモンの甲冑、グレイドモンの甲冑を纏った大輔と賢、遼が向かっていく。
大輔「賢!遼さん!畳み掛けるぞ!!」
賢「任せてくれ!!」
遼「んじゃ、張り切っていきますか!!」
賢はスパイクで遼は双剣を一気に巨鳥に向けて振り下ろし、翼を両断する。
大輔「ブルーサンダー!!」
電撃が巨鳥に直撃し、巨鳥は消滅した。
巨鳥がいた場所にジュエルシードを発見した。
大輔「なのは、封印を」
なのは「はい!!」
なのははジュエルシードに駆け寄ると封印を始める。
大輔はなのはがジュエルシードを封印しているのを見遣ると辺りを見回した。
大輔「…やっぱりいないか…」
賢「…仕方ないさ。テスタロッサさんにとって管理局は敵なんだから……」
賢が大輔の肩を叩く。
大輔「……分かってるよ。」
遼「そんなに慌てなくても、いずれあの子に会えるさ。」
なのは「大輔さん、封印終わったよ!!」
ユーノ「もうすぐゲートが開かれます!!」
大輔「分かった…」
大輔はなのはとユーノの元へ向かう。






























大輔達が森のジュエルシードを手に入れた頃、フェイトはある遺跡でジュエルシードを探していた。
アルフは大輔がいなくなってから、休まずジュエルシードを探しているフェイトを心配に思い、声をかける。
アルフ「フェイト…少し休まないかい?」
フェイト「まだ…大丈夫…」
口ではそう言うが、フェイトの顔にはハッキリと疲労の色が出ていた。
アルフ「でも…やっぱり今からでも大輔の所に行こうよ!!大輔ならきっと守ってくれるよ!!」
フェイト「駄目…大輔に迷惑かけちゃう…」
アルフ「フェイト!!」
フェイト「アルフ…お願い。少し1人にして…」
アルフ「…分かったよ。」
アルフはフェイトの意思を尊重して、フェイトから離れた場所に移動する。
フェイト「……」
目を閉じると思い出すのは大輔との暖かい日々。
初めて知る温もりに戸惑うこともあったが、今はその温もりが愛しくて堪らなかった。
フェイト「大輔…」
フェイトは自身の身体を強く抱き締めた。
フェイト「…寂しいよ……大輔…」
大輔の名を呟くフェイトの目から大粒の涙が零れた。






























リンディ「う~ん。4人共中々優秀だわ。このままうちに欲しいくらいかも」
その様子を見ていたリンディがそう言った。
別のモニター室では、エイミィがフェイトの事について調べていた。
エイミィ「この黒い服の子。フェイトって言ったけ?」
クロノ「フェイト・テスタロッサ。かつての大魔導師と同じファミリーネームだ」
エイミィに問いにクロノが答える。
エイミィ「え?そうなの?」
クロノ「大分前の話だよ。ミッドチルダの中央都市で、魔法実験の最中に、次元干渉事故を起こして、追放されてしまった大魔導師。」
エイミィ「その人の関係者?」
クロノ「さあね。本人とは限らない」
エイミィは、フェイトの位置を特定しようとするが。
エイミィ「ああ…やっぱり駄目だ。見つからない。フェイトちゃんはよっぽど高性能なジャマー結界を使ってるみたい」
クロノ「使い魔の犬。恐らくこいつがサポートしてるんだ」
エイミィ「おかげで、もう2個もこっちが発見したジュエルシードを奪われちゃってる」
クロノ「しっかり探して捕捉してくれ。頼りにしてるんだから」
エイミィ「はいはい…」






























大輔達が管理局に協力して10日後。
今まで時間が取れず出来ずなかったが、ようやく指導が出来るようになった。
アースラにある訓練室には大輔となのはがいた。
大輔「それじゃあ始めるぞ。フェイトに勝ちたいならそれ相応の努力をしろ」
なのは「はい!!」
大輔「まずフェイトは基本的に遠近両方こなせるから、なのはには接近戦のイロハを叩き込まないとな。」
なのは「頑張ります!!」
大輔「いい返事だ。接近戦をするんだから、受け流しと…そうだ。俺がいくつか考えた魔法を覚えてもらう」
なのは「ある魔法?」
大輔「特に覚えて欲しいのは、なのはのディバインバスターを参考にした拡散砲撃のスプラッシュバスターという魔法」
なのは[拡散砲撃?]
大輔「フェイトのスピードは今のお前より上だ。これから経験を積んで訓練を重ねればフェイトに届くかもしれないけどな。スピードのある相手と多数の敵を相手にする時は便利だ。後、教えるのは砲撃を使っての接近戦。」
なのは「………え!?」
さらりと紡がれた一言に驚く。
砲撃での接近戦とは、一体何なのだろう。
砲撃を撃ちまくるのだろうか?
大輔「砲撃での接近戦は後で教えてやるよ。」
大輔が指導に移ろうとした時、警報が鳴った。
大輔「なんだ?」
なのは「行ってみようよ!!」
大輔となのはは、訓練室から出るとブリッジに向かう。






























時は警報が鳴る前に遡り、海上では、巨大な魔法陣が展開され、その中央にフェイトがいた。
フェイト「アルカス・クルタス・エイギアス…煌きたる電神よ、今導きの元、降り来たれ…バウエル・ザルエル・ブラウゼル…」
魔法陣に稲妻が走る。
その様子を見ていたアルフは思った。
アルフ「(ジュエルシードは、多分海の中。だから、海に電気の魔力流を叩き込んで、強制発動させて、位置を特定する。そのプランは間違ってないけど…でも、フェイト!!)」
フェイトは呪文を唱え続ける。
フェイト「撃つは雷…響くは轟雷…アルカス・クルタス・エイギアス…」
フェイトの周りに複数の魔力球が生み出され、雷を纏う。
フェイト「はぁああああああああっ!!」
フェイトがバルディッシュを振り下ろすと、雷が海に叩き込まれた。
それと共に、海の中からジュエルシードの反応が起こる。
フェイト「はぁ…はぁ…はぁ…見つけた…残り5つ」
荒い息をつきながらフェイトは呟く。
アルフ「(こんだけの魔力を撃ち込んで、更に全てを封印して。こんなのフェイトの魔力でも、絶対に限界超えだ!!)」
そう考えているアルフにフェイトは叫んだ。
フェイト「アルフ!!空間結界とサポートをお願い!!」
アルフ「ああ!!任せといて!!」
アルフは直ぐに返事を返す。
アルフ「(大輔はあいつからもフェイトを守ってくれた…大輔の代わりにアタシがフェイトを絶対守ってやる!!)」
その心に決意を秘めて。
ジュエルシードの影響で、海面が荒くなり、竜巻が巻き起こる。
フェイト「行くよバルディッシュ。頑張ろう」
フェイトはバルディッシュを構え、ジュエルシードに立ち向かった。






























そして時は戻り、大輔となのははブリッジに入る。
モニターにはフェイトの姿があった。
リンディ「なんとも呆れた無茶をする子だわ!!」
リンディが半分叫ぶように言った。
クロノ「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは、個人の成せる魔力の限界を超えてる」
クロノが冷静に分析する。
大輔「あの馬鹿…っ!!行くぞなのは!賢!ユーノ!!」
なのは「はい!!」
クロノ「その必要はないよ。放っておけば、あの子は自滅する」
クロノが冷酷にそう言った。
その言葉に、大輔達は足を止める。
大輔「何だと?」
大輔はクロノを睨むがクロノは構わず言葉を続けた。
クロノ「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい」
大輔「そうかよ。じゃあ尚更俺は出る」
大輔は踵を返し、ブリッジから出ようとする。
クロノ「貴様…人の話を聞いていたのか!?」
クロノは大輔に駆け寄り、大輔の肩を掴もうとしたが、大輔はクロノの手を強く振り払う。
大輔「確かにお前の言うことは正論だよ…確かにそのやり方なら被害0で解決出来るかもしれない。」
クロノ「ならっ!!」
大輔「理解は出来ても納得出来るかどうかは話は別だ!!」
クロノ「なっ!?」
大輔「フェイトを助けてジュエルシードを封印する…それが俺が納得出来る唯一の答えだ!!」
大輔の気迫にクロノは気圧されるが何とか言い返す。
クロノ「じ、じゃあその答えが正しいと言い切れるのか!!?」
大輔「さあな、少なくても…フェイトの努力を利用してジュエルシードを横から掠め取ろうとしている最低な組織よりは間違ってないと言い切れるぜ!!」
クロノ「何!?」
大輔の発言に激昂したクロノは掴み掛かろうとする。
リンディ「止めなさいクロノ!!大輔さん達との約束を忘れたの!?」
クロノ「くっ…!!」
大輔「…行くぞブイモン!!」
ブイモン[ああ!!]
大輔はクロノを一瞥するとブイモンを連れて、ブリッジを出る。
賢「…僕達も行こう」
なのは、ユーノ「「え?」」
なのはとユーノの背中を軽くポンと叩く。
なのはとユーノは目を見開いた。
賢「テスタロッサさんを助けに行こう。本宮君とブイモンばかりにいい格好させられないよ!!」
ワームモン[僕もフェイトと知り合いだから放っておきたくないしね]
なのは、ユーノ「「…はい!!」」
賢とワームモン、なのは、ユーノもブリッジから出る。
クロノ「お、おい!!待て…」
遼「待つのはお前だ坊や。」
止めようとするクロノに足払いをかけ、転倒させるとクロノの背中に足を乗せる。
クロノ「貴様、離せ!!」
遼「いいから黙って見てな坊や。あいつらのやり方をな。多分呆れる程とんでもないことをやらかすぜ。」
何故だか分からないが、遼には大輔達がフェイト達を救いつつ、ジュエルシードを手に入れると確信出来た。
遼「さあて、俺はここから見させて貰うぜ。お前達のやり方を」
ドルモン[まあ、駄目なら俺達がどうにかすればいい。そうだよな?]
遼「そういうこと」
クロノの背中に腰掛けながらモニターを見つめる遼。
下からクロノの抗議が聞こえるが、あえて無視した。
リンディもモニターに映る大輔達を見ていた。
リンディ「フェイトさんの努力を利用してジュエルシードを横から掠め取ろうとしている最低な組織…か…耳が痛いわね…」
クロノは遼の下敷きにされながらも激しい怒りと困惑を抱いていた。
クロノ「(何故だ…何故僕はこんなにもイラついてるんだ!?何故彼の言葉を聞くと僕のやり方が間違っているように思うんだ!?僕の選択は執務官として間違っていないはずなのに!!)」
遼「別にお前のやり方が間違いとは俺も思ってねえよ。多分大輔達もな」
クロノ「何!?」
遼「なあ、坊や。もしもの話だけどお前に大勢の命とお前の大切な…リンディさんとかの命が天秤にかけられたとする。どっちも早く助けなきゃ命が危ない。お前ならどうする?」
クロノ「…納得は出来ないが、大勢の命を選ばなければならない。少数のために大勢の命を犠牲には出来ない。」
遼「そうだな。それも正しい答えだ。でも俺は大切な人を見捨てることは出来ない。例えば大勢を助ける道か、少数を助ける道しかないって迫られたら大勢を助けるのが筋だろうさ。でもその大切な人のことを1番に考えてる奴はそいつのために動かなきゃ駄目なんだ。それに1人の命を救えることが結果的に沢山の命を救うんだって俺は思う。」
クロノ「…………」
遼「見てみな、坊や。大切な人のために動くことの出来る大馬鹿野郎共の戦いを」
ドルモン[その先に君が求める答えがあるはずだよ]






























大輔達がブリッジを出た頃、海上ではフェイトが必死に戦っていた。
サイズフォームでジュエルシードのエネルギーを切り裂き、ジュエルシード本体に近付いていく。
フェイト「きゃあっ!?」
しかし勢いに耐え切れず弾き飛ばされる。
アルフ「フェイト!?フェイトー!!」
アルフが助けに行こうとしたが、ジュエルシードのエネルギーに阻まれる。
フェイトはそのまま落下していき、海に落ちるかと思われた。
賢「ワームモンッ!!!!」
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
賢「スティングモン!!テスタロッサさんを!!」
スティングモン[分かった!!]
スティングモンは羽を動かし、一気にフェイトの元に向かい、海に落下するフェイトを救出した。
フェイト「…?」
スティングモン[大丈夫かい?フェイト、アルフ?]
アルフ「スティングモン!?」
大輔「フェイト…」
フェイト「大輔…」
大輔「無茶…しやがって…」
大輔が悲しげにフェイトを見つめる。
フェイト「ごめんなさい…」
大輔「いいよもう…今はこれを何とかしないとな…」
賢「流石にこれは少し骨が折れるね、今の状態じゃあ」
上空から賢達が降りて来る。
なのは「私達も手伝うよフェイトちゃん!!」
フェイト「あ…」
フェイトがどうすればいいのか分からず、大輔を見遣る。
大輔「どうするかはお前が決めろよ。言ったよな?少しは頼れって」
フェイト「うん…君…」
大輔の言葉に頷くとなのはの方を向く。
なのは「何?」
フェイト「…手伝って…くれる…?」
フェイトの口から出たのは小さい声だが、大輔達にはしっかりと伝わった。
なのは「うん!!」
レイジングハートから、桜色の光がバルディッシュに注がれる。
バルディッシュの魔力が回復した。
大輔「ブルーサンダー!!」
電撃弾を放つが、竜巻に弾かれた。
スティングモン[何!?]
フレイドラモン[大輔の魔法が弾かれた…?]
賢「ジュエルシード数個分の暴走だからね。破るなら遼さんくらいの魔力がないと…」
大輔「魔力…完全体の力…」
ふと、大輔は新たに追加されたデジメンタルを思い出す。
自身の甲冑は、ブイモンの進化系を元にした物。
ならば追加されたデジメンタルの形態も使えるはず。
大輔「一か八かだな…」
フェイト「大輔…」
不安そうに大輔を見つめるフェイトに気づいた大輔は安心させるように微笑む。
大輔「安心しろ、必ず何とかしてやる。俺を信じろ」
フェイト「うん!!」
大輔「皆、離れてろ。新しい力を使う。」
賢「新しい力?」
大輔「ああ、行くぜ!!ユーノ、アルフ、一乗寺。お前達はなのはとフェイトを頼む!!フレイドラモンもスティングモンもな!!」
賢「ああ、任せてくれ!!」
アルフ「あいよ!!」
ユーノ「はい!!」
フレイドラモン[分かった!!]
スティングモン[了解!!]
賢、アルフ、ユーノ、フレイドラモン、スティングモンがなのはとフェイトを守るために動く。
なのはとフェイトは魔法陣を展開し、封印の準備を始める。
大輔「はあああ…!!」
大輔は目を閉じると意識を集中する。
大輔が目を開くと同時に金色の光が大輔を包み込んだ。
光が消えると、そこにはブイモンが運命のデジメンタルでアーマー進化したゴールドブイドラモンの姿を模した甲冑を纏う大輔がいた。
大輔は黄金の輝きを身に纏いながら竜巻に向かっていく。
そして、中心に向かうと、海に両手の付け根を合わせ、手をまるで獣の口のような形にして向けていた。
大輔「こいつが今の俺の全力全開!!ブイブレスアローMAX!!」
大輔の手から、金色の極太の熱閃が放たれる。
凄まじい破壊力を秘めた砲撃により、竜巻は呆気なく消し飛ばされた。
賢「ムーンシューター!!」
賢も魔力弾を数発放ち、竜巻が戻ろうとするのを防ぐ。
フレイドラモン[今だ二人共!!全力全開だ!!]
二人を守っていたフレイドラモンが叫ぶ。
なのは「うん!!フェイトちゃん!せーので封印するよ!!せーのっ!!」
フェイト「サンダー…」
なのは「ディバイィィン…」
フェイト「レイジーーーッ!!」
なのは「バスターーーーーッ!!」
2人の魔力は、凄まじい衝撃をおびながら、ジュエルシード全てを封印する。






























エイミィ「ジュエルシード!!5つ全ての封印を確認しました!!」
ジュエルシードの封印を確認したエイミィが報告する。
クロノ「な、なんて出鱈目な!!」
クロノがあまりの出来事に呆気に取られる。
リンディ「…でも凄いわ」
呆然と見ていたリンディがそう呟いた。
遼「だから言ったろ坊や?呆れる程とんでもないことをやらかすってな。あれが、大切な人のために動くことの出来る大馬鹿野郎共の底力だ」
クロノ「………」





























なのは「えっと…フェイトちゃんが3個で、私達が2個…でいいよね?」
なのはがフェイトに5つあるジュエルシードの内、3つ渡した。
フェイトもそれを了承するように頷いた。
現在フレイドラモンの甲冑を纏っている大輔がフェイトに声をかける。
大輔「全く無茶すんなよ…寿命が縮んだぜ…」
フェイト「大輔…」
大輔「でも無事で良かった…」
大輔がフェイトの頭を撫でた。
フェイト「大輔…賢…ブイモンもワームモンもありがとう…そして…」
大輔達に礼を言うと、なのはの方を向く。
フェイト「…君も…ありがとう…」
なのは「え?」
なのはが目を見開き、フェイトは礼を言うと、アルフと共にこの場を離脱した。
大輔「良かったな?」
なのは「はい!!」
大輔がなのはの頭にポンと手を置き、なのはは、満面の笑みを浮かべた。
そして大輔達もジュエルシードを持ってアースラに戻る。
 
 

 
後書き
前作ではマグナモンの甲冑だったけれど、今作ではゴールドブイドラモンの甲冑。
ゴールドブイドラモンは通常の状態では完全体クラス。
ブイブレスアローはかめはめ波みたいなもの。 
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