| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

美しき異形達

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十一話 相性その六

「そう思ったのかしら」
「そうだったんだよ、神戸の話を少し聞いたらさ」
「それでだったのね」
「もうずっとさ、自分でも不思議な位来たかったんだよ」
「それでどうして高校は最初横須賀の方だったの?」
「入試は受けたんだよ」
 八条学園高等部のそれをというのだ。
「それはさ、けれどさ」
「落ちたのね」
「成績は入試判定とかでAだったんだけれどさ」
 つまり絶対安全と出ていたのだ、模試の入試判定では。
「けれど落ちたんだよ」
「落ちる時は落ちるのが受験なのよね」
 向日葵もこのことを言う。
「私もそうだったし、滑り止めの高校は落ちたのよ」
「で、本命のここはかよ」
「そう、受かってね」
 それで、というのだ。
「今ここにいるのよ」
「だよな、あたしもさ」
「八条学園は落ちたのね」
「地元の滑り止めの高校は合格したんだよ」
 そうだったというのだ。
「それで最初は諦めてそこに通ってたけれどさ」
「どうしてもだったのね」
 菖蒲も薊に言う。
「神戸に行きたくなって」
「それで編入試験を受けてさ」
「八条学園に来たのね」
「そっちは受かったんだよ」
 入試のそれは落ちたがだ。
「で、寮にいてさ」
「通っているのね」
「そういうことなんだよ」
 こう菫にも話す。
「いや、それで神戸にも来たけれどな」
「どう、神戸は」
「思った通りだよ」
 まさにというのだ。
「いい場所だよ」
「そうね、神戸はいい街よ」
「それにな」 
 こうも言う薊だった。
「海があるのがいいな、横浜ファンにも優しいし」
「阪神ファンは巨人以外には優しいですよ」
 桜は微笑んで薊の野球の言葉に答えた。
「横浜にも」
「そうだよな、阪神ファンって器大きいよな」
「巨人以外には」
 あくまでこう言う桜あった。
「そうなんです」
「阪神なあ、あたしも好きだぜ」
「それでも横浜なのですね」
「ああ、横浜で生まれ育ったからさ」
 それで、というのだ。
「あのチームのファンになったんだよ」
「横浜ね、確かにね」
「いいチームね」
 鈴蘭と黒蘭も応えて来た。
「そのカラーも明るくてね」
「親しみが持てるわね」
「ああ、あたし好きだよ」
 薊も笑顔で応える。
「だから応援してるんだよ」
「そうね、ただ優勝するのはね」
「阪神よ」
 姉妹で笑顔、鈴蘭も微かに微笑んでだ。薊に言う。
「それだけは譲れないから」
「残念だけれどね」
「まあそこは力で掴み取るさ」 
 阪神からというのだ。
「首洗って待ってろよ」
「望むところよ」
「こちらもやらせてもらうわ」
 二人も応える、そうした話をしてからだった。
 一行は海に戻った、その時は三時を過ぎていた。海の家でその時間を見てだった。裕香は一同に言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧