美しき異形達
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第三十一話 相性その五
薊達だけだった、薊は自分達だけになったところで鈴蘭達にあらためて声をかけた。
「それじゃあな」
「うん、戦いも終わったしね」
「それで、よね」
「一緒に遊ぼうぜ、けれどその前にな」
こう姉妹に言うのだった。
「あんた達も旅行に行くって言ってたからな」
「一緒になるとはね」
「思わなかったわね」
「同じ日に同じ場所に来るなんてな」
それが、というのだ。
「これも縁だな」
「ええ、そうね」
「本当にね」
「あたし達って自然に会うな」
薊はこうも言った。
「それも縁だな」
「北斗七星だからかしら」
首を傾げさせてだ、向日葵が言った。
「これは」
「北斗七星は八つの星で一つだからな」
「双子星も入れてね」
黒蘭の星、アルコルも入れてというのだ。
「八つで一つなんだよ」
「それで、かしら」
「ううん、確かに北斗七星は一つだけれどな」
「それでもっていうのね」
「ここまでいつも一緒になるってな」
薊は腕を組みつつ言った。
「縁しかないだろ」
「何か磁石の様なもので」
こう言ったのは菫だった。
「一緒になっている感じだけれど」
「言われてみればそうですね」
桜は菫のその言葉を聞いて頷いて言った。
「私達は自然と一つになっていますね」
「そういえば薊ちゃんは横須賀だけれど」
菊が言うことはというと。
「私達皆神戸で生まれ育っているのよね」
「ええ、そうね」
菖蒲が菊に応える。
「菊さんも伊賀にいたけれど」
「生まれてすぐに神戸のお父さんお母さんに任せられたから」
「神戸と言っていいわ」
「全員孤児で力を持っている」
「神戸に集まっているわね」
「これだけ揃うことってあるかしら」
菖蒲は考える顔で述べた。
「偶然、縁にしては出来過ぎてないかしら」
「?そういえばそうだよな」
薊も菖蒲のその言葉にはっとして言う。
「言われてみれば」
「そうね、偶然や縁ではないかも知れないわ」
「そういえばあたしさ」
ここでだ、薊は皆にこうしたことを言った。
「ずっと神戸に行きたかったんだよ」
「そうだったの」
「何となくだけれどさ」
「それで神戸に来たのね」
「院長さんに神戸いいなってずっと行ってたらさ」
「八条学園に転校させてくれたのね」
「そうなんだよ、考えてみれば不思議だな」
薊はこうも言った。
「このことも」
「どうして神戸に来たかったか」
「ガキの頃から思ってたんだよ」
そうだったというのだ。
「神戸に来たいってな」
「神戸のことを聞いて?」
「いや、最初はそうだったけれどさ」
知らなければそこに興味も持たない、それは薊もだ。
だがそれでもだった、それ以上にだったのだ。
「何かさ」
「無意識のうちに?」
菊は薊に問い返した。
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