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転生赤龍帝のマフィアな生活

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三十六話:色々と問題発生

 
前書き
カオス「おかしい…シリアス先輩からの連絡がない…無事だといいんだが」

今回の章はどうやってもシリアスな部分が書ける気がしない。
唯一シリアスになりそうな場面にいるヴァーリがヴァーリたんだから
シリアス先輩の出番はない気がする。
それでは本文どうぞ。
 

 

夏、真っ盛りの時期となり多くの生徒が学校に来ることに若干の疲れを感じている中
このクラスの最大の問題児とでも呼べるカス二人組は今日も元気に“不要物”を手に
騒いでいた。

「松田、ま、まさかこれは!?」
「ふっふっふ、気づいたか、元浜。そうだ、これは今では入手困難と言われている超人気作品
 ―――『新・爆乳戦隊パイオツジャー爆裂生乳戦争編』だ!!」
「ほ、本物かよ!?一体全体どうやって手に入れたんだ?」
「それは俺の独自ルートってやつさ」
「マジかよ。流石は松田だな!」


さて……いつものごとくエロ馬鹿二人組を窓の外にゴミとして捨てるか。
俺はゆっくりと立ち上がり二人の元に近づく。
それを見たバジルが溜息を吐いているが俺には理由がさっぱりだ。

そして、ある程度の距離にまで近づいたところで勢いよく扉が開かれる。

「ねえ、不要物の持ち込みは校則違反だよね?」

「「うるせえ!そんなもので俺達の青春は縛られねえぞ!!」」

扉を開け、声をかけた人物に声を揃えて反論する二人……死んだなあいつら。
まあ、あいつが来なくても俺が殺してたけどな。

「ふーん、まあ、いいけどね。
 何にしても校則違反は風紀委員長として―――咬み殺すから」

風紀委員長の腕章を煌めかせ、トンファーを構え死刑宣告をそう言い放つのは、
ほんの数日前に転校してきたにも関わらず風紀委員長の座に就いた紫藤イリナその人だ。
因みに風紀委員は全員イリナに忠誠を誓わされてるらしい。

「消えなさい!」
「ゴバッ!?」
「ゲフッ!?」

一切の加減もせずにトンファーを振り抜きエロ馬鹿二人組を叩き伏せるイリナ。
だが当然のことながらその程度ではイリナの攻撃は終わらない。
床に這いつくばる二人を間髪入れることもなく蹴り上げて俺の方に飛ばして来る。


「「み、見え―――ちくしょう!スパッツかよ!!」」


こんな状況でもイリナのスカートの中を覗こうとするあいつらの根性は
他の事には活かされねえのか?

「イッセー君!」

はっ、そういう事か。いいだろう、俺の手を貸してやる、ありがたく思いな。

「失せろ!」
「コペッ!?」
「ペグッ!?」

飛んできた二人を俺の方でさらに蹴りつけて方向を無理やり変えてやる。
その時にゴキリと音がしたが恐らくは俺の聞き違いだろう。
……それとクラスから『あの蹴りを受けてみたいな…』
『何だ、この自分が蹴られると想像した瞬間に胸に湧き上がる熱い想いは?』
とか聞こえてくるのは嘘だと思いたい。

「桐生!窓を開けろ!!」
「はーい、了解」

桐生は俺の指示を聞くと手慣れた様子で窓を開け放ち二人の出口を作り上げた。
そしてその出口―――窓の外へと飛んでいく二人組。
後はそのまま地面まで急降下だ。
どうせなら死んでくれりゃ、いいんだが…あいつらは死なねえからな。

「はあ……それでは拙者は松田殿と元浜殿を助けに行ってまいります」
「あ、バジルさん、私も行きます」
「アーシア殿、ありがとうございます」

先程よりも深い溜息を吐き廊下に出て行くバジルに
純粋にエロ馬鹿二人組を心配して一緒について行くアーシア。
それにしても…バジルの奴やけに疲れてるじゃねえか?何かあったのか?

(素で分からない相棒は頭が可笑しいとしか言えないな)
(指を一本ずつ切り落としていくぞ)

お仕置き(ご褒美)ですね!ご主人様!!)
(イッセー様からのお仕置き(ご褒美)イイイイイイッ!!)

さて、胃薬はどこにしまっていたかな…最近は胃薬が手放せなくなってきて中々大変だ
今度、病院で精密検査を受けた方が良いかもしれねえな。
胃に穴でも開いてたら大変だからな。

「イッセー君、協力ありがとうね。おかげでスムーズに始末できたわ」
「けっ、元々俺も始末する気だったんだ。偶々、重なっただけだ」

イリナとそんな会話をしながらボンゴレ印の胃薬を胃に流し込む。
くそっ!こんなペースで消費していったらあっという間に無くなっちまう。
今度また取り寄せておかねえとな。

「そういや、そのトンファーからの使い心地はどうだ?」
「うん、最高だよ!イッセー君の贈り物だから大切にするからね!」

嬉しそうにトンファーを撫でるイリナに俺も少しだけ嬉しくなる。
何せ、イリナのトンファーは俺が作り上げた武器の中でも最高の出来だからな。
イリナがエクスカリバーを教会に返還したからという理由で武器がないと言うことを
聞いてから徹夜で作り上げたが上々のようだな。

因みに性能と言うか能力は基本的にイリナがエクスカリバーを使っていた時に
使えた技は全て使える様にしてある。まあ、流石に人の姿になるのだけは現段階じゃ
無理だったがな。いずれはその機能も搭載するつもりだ。

「それで、このDVDはどこで燃やしたらいいかな?」
「まて、イリナ。その前にあいつらの目の前で叩き壊して
 あいつらの絶望の表情をみて笑うのが先だ」
「そっか、それもそうだね」

「外道だ…外道が二人いる」

俺達がエロ馬鹿二人組が置いていったDVDについての処分方法について話していると
ゼノヴィアが俺達の方を見ながら何やら恐れおののいた様子でブツブツと呟きだしたが
最近は余りにも哀れな状況が続いているので見逃してやろう……俺はな。

「ゼノヴィア、今からちょっと組手しない?」

イリナがゼノヴィアを許す訳がねえからな。
だから、ゼノヴィア。子犬のような目で『助けて…』なんて言ってくるんじゃない。
自業自得の部分もあるから諦めるんだな。

イリナに首根っこを掴まれながら引きずられて行く中
全力でクラス中に助けての目線を送るゼノヴィアだったが
誰一人としてその視線を合わせることなく申し訳なさそうに目を逸らすだけだった。

安心しろ、ゼノヴィア。てめえの墓には墓参りぐらいは行ってやる。

「全く、安心できないぞ!?」
「ゼノヴィア、うるさいわよ」
「誰か!誰か“たすてけ”!!」

恐らくは“たすけて”と言いたかったであろうゼノヴィアが不憫すぎて涙が出てくる。
だが俺も助ける気は欠片もない。

(ゼノヴィアたんの涙目、最高オオオオオオオッ!!)
(イリナたんに咬み殺されるなんて羨ましいことを…っ!)
(一誠様!我らが外に出れば必ずやゼノヴィア様に代わりご褒美――いえ、
 助け出すことが出来ます!!)

やばい、早くも胃薬がひと箱無くなりやがった…っ!
誰か、俺も助けてくれよ……。





今日の授業も終わり帰ろうと思っていた矢先に俺は信じられないものを
この目にしていた。上品な雰囲気を漂わせて俺の前に立つ金髪ドリル……



「お久しぶりですわ、兵藤一誠様」



「やめろ…これは幻覚だ、これは幻覚だ、これは幻覚だ……」


ありえねえ……こんなところに焼き鳥女が―――レイヴェル・フェニックスが
いるなんざありえねえ……しかもうちの学校の制服を着ているなんて絶対に幻覚だ。
はっはっは!まさかクロームの奴がこんなイタズラをしてくるとはな。

最近あまり構ってやられなかったから拗ねているのかもしれないな。
よし、帰ったら思いっきり可愛がってやろう。

(現実逃避はやめたらどうだ、相棒?
 あれが幻覚でないことは相棒が一番よく分かっているだろう……)

カストカゲの奴、そうまでして俺の胃を破壊したいのか?
今のままだと現実逃避しない限りは間違いなく俺の胃は滅ぶぞ。
クソッ!また胃がキリキリと痛み始めやがった!!

「どうしても兵藤一誠様のおそばに居たくてこうして転校してきたんです……
 そろそろストーカーでは満足できなくなりましたので」

頼んでもいないのになぜここに居るのかの説明を始める焼き鳥女
顔を赤くして熱の籠った視線で俺を見て来るその様はさながら恋する乙女の様だが
言っていることの危険性と奴の正体を知っている俺からすれば可愛いなどという
感情は一切湧き上がってこない。
と言うか、結局いつも聞こえてきていた幻聴の正体はてめえだったのか。

「今日はお近づきの印にプレゼントを持ってこさせていただきました」

そう言ってどこからか箱を取り出して俺に渡す、焼き鳥女。
受け取った手前、捨てるわけにもいかないので嫌な予感がしながらも箱を開ける。
そして箱の中から出て来たのは―――鎖付きの首輪と鞭だった。

「さあ、早くその首輪を私に付けて『この雌犬が!』と容赦なく罵倒しながら
 私の肢体を思う存分に鞭で叩いてください!!」
「誰がするかあああああっ!?」

ハアハアと荒い息遣いでとんでもない発言を言ってくる焼き鳥女に首輪を投げ返す。
ふざけんな!俺にはそんな趣味はねえよ!!
俺は変態じゃねえ!俺は変態じゃねえんだ!!

(ところで、ご主人様。ここにも首輪があるのですが、私に付けてくださらないでしょうか?)

エルシャも何、同乗しようとしてやがんだよ!?
しかもその首輪なんだ!?
明らかに付けてる奴に傷がつく様に内側に刃物がびっしりじゃねえか!!

「さすがですわ、やはり、お師匠様は格が違いますわ」
(そういうあなたこそ、素晴らしいセンスですよ。私を超える日も近いでしょう)
「まて、何でてめえらは当然の様に会話出来てんだ!?」
「(同士ですので)」
「もう、嫌だ。早く帰りたい」

同士だったら平然と俺の精神世界の中の奴らと会話できるっておかしいだろ?
おかしいよな?なあ、頼むから誰かおかしいって言ってくれよ。
と言うか今までの間に連絡を取り合っていたのかよ、こいつらは。
何で俺の精神世界に居座っているのに俺の知らない所で連絡なんかが取れんだよ。

(一誠様、我々にとってはその程度は造作もありません。変態に不可能という言葉はありません。それと、本日のお仕置き(ご褒美は)まだでしょうか?)
(ゼノヴィアたんとクロームたんをペロペロする日まであと少し…っ!)
(イリナたんに早く咬み殺されるために情報収集を怠るわけにはいきませんからね)

どうやら、俺のあずかり知れない所で世界は滅びへの道を着々と進んでいたようだ。
もしかすると、この世界のラスボスはこいつらなんじゃねえのか?
世界ぐらい簡単に壊すぞ、こいつらなら。
主に変態を増やすという行動でな!

「それでは、本日の所はここで。
 次に会う時は罵声と一緒に鞭を浴びせていただけると嬉しいですわ」
「とっとと失せろ!このド変態が!!」
「ああ、その罵倒…っ!素敵ですわ!!」

「…………………」
(相棒!?なぜ無言で頭を壁に打ち付けているのだ!?いや、察しはつくが!)

うっとりとした表情でこちらを見つめてくる焼き鳥女を無視して
壁に頭を打ち付け続ける。
だんだんと壁が削れていっているがそんなことはどうでもいい。
とにかく、忘れろ、今日のことは全て綺麗さっぱり忘れろ。
そうしねえと耐えられる気がしねえ……主に俺の胃が。





Sideヴァーリたん

「♪~♪~♪」
『ご機嫌だな、ヴァーリ』
「うん、だってこれ見たら誰だって機嫌が良くなるよ」

グレゴリの中にある自分の部屋の中で
ゴロゴロとベッドの上で寝ころびながら最近では日課になっている行動
僕とイッセー君の間に出来るだろう、子供の写真を見る。
この前の一件の後にイッセー君の家のメイドさんから貰ったんだ。
メイドさん凄い勢いで写真を撮ってたもんね。

「可愛いなあー」
『あくまでもそれは産まれると予測される子であって実際に産まれると決まったわけではないのだろう?』
「そんなこと言っても可愛い物は可愛いんだからしょうがないじゃん」

アルビオンの気の利かない返事に少し拗ねたように返してあげる。
確かに生まれると決まったわけじゃないけど
僕とイッセー君の子供なら絶対に可愛いもん!

『それにしても……白龍皇が赤龍帝に恋をするとはな。昔とは随分と変わったものだ』
「しょうがないじゃん、イッセー君がカッコよすぎるんだもん」

お手製のミニイッセー君人形をギュッと抱きしめながら
初めてイッセー君に会った時の事を思いだす。
お家から逃げてる最中に偶然助けられたあの日……
『邪魔な髪だな、これでも使って纏めてろ』
切られたことも、揃えられたこともない僕の髪を初めて結ってくれたのがイッセー君。
今でもあの時のリボンは大事に取ってるよ……でも、それなのに―――

「どうして、僕の事を忘れてるの!イッセー君のバカアアアッ!!」

もう二度と忘れないって約束してくれたけど、
やっぱり忘れられてたことは許せないもん!
ボフッとミニイッセー君人形を叩いてみる。
………やっぱり本物に会いたいなあ。

「アルビオン、もう二天龍のいがみ合いなんかやめて仲良くしたら?」
『悪いがそれは出来ん、もはや俺達だけの問題ではないのだ。今までの戦いで散って行った、
 歴代白龍皇と歴代赤龍帝。それらの意志も継がねばならんのだ』
「そこをなんとかさあ?」
『歴代白龍皇と歴代赤龍帝の残留思念が心変わりするようなことでもあれば俺も考えよう。
 まあ、あり得ないだろうがな』
「ちぇー」

どうして、そんなことなんかに意地を張っちゃうんだろ?
別に勝ち負けを決めるのは戦うことだけじゃないのに
頭が固くなるって嫌だなー。
僕はパパみたいに頭が柔らかい人になりたいなあー。
それはそうとイッセー君の好みの子ってやっぱり―――

「おっぱいのちっちゃい子が好きなのかな?……うう、どうしよう。
 僕のおっぱいじゃやっぱり大きすぎるかな……揉んだら小さくならないかな?」

自分の豊かな胸を鷲掴みにしてモミモミと揉んでみる……小さくなるわけないか。
はあ……これじゃあ、イッセー君のハートを堕とせないよ。
やっぱり、自慢のお尻で勝負するのが一番かな?

「おーい、ヴァーリ。入っていいか?」
「あ、パパ?うん、いいよ」

そんなことを考えているとパパから声がかかったので入れてあげる。
いつも勝手に入っていいって言ってるけど『年頃なんだから気を使え』って
パパがいつもうるさいんだよね。

「ヴァーリ、いきなりで悪いが今度の三勢力会談にお前も来い」
「え、僕が?」
「そうだ、俺の護衛って名目で連れて行く。白龍皇であるお前の影響力は馬鹿にならねえからな、隠したままってのは出来ねえんだ。まあ、適当に話して和平を結ぶだけの会談だ。観光気分で付いてくればいいぜ」
「パパは和平が結びたいんだ」
「ああ、俺は戦争なんて興味ねえからな。
 そんもんより研究と娘の世話の方が楽しいからな―――お?なんだこの写真は?」

あ、僕とイッセー君と子供が写った写真……しまうの忘れてたな。
また、パパとアルビオンにちゃんと後片付けしろって怒られちゃう。

「こいつはヴァーリと……………………誰だ?」
「イッセー君だよ。それと一緒に写ってる子供は僕とイッセー君の子供だよ。
 パパからしたら孫かな?」
「…………ふ、はは…はーはっはっはっは!!」

何だか分からないけど突然、写真を持ったまま不気味な声で笑い始めるパパ。
どうしちゃったの?パパ怖いよ……

「ケタケタケタケタ!! ………野郎どもおおおっ!戦争の準備だああああっ!!」
「パパ!?」
『……あの親馬鹿め…理性が吹き飛んでるぞ』

どうしよう、パパがおかしくなっちゃった!
イッセー君助けて!!

 
 

 
後書き
今回はマゾヴェル(レイヴェル)とパパゼル(アザゼル)の御登場でした(´・ω・`)

次回はパパゼルと黒歌を書くつもりです。 
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