転生赤龍帝のマフィアな生活
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番外編:俺の…子供だと?
前書き
今回は今までで最大の文字数です。
なんといつもと違って一万文字越え!
二話に分けようかとも考えましたが
やっぱり番外編は一話で終わらせたいのでまとめました。
それでは本文をどうぞ。
やたら久しぶりに感じる休日の昼下がり、俺は一枚の手紙を眺めながら
頭を悩ませていた。
「何だって、父さんからの手紙は毎度こうも面倒くさそうなものなんだよ……
この爆弾、嫌な予感しかしねえんだが……」
そう呟きながら手紙と一緒に送られてきた丸くて黒い物体―――爆弾の山に目をやる。
どう考えても父さんは愉快犯だろ。
絶対この爆弾で何か俺にとって厄介事が起こるのを見通して送って来てやがる。
大きくため息をつきながら再び手紙に目を戻し、爆弾についての説明を読む。
『今回、一誠に送った爆弾は“子作り爆弾”と言って、この爆弾の爆発に巻き込まれた男女の間に出来ると予測される子供を一時間程呼び出すと言う代物だよ』
あのクソジジイ…!予想の斜め上を行ったとんでもない物を送ってきやがった。
大体、こんなものを俺に送りつけて何がしてえんだ?
どうせ碌でもないことだろうと思いながらも手紙を読み進める。
『一誠は中々奥手だから女の子が周りに居るだけだと進展がないと思ってね。お節介だと思うけど送らせてもらったよ。早く孫の顔が見たくてしょうがない父さんの気持ちを分かってくれ。母さんも楽しみにしてるからそこら辺の気持ちを汲み取って欲しい』
「知るかあああああっ!!!」
憤怒の雄叫びを上げながら手紙を引きちぎる。
ふざけんな!孫ぐらいもう少し待ちやがれ!!
大体、現役高校生の息子に堂々と子作りを催促してんじゃねえよ!
第一、俺にはそういった相手はいねえよ!
……許嫁はいるが、命令に従うつもりはねえからな!!
「イッセーさん、どうしたんですか? 何だか凄い叫び声が聞こえてきましたけど」
「アーシアか……悪いな、少し叫びたくなっただけだ。それだけだ」
「そうですか……もし悩みがあるならいつでも言ってくださいね」
俺の叫び声を聞きつけ、部屋に駆け込んできたアーシアにそう返すと
アーシアは笑顔でそう言ってくれた。……やっぱ、アーシアは優しすぎる程に、優しい奴だな。
碌でもねえ奴に騙されそうで怖えな……まあ、俺がそう言った奴らは排除してやるがな。
俺がボスである以上はファミリーには施しを与えてやる。それがボスの使命だ。
「あれ? イッセーさん、その丸くて黒い物はなんですか?」
「待て、アーシア! それに近づくな!!」
アーシアが『子作り爆弾』に興味を持って近づこうとしているのを慌てて止める。
が、こう言った時に限ってアーシアはその属性をいかんなく発揮する。
要するにだ―――
「へ? わ、わかりまし―――きゃっ!?」
「何でてめえは何もないとこで転ぶんだよ!?」
いつもの様に何もない所で転んで狙っていたかのように他から離されていた
『子作り爆弾』の上にダイブだ。
ついでに近くにあったもう一つを蹴り飛ばして窓の外に
放り出していたが今はそれどころじゃねえ。
次の瞬間に起こることを考えれば―――
―――ドカァーンッ!!
………大爆発だ。しかもご丁寧に一回で終わらないように他の爆弾は無傷な状態でだ。
モクモクと上がる煙を見ながら最近の不運を呪う。
たく……面倒くせえことばかりだな。
「おい、アーシア。無事か?」
「あうう……すみません」
取りあえず倒れているアーシアを起き上がらせる。
【あれ、ここはどこなんでしょうか?】
突如煙の中から響いてきた子供のような甲高い声に俺の顔が引きつる。
出来るなら、そこにいる奴の正体を知りたくねえ。
だが、このままにしておけば二次被害が俺に及ぶ可能性がある。
何とかして他の奴らに知られねえうちに処理しねえとな―――
「凄い音がしてきたけど…お兄ちゃん、大丈夫?」
「一誠さん、何かあったんですか?」
「イッセー君、何だか煙が出てるけど、どうしたの?」
「お坊ちゃま、どうかなされましたか?」
計っていたかのように入ってくるクローム、ユニ、イリナ、ミランダ。
それにしても…何で揃いも揃ってこうも早く出てくるんだよ…っ!
これだと絶対に説明しねえとダメじゃねえか!
因みにイリナは俺の家にずうずうしくも住み着いたので今では我が家の一員だ。
たく…何でこんなことに……いや、まだ説明でなんとかなるだけマシか……。
そう諦め気味に考えながら晴れていった煙の中にいる人物を見る。
そこにいたのは目と顔はアーシアに似ていて髪の色が俺と同じ四歳位の男のガキだった。
「あら、可愛いお客さんですね、お坊ちゃま」
そう言って、ガキのすぐそばにまでよるミランダ。
それに対してガキは不安そうにあたりを見まわしたかと思うと
直ぐに俺の目を捕えニコリと笑いテクテクと可愛らしい仕草で俺の元に近づいてきた。
やべえ……嫌な予感しかしねえ―――
【お父さん、ここはどこなんですか?】
「「「「……………………」」」」
何だ…この威圧感は…ッ!?
ミランダを除いた四人の無言のプレッシャーが―――いや殺意が肌に突き刺さる!
不味いな……次の行動を間違えたら俺は間違いなく死ぬ!
ここは慎重に言葉を選ばねえと―――
【あ、お母さんだ! 抱っこしてください!!】
「へ? わ、私がお母さんですか?」
そんな俺の考えはアーシアの方に嬉しそうに駆け出していき
急かすようにその手を引っ張るガキの前に無残にも砕け去った。
詰んだな……間違いなく。
「お兄ちゃん…お話があるの」
「一誠さん、少しこちらに来ていただけませんか?」
「イッセー君……どういうことか説明してくれる?」
話があると言いながらも明らかに戦闘態勢に入る、クロームとイリナ。
ユニはいつもの様に笑っているが今はその笑顔を見ただけで寒気が襲ってくる。
不味い……殺られる…っ!!
【皆さん、争いはダメです!】
そう思った瞬間だった、アーシアの腕の中で嬉しそうに抱きかかえられていたガキが
そんなことを言い放った。その毅然とした声に思わず動きを止める俺達。
【人はどうして争うのでしょうか? 姿形が違えど同じ人であるのにも関わらずになぜ? それは心の弱さだと思います。自分と違う誰かを傷つけることで自分を正当化しようとしているのです。ですが、そんなことに本当に意味があるのでしょうか? 私達はみんな同じ心を持っています。楽しい時は楽しいと思い。美味しい物を食べた時は美味しいと感じます。その心は同じはずです。誰だって自分が嫌いな人はいると思います。でも、そこにいることを許してあげることは出来るはずです。それが出来れば争いはなくなると僕は思うんです。でも、もしまだ争いたいと言うなら僕の頬を打ってください右の頬で足りないなら左の頬も差し出します!!】
………何だ、この聖人は?
余りの聖人っぷりにあのイリナですら手を止めているからな。
まあ、何はともあれ、これで話し合いに持ち込めそうだな。
でかしたぞ、俺のガキ。
「取りあえず、話を聞きやがれ。実はな―――――――――」
取りあえず『子作り爆弾』の説明をしたことでイリナ達からの殺気は失せたが
今度は別の問題が発生しちまった……それは―――
「イッセー君と私の間に出来る子供も見てみたいなあ」
何やら、妄想に浸って顔を赤らめるイリナ。
「お兄ちゃんとの子供…頑張る…!」
覚悟を決めた様子で俺を見つめるクローム。
「一誠さんとの子供……興味があります」
少し上目づかいで俺にそう言うユニ。
「僕とイッセー君の子供……パパにも見せてあげたいな」
何故か、当たり前の様に俺の前に座っているヴァーリ。
………て、おかしいだろ!?
「何で、俺がこんな面倒くせえことをまたやらねえといけねえんだ! 後、ヴァーリてめえは何、当たり前のように人の家にいんだ!? それから服を着やがれ!!!」
「なんだか良く分からないけど、道に迷ってたら、いつの間にかイッセー君の家に居たんだもん」
『すまん、兵藤一誠。ヴァーリの言っていることは本当だ……それとヴァーリが裸なのはいつもの習慣だ』
「俺がヴァーリの習慣なんざ知るか!? 取りあえず、こいつでも着ろ!!」
取りあえず、女を裸のまま置いておくという行動は出来ないので
適当に自分の服一式をヴァーリに投げつける。
とっとと、そいつでも着てろ!
「うーん、イッセー君のお願いなら仕方ないかな。じゃあ、着させてもらうね」
そう言って、ヴァーリが服を着替え始めたので背中を向けて、アーシアとガキの方を見る。
アーシアは幸せそうにガキを抱きかかえ、さながら聖母のような微笑みを浮かべていた。
そして、ミランダはその光景をバズーカのようなカメラで
ありとあらゆる角度から撮りまくっていた……なんだこの状況は?
「イッセー君、着たよ」
ヴァーリにそう言われたので謎の光景から目を離して振り返ってみるとそこには―――
((((は、裸ワイシャツ…だとオオオオオオオッッ!!?))))
(しかもご立派なお胸様でボタンが弾け飛びそうな勢いですよ! イッセー様!!)
(丁度胸のところでボタンを掛け間違えるなんて……とんだドジっ子だな、ハアハア)
(一誠様、それだけではありません。お尻から太もものラインが幼さと妖艶さを兼ね備えた素晴らしいものになっています!!)
取りあえず、俺も色々と言いたいことはあるがこれだけは言わせてもらおう。
「何でよりによってそれだけを選んだ!?」
「い、イッセー君が喜ぶかなって思ったから……ダメ?」
「ぐっ!? ……それでいいから泣くんじゃねえ」
泣き顔プラス上目遣いしかも色々と見えそうになっているヴァーリと目を合わせることが
出来ずに顔を背ける……くそっ!空調が効いてねえだろ!顔が熱くて仕方ねえ!!
「イッセー君はああいうのが好きだったのね…! それなら私も裸ワイシャツになってイッセー君の寝こみを襲えば……」
「何恐ろしいこと考えてんだ、イリナ!?」
やたら真剣な顔で考え始めたイリナに慌ててストップをかけるが
無理なような気がするので今度からは寝こみは気を付けるようにするか……。
俺に安息は訪れねえのか……くそったれが!!
「そんなことより…先にやる事があるよ?」
「そうですね、クロームさん」
「誰が、一番にイッセー君との子供を作るかだね? 僕、負けないよ!」
「私は構わないわよ」
お互いに向かい合い火花を散らし合う女性陣……やばい、戦いの予感しかしねえ。
さすがにこんなところでおっぱじめるのは不味いので女性陣を止めに入る。
「おい、待ちやが―――」
「「「「黙ってて(下さい)!!」」」」
「…………くそが…っ!」
何も言い返せねえ!!一体全体、何なんだ、あの気迫は!?
イリナやヴァーリは分かるがクロームやユニまであんな気迫を出せたのか?
女って怖えな………。
「それじゃあ―――」
「いざ尋常に―――」
「いくよ!―――」
「勝つのは私よ!―――」
四人が大きく手を振り上げ、そして―――
「「「「じゃんけん、ぽん!!!」」」」
じゃんけんを開始した………何となく気が抜けたが、まあ、ドンパチやるよりはマシか。
そんなことを現実逃避の様に考えながら白熱するじゃんけんを
ただ黙って見つめる俺だった。
「勝った!…最初は私だよ、お兄ちゃん」
「うーん、僕は二番目かあ………ねえ、アルビオン。そろそろ服、脱いでも良いかな?」
『人の家に居るときぐらいはちゃんと服を着ろ!』
「私は三番目ですか……でもよくよく考えてみれば、待っていたら一誠さんとの子供が見られますから別に遅くてもいいですよね。……少し悔しいですけど」
「私が最後か……まあ、現実で一番最初に作れば問題ないよね」
思い思いの意見を述べる四人。何やらやばい言葉が聞こえてきた気もするが
そこはスルーする方向で行くとする。
取りあえずだ……クローム、そんなに一番になったのが嬉しいのか?
普段は見せないような覚悟の籠った眼で兄ちゃんを見ないでくれ。
「それじゃあ…いくよ…!」
「どうせ俺に拒否権はねえんだろうが……」
俺の諦めの言葉を掻き消すような爆音の後に、現れた煙が晴れるのを待つ。
そして、出て来た“女”のガキを見て微妙な違和感を覚える。
顔はクロームに似て非常に可愛らしく目の色は俺と同じだ。
髪を長く伸ばしてフリフリのついた可愛らしい衣服を身に着けたそれは
若干、涙目の状態で第一声を放った。
【うう…僕、男の子なのに何でスカートなんて履いてるのかな?】
「てめえ、男かよ!!?」
「かわいい…」
第一声だけで分かってしまうそれの特徴は同じ男として非常に同情すべき物だった。
そして、クローム。確かに可愛くて頬を染める気持ちも分からねえこともねえが
まずは、俺達の子育ての仕方について少し話す必要がある。
ただ単に服が無くて急ごしらえで女物を着させたってレベルじゃねえだろ、あれは。
絶対に日常的にやらされてると一目で分かるほどの完成度だ。
【ママ、僕もうスカートはやだよ】
「そんなことないよ…凄く似合っててママは好きだよ?」
【え? そうかな、ママが好きならそれでいいかな】
息子よ、騙されるな。
確かに似合ってはいるが、それとこれとでは話が違うことに気づけ。
そして、クローム。もしかしなくてもこれはお前の仕業何だろ?
「クローム…直ぐに男物に着替えさせろ」
「だめ…こっちの方が可愛い」
【パパは僕の事嫌いなの?】
「ぐっ!?」
うるうると目を潤ませながらこちらを見つめてくる二人が直視できずに顔を逸らす。
くそっ…っ!反則だ!!可愛すぎるだろうが!!!
特にガキの方の無邪気な瞳が俺の心に深く訴えかけてくる。
我慢できずにその頭に手をのせてしまった俺は何も悪くねえ!!
「……てめえの事は別に嫌いじゃねえよ」
【んー……どういうこと?】
「ぐうっ! ………す、好きってことだ」
【ホント!? 僕もパパの事だーいすき!!】
満面の笑みで笑いかけてくるこの子はきっと天使だと思う。うん。
(相棒の将来は親馬鹿で間違いないな)
(よし、今からてめえを串刺しにしてやる)
((((エエエエクスタシイイイイイイイッッ!!))))
因みに串には超高圧電流を流してある。
ついでに毒も塗りつけてみたが変態達の喜びようからしてかなり効果はあるらしい。
………冷静に分析したところで状況は変わらねえよな。
やばい、胃がキリキリと痛み出した。
【パパとママが喜んでくれるように僕スカートにも慣れるからね!】
「それは別にいい!!」
さらに胃の痛みが増したのは気のせいじゃねえな。
「それじゃあ次は僕だね。イッセー君」
「ヴァーリか……嫌な予感しかしねえ……」
「それじゃあ、いくよ―――て、わきゃ!?」
ああ、なんかついさっきも同じような光景を見たな……
そう達観した様子で俺はヴァーリが綺麗に爆弾の上に倒れ込むのを見届ける。
そして、爆発。
煙の中から出て来たガキは―――ちゃんと服を着ていた。
よかった……ヴァーリの特性が受け継がれてなくて本当によかった。
どうやら俺はちゃんとした教育を施せたようだな。安心した。
そう胸を撫で下ろしながら改めて出て来たガキを見る。
どうやら今度は正真正銘の女らしい、動きやすいように切り揃えられた
ショートカット銀髪にあどけない顔立ち髪形以外はまんまヴァーリのミニチュア版だな
………俺の遺伝子はどこにいった?
【あ、パパ!】
「何だ?」
こちらに気づき声をかけてくる、ミニチュア版ヴァーリ。
そして、何故か急に頬を赤らめてプイッと顔を逸らした。
何なんだ?
【べ、別にパパに会いたくてしょうがなかったとかじゃないんだからね!】
何で俺の娘がツンデレになっているんだよ!?
俺の遺伝子はどこにいった!!?
(ご主人様にそっくりの性格ですね、あの子。特にツンデレな所が)
そんな意見は断じて認めねえ!!
【ぱ、パパなんてどうでもいいのよ! ……あ、遊んでほしいとか、抱っこをして欲しいとか、ちっとも思ってなんかいないんだからね!!】
「パパ、一緒に遊んであげようよ?」
「パパって言うんじゃねえよ、ヴァーリ!!」
何どさくさに紛れて面倒くさそうなことを引き起こしそうな事を言ってんだよ!
べ、別にパパって言われて少し嬉しかったなんてことはねえからな!
う、嘘じゃねえぞ!?
(似た者親子だな、相棒)
(共通点が全く見当たらねえな)
(そうやって認めない所が似ているのだと思うのだが?)
何の事だか全く分からないな。
「おい……」
【何よ、別にパパなんて呼んでないわよ】
「べ、別に俺もお前にようなんざねえよ」
【なら、どっかに行ってよ……】
「けっ、悪かったな」
そう言って背を背けたところで小さな手で服を引っ張られる。
見下ろすとそこには俯いた状態でしっかりと俺の服を握るガキ。
【…………パパ…抱っこ】
思わず抱きしめたくなったとこそういうことは一切ないからな?
俺がそうだって言うんだからそうだ!!
「ちっ、仕方ねえな……て、てめえが頼んだから仕方なくやってやるんだからな!別に俺がやってやりたとかそういうんじゃねえからな!?」
【わ、私だってパパを無視したりしたら可哀想だと思ったから抱っこされてあげるだけなんだからね! 勘違いしないでよね!!】
「けっ……ほらよ」
【きゃっ!? い、いきなりやらないでよね!!……嬉しいけど】
「あ? なんか言ったか?」
【な、何でもないわよ! パパのバカ!!】
そのままガキを抱きかかえたまま黙る俺。
同じように黙ったまま若干頬を染めるガキ。
そのまま沈黙が続くかと思われたが突如ガキがもぞもぞと動いて俺の耳の近くに
口を近づけた来た。何だ?
【パパ……大好き】
ちくしょう、ここにきてデレてきやがったってのか!?
これはかなり嬉しい―――う、嬉しいなんて少しも思ってねえからな!
俺が言っていることが嘘だと思う奴は出てこい!俺が灰にしてやる!!
「それでは、次は私の番ですね一誠さん」
「ユニか……ユニなら安心だな」
ユニとなら恐らくは何の変哲もない普通のガキが生まれるはずだ。
何の心配もいらない。
今度こそ思う存分子供を愛でよ―――ゴホン!
とにかく、とっとと始めるか。
そして本日四度目の爆発音。
そして、現れる俺をそのまま小さくしたような男のガキ、
目だけはユニと瓜二つになっていて
そのおかげで俺と比べて大分柔らかい印象を与えさせた。
【えへへ、お母さん!】
「お母さん……ふふ、凄くうれしいです」
現れるやいなや、ユニに抱き着いて行ったガキ、そしてそれを優しい笑顔を
浮かべながら抱きしめるユニ……何というか、いつもと違う魅力があるな。
【お父さん!】
今度は俺の方にトテトテと駆けてくるガキ。
そして俺の腕を引っ張ってくる。
【肩車して!】
「何だって俺がそんな面倒くせえことを―――」
【お父さん、だいだいだいだいだーい好き!】
「これでどうだ? 高えだろ」
【わーい!】
おい、誰だ。今、親馬鹿って言った奴は?
灰も残さずに消し去るぞ。
【お父さん、あっち行って!】
「ちっ、仕方ねえな」
けっ、運が良かったなてめえら。今はガキの世話で手が離せねえんだ。
せいぜい残された余命が伸びたことを喜んでおくんだな。
【お父さん、すごーい!!】
「ふん、当たり前だ」
まあ、所詮はカスの言葉だ。今回は大目に見てやる。
俺は今忙しいからな。
カス共に割く時間なんてねえからな。
【あ、蚊だ】
「カスが近寄るんじゃねえ!失せろ!!」
ガキのすぐ横を飛んでいた蚊を赤龍帝の二丁拳銃で撃ち抜く。
はっ、カスが粋がるからこんな目に合うんだよ。
カスはカスらしく灰になってりゃいいんだよ。
【わあ! お父さん、カッコイイ!!】
「はっ、これが格の違いだ」
(相棒の親馬鹿の度合いがだんだんと上がってきたな……)
その後、カストカゲの姿を見た物はいなかったとさ。
「やっと私の出番が回ってきたわね」
「イリナ……俺は逃げ出さねえから今にもへし折りそうな勢いで握った腕を離せ」
「それじゃあ、いくわ」
「だから、てめえは俺の話を聞けえ!!」
俺の叫びはあっさりと無視され室内に爆音が響き渡る。
そして、煙の中から出て来たのは俺と同じ色の髪を背中まで伸ばし
ぬいぐるみを抱きながら若干おどおどした様子で
こちらを見つめるイリナに似た顔立ちの女のガキだった。
……俺達の性格と明らかに真逆になってやがるな。
これはこれでいいことなのか?
【パパ…ママ、一緒に遊ぼ】
「いいわよ、なに? ヒーローごっこ? チャンバラ?」
「おい、イリナ。お前と一緒にするんじゃねえよ」
そんなことを平然と要求する女の子は世界中を探してもこいつ位なもんだろう。
ほら見ろ、ガキも違うって言って可愛らしく首を横に振ってるだろうが。
イリナもこいつみてえな性格だったらどれだけ楽だったことか……。
【私…おままごとがしたい】
「どうしよう、イッセー君! 私、おままごとなんてやったことないんだけど!!」
慌てたように俺に助けを求めてくるイリナ。
はあ……予想していたとはいえ、本当にこいつは男勝りだな。
と言うか俺に助けを求められても困るんだが。俺だってやったことなんざねえよ。
俺はイリナ以外とガキらしく遊んだことなんざねえんだからな。
まあいい、助け船でも出してやるか。
「具体的にはどんなことをするんだ?」
分からねえなら本人から直接、聞いちまえばいい。
遊んでやらないなんて選択は可哀想だからな
……俺が遊んでやりたいわけじゃねえからな?そこんとこ間違えるんじゃねえぞ。
で、結局こいつはどんなことがしてえんだ?
【えっとね―――相手をしばって吊るしてからご飯を食べさせるの!】
「どこで育て方を間違えた!!?」
やばい、予想外と言うか、常識的に考えておかしいことを要求してきやがった。
誰だ、こんなことをガキに教えたとんでもない奴は!?
【ごはんは私が泥のお団子を作るね、お水もいっぱい飲ましてあげる】
おい、無自覚に拷問を行おうとしてんじゃねえよ!
それは無邪気にやっていいことじゃねえぞ!!
(あの子は……まさか私達のメシア!?)
(ここからでも感じ取れる凄まじい程のドS力…っ!)
(馬鹿な!私のドSスカウターが壊れただと!?)
(これが格の違いだとでも言うのですか!?)
おいおい、変態達が恐れおののいているぞ。
一体全体、俺とイリナの娘はどうなってんだよ!?
まさか変態に毒されちまったのか!!?
「おい、その遊びはやめて別のに変えろ」
【?】
そう言うと何故かキョトンとした様子で俺とイリナを交互に見つめてくるガキ。
そして口を開いて衝撃の一言を言い放った。
【でもパパは、いつもママをかめさんみたいに縛ってるよね?】
「聞こえねえ! 俺には何も聞こえねえ!!」
嘘だ、嘘だと言ってくれ!?
俺がそんなことをするわけがねえ!俺は変態じゃねえんだ!!
そしてイリナもヤンデレだがドMじゃねえはずだ!!!
だから、これは全て幻聴だ!!!
「い、イッセー君が望むなら私はどんなプレイでもいいよ?」
「やめろ、イリナ!! 俺はそんなプレイなんざ望んじゃいねえんだ!
だから無理するな!!」
「でも私もイッセー君に縛られてみたいなって思っちゃった…」
そう言ってポッと頬を赤らめさせるイリナに思わず寒気を感じてしまう。
まずい…っ!このままだとガキの言う通りにイリナがドMになっちまう!
何としてでも止めねえと!!
「目を覚ませイリナ!!」
「そ、そんな急に……こんな所じゃ恥ずかしいよ、イッセー君」
「余計、面倒くさくなりやがった!?」
俺がイリナの肩を掴んで、壁に押し付けると何を勘違いしたのか顔を真っ赤にして
潤んだ目でそんなことを言ってくるイリナ。
一体俺が何をしたと言うんだ!!?そう思った瞬間だった―――
【パパ!ママ!ケンカはダメ!!】
それは可愛らしい声と共に何もない宙に放たれた
可愛らしい小さな指からのただの何でもないデコピンだった……そう思っていた。
―――ビキッ!ビキビキビキィッ!!
だが実際はデコピンが放たれた先にあった空間には幾重ものヒビが入り、
さらに生み出された衝撃波は俺とイリナの横をスレスレで通り抜けて
いとも簡単に壁を破壊しそのまま全てを破壊しながら突き進んでいき消えていった……。
【仲良くしなきゃ…ダメ】
「パパが悪かったから許してくれ」
「ママも仲良くするから許してね」
【うん、わかった】
俺とイリナの二人で頭をなでなでしてやると嬉しそうに笑って許してくれた。
取りあえずだ、イリナと結婚した場合はボンゴレの未来は安泰で間違いなさそうだな。
これで全員分終わったわけなんだが……まだ一時間立ってねえのか。
座りながら、ちらりとお互いに遊んでいる俺のガキ共を見る。
【彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです】
何やら祈るように他のガキを見つめるアーシアのガキ。
【ね、ねえ、これってホントにおままごとなの?】
【うん…待っててね。もう少しでご飯が出来るから】
丁寧に縛り上げられて吊るされた状態で尋ねるクロームのガキ。
そしてそんな様子を作りだした張本人であるイリナのガキはぬいぐるみを
抱きかかえながら何やらしており顔は良く見えないが
鼻歌を歌っているので恐らくはご機嫌なのだろう。
【うわー! ぞうさんだ!!】
【な、何よ。別に折り紙でこんなの折るなんて簡単じゃない】
【でも、俺、出来ないから、やっぱり凄いよ!】
【ふ、ふん! そんなに言うならこれあんたにあげるわ。
……べ、別にあんたの為に作ったんじゃないんだからね!】
【ありがとう!!】
何やら折り紙で遊んでいる、ヴァーリのガキにそれを眺めて感嘆の声を上げるユニのガキ
こっちはあっちと違って何ともほのぼのとした雰囲気だな。
………ミランダがシャッターが擦り切れるほど写真を撮ってなければだけどな。
【お父さん!】
ふと気づくとアーシアのガキが俺の膝の上によじ登って
そこに嬉しそうに座っていたのでその頭を撫でてやる。
こ、これはただ単に撫でやすい高さに頭があったからだけだからで、
他に意図なんかねえんだからな!!
【パパ、私も!】
【え? ねえ、まずは僕を解いてよ!】
【お父さん僕も!】
【ちょっと、待ちなさいよ! ……こ、これはパパが私が行かないと寂しがると思ったから仕方なく行ってあげるだけなんだからね!!】
そう言って駆け寄ってくる他のガキ共。
一人だけ未だに縄で腕が結ばれているので解いてやる。
そして俺の膝の上やら背中や頭の上などに思い思いの場所に乗るガキ共。
そして、シャッターを切るスピードがもはや音速を越えているのではないかと
疑ってしまうほどに写真を撮るミランダ。
そして女性陣達はその様子を微笑ましい物でも見るような目で見つめてきていた。
………普段ならイラつく視線だが今は………まあ、悪くはねえな。
そして一時間が経過してガキ共が消えた時には少しの寂しさが出て来たが……
まあ、気にすることでもねえな……ねえよな。
(((((いい加減、親馬鹿を認めたらどうだ(ですか)?)))))
(カッ消す!!)
~おまけ~
Sideバジル
それは親方様と一緒に一誠殿の家のすぐそばを通りかかった時の事でした。
「あら? 何か降ってきたわ」
「そうですね―――て、爆弾ですか!? 親方様!!」
「へ? きゃっ!?」
慌てて親方様を押し倒しその上に覆いかぶさって爆風から親方様を守ります。
それにしても…ただの爆弾にしては威力がないような気が…
いえ、それよりも親方様の安否の方が大切です!
「親方様! ご無事で!?」
「私は何ともないわよ、バジル…そ、それより」
「それより?」
何やら顔を真っ赤にして拙者を見つめる親方様。
一体なんでしょうか?
「早く、どいてくれないかしら…その…態勢がちょっと…」
そう言われて見てみると拙者が親方様の上に覆いかぶさり足まで絡まっており
その…何と言うか……とにかく色々と危ない態勢でした。
「申し訳ございません! 親方様!!」
「謝らなくてもいいわよ。あなたは私を守ろうとしてくれたんだから…それにもし、ここが部屋の中だったら私だって我慢できずに―――」
「親方様?」
「な、なんでもないわ!バジル」
「それなら、いいのですが……」
何やら再び顔を赤らめて必死に首を振る親方様は何だか可愛らしいです。
そう思っていると突如足に小さな衝撃を覚えて下を見てみると
紅色の髪をした小さな男の子が満面の笑みでこちらを見つめていました。
この子は一体―――
【お父様!】
「「…………………え?」」
突然のことに頭がついていかずにその場で固まる拙者と親方様。
その間に男の子は親方様の方に移動し―――
【お母様!】
「……私とバジルの子供?」
【うん!】
「「……………………」」
~一時間後~
「どこ?どこにいったの!?私達の天使は!!!」
「お、親方様!?落ち着いてください!!」
「離して!バジル、直ぐに探さないとあの子が!!」
「あ、待ってください!親方様ああああっ!!!」
その後、親方様の暴走は騒ぎを聞きつけた一誠殿から事情を説明されるまで続きました。
はあ……疲れました。
そう言えば一誠殿が親方様に『そのうち会える』と言ってから親方様の拙者を見る目が
変わったような気がするのですが、一体なんなのでしょうか?
後書き
子供って元気ですよね……いえ、この間、機会があって子供達と遊んだんですけど
ずっと離してくれないんですよね。
今回主人公にやらした肩車、作者もやりました。
そして調子に乗ってその状態でダッシュしたり、ジャンプしたり、グルグルと回転したり
子供が喜んでくれるように全力で動きました……二時間ずっと肩車したままで。
そして、それが終わった後はお馬さんをやってたりしたら
次の日は物の見事に筋肉痛になりましたww
休日の親御さんの辛さが良く分かりました(笑)
あれを仕事が無い日にやるって凄いな……実際は毎日かもしれないけど。
でも、可愛かった。誤解のないように言っておきますが作者はロリコンではありません。
作者はどちらかと言うと年上好きです。そしておっぱいとお尻が大好きです(迫真)
何やら長々と書いてしまいましたがすいません。
次回からは次の章に入ります。
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