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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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誰かが覆さない限り、世の中のものは覆らない


誰かが覆さない限り、世の中のものは覆らない。
—ジェームズ.A.ガーフィールド—

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誰かが覆さない限り、世の中のものは覆らない






◆◇◆コン◆◇◆







大見え切って現れた自来也

最初から素直に来てれば良かったんだ


「自来也・・・あんた、邪魔する気ね?」


再不斬から距離をとり、印を組む大蛇丸


「邪魔・・・?違うの・・・わしは、止めに来た!」


現れたのは二つの棺、穢土転生の術か

三つめを阻止するため三代目が手裏剣で邪魔する


棺から出てくる人影・・・初代火影と二代目火影

大蛇丸によって式を埋め込まれ、みるみるうちに生気を取り戻すその姿

・・・命をもてあそぶ、そう思うのも無理はない


「コン、最初から兵糧丸、増血丸を飲んでおけ
 これより再不斬とわし、そしてお前とスリーマンセルを組む」


大量に渡される兵糧丸、すかさず飲み込み小刀を構え、後ろに下がる


「オレは後衛だな、自来也は?」


狐火を応用した火遁もどきで支援


「こんな狭い所じゃ蝦蟇は呼べん
 ・・・あいつをぶん殴って止めさせてもらうぞ」


自来也は体術で勝負を仕掛ける気で、


「ならオレが中衛か
 霧隠れを使っても構わねぇか」


三代目を庇うような立ち位置にたった再不斬

・・・頼んでないのに、察してくれたらしい

しかし


「駄目だ再不斬、蛇にはピット器官があるから温度で居場所が分かっちまう
 むしろ視力が弱いから真正面から挑んだ方がいい」


「・・?そんなのがあるのか」


あれ、ピット器官知らないのか?

ナルト世界って今一どこまで研究が進んでるか分からないんだよな


「自来也!コン君までこの場に連れ出すとは血迷ったか!?」


「何、コンはわしの弟子、そうそう後れはとらん!」


・・・いや、たぶん後れをとると思うんですが・・・


「へぇ・・・随分面白い子を弟子にしたのね
 頭が良いだけの子かと思っていたけれど・・・面白いものを飼ってるじゃない?」


・・・九尾のチャクラ、やっぱり分かる奴にはわかるものだな

初代火影の木遁が使われ、樹海が広がる

木々の間に入り込み、気配を消した




「大蛇丸!今度こそお前の愚行を止めて見せるぞ!」




自来也が殴りかかる

忍術だとか体術だとか、そんなものは関係ない

ただ純粋な気持ちで突き動かされている



三代目を締め上げようとする木々を再不斬が切り落とし、護衛に徹する

気配を消したまま印を組む



目標は、初代火影!



「火遁・閃光花火・・・続いて火遁・赤龍!」



いくつかの小さな狐火を破裂させて気を引き、龍を模した大きな狐火をけし掛ける

三代目に向かっていた木々が消し炭となる



そのまま印を組み、雷球を作り出し、軽めに飛んですぐさま居場所がばれないよう場所を移動する




「・・・その術・・・」




意識の無い、戦闘人形であるはずの初代が喋った

明確な意思を持って




「その術は・・・っ!」



「コン!」




逃げる間もなく木遁で囲まれ、初代と対面する

他の三人は大蛇丸、二代目と戦闘中

・・・オレ1人か・・・




「生きて、生きておられたのだな・・・
 術を伝授し、証を遺された・・・!」




・・・なんの、話だろうか

初代火影が、泣いている




「これほど、喜ばしいことがあろうか・・・!
 |まじらず《・・・・》の一族を復興なされた!」




まじらず・・・、先生?!

そういえば先生は一度木の葉創設時代に生まれていた



そのときの関係者?でも先生は創設時代の記録に一族の名がないから別世界だと言っていた

白と同じように記憶を持っている?あるいはトリップ?



「おぉ・・・!おぉ・・・何度乞うたことか・・・木の葉へ移住する事を・・・
 まじらず一族が故に拒絶なされた師が、木の葉へ後継を住まわせた・・・
 ミトよ、やったぞ・・・!」




感涙しながら叫び続けている

魂からの叫び



 
「・・・まじらず、シナイに聞き覚えは?」




「まじらず一族最後の棟梁、シナイは我が師にして戦友!
 お前は、まじらず一族か?一族は復興したのか?」



「ねたみコンだ
 ・・・子孫の方のまじらずシナイを師に持つ」



この場じゃ、そう言っておいた方がよさそうだ

何故復興が喜ばしいのか、まじらず一族とはなんなのか



「・・・誉れ高き師の名を受け継ぐ者がいるのか!
 そしてその弟子と戦えるとは・・・感無量とはこのことか・・・」



涙を流しつつ先生の名を何度も読んでいる

どうした先生、いつもならこういうところで乱入してくるだろ



「喜びを胸に、さっさと冥府に戻ってもらえませんかね
 ・・・送り火なら焚いて差し上げますよ」



葬儀を一手に引き受けた巫子さんだからな

狐火で、焚いてやる


死者の魂を現世から、ふたたびあの世へと送り出す事が出来る送り火

きっとナルト世界なら焚いたら帰せそうだ



「なんと・・・戦ってはくれぬのか・・・」



実に残念そうな顔をされる

そんなこと言われてもなぁ・・・



「自分、まだまだ未熟者でして
 問答無用で行かせてもらいます、狐火・大文字!」



とっとと冥府に帰りやがれ!




そう悪態を吐きながら大の字の狐火をぶつける


送り火といえば山の大文字、海の灯篭流しだよな



ほとんど抵抗する事もなく炎に包まれて満足そうに笑っている




「・・・死んでなど・・・いなかったのですね・・・先生・・・」




術が解けた



大蛇丸の支配から抜け出すほどの・・・喜びだったのだろう

其れほどまでに慕う先生だったんだな



周囲を覆う木遁を狐火で燃やす



二代目と再不斬、三代目

大蛇丸と自来也が戦い続けていた




二代目を、どうにかするか




「コン、初代はどうした!?」



「冥土に送り返した
 ・・・コツは理解した、二代目火影も送り返す!」



「はぁ!?なんだそりゃ!?」「そんなことが可能なのか!?」




印を組みつつ隙を伺う

こちらに向かってくる水遁は2人が叩き落としてくれる




「隙がありゃきっといける、多分いける、きっと多分おそらくメイビー!」



多分な!  



「死者の魂がむりやくた縛り付けられて、仮初の肉体に閉じ込められているんだ!
 なら楔をいれて冥府まで道を作ってやればいい!
 嫌々戦わされてる奴だったら、そこから自力で戻ってくれるさ!」



送り火という目に見える事象で、現世から冥府までの道標を作り誘導する

盆行事は木の葉でなくとも五大国は普通にやっている

いくら世代が違っても昔からの慣習なら、何が起こっているか認識できる

送り火を認識すりゃ道が見えてくるはずだ


帰るためだけの道を作った後は、魂を縛り付ける術に楔を打ち込む

初代火影にとっての先生のように、心に響く何かを打ち込めば・・・自力で帰れる


二代目にとっての楔

多分、それは火の意志というものではないだろうか

火影になるものが重要視するほどのもの

楔に成り得るかもしれない



「おいこら二代目ぇ!
 てめーそんな若造にいいように操られて火影として恥ずかしくねーのか!」



吐血する事もかまわず叫ぶ

ぎょっとした顔で再不斬が睨みつけてくる

今まで自来也相手に不老不死の術を狂喜的に語っていた大蛇丸でさえ、何事かとこちらを向いた



「初代、二代目、あんたらの木の葉の意志を継いだ三代目がボロボロになりながら戦ってるんだぞ

 木の葉を崩そうと企んでる奴に、あんたらが築いた木の葉を潰されそうになってるのに!

 それで良いのか!?

 あんたらの意志ってのは、術なんかで抑えつけられちまうものなのか!?
 
 そんなんじゃないだろう!?」



身動き一つとらない二代目

馬鹿な事をしているとでも言いたげな大蛇丸

馬鹿か、やらないよりよっぽどいいさ



「・・・」



少しは反応ぐらい見せやがれってんだ



「諦めんのか、術だから仕方ないって諦めるのか?
 
 お前それで良いのか、三代目が必死に止めようとしてるんだぞ
 
 なんでお前が戦わないんだよ

 抵抗ぐらいしろよ、邪魔されてるんだったらそれを殴ってでも壊しちまえ!
 
 あきらめんな!
 
 男が魂込めた拳には、不可能なんかねェ!」




道は作った、扉ぐらい自分で開けろ!





瞬間、血が顔に掛かった




オレの血じゃない

そう思って飛び散った血を触る




これは、三代目の、血



オレの眼の前で右腕を切られた、三代目の血がオレに掛かった





「ぐぅ・・・!
 ・・・この木の葉の里には毎年多くの忍びが生まれ育ち、
 生き、戦い、里を守るため、そして大切なものを守るために死んでいく・・・」





慌てて切り落とされた右腕を拾いあげる

オレをかばったままの三代目は動かず、ただ呟いた




「そんな里の者たちは例え血のつながりがなくとも・・・
 
 ワシにとって大切な・・・大切な家族・・・
 
 たとえワシが殺されたとしても、その家族が遺志を受け継ぎ、新たな火影が木の葉を守る!

 意志を託すに足りる者は・・・今や大勢育ちましたぞ、二代目様・・・!」




「・・・サル・・・」




水遁の攻撃が、止んだ




「コン!」


言われずとも


「狐火・大文字!」



大の字が二代目を覆い尽くし、燃えていく



「すまぬ、猿飛よ・・・世話をかけたな・・・」



燃え尽きた後、遺されるのは寄り代となった音の下忍・・・

捨て駒として、死んでいった忍


・・・


やっぱり、オレは木の葉で生きたい


捨て駒にされたくない



増血丸を三代目に渡しながらそう思った

まだ大蛇丸がいる

気を引き締めて小刀を構える








自来也と大蛇丸の戦いは、もはや只の殴り合いと化していた












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チャクラの可能性は無限大


 
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