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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章 幕間劇
  妾人数確認者の結菜と双葉

「では、補給の計画についてはこの方針で詰めさせて頂きます」

「苦労。頼むぞ、ころ」

「は・・・・はいっ!」

久遠のその言葉に、ころはとても緊張して頷いて見せた。この場にいるのは、久遠に一葉、美空に光璃というこの世界での妾での身分ではトップな者達がずらりと並んでいるからかもしれないが、俺との関係は正室と側室よりもランクが下だ。

「それにしても、随分と気前が良いのね、織田家は。こんなに食料を融通してもらって大丈夫なの?」

「通り道だからな。このくらいはする」

「武田はたかられても、こんなに出ない」

「ウチもそうねぇ・・・・」

「その割には、余の仲裁を蹴って延々川中島で争っておったようだが?」

「古い話を蒸し返すわね、一葉様」

「それはそれ」

川中島の話をすると、過去の話を掘り起こそうとするがこれはこれと置いといた光璃。すると幽はコレの方は結構貯め込んでいるというが、売る相手がいないようだ。すると美空は光璃の事を友達がいないかのように言うのだった。そんで黙った後は鏡がどうとか言ってたが、まあ妾同士で喧嘩の仲裁を一々やるとこちらが疲れる。

「・・・・一真は止めんのか?」

「もし久遠が、一葉と幽が言い合いをしていたら止める方か?」

「・・・・ふむ」

美空と光璃、一葉と幽が言い争っているのは挨拶なようなもんだ、言葉でやりあう弁論とも言うがそれに近いかも。拳と拳で語るとか己の武器で語るとか、俺の仲間にはいるけどな。

「ちょ・・・・何久遠までそんな目で・・・・!」

「というか、何故にそこで余の名前が出てくるのじゃ?主様」

「そうですぞ。それがしも主たる公方様と言い争うなど、そのような恐れ多い事例え天地がひっくり返ったとしても・・・・」

「それだ、もし俺と奏が言い争っていたら止めれるか?それに一葉と幽の場合はひっくり返り続けているから結局のとこ、元に戻るだけだ」

そう言ったら全員が止められないと言ったから、そうなった。正室と夫との口論を止められるのは、無理であったとしても使役している神々なら止められる。俺は創造神で奏は神と悪魔のハーフだからな。神になったばかりである深雪でさえも、大天使化による女神化が出来る歳までなってくれたのも奏と優斗や月中基地本部にいる諸君がいたからこそ余計な知識もついた。

「一真様は、今回の補給計画で気になった事はありませんか?」

「まあ本来ならば、俺らの小型船で一気に補給できるけどそれだと納得しないから、気になる事は何もない。ころも動いているしな」

「あ、あぅぅ・・・・。一真様、本当に私のやり方でいいんですか?」

「実際ころの方が効率がいいんだよ、水上輸送の見積もりは詩乃達の計画より三割早かったろうに」

「まあそうですけど・・・・」

「一真隊は特殊技能集団って言うのは知ってたけど、鉄砲だけじゃなかったのね」

「黒鮫隊何か見本にはならないからな、こういうのは本職の方を頼るのが一番さ」

一部隊単位の物資輸送ならひよの方が細かい気配りが出来るが、これだけの規模に兵站となると基準というノウハウが変わってくる。俺達のやり方だと小型船で一気に運ぶのが俺達流だが、まだここはこの外史での物資輸送の方が有効だからだ。木曽川の水運を司ってきた、ころの知識と経験を活かすのはここで使う時だと思う。

「やはり一真を検討に加えて正解だったな」

「俺はただころを連れてきただけで、凄いのはころだ」

「そ、そんな事ないですよ・・・・」

「川並衆の手際、期待する」

「うぅぅ・・・・責任重大だなぁ・・・・」

「では、ひとまず今日の話し合いはここまでという事で」

「そうじゃな」

そんで詩乃はもう少し話を詰めていく模様だけど、俺達の計画は着々と準備している。全兵達を夜叉化にする事は、一日じゃ無理だから三日間に分けて行う予定となっているがここにいる久遠・一葉・美空・光璃に知らされないようにするためには、怪しまれずに決行日までは人間のままで準備しているが組頭に侍大将と言った者達に足軽達の目録を作れと命じてある。夜叉になっても、俺の指示が飛ぶまでは人間のまま仕事をしなければならないので足軽は足軽でどこを担当で武器は刀か槍なのか鉄砲なのか。それとも本陣に詰めているのかなどを記載してから、一人一人の血でそれを書いている。血=遺伝子情報でもあるからか、それで個人を見分ける事ができる。そんで俺は部屋に戻って来た。

「ただいま」

「お帰りなさいませ、旦那様」

細かい実際の詰めを詩乃やころに任せて、部屋に戻ってきた俺を迎えたのは双葉だった。まあ最終決戦を行う前に非戦闘員は先に船に乗ってもらう事にしてある。そうじゃないと後で保護すると面倒だからである。

「皆は?」

「皆さん、次の遠征の支度におでかけですよ」

「そうか・・・・皆も頑張っている様子だな」

「次の戦は、今まで以上に大切になりますから」

「確かにそうだな(最終だけどな)」

そう言うとお茶をもらった俺である、お茶が出てくるの早いと思ったがここには電気ポットなどないから俺が来る前に入れたのかなと推測した。そしたら見事に推測は当たったので、淹れたてのようだ。礼を言った後は静かに返事をする双葉であった。

「ふう・・・・お茶もが美味い」

ちょうど良い感じに淹れられたお茶だったのか、さっきまで考えていたもんが無くなるかのように疲労も回復するようだ。

「たまにはこうやってゆっくりするのもいい・・・・」

「旦那様は毎日のように、地上から船の行き来や神界から地上の行き来などでお忙しいとお聞きになられます」

「まあな、地上では大した仕事はしてないが今後の事を思い船やら神界やらの仕事をしている。地上だと次の戦についてだが、船だと鍛錬や模擬戦に娯楽もたくさんある。神界では最近は会議でいっぱいだ。今では奏と優斗と深雪と共に神界での会議に出席をな」

それは表での話となり、裏では神界と冥界を異空間にしまってから月中基地本部内に創られた空間で住むという計画とエーリカの悪しき魂の浄化をどうやるかなども挙がっている。一度やった方法では二度と出来ないからな。別の方法で現実ではエーリカの動きを止めてから、空間切断で精神世界へと入り悪しき塊となった鎖を排除するかは神界と冥界の神々の協力が必要不可欠。

「旦那様はとても大きな荷物を背負っています。私や久遠様と一緒であったとしてもです」

「確かにとても大きな荷物を背負っている、この日の本から鬼を追っ払う事もそうだけど、何よりもどうやって戦を起こすかにもよる。そして犠牲は最小という課題が大きくあるが、皆の命も預けているようなもんだな」

「私も、背負えていますか?お姉様や、久遠様。そして奏様ほどではなくても・・・・私も、旦那様の背負っていらっしゃるもの・・・・少しでも『大丈夫だ』あ・・・・」

「俺には無くても双葉にはある魅力で背負う大きさを小さくしてくれる。それだけでも結構なもんだと俺は思っている」

小さな頭を撫でる手には、温かい感じのを纏いながらだったがすぐには離れてしまう。俺が手を離したのではなく、双葉が手の動きに合せてその身をゆったりと倒してきたからだ。

「・・・・・・・はい」

俺の胸元にそっと身を寄せた双葉の頭を、そっと撫でる。すると双葉は嬉しそうになっただろうか、細い体をよじらせてくれて来るが誰か来たな。

「一真。ちょっといい?」

「・・・・・あ」

「おう、結菜。入ってもいいぞ」

「・・・・と、ごめんなさい。お邪魔だったわね、双葉様」

「・・・・いえ。大丈夫です、結菜さん」

俺としては別に構わないのに結菜の前でイチャイチャするのが恥ずかしかったのか、身体をそっと離してから双葉は少し乱れた着物を整え始める。

「で、俺に何の用だ?」

「ちょっと用事があってね。双葉様と、私の部屋に来て欲しいんだけど・・・・いい?」

「双葉は?『もちろんご一緒します』そういう事だから行こうか」

部屋から立ち上がった後に、俺は結菜の後を追うように付いて行く。結菜に用事は何?と聞くが来れば分かるとの事だった。ならいいやと言ったら双葉はそれでいいの?的な事を言ってきたから俺はいいのいいのと言うようにした。聞いて教えるなら最初から教えてくれるだろうし、信じ合っていると言われたからこの世界に降臨してから付き合いが長いからだ。

「付き合いは俺が降臨して、久遠の屋敷内で出会ったからな」

「その時は一礼をしていた後だったから、一真の容姿を見たら背中に金色の翼があったからとても驚いたわよ」

「そりゃ驚くかもしれんが、久遠以外で俺を信頼したのは結菜なんだけど?家老は抜き打ちで殺そうとしてきたのだから」

「あの頃が懐かしいわね」

「ふふっ」

「ん?どうしたんだ双葉」

「いえ・・・・。お二人とも、仲が良くて羨ましいです。私の時は大天使化の時に初めて旦那様の御姿を見ました」

そう言うが双葉もそうだろうに、双葉も結菜と同じように仲が良いと思っていると言ったら礼を言った後に結菜は久遠達とは上手くやっているかを俺に聞いてきた。

「上手くやっているが、その前に俺には本妻と側室がいるから優先度は違うぞ?結菜」

「そうだったわね。久遠ばっかり可愛がっているとか、一葉様のお相手ばかりしているとか、新しい妾にしか目が行ってないと言おうとしたけど無意味だと今気付いたわ。私も双葉様も久遠達と同じ愛妾だからなのか、優先度が違うと言われると気付かされるわあ」

「まあ本妻と他は主に船で、だから地上にいる間は久遠達を優先しているつもりだ。ただし妾がたくさんいるから、一人で相手よりも複数で相手をする方が最近多くなった」

そう言うと双葉も結菜も納得はしている、今は地上にいる間は俺に好意を持っている者達の相手をしているとな。そしたら小谷のが来た。

「あ、兄様」

「こんにちは、お兄ちゃん!」

「やあ。夕霧と薫も一緒なのかな?」

「でやがります」

眞琴と市が一緒なのはともかく、夕霧と薫も一緒というのは珍しい組み合わせだな。国持ちの妹と言う意味じゃ、同じ立場だと思うけど。

「うん。眞琴さんとお市ちゃんに、お兄ちゃんの妾の心構えを教えてもらってたの」

「妾としての序列は関係なくとも、順番としては市が結菜お姉ちゃんの次に先輩だからね!」

「まあそうかもな、市は元々眞琴の奥さんな訳だし」

愛妾は妾であって奥さんではないが、奥さん経験は久遠よりも長いからそういう意味としては納得できるところだ。ま、俺と奏だとダントツに一位かもしれないけど、奏と出会うまで例え女性隊員がいたとしても好意とか興味なかったと思う。奏と出会ってから桜花達みたいに逆プロポーズが増えた訳。

「市と薫ちゃんと結菜お姉ちゃんと双葉様で本来は側室四人のはずだけど、今は全員愛妾でも一応心構えをと思ってね!」

「あ、あの、市。僕も本来だと兄様の側室なんだけど・・・・・」

本来だったら六人かと思うくらいだ、夕霧も加えた事になっているのか物凄く慌てていたが国持ちの妹だとそうなるのかな?その前に神界での妹は護法五神だけどな。俺を助けるより姉を助けた方がいいんじゃねえのと思ってしまうほどだ。夕霧はまだとか言ってたが、愛妾というランクからの下はない。それ以下は部下だとしか思ってもいない。

「結菜が呼んでるから、そろそろ行くわ」

「兄様、お引き留めしてすみませんでした」

「夕霧ちゃんの説得は任せといてね!」

「違うでやがりますよ!薫に妾の心得を教えるのが先でやがります!」

「大丈夫だよ。どっちもまとめてやればいいんだから」

「それいい!」

「だからー!」

あはは、まあガンバと言っといてから結菜のとこに戻って行く。そしたらいつもの事だし、船や神界に行っているとなかなか話が出来ない時がよくある事を知っている結菜だからなのだろうな。そう思って歩き出すが、結菜の部屋からは逆方向だった気がする。気のせいか?そう考えたら、向こうから歩いてくる二人組を発見した。

「おや、一真様」

「やあ。葵」

「このような所で何を?」

「結菜に呼ばれてな」

「相変わらず『何か言ったか女狐?』い、いいえ。何でもありません」

御盛んだと言うつもりだったが、俺の声で遮らせたら慌てた様子で何でもないと言いふらす。まあ俺はコイツの事をあまり好きではないし、大評定では俺の嫁の前で俺を殺す発言で殺されかけたからな。まあ桃香達もこいつだけは別に消滅しても構わないと全員一致しているから、あとは俺の判断で連れて行くか消滅させるかになった。

「葵たちの戦準備はどうなんだ?ま、犠牲は最小でというのは覚えているから安心しろ」

「悠季の采配で既に済ませてありますが、その約束を覚えて頂き安心しました。あとは久遠姉様のご指示があれば、いつでも出立できます。それと悠季に関しての物言いはお許し下さい」

「そうか・・・・。俺の嫁達が力になってくれるから、こちらに期待されてもいいが三河勢の士気にも関わる。それくらいなら出来るだろうし、悠季に関しては今後の課題でまだ検討中だ。許すか許さないかはこちらで決めさせてもらう」

「はい。鬼を倒し、天下に太平をもたらすためであれば、犬馬の労を惜しむ事はありません。ですが、次の戦でこの世界は消滅すると聞いていますが、私達の兵達も消滅してしまうのでしょうか?」

「それについても検討中だが、最善を尽くすので、考える時間をくれ」

そう言った後に、兵達の心配をされたがそこまで考えているとはさすが徳川の狸となる者の器だな。そしたら最善であれば何でも構いませんと言った後に立ち去ったけど、双葉には恐がらせてしまったのかな?。

「悪い悪い、怖がらせてしまったかな?」

「いえ・・・・・あのお二人は、松平のお二人ですよね?」

「ええ。久遠の妹分で、松平衆の棟梁」

「そうですか・・・・」

双葉には違和感を感じ取ったようで、その違和感とは俺の回りにいる者達にしては雰囲気が随分と違うようだと指摘していた双葉だった。俺ら周辺にいる者達はよく笑っているという疑問になった。松平のは幕府に機嫌伺いに来るだけの使者や商人たちと同じ顔だと言ってた。双葉の評価に、俺と結菜は顔を見合す。

「・・・・す、すみません!私ったら、久遠様の身内の方に何て失礼な事を・・・・」

「さすが双葉と言いたいくらいだな」

「何がですか?」

「こっちの事よ。気にしないで」

伊達に将軍の影武者をやっているからか、たくさんの使者と面会してきたから分かるのかもしれないな。大人しいお嬢様に見えたとしても、余計な事を知らないからこそ人の本質が見えてしまうほどの潜在能力。運動面では古来「火事場の馬鹿力」などと呼び習わされ、頭脳面に関した場合、多くは潜在脳力と表記されているはずだからこれで合っていると思う。

「一真様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

行こうと言おうとしたら、向こうから力一杯に駆けて来た声は勢いを緩める事なく俺の腹まで飛んでくるところを、片腕で綾那の頭を止めてみせた。

「おいおい、このままだったら俺が気絶しているぞ?綾那。それと走ってくるなとあれほど言ったではないか!」

「ごめんなさいなのです!一真様に来てもらいたくて呼びに来たのです」

俺を呼びに来ただと?そう言うと俺はそうかと言ってから綾那について行く。

「あ、一真様!」

で、そこにいたのは人数が多い庭で一杯だった。出陣準備をしてたはずの一真隊に三若だけではなく、柘榴や兎々の姿も混じっているような・・・・・。

「蹴鞠なの!」

「蹴鞠でこんな大人数で集まったのか?」

「そうっす!どこの国が一番強いか勝負っすよ!」

「そんなの、我らが武田軍団に決まってるんだぜ!」

「そうなのら!」

柘榴は蹴鞠なんかできるのか?そういう視線をしていたらバカにされた気がするっすと言われこのくらい嗜みだと言った。柘榴が蹴鞠だなんて似合わねえよ、まだ槍持っていた方だと思う。松葉は仕方ないと言うから、賛成意見のようだ。

「そうそう。突撃する事しか考えてないからだぜ!」

「・・・・粉雪と兎々が蹴鞠する時点で、同じような感じだと思ったが。違うのか?」

「な、なんれすとー!」

「こ、このくらい、嗜みなんだぜ・・・・」

「蹴鞠勝負なら、一番強いのはボクら織田軍団だ!なあ、犬子、雛!」

「当たり前です!」

「雛は別にどうでもいいー」

和奏に犬子はやる気十分だが、雛はどうでもよさそうな感じだった。

「そうっすかー?尾張の兵は弱卒揃いって聞いたっすよ?」

「おい一真!越後で一真隊が暴れ回ってて、何でまだ尾張の兵が弱卒って言われてるんだよ!」

「・・・・一真隊は正面突破の部隊ではない、それに一真隊には黒鮫隊がいるからじゃねえの?尾張の兵が弱卒だと言われても怒る気はしない」

武田家の体育会系振りを知っている俺だったとしても、最強部隊は黒鮫隊で決まりだ。一真隊も色々と混ざっているから尾張の兵とは言ってない気がするし、俺らが直に鍛えているから母衣衆よりも強くなった気がする。武田の兵と尾張の兵を比べても負けるに決まっている。

「まあいいや。ボクらには鞠っていう強い味方が・・・・・」

「鞠は綾那たち三河組の応援に入るの」

「な、なんだってー!?」

鞠に裏切られたな、どーするんだ?和奏は。鞠はこの中で蹴鞠の上手さは一、二くらいだな。

「綾那達は一真隊の一員ですけど、心は三河武士なのですよ!三河武士の実力、見せてやるのです!ですよね、歌夜、小波!」

「いいのかなぁ・・・・それで」

「あの、ご主人様。綾那様はああ言っておられますが、自分は身も心もご主人様に・・・・」

小波がわざわざ言わなくとも分かっているので、手で制した。ま、故郷を大事にする気持ちは大事な事だな。そしたら綾那は当たり前のように言って気合を入れてたけど。

「ぐぬぬ・・・・」

「あはは。和奏ちん、アテが外れたねー」

「だったら他に蹴鞠が強そうなヤツ・・・・」

「お任せなさい!織田にはこの私!蒲生忠三郎賦秀がおりますわ!それに、蹴鞠となればひよさんも!」

おいおい、今度は一真隊の主要メンツまでいるよぉ。しかもよりによって梅がしゃしゃり出てくるとは、それとひよを推薦したのか、逆にひよは動揺していたような気がするけどね。

「一真隊では指折りの実力者でしょうに。まあ、私にはちょーっと劣りますけれど。もっと胸をお張りなさいな!おほほほほっ!」

「そ、そんな、梅ちゃんほど張れる胸なんて・・・・」

「胸なら負けないっすよー!おほほほほー!」

「ふふん。笑い方がなっていませんわよ!おほほほほっ!」

俺は少し頭が痛くなってきた、蹴鞠の次は胸の大きさ如きで勝負とかアホすぎだろう。すると粉雪も参戦しようとしていたが、そんなんで張り合わなくともと止めようとしていた。誰かー、頭痛薬をくれーと言いたいくらいだ。蹴鞠という遊びで、織田、長尾、武田に三河勢の正面対決で決めていいのかな?

「何だか楽しそうな雰囲気になっているけど、どうしたの?頭を抱えて」

「こういう光景が見えただけでも同盟を作ったのはいいとして、こんなので勝負決めてもいいのかと疑問したくなりそうだ。あと少し頭痛が・・・・」

「そうね・・・・。それと何となくだけどその気持ちは分かるわ」

「で、一真様はどこに入るですか?」

「はい?俺もやるの、そんなの聞いてねえぞ」

こんな大人数でいるのに、俺もやるとか聞いてない!

「何のために綾那が呼びに言ったと思っているですか!」

「ハニー、もちろんハニーは私達一真隊と共にありますわよね?」

「えー。人数少ないんだから、柘榴達を手伝うっすよ。一真さん」

「武田を手伝うに決まっているのら!」

「鞠、一真と一緒の組になりたいのー」

「結菜様も双葉様もやりましょうよ!」

「あら。私もいいの?でも一真は気分が優れてないみたいだけど」

「もちろんです。結菜様も織田家の一員なんですから!」

「双葉様ー。八咫烏隊、お姉ちゃんと二人しかいないんですよー。双葉様も入って下さいよー!」

「わ、私ですか・・・・?」

俺の意見が無視られているような気がするのは、俺の気の所為か?

「・・・・・・・・」

「お兄ちゃんと双葉様が入って下されば百人力だって、お姉ちゃんも言ってますし!」

雀はいつも戦以外なら適当に返すが、今回ばかりは雀の言葉を肯定しながらうんうんと頷いていた。結菜は大人気ねと言われるが、あまり嬉しくない。ひよは私達の未来の旦那様と言ったのか、そこだけは理解しているようだけど。

「ふふっ。そうですね」

「むー。そう言われると何だか羨ましいっす。柘榴達もやっぱり妾になるっすか?」

「ここ、兎々。あたいらも負けてられないぜ」

「えええ・・・・。うーん、その決め方はどうかと思います、一真様も頭を抱えていらっしゃいますし」

「でも、薫様も宣言した事れすし・・・・」

そう言われたら、梅が長尾衆も武田衆も同じ愛妾にするつもりかと聞いてきた。俺の気持ちが無視られているような気がするが、これはどうしたらいいんだろうか?あと心だけは俺の心中を察している気がしてならねえ。

「柘榴は別にいいっすよ?」

「じゃああたいも!」

『パシイィィィィィィイン!パシイィィィィィィイン!』

「バカモノ!そういう大事な事を勢いで決めてはならーん!」

体育バカ二人をしばいてやったけど、結局綾那がどっちに入るのですか?と聞いてきた。俺の怒りのハリセンを持っていたとしても、普通に話しかけてくる綾那は逆にいいのかそれで?と思ってしまいそうだ。

「たく、テメエらみたいなのと付き合ってられるか!俺はやらんに決まっているだろうが、バカモノ共!」

そう言うといつの間にか殺気と覇気をフルオープンしたのか、全員顔を青くしたり武器を持っている者はいなかったが戦闘態勢に入ろうとしていた。ちなみに双葉と結菜には一切向けてないから無傷。俺を怒らせた後、そのまま立ち去ったので双葉と結菜はあとで一真に謝りなさいと言ってから俺の背中を追うように来たけど。

「・・・・少しは落ち着いた?一真」

「ああ。悪いな、結菜に双葉」

「旦那様が怒るところは初めてみましたが、怖くはありませんでしたよ?」

「そりゃそうでしょうよ、一真は殺気と覇気全開だったのに私達だけは神様からの結界か何かで守られていたかしらね。怒る理由も分かる気がする・・・・」

で、俺の気持ちが治まるまで少し休憩していたが結菜の部屋に行くはずが何でこんなに疲れるんだ?というか、遠回りというより逆方向な気がする。

「あら、一真さん」

結菜について廊下を歩いていたら、今度は部屋の中から声をかけられた。今日は俺に声をかける人数が多い多い。

「秋子。それに壬月達も・・・・。何をしているんだ?」

「何をしているんだと言いますが、見て分からないのですかな?」

「ふふっ。拙らとて、若い衆と同じように互いに交流を深めようくらいは考えるのだよ、良人殿。それにしても殺気と覇気を感じましたが、何かありましたか?」

「何でもない・・・・。桐琴と白百合までいるのが珍しくてしょうがない気がする」

「一真から見たら珍しいか?いくらワシでも交流くらいはするさ」

「同じくだ、桐琴と一緒に昼酒を呑んでいると思ったのか?」

「ただ珍しいとしか言ってないが、まあいいや」

本来は金ヶ崎で死んでいるはずの桐琴がいるのも驚きだが、戦以外で興味あるとすれば酒しかないと思った。あと白百合を飼うと便利だと聞くが、二心抱いているのをすぐに見分ける事が出来ると言った。

「二心抱いている筆頭であるくせに」

「織田にはそのような方までいらっしゃるのですか?」

「ははは、安心せい。今この同盟に反旗を翻したところで、何の利もないわ。そうだな、せめて・・・・人生の先輩くらいを誑かしておかねばな・・・・」

「その前に一真を裏切る事をしたら、即ワシが斬ってやるから覚悟せい!」

「ちょっと、白百合!?」

「んー、俺は誑し込んだ覚えがないがお前らは俺を口説く気でいるのか?」

「そう言った場も悪くなかろう?私一人で不満だというなら、この場にいる綺麗どころも何人か付けてやろうか」

そう言った白百合に対して満更でもないようなのがいた気がする、桐琴は桐琴で今度こそ勝ってやるぞとか言われたけど。そういや金ヶ崎での後から、森一家を扱いているけど一度も負けた事ないんだよねー。だからなのか、森衆の強さである目標を森一家の棟梁と次期棟梁である桐琴と小夜叉から俺になったという話を聞いたからいつでも相手してやると言ったら何度も模擬戦してくるようになった。

「綺麗どころも何も間に合っているから、別にこれ以上増えても何も問題はない。久遠達国持ちでも愛妾止まりなのだから」

「ほほう、良い事を聞いたな」

「・・・・足りてますか?」

「何でしたら、もう少し増やしても問題ないでしょう。本人もそう言っているようなものですよ、一真様は」

「ま、ここで立候補されても拒む理由はないけど?」

「そうですよねー」

「ははは。なら拙も立候補しておこうかな」

「ええ・・・・・っ!?」

「別に拙も、良人殿の事は嫌いではないぞ?むしろ好意を持っているくらいだ。どうだ、長尾のも」

「は、はうぅ・・・・っ。私は、その・・・・子供もいますし・・・・」

「俺も子持ちだぞ?何を今更言ってんだ」

「えっ。秋子さん、お子さんが?でもお一人だってさっき・・・・!」

「養子ですけどね。戦はまだ早い歳ですから、今は御大将のお嬢様と越後にいますけど」

麦穂は何を今更聞いているのか、秋子が子持ちだと驚いていたし美空も子供がいる事を今知った麦穂であった。あと秋子はこれだけ賑やかな集まりなら、甲斐まで連れて来ても良かったかもと言っている。俺にも会いたがっている言うが、あいつと会うとハリセンを持つクセが付いた気がする。

「・・・・一真。そんなちっちゃい子にも手を出していたの!?」

「ん?小さい子なら俺がいたとこに既にいるぞ、黄忠の娘で歳は空と同じぐらいの歳だったか。ちなみにこの子がそうだ」

そう言うと俺はスマホを取り出してから、画像フォルダの中にある璃々が写ってる画像を出した後に俺がまるで父親のような雰囲気だとか言っていたが璃々は養子だと言ったのだった。

「それにだ、小さい子は鞠や八咫烏の二人もいるが船にも小さいがちゃんとした武将がいるぞ。それに小さい子とか言っているが、俺から見たらお前らも小娘と変わらんと言いたいぐらいだ。まあお前らにも年上の魅力があるからそれでいいだろうが」

「一真様から見た私達は小娘ですか・・・・。でもまあ年上には年上の魅力が・・・・」

「小娘扱いするのは、ワシは癪だが一真から言えばそうなのだろう」

「そうか。ならば、今夜にでもどうだ?」

「方向転換がおかしいぞ?そんなに襲われたいのであればそう言ってくれると本当に襲うぞ?」

「一真様をからかうのは止さんか白百合。一真様がそう言うと本当に襲われてしまうぞ?」

俺は冗談だと言ってもからかうのなら、もうそろそろ止めといた方がいいぞ?と忠告をしといた。そんで皆で一献傾けようとしたらしいが、俺は酒を飲む気分ではないと告げた。桐琴はまた今度と言いながら少し残念そうにしていたけど、そんで壬月達は酒を飲むのであれば、また今度と言っていたような気がする。

「一真が子持ちなのは理解してたけど、まさか小さい子までいるとは知らなかったわ」

「当たり前だ、今は拠点で俺達の帰りを待ちながらだ。それと優斗と深雪も俺の子に変わりはないが、桐琴には手を出したが白百合には出してないぞ?まあ白百合相手でも俺相手は底なし沼だと言われるほどだ」

「骨の髄まで搾り尽くされているのは誰かがもう分かるくらいだわ、それに一真はどこまで理解しているかもう分からないわ」

「俺を知り尽くした頃にはそうなっているかもな、それに麦穂と秋子が一途なとこについてはとっくに気付いているから心配すんな」

で、その先を左に曲がると・・・・。やはりおかしい、俺は結菜におかしいのではと言おうとしたら小夜叉の声が聞こえたのであった。

「おう、一真か」

「小夜叉、精が出るな。桐琴は壬月たちと酒飲んでいたぞ」

「当たり前だろ!いよいよって時なんだ。これで気合が入らねえなんざ、おかしいだろ。それとその事は知っているぜ?オレと母は気合を入れるとこが違うだけさ、今は酒を飲んでいるけどンな事はオレには関係ねーんだ!まだ一真にも勝ったことないんだからな!」

「俺に勝てるまで待つつもりだが、戦は待ってはくれねえよ。桐琴と勝負したらどうだー?次の戦で鬼を何匹殺せるかどうかの対決でもしてみろよ」

「まあそりゃそうか、ま、弁慶だって義経の最期まで一緒にいたくらいだ。一人で勝手に死ぬオレでもねえし母でもねえ、一真とも勝負はまだ諦めてねえからな!」

弁慶は小夜叉で桐琴が義経なのか、その逆なのかは知らんがその名をつけたのは桐琴だ。そう言った後に廊下に戻ってきたら、双葉から質問が来た。

「・・・・旦那様、壬月様のところにいましたあの方と先程の方は?」

「桐琴と小夜叉の事か?そういえば森一家とは面識がないんだったか」

白百合と面識ないが話相手にはなるけど、京から近江まで一緒だっただけだし。双葉はその時は後方にいたからな、森一家は最前線にいたから顔合わせの時に桐琴がいたはずだけど小夜叉については面識は薄いはずだな。

「以前、ご挨拶はさせて頂いたのですが」

「どうかしたか?」

「いえ・・・・何だかとても鋭い刃だと聞かされていたのですから。結菜さんから聞いていた話とは随分違うな・・・・と」

「鋭い刃、ねえ」

ホントにしっかりと人を見ているな、双葉は。

「桐琴さんと小夜叉が生きているのは、一真のお陰だと聞いているから。真相はどうなの?」

「俺が一人で殿して、桐琴と小夜叉達森一家を生き長らえさせたのは神の姿となった俺のお陰となっている。その事触れると、森一家は更に鋭くなる」

真実を話した俺は一人で殿をしたと聞いて驚いていたが、そん時は神々の力を貸していたからと言って落ち着かせた。で、そんな感じで延々躑躅ヶ崎館を連れ回されてからやっと辿り着いた結菜の部屋。ま、恐らく今の所愛妾が何人いるのか確認したかったのではと推測をした。

「結菜、今現在妾が何人いるか確認するためだろう?だから俺に用事があると言って連れ回したんだろ」

「正解よ、さすが本妻を持っている一真だわ。本来なら奥の順列の確認や一真の回りがどうなっているかを聞きたかったけど、その様子じゃ推測をしてたのね?」

「当たり前、現在妾が何人いるかだ何て事はこちらでも確認していているし把握している。全てを把握している神の頂点なのだから」

そう言うと双葉は今現在俺に好かれている人数がいたから嬉しいと言ってくれている。ま、俺には本妻の奏を大切にしないといけないという使命感があるというのを感じた結菜だった。で、あとの二人はここにいるので二人を抱き寄せてからそれぞれにキスをしたし、行為もした。なぜか布団が敷いてあったので、結菜はこういう展開になると思って準備していたのか。

「ほう・・・・もうこんな時間になるとはな」

結菜の用意してくれた布団の中にいるが、目を開けると辺りは既に日が落ちていた。そんな中でも胸元には二人の重さを感じているけど、心配されたご褒美として三人でプレイをするとは思わなかったが、こういうのは紫苑・桔梗・祭の時みたいな感じではあった。

「あら、起こしちゃった・・・・?」

「いんや、全然」

障子から差し込む穏やかな月明かりを浴びながらだったけど、こちらを見上げる結菜は疲れ気味な様子ではあったけどそれを忘れさせるかのように柔らかい微笑を見せる。

「んぅ・・・・・」

「ふふっ。よく寝てるわね、双葉様」

もう一人の女の子は、俺の胸に身を寄せて、小さく身をよじらせるだけ。

「こんな安心した寝顔、初めて見たかも」

まあ今までずっと俺や一葉と離れ離れだったんだから、家族や友達・・・・近しい人などなど、全てから引き離された双葉の寂しさを辛苦にも感じてはいた。その寂しさを癒すように寝ている間は、安心して寝れるようにしたんだけど。どうやら今の顔が一番安心している顔らしい。

「次の戦が終われば、この世界とはさよならかもしれんが俺が元々いたところで一緒に暮らせばもっとこうしていられる」

全ての戦いは終幕したわけではない、だがその分は大事にはするさ。そう思いながら結菜とキスをしてから、まだ足りないの?とか言われて互いの唇が重なり合う。そんでいつの間にか起きた双葉にももっといやらしくなってもいいと言いながらだったが、少し乱れ髪である黒髪にそっと寄せれば桜色に染めた双葉の姿がいた。後日、紫苑・桔梗・祭の三人で夜這いをしに来てやってきてからホントの本当に搾り取られたのだった。 
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