美しき異形達
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第二十九話 旅のはじまりその七
「工事現場でのアルバイトもするよ」
「あれもなの」
「部活がない時にさ」
「部活もしてなの」
「ああ、働くよ」
肉体労働をするというのだ。
「こっちも給料がいいからさ」
「そうしてお金を手に入れてたのね」
「そうなんだよ」
薊は裕香に笑って金がある事情を話した。
「いい汗かいてくるよ」
「薊ちゃんって逞しいのね」
裕香は薊の笑顔の言葉を聞いてしみじみとして言った。
「部活もしてそのうえで」
「ああ、体力には自信があるよ」
実際にそうだと答えた薊だった。
「鍛えてるからな」
「というよりはね」
向日葵が笑顔で言うこととは。
「薊ちゃん拳法とモトクロスで体力つけて」
「そしてその体力で、よね」
菊も言う。
「肉体労働もやって」
「それでまた余計に体力ついてね」
「そうした流れよね」
「しかもよく食べて寝てるから」
「疲れも取れてるし」
「回復力は尋常じゃないな」
また自分で言う薊だった、
「一晩ぐっすり寝たらいつも全快してるよ」
「若さだけじゃないわね」
菖蒲は薊のその回復力をすぐに分析して述べた。
「薊さんは元々ね」
「回復力があるんだな」
「私達もかなりだと思うけれど」
「あたしはその中でもか」
「多分一番よ」
六人の中で最も回復力があるというのだ。
「一番あるわ」
「そうだろうな、やっぱり」
「そしてその回復力もね」
相当にあるそれもだというのだ。
「薊さんの武器よ」
「やっぱり元気だとそれだけ戦えるしな」
「そう、それにね」
それに加えてとだ、菖蒲はその分析を続ける。
「次の日また動いてその分体力をつけられるから」
「つまりあたしはどんどん体力をつけられるんだな」
「そうなるわ」
「いいことだな、まあ限界があるだろうけれどな」
その体力にもというのだ、人間の身体には限界がありそれは薊にしてもだ。だから彼女の体力にも限界があるというのだ。
だが、だ。それでもだというのだ。薊は。
「とことんまで。体力つけたいな」
「そうですね、体力があるに越したことはありませんね」
桜も薊に笑顔で言う。
「ですから薊さんも」
「ああ、肉体労働でもな」
「体力をつけられますね」
「このままな、とことんまでな」
こう笑顔で言うのだった、そうして。
七人で電車に乗りに向かう、切符を買ってそれから駅に入ってだった。
電車に乗ろうとするところでだ、菫が言った。
「まずは大阪に出て」
「そうそう、そこからな」
「特急で和歌山に行くね」
「夏休みの学生割引切符も買ったしな」
その割引切符を使って、というのだ。
「それでまずは大阪だよ」
「大阪までも特急よ」
菫はこうも言った。
「幸い学生割引は特急料金もいらないから」
「いいこと尽くめの切符だよな」
「ええ、まさに学生さんの為の切符よ」
つまり彼女達の為だというのだ。
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