ひねくれヒーロー
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極端な臆病と無鉄砲との中間
真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある。
—セルバンテス—
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極端な臆病と無鉄砲との中間
◆◇◆コン◆◇◆
第二試験通過者27名、3代目火影の前に整列し、第3試験を待つばかり
暁3人組もギリギリになって塔に現れ、一番端に並んでいる
デイダラがこちらに手を振ってくるので振り返した
サソリは何故か先生を睨みつけている、何かしたのかと先生たちが並ぶ上段を見れば・・・濃い
初めてマイト・ガイを直視した
濃い
左隣にいる先生が華奢に見える
何やらガイがカカシに向かって語りかけているが・・・聞いてなかったらしい
先生がガイの肩を持って落ち着かせている
・・・なんていうか、うちの先生が一番良いな
(なぁ・・・コン、あえてスルーすべきかな)
(・・・言うな・・・)
音隠れの変装・大蛇丸先生の隣に雨隠れの先生がいる
・・・すいません、どうみても鬼鮫なんですが・・・
しいていえばちょっと年が若いかなーってぐらいで
ほら大蛇丸も何度も彼を見返している、計画にそんなんなかったんだよね
(サメ怖いサメ怖いサメ怖いサメ怖い)
イカリのトラウマモードが発動してしまっている
だれかこのカオス空間をどうにかしてください
ぼーっとしているとハヤテさんが進み出る
ようやく予選が始まるのか
「えー・・・それでは本選の出場を懸けた第3試験予選を始めます・・・
体調の優れない方、これまでの説明でやめたくなった方今すぐ申し出てください
これからすぐ予選が始まりますので・・・」
原作通りカブトが手を上げた
ナルトがカブトに言い募っているがそのまま下がって行ってしまう
そのうちサスケの周りがざわめいた
呪印が疼いているのだろう、3代目の周りでも出場停止が求められている
カカシが出てきて話は治まったようでそのまま試験説明が始まった
「えー・・・それではちょうど26名になったため合計13回戦行い、
その勝者が第3の試験に進出できます
ではこの電光掲示板に1回戦ごとに対戦者の名前を二名ずつ表示します
・・・早速ですが、第1回戦の二名を発表します」
電光掲示板に、うちはサスケ、赤胴ヨロイの名が表示される
ハヤテさんに促され、対戦者以外は上に移動する
「コン、イカリ、体調は大丈夫か?」
先生が近づいてくる
皆がサスケの戦いを注目し、ナルトは必死になって応援している
まるで自分のことのように・・・
そしてヨロイのチャクラ吸引術から逃れ、見事勝利を得たサスケに満面の笑みを浮かべたナルト
ナルトも、サスケも良い顔をしている
そうしてカカシとサスケが連れたって去って行った、今頃呪印の封印がされるだろう
「それでは二回戦・・・
ザク・アブミ対ねたみコン!」
あ、オレになったんだ
下に降りるとすでにザク・アブミが着いており、見下された
「は・・・何処のザコだよ・・・」
睨みつけるが何の効果もなく、へらへらと笑われる
この野郎め・・・
「コーン!シュロパパとイカリママがついてるからなー!」
「がんばれー!」
2人の声援に思わず顔が綻ぶ
応援して貰えるってのは嬉しいものだ
「てめーみてえなチビに、負けるかよ」
気分が乱される、ムカつくヤローだ
大蛇丸の捨て駒のくせに・・・
「余計な挑発は控えてください
・・・それでは始めてください」
「食らいやがれ斬空波!」
開幕直後の攻撃、空気の塊がオレを襲う
自分から地面をけり上げてかろうじて衝撃を受け流すが、床にゴロゴロと転がった
転がりながら懐の起爆札を数枚取り出しクナイと共に投げつけた
時間差で爆発を起こす起爆札をかわされ、蹴りあげられ、衝撃波がオレを襲う
地べたに這い蹲るオレを踏みつけ、勝利の笑みを浮かべるザク・アブミ
・・・ムカつく・・・
「おまえ、はっきり言って才能ねえな
そういや、第一試験で吐血してたっけ?
そんなんでどうやって忍になるんだ?ん?」
何度も何度も踏みつけられる
才能、か
そんなもんあったら、こっちに来てなかったさ
「才能なくても努力すりゃなんとかなる奴もいるけどよ?
お前みたいな奴は努力しても無駄・・・わかるかァ?」
馬鹿みてぇ!と高らかに笑い、嘲るザク・アブミ
才能はない、努力しても実らない、変わらず弱り続けるそんな体
「・・・そんなことは、自分が一番よく知ってるさ・・・」
「あ?」
「オレに才能がないことぐらい、努力しても無駄だって知ってるさ!」
一の努力で足りなくて、百の努力をしてきても無駄だって分かってる!
叫びながらザクの足を払いのけ、体制を整える
クナイを構え、起爆札の準備をしようとして、上から聞こえてきた声に戸惑った
「いいや、それは違うぞコン!」
鉄柵から身を乗り出し、竹刀片手に叫ぶ女・・・シナイ先生
はらはらと両脇にいるシュロとイカリがやけにか細く見える
「たしかに百の努力は一つの才に劣るかもしれん…
だが!!千の努力ならどうだ!!
万の努力なら!!
なぜ武術・・・違う、忍術が何千年も伝えられてきたか…それは忍者の世界において…
努力は才能を凌駕するからだ!!!」
まだまだお前は努力が足りないだけで、無駄じゃない!
あぁ・・・良いセリフだ・・・だけどな先生
オレ、WS読者なんだ・・・元ネタわかると感動も出来ねえぜ・・・
思わず項垂れる
だけど
「コン、顔を上げろ
・・・そうだ、笑え」
まっすぐ先生を見上げ、笑って見る
どんな情けない笑顔だろうか、滑稽だろう
視界の端にいるザクが呆れたように殺意を飛ばしてくる
「前に進む時は下を見ちゃだめだ」
眩しい
ひどく、先生が眩しい
いつの間にか出ていた涙を拭う
「笑って前を見ろ」
印を組み、チャクラを練り上げる
弱い弱いと笑われてきたオレだが、やるときは、やるんだ
「笑うべきだとわかった時は・・・泣くべきじゃない・・・って奴ですね先生」
笑って先生に問いかける
「・・・まさかのからサー・・・よし、何やっても私が何とかしてやる、思う存分やってしまえ!」
死亡フラグを立てたような気もするが・・・先生がなんとかしてくれるらしいし、大丈夫だろう
腹部に力を込めてパルコのチャクラを引き出す
だがパルコのチャクラは極小で、今まで見せたことのない大きさの狐火をつくる
天井に届くであろう火柱は、周りの鉄柵を徐々に溶かす
チャクラに守られたオレに熱は伝わらないが、周囲のざわめきから察するに異常な高温だということしかわからない
もう一度印を組んで準備は万全
「というわけで・・・行くぞ、パルコ・・・!」
「は、そんなもんオレの術で・・・?!」
斬空波がオレを襲う———と見せかけて
術をまともに受けたのはオレの分身、火柱状の狐火を作った瞬間入れ替わったのだ
見た眼が派手な狐火に注目しすぎて気付かなかったらしい
本体であるオレは、ザクの背後で小刀を首に添えた
一筋の血が流れる
「ッてめ・・・いつのまにっ!?」
小刀ごと掴まれ、引き離されるが、もう遅い
「がっ・・・!
体が・・・?!」
麻痺毒を塗りつけた小刀だ
疲労した体にはよく染み届いたらしい
身動きが取れなくなり、そのまま崩れ落ちて行くザク・アブミ
「これが致死毒なら・・・もう死んでたな」
チャクラ切れか、意識が朦朧としてくる
最後に暴走しないよう狐火を消してから、地面に横たわった
何を使ったって、最後に勝てりゃいい、それが自分の力じゃなくてパルコの力だとしても、勝てばいいんだ
でも、今回はパルコのチャクラはあんまり使わなかったから・・・少しは頼らずに戦えるようになってるかな
「勝者、ねたみコン!」
「せんせーつかれたー」
だらだらと口から血が流れているがどうでもいい
下に降りてきた先生が兵糧丸を口に放り込んでくれた
「珍しく泣かなかったな」
「そのうち笑って殺せるようになりますよ」
忍者になるんだから
「・・・じゃぁあの火柱はもう使えないな
目立ちすぎだ」
「ですよねー」
先生に支えられながら上へ昇るとシュロとイカリ、ナルト、デイダラが出迎えてくれた
「頑張ったなコン!うんうん!」
「コンってば相変わらず気配の消し方すげーってばよ!!」
よってたかって揉みくちゃにされる
「褒めるところはそこだけか!?」
「え・・・あ、今日の吐血一段とすごかったってば!」
「嫌味か」
イカリが思わず突っ込んだ、トラウマモードが解除されたっぽい
次の試合はシノとミナミこと小南
しかし小南はすぐさまギブアップしてしまう
一体何なのかと眺めていると目があった、相変わらず濁った眼だった
一瞬だけ微笑まれそのまま鬼鮫の元へ去って行ってしまう
次は剣ミスミ対カンクロウだ
「・・・ところで・・・先生の二つ名の意味を実感しました
確かに歩く名言ですねシナイちゃん」
そう言うと嬉しそうに目を輝かせた
基本無表情だからこんなに感情を示すのは珍しい・・・!
「・・・感動してくれた?」
小首を傾げた
どうしよう、先生が可愛い、無表情なのに可愛い
「元ネタ知ってるからあんまり・・・」
感動・・・八割ぐらいかな
「頑張って思い出したセリフなのに・・・」
「ご、ごめん先生」
項垂れた先生に謝っていると視線を感じ、振り向くと青春師弟が泣いていた
なにか言っているようだが嗚咽に混ざって聞き取れない
「シナイ!良い弟子を持ったな!・・・ずびっ」
「ガイ・・・私の班は青春していないんだが・・・」
「お前の言葉、リーと共にしかと胸に刻んだぞ!」
「あぁ、聞いてないな」
いつものやりとりらしく、そのままガイの言葉をスルーする
「勝者カンクロウ!
それでは次・・・ダラー対油女シュロ!」
シュロの目つきが変わった
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あんまりパルコに頼らなかった
頼っていたらそれは勝ちじゃなかった
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