ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~
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唯一無二の不確定因子
第二十一話 夕日
前書き
二か月くらい放置してました・・・・
「アリスどこ!? どこにいるのアリス!!」
アスナはアリスと二人で暮らしている家の中を、今にも泣きだしそうな声で叫びながら、駆けずり回っていた。
キリトとアスナはグリームアイズを討伐後、七十四層のボス部屋から転移結晶を使い、アリスが戻ると言った六十一層<セルムブルグ>にあるアスナ達の家に向かった。だが、その家のどこにもアリスの姿はなかったのだ。
キリトはすぐさまウィンドウを右手で開き、フレンド登録からアリスの名前を探す。
「いないよキリト君!! アリスがどこにもいない!!」
アスナが家の隅々まで探しアリスがいないことを確認し、キリトに泣きつく。だが、彼に返事は無く、ただ手元のウィンドウの一点を凝視していた。
「キリト君!!!!」
「・・・・・・ん、ああ!! すまないアスナ!! アリスは・・・・・・」
アスナが思いっきり叫ぶとようやく、キリトは反応を示した。
彼は再び手元のウィンドウをスクロールさせ始める。そして、アリスの名前のところで止めると、画面を可視化にさせて、アスナにも見えるようにする。そこにはアリスの位置情報が表記されていた。
「・・・・・・22層の南西エリアにある湖の近くだな。ん? まてよ・・・・・・確かここは・・・・・・」
キリトは瞼を閉じ、記憶を探る。彼はその示された場所に覚えがあった。
「この場所は知ってる。ここに一番近い街はコラルだ! 」
キリトは瞼を開けてそう言うと、転移門がある方へ走り出した。アスナもその後を追う。その最中、キリトの頭のことはアリスのことではなく別のことで頭がいっぱいだった。
――――どうして、登録が継続されているんだ? なのに位置情報が表示されないのは一体・・・・・・
◆
夕日が沈み始めた広大な湖の畔に、金髪に赤と白の鎧を纏った一人の少女が座っている。
彼女のサファイヤのような目からは涙が流れていた。頬をゆっくりとつたい、それから膝に落ちる。夕日の光を受けて、それはダイヤモンドのようにキラキラと光る。
「・・・・・・もう夕日が沈むのに来ませんね・・・・・・」
彼女は待っていた。暇さえあれば、この時間にこの場所で夕日を見に来る少年を。しかし、いつまでたってもその待ち人の姿はない。当然だ。その少年は先刻、この世界から永遠に退場したのだから。
夕日が完全に沈み、暗闇が世界を覆う。それは同時にアリスの淡い希望を粉々にする。彼女はこの場所で待っていたらひょっこりと彼が現れるのではないかと思っていたから。
「つらいことがあったら、ここに来いって言ったじゃありませんか・・・・・・いつもみたいに現れてよ・・・・・・ねぇ、リオ・・・・・・ン・・・・・・」
彼女は膝をふたつとも抱えると、そこに顔を埋めて泣いた。いつまでもいつまでも。
◆
昔――――。
もう一年くらい前だろうか。
私はアスナとくだらないことで口論した。今考えれば、大人げなかったと思うが、毎日命のやり取りを繰り返していたことで、追い詰められていたのだと思う。すぐ沸点に達し、アスナに思いつく限りの暴言を吐いて、そのまま外に出て行った。
だがその後、ひどく後悔した。出て行ったのはいいが、行くあてが全くないのだ。
最初は宿を借りて、朝までふて寝でもしようと考えた。だが、まだ夕方なのと、イライラしているのもあって、全く寝付けない。わだかまりを解消しようにも私が気兼ねなく話ができる人はアスナだけであり、他に頼れる人は一人もいなかった。
私はため息を一つつくと、宿の外にでた。転移門を使って22層に転移する。
この層は、森林と水で覆われ、自然豊かであると聞いていたので、前々から気になっていた。気分転換にも持って来いだろう。
私は、景色を眺めながら、小道をゆっくりと歩く。気が付くと、二十二層に点在する湖の中でもひときわ大きな湖の畔についた。水平線に沈む夕日が反射して、幻想的なコントラスト生み出している。その美しさに、うわぁと、思わず感嘆の声を上げる。その時、
「クスッ・・・・・・」
っと言う笑い声が微かに聞こえた。背中をビクッとさせ、音源の方向に振り向く。そこには、銀髪に翡翠眼、そして整った顔立ちをした少年が座りながらこちらを見て微笑んでいた。裾が膝下まである白いコートが風でふわりとたなびいている。
不覚にも、私は一瞬見とれてしまった。だがすぐに先ほどの無防備な姿を見て、微笑んでいるのだと気づき、カーッと顔が熱くなる。その様子が面白かったのだろう、少年はさらにクスクスと笑いだした。恥ずかしすぎて、私は俯いてしまう。
「ごめんごめん、子供みたいな声あげるもんだからつい面白くて。でも、ここの夕日きれいだよね。多分アインクラッドの中で、一番きれいに見えるんじゃないかなって思うんだ」
銀髪の少年の話し方は、すっと心に馴染んでくるようなものだった。その不思議な感覚に、私はいつの間にか、自然と顔をあげて、彼に話かけていた。
「ここにはいつも来ているんですか?」
そう話しかけてから、私は自身の行動にビックリした。なんせ、今まで自分は男と極力関わらないようにしていたのに、この初めて会った少年に、まるで友人に接するかのように、自分から話しかけていたのだから。
「時間があれば、かな? それはそうと、初めましてだね。俺の名前はリオン、よろしく」
それが彼、リオンとの出会いだった。
後書き
二十二話目です。すいません、忙しい上に、気分的にも、気が進まないので少し放置していました。
それに文章も今回少ないです・・・・・・区切りあるとこで切らないと話が長くなりますし、時間も空けすぎてしまっていたので・・・・・・
まあそれはともかく、ちょっとした過去編です。どうにか頑張って書きます。
それとモチベーションがあった時に、面白そうなネタが思いついたので、この話の登場人物はそのまま、主人公の性格とかに色々加えたのを新しく書いてみました。
いちようこちらメインなので、そちらはのんびりいきます(笑)
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