どっちにするの

「どっちを頼もうかしら」
「ううん、そこが問題だね」
「二ついいものがあってどっちを選ぶか」
「他のことでもそうだけれど」
「今も悩むわね」
「そうだね、本当に」
「どっちにしようかしら」
　二人で考える、しかも。
　横にはウェトレスさんがいて注文を待っている、それでだった。
　迅速に選ぶべきことだった、そして実際にだ。朔は美菜にこう言った。
「早く選んでね」
「そうしてね」
「ええ、そうしてね」
　そのうえで、というのだ。
「決めないと」
「じゃあ二人別々にね」
　ここでだ、朔は閃いて美菜にこう言った。
「頼もう」
「別々に？」
「俺がチョコレート頼んで」
「私が苺頼むの」
「そうしたらどうかな」
　美菜に自分の提案を話す。
「それで」
「そうね、それでよね」
「半分こしない？」
　これが朔の提案の本当の狙いであり実際に美菜に言うのだ。
「そうしよう」
「ええ、それがいいわね」
　美菜も頷いてだ、そしてだった。
　二人で一緒にだ、ケーキセットを頼んだ。飲みものはどちらもホットミルクティーでそして肝心のケーキはだ。
　朔がチョコレート、美菜が苺を頼んだ。そしてだった。
　半分に分けてだ、それぞれのケーキを。
　美菜はまずは苺のケーキを食べてだ、笑顔でこう言った。
「うん、やっぱりね」
「美味しいんだね」
「ええ、ここのケーキは普段から美味しいけれど」
「お勧めだから余計にだね」
「美味しいわ」
　朔に満面の笑みで言う言葉だ。
「苺も甘酸っぱくて」
「クリームもだね」
　その白い生クリームのことだ。
「それもだね」
「ええ、スポンジとよく合っていてね」
「美味しいんだ」
「最高の甘さよ」
　非常に、というのだ。
「この甘さはね」
「そうだよね、それはね」
「チョコレートケーキもよね」
「ザッハトルテみたいだよ」
　朔はそのチョコレートケーキを食べつつだ、オーストリアのお菓子を代表として出した。
「これって」
「ザッハトルテね」
「あそこまで極端に甘くはないけれど」
　ザッハトルテは本場のものは日本人にとってはかなり甘い、それはオーストリア人に合わせた甘さだからである。
「美味しいよ」
「そうなのね」
「じゃあこれもね」
「ええ、半分こね」
「そうしようね」
　朔は美菜に笑顔で応えた、そしてだった。
　美菜もそのチョコレートケーキを食べた、朔は朔で苺のケーキをだ。そして二人共満面の笑顔で言い合った。
「こっちもね」
「美味しいわね」
「両方共味わえるなんてね」
「得した気分よ」
「そうなるね」
「二人でね」
　こう話してだ、そしてだった。
　美菜は朔にだ、笑顔で提案した。