美しき異形達
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第二十八話 横須賀の思い出その三
「私八条学園高等部の赤本買いました」
「それで解いたわよね」
「そうしたら」
その過去五年の入試問題を実際に解いてみて、というのだ。
「試験が出来て」
「合格したわよね」
「そういうことなんですね」
「そうなの、入試はね」
「まずは赤本買ってですね」
その受験先の大学の学部のそれをだ。
「勉強するんですね」
「出来れば過去八年分の入試問題をね」
「それも何回も」
「そうすればいいのよ」
「成程、わかりました」
伸子はその目を輝かせて朱美の言葉に頷いた、そうしてだった。
「それじゃあ私もその勉強してみます」
「そうしてね、是非ね」
「わかりました」
伸子の話はこれで終わった、そしてだった。
二人の話を聞いていた薊はだ、こう言うのだった。
「あたしとりあえず教科書は読んで授業は聞いてますけれど」
「それ以上はっていうのね」
「薊先輩は」
「ああ、特にさ」
これといって、というのだ。
「勉強してないよ」
「けれど薊先輩成績は悪くないですよね」
伸子は薊のこのことを指摘した。
「別に」
「そうよね、薊ちゃんそんなにね」
朱美も薊の成績について知っているのでこう返す。
「志望の学部には行けるわよね」
「ああ、それ位のレベルにはなってるよ」
薊は朱美にも答えた。
「それは意識してるしさ」
「そうよね、だからね」
「一応教科書は読んで書いてるけれど」
それでもだというのだ。
「何度もしないな、それに勉強時間もさ」
「多くないのね」
「あくまで最低限度だよ」
薊の主観の時間感覚でそれ位だ。
「それ位しかしてないよ」
「そうなのね」
「先輩的には」
「そうだよ、けれどな」
それでもとだ、さらに言う薊だった。
「先輩みたいに凄くはやらないよ」
「私みたいに」
「先輩正直言って成績いいじゃねえか」
こう朱美に言うのだった。
「学年でも五十番以内に入ってるだろ」
「まあそれはね」
事実なのでだ、朱美も否定しなかった。
「そうだけれど」
「やっぱりそれってさ」
「何度も復習されてるからじゃ」
「あたしそこまでしないからな」
「私もです」
薊と伸子は二人で言うのだった。
「先輩そこが凄いからな」
「私達よりずっと勉強してるじゃないですか」
「やっぱり勉強って時間か」
「何度も何度もするんですね」
「そうね、やっぱりしないよりはね」
それよりはというのだ。
「する方がね」
「それ修行と一緒だよな」
薊はここで拳法の話を入れた。
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