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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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未来のことは分らない


未来のことは分らない。しかし、我々には過去が希望を与えてくれるはずである。
—チャーチル—

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未来のことは分らない





待ちに待った卒業試験

現在ナルトが不合格を言い渡され、肩を落として教室から出てきた

ミズキが事件を起こせば合格できると分かっているので慰めもしない

正直に言って今は自分の試験のほうが心配なのだ

先程から緊張しすぎて血を拭うことも忘れていた


「次、ねたみコンはいれー」


イルカ先生の呼びかけ

倒れそうになる体を叱りつけ入室する


「良いかコン、集中してやれば出来るんだからな」


印を組み、パルコのチャクラと自分のチャクラを混ぜあわせる

狐火が現れないよう、ゆっくりゆっくりとチャクラを合わせ分身のイメージを作り上げた

出来る

オレは出来る

そう何度も心に念じ、術を発動させた











アカデミーのブランコ、悲しい時にいつも座る嫌な思い出に溢れるブランコ

試験に落ちたオレは、合格した奴とその親の会話を眺めながらコンを待っていた



「ナルト、残念だったな!まだ落ち込むには早いけどな」


合格したシュロが背後から現れた

どんなイベント事も、シュロの家族が来たことはなかった

シノの親は来てたのに、相変わらず不思議な奴だってば

シュロが居るならイカリも居るだろうと辺りを見渡す

居なかった


「残念!オレの嫁は御養父様と今頃お食事会だよ」


イカリの父は一度だけ見たことがある

いじめがエスカレートして事件が起きた時にアカデミーに来ていたってば


「ママが居なくて淋しいか?ん〜?」

「・・・シュロの親、どうしたんだってば」

「多分その辺の陰から見てるんじゃねーかな、親じゃなくて兄貴だけど」


・・・やっぱり油女一族ってわけわかんないってば・・・


シュロと話していると、周囲からの嫌な声は聞こえなくなった

その代り、妙なざわめきがはじまった


「合格した・・・ごぼっ」


コンがミズキ先生に支えられながら大量に吐血してた

・・・そりゃ普段見慣れてる俺等はともかく、親は騒ぐってばよ・・・


「・・・って、合格!?やったなコン!」


体が弱過ぎて術が大丈夫でも、合格を言い渡されるかどうか不安だったコンが合格だってば!

これで馬鹿にしてたキバの奴に一泡吹かせられるってばよ

まるで自分のことのように嬉しくなった

オレってば、不合格だけど・・・


「あぁ・・・でも無理しすぎた
 これから病院行ってくるからシュロついて来い」


ミズキ先生がシュロにコンを渡す

シュロは慣れた手つきでコンをおぶった


「本当なら教師のボクが行くべきなんだけどね・・・」


良い先生だってば

イルカ先生なら問答無用でシュロかイカリに引き渡すってばよ


「いやーでもミズキ先生はコンの入院セットの場所知らないからなー
 イルカ先生なら任せるんだけど・・・火影さまに捉まってるから駄目だね」 


・・・?

なんかシュロの言葉が刺々しいよーな?


「それじゃ、俺ら病院行くわ
 ナルト、多分今日中には帰れないと思うから戸締りして寝てて良いぞ」


そう言ってシュロは病院に向けて走って行った

2人が居なくなるとまたオレへの陰口が始まり、ミズキ先生が肩に手を置いて場所を移動しようと言ってくれた




ナルトもミズキも知らなかった

病院へ行ったはずのシュロとコンが陰から覗いていたことに

原作通りに進むと確信し、改めて病院に向かった二人であった
















「えー、それでは皆さま、無事卒業試験合格ということでおめでとうございます!
 入院ではなく診察だけで済んだコンの体調にもおめでとう!
 というわけで会場をお貸し頂いたダンゾウ様にお礼を申しあげましょう」


ここは志村邸の地下と言えば地下、根の本部につながる控えの間

小さなテーブルを運び込み、ジュースとオレの嫁手製の料理が彩られる癒しの空間である

たまに任務帰りの根の人々がリア充爆発しろ的な目で見てくる

おつかれさまです


「「ありがとー」」


部下に報告され注意するために控えの間にやってきたであろうダンゾウに、2人からのお礼の言葉を贈呈していただく

オレの嫁と息子は可愛かろう、お前の義娘と義孫は可愛かろう


「・・・お前たち・・・いや、もう何も言うまい・・・」


怒鳴るつもりだったようだが出鼻を挫かれ頭を抱えてしまった

ごめんなお養父さん!


「・・・はぁ・・・久しぶりだなねたみ、体調はどうだ?」


さめるまで雑炊を掻き混ぜているコンを温かく見守るダンゾウ

流石ジジキラーコンだな


「今日は吐血しても入院しませんでした」


コンや、爺はともかく他の根の人が引いてるよ


「・・・ダンゾウさま・・・」


部下がダンゾウに耳打ちする

もしや・・・


「・・・もう拷問部隊に連れて行かれたころだろう、放っておけ」


アカデミー卒業試験の日に拷問部隊が必要な事件・・・

ミズキが動いたか


「・・・ナルトは無事ですか養父さん」


俺らには聞こえなかったのにイカリには聞こえていたようだ

感知系だけあって耳が良い


「・・・影分身を習得したため、不合格を取り消し合格となった」


コンがうっすら微笑んだ

その笑みが示すのはナルトの合格への喜びか、それとも別の物か



始まる、ここから原作が始まるんだ

今度は負けてたまるかよ

 
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