ロックマンX~5つの希望~
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第四十四話 Right
前書き
少しシリアスになってきたんで、ギャグも書いてみます。
時期はパレットとレイヤーが配属されて間もない時。
エイリアはイレギュラーの残党がいないか、主要都市の見回りをしていた。
エックス達がやっていたことも今は彼女達がやらなければならない。
エイリア「……ここも異常なし。よかった…」
緊張を解いて、構えていたバスターを下ろしながら溜め息を吐いた。
エイリア「それにしても、ここも酷いわね…」
新世代型レプリロイドの反乱により、主要都市はかなりの被害を受けている。
モニターで見ていても、やはり自分の目で見るのでは全く違う。
エイリア「……あら?」
ふと視線をずらすと、そこには見慣れないカプセルがあった。
いや、恐らくこのカプセルは…。
エイリア「私でも反応するかしら…?」
スペースコロニー・ユーラシア事件の時、かつてジャンク屋時代のルナが近付いた時に反応したことを考えれば可能性は0ではない。
敵の罠である可能性もあるために恐る恐る近寄ると、カプセルが起動し、エックス、ゼロ、ルインを長い間支え続けた、100年前に存在した天才科学者の1人、トーマス・ライト博士のホログラムがエイリアを優しく見据えていた。
ライト『君はエイリアだったね…スペースコロニーの事件からずっとエックスを支えてくれたことを感謝しているよ…ありがとう。』
エイリア「トーマス・ライト…博士……」
100年前にエックスの兄と言える最強の戦闘型ロボット、ロックマンを生み出し、世界の平和に多大な貢献をした偉大な人物。
今でも数多くの研究者が尊敬し、理想とする科学者。
エイリア「ライト博士……今、エックスは…」
ライト『…知っている。また争いが起きてしまったことも…エックスには争いのない平和な時を生きて欲しいのだが……』
エイリア「……」
悲しげに天を仰ぐライト博士にエイリアは何故かエックスの影が見えた。
ライト『すまない、今のわしには、エックスのアーマーを授けることしか出来ない。無力なわしを許してくれ……』
エイリア「いえ、そんなこと……ライト博士はエックスの力に、支えになっています。絶対に。」
ライト『…ありがとう。今回、エックスに授けるアーマーはニュートラルアーマーじゃ』
エイリア「ニュートラルアーマー…?」
ホログラムに映し出される灰色のアーマー。
ライト『ニュートラルアーマー自体には何の強化能力を持たない、全てのアーマーの基礎と言える物じゃ、しかし、これらの2種類のアーマーのパーツを組み合わせることでアーマーに能力を付加させる事が出来る。』
エイリア「つまり、今までのアーマーと違い、それぞれのパーツを装着することが出来るんですね」
ライト『そう、イカロスアーマーのイカロスパーツは戦闘力を重視している。ニュートラルアーマーをイカロスパーツで統一すれば、広範囲を攻撃するギガクラッシュが使える。次にヘルメスアーマーはのヘルメスパーツはイカロスアーマーのパーツとは違い、機動力を重視している。ニュートラルアーマーをヘルメスパーツで統一すれば、レイジングエクスチャージの簡易版と言える、全能力強化のエクスドライブが使える。それぞれのパーツの詳細はこのファイルに纏めておいた。エックスが目を覚ましたら、この2つのファイルを渡して欲しい』
エイリア「分かりました。アーマーファイルとパーツファイルを受け取りましょう」
ライト博士からニュートラルアーマーのアーマーファイルとイカロスパーツとヘルメスパーツのパーツファイルを受け取る。
ライト『エイリア、これからもルインと共にエックスを支えて欲しい。自分を見守ってくれる人がいることは、この上ない幸福なことなのだから…』
エイリア「はい。」
エイリアのハッキリとした返事にライト博士は安心したように笑いながら、電脳空間に戻るのだった。
おまけ
食堂でハンターズとオペレーターズが食事を摂っていた時、椅子の上で、パレットは凍り付いていた。
その彼女の正面からは、アクセルが見つめ続けていた。
パレットの目の前には皿に盛られた料理が有るが、一部にやたらと残されている野菜が1種類。
鮮やかな朱色のそれを、パレットは明らかに避けていた。
アクセル「パレット…いい加減人参食べなよ」
レイヤー「まだ克服出来てなかったのねパレット…」
パレットの皿には人参がいくつも残っている。
パレット「だって…嫌いなものは嫌いだもん…アクセルだってピーマン嫌いじゃない」
アクセル「お生憎様、戦場を何度も駆け抜けていれば食べ物で苦手なんて言ってられないよ。嫌いな物でも細かく刻んだりとかして工夫さえすれば食べられるよ」
パレットの言葉に対して、あっけらかんとした答えにパレットは目を丸くする。
パレット「アクセル、ピーマン食べられるの…?」
アクセル「まあね、パレットも食べれるようにした方が良いよ?僕達レプリロイドも、オイルだけじゃなくて、食べ物の栄養素も必要不可欠なんだからさ」
パレット「うぅ…」
涙目のパレットにアクセルは溜め息を吐いた。
食事が終わり、アクセルはパレット以外の全員を厨房に集める。
何とかしてパレットの好き嫌いを直そうとしているのだ。
エックス「そうだな…水につけて匂いをとるか?いや、すり潰してしまうか?それだけでも大分違うと思うけど…」
ルイン「う~ん、すりおろした人参をスープに入れてみたら?まずはそれくらいからでしょ」
ルナ「…やってみっか」
ルナはすりおろした人参をスープの隠し味のようにしてみた。
ゼロ「………人参の味は殆どしない……これなら大丈夫だろう」
この中で最も味覚が鋭いゼロが味見をしてみるが、人参の味は殆どしない。
これならどれだけ苦手でも食べられるはずだ。
今日は寒いために、紙コップにスープを入れるとパレットにスープを手渡す。
そしてパレットはスープを一口飲んだが…。
パレット「これ人参使ってますね!!?」
何故か人参を入れたことがバレてしまった。
エックス「…ああ、使ってるよ。殆ど味も残ってないのに…何でバレてしまったんだろうか……?」
別のやり方でやってみようとエックス達はそう決めた。
エイリア「人参が苦手ねえ…だったら野菜ジュースはどうかしら?」
アイリス「野菜ジュースなら、人参の味なんか絶対にしないから、飲めるはずよね」
レイヤー「やってみる価値はあると思います」
ゼロ「…作ってみるか」
しばらくして野菜ジュースが出来上がり、パレットに飲ませてみた。
パレット「人参の味が…」
ルナ「何でだよ!!野菜ジュースの色んな味に混じって分かんねえはずなのに何で分かる!!?」
パレット「私の味覚を甘くみないで下さい!!」
ルナ「えばるな!!このお子様舌が!!」
アクセル「…これで駄目ならもうどうしようもないね。お菓子にしてみたらどうかな?」
ルイン「ケーキとかクッキーとかはどうかなあ?」
エックス「やってみようか」
そしてルインとエックスの共同作業によって作られたケーキはスポンジが僅かに人参の朱に染まっているが、匂いもかなり少ない。
クリームで隠してしまえば、微かな匂いも完全に途絶えた。
それを皆が待つ食堂へと持っていき、全員分に切り分け、皿に盛る。
エックス「…今度はどうだろうか……?」
ルイン「多分大丈夫だと思うけど……」
エックスとルインの視線がパレットに突き刺さる。
パレットはその視線に気付かぬまま、フォークでケーキを食べやすいサイズに切り、口へ運んだ。
そこまでは良かった筈だった。
パレット「何でケーキに人参を入れるんですか!!?」
ルナ「これでも駄目なのかよ!!?」
ゼロ「…味覚が良すぎるのも考え物だな」
その後も色々と手を尽くしたが、ことごとくパレットの舌はそれを見破り、身体が拒絶した。
一流の料理の腕前を持つエックスとルナでさえ匙を投げかけた。
アクセル「ねえ、他に何か良い方法は有る?僕はもう思いつかない…」
ゼロ「…無理だな」
エックス「…無理だね」
ルイン「…無理だよ」
ルナ「…無理」
アイリス「…無理だわ」
エイリア「…無理ね」
レイヤー「…無理ですね」
アクセル「だよねえ…あははは…」
結果、パレットの人参嫌いは克服出来なかった。
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