美しき異形達
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第二十七話 光の力その五
「けれど白と黒だとね」
「絶対に間違えないわよね」
「あまりにも対称的だから」
「目立ってね」
こう話すのだった、鈴蘭を囲んで。
「何かとね」
「姉妹で服間違えないってね」
「間違えると気まずいからね」
「そう、私達にそれはないわ」
服を間違えることはとだ、鈴蘭も話す。
「そのことは有難いわ」
「そうよね、やっぱりね」
「白と黒ってね」
「本当によね」
「正反対の色だからね」
姉妹でだ、それでクラスメイト達はこうも言った。
「鈴蘭ちゃんと黒蘭ちゃんって全然似てないしね」
「双子の姉妹でもね」
「顔立ちは結構似ている?」
「そうよね」
「けれど髪型とかはね」
「全然違うわよね」
「実はスリーサイズと背は一緒よ」
鈴蘭はくすりと笑って彼女達に話した。
「それはね」
「あっ、そうなの」
「背とスリーサイズ一緒なの」
「そうだったの」
「体重と血液型もね」
それもだというのだ。
「全部一緒よ」
「へえ、そうなの」
「そういうところが全部一緒なの」
「そうなのね」
「そこが姉妹なのかしらね」
こう笑って言うのだった。
「私達は」
「似てない様で似ている」
「顔立ちは似ていて」
「それで背とか血液型は一緒」
「そうなるのね」
「そうよ、私達はね」
彼女と黒蘭は、というのだ。
「そうした姉妹よ」
「そうなのね」
「そこが似てるのね」
「好みとかじゃなくて」
「そうしたところが」
クラスメイト達は鈴蘭のその話を聞いて納得するのだった、そうした話をしてそのうえでだった。鈴蘭は放課後も部活に出た。
そしてだ、その部活の後で。
黒蘭と学校の正門のところで待ち合わせをした、黒蘭は姉の顔を見ると微笑になってそのうえで彼女に言った。
「それじゃあ今からね」
「ええ、帰りましょう」
鈴蘭も微笑んで妹の言葉に応える。
「お家にね」
「今日の晩御飯は私が作るけれど」
「もう食材は買ってたわね」
「昨日のうちにね」
そうしていたとだ、黒蘭も答える。
「もうね」
「そうよね」
「ええ、だからね」
それで、というのだ。
「帰ったらすぐに作られるわ」
「それじゃあね」
こう姉妹で話して二人で帰ろうとする、だがここで。
二人のところに赤のジャージの少女が来た、見れば薊だった。
薊はランニングをしていた、そして二人を認めてこう言って来た。
「ああ、二人共今帰るのかよ」
「ええ、今からね」
「帰るところよ」
「そうか、あたしもこのランニング終わったら整理体操してシャワー浴びて」
そして、というのだ。
「寮に帰るよ」
「そうするのね」
「ああ、ちょっと今日は部活遅れてるな」
そうなっているというのだ。
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