魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epos54-B決戦/永き旅路の終わりへ~Second Battle~
前書き
システムU-D第二戦イメージBGM
魔法少女リリカルなのはA's-GOD-「Silent Bible ARR.」
http://youtu.be/DBTRDRq0atI
†††Sideルシル†††
俺たちの連携攻撃で、砕け得ぬ闇を撤退に追い込めるだけのダメージを当たることが出来た。“堕天使エグリゴリ”以外を相手に魔術師化したくなかったが、砕け得ぬ闇は“エグリゴリ”並に厄介な相手だった。
それゆえに作戦内に魔術師化し、複製術式ティーロ・スフォルツァンドを基にして創った魔術・アーティラリーズリボルバーを発動することを組み込んだ。アーティラリーズリボルバーは、魔法陣に魔法を打ち込む事で、神秘を有した魔術の砲撃へと化すことが出来る。
(問題は、トーマの魔力結合分断能力――ディバイドで魔術が消されないかだったが、消されることなく効果を発揮できた。まぁ魔術化はしなかったが、ディバイド効果を僅かに高められたのは確かだった)
そのおかげで砕け得ぬ闇を護る多層防壁も、馬鹿みたいな膨大な魔力をある程度削り取ることが出来た。だからここで逃がすわけにはいかない。俺たち第一チームは、これからあの子と戦う第二チームの勝率を高くするための先陣だ。ここで逃がして回復をさせてしまえば、今の戦闘が水の泡になる。
「その炎の壁は突破できないぞ、砕け得ぬ闇。聖剣集う絢爛の城ソード・キャメロットは、聖剣と分類される特別な力を持った武装でしか破れない。いくら膨大な魔力を持っていようと、その悉くを弾き返す」
砕け得ぬ闇の背中に向けてそう言い放つとあの子は「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」大声を絶叫。防護服の色彩が白から赤へと変わり、素肌にはトーマのような刺青のような赤い模様が生まれた。
「色彩が変わった・・・!」
「チッ。せっかく削った魔力が元に戻り始めてやがる・・・!」
シグナムとヴィータが様変わりした砕け得ぬ闇の復活の早さにそう呻く。しかも「今までの魔力とは何かが違うな」妙な魔力を生み出しての復活だ。そう言った俺に「あれこそが、無限連環機構エグザミアの力よ・・・!」キリエが教えてくれた。ということは、今までの砕け得ぬ闇の魔力は、単純なリンカーコアで生成させた魔力になるわけだ。本当に規格外だな。
「なんか・・・悲しい悲鳴・・・」
シャルがそう言って、彼女自身も悲しげな表情を浮かべると「苦しいんだろう。あれだけの力を持っているとなれば、彼女単体で動くのも難しいはずだ」ってクロノもまた辛そうに語った。
「だからこそ誰かが、王様が支えてあげないとダメなんですね」
『うん。そうしないとヤミちゃん、壊れちゃうよ』
トーマとリリィも、自らの暴走間際の力で砕け得ぬ闇を案じている。そう。後は、あの子を唯一救うことの出来るディアーチェ達が来るのを待つばかり。俺たちの戦闘に巻き込まれて攻撃対象に入ってしまってはいけないからだ。
チーム分け時、端から束で掛かればいいという力押しの意見もあったが、対U-Dプログラムの効果持続時間という制限がある以上その一度の戦闘で決着がつかなかった場合、手詰まりになってしまうという可能性から、2班は分けたんだ。
「第二チーム、現着や!」
とここで、はやて達が到着。第二チームは、はやてとリインフォース、なのは、フェイト、アリサ、ヴィヴィオとアインハルト、アミティエ。そして俺たち全員の切り札であるディアーチェ。まずはディアーチェを除くはやて達で、純戦闘モードになった砕け得ぬ闇の力を可能な限り削り、そしてディアーチェのU-D制御機能の一撃を打ち込む。それで終幕だ。
†††Sideルシル⇒はやて†††
ルシル君たちの決死の攻撃でヤミちゃんの力を大きく削いだのをモニターで確認。そんでわたしらもルシル君たちとヤミちゃんの元へ急いだ。現場に近づくにつれてビリビリと肌に感じるとんでもない魔力の衝撃。
そんな中を突き進んで、「第二チーム、現着や!」ルシル君たちと合流。ゆっくりとルシル君たちを労いたいところやけど、ルシル君が発動してる炎の壁を突破しようって暴れてるヤミちゃんが気掛かりや。
「気を付けてけよ」
「大丈夫だよ。ヴィータちゃん達が頑張ってくれたから」
そやから止まることなく、なのはちゃんがヴィータとハイタッチを交わしてヤミちゃんの元へ。次に「バニングス。気を付けていけ」シグナムと、「ええ。ありがとう!」飛行魔法で姿勢制御して、両足の裏に展開した2つの魔法陣から炎を噴射してミサイルとかロケットみたいに飛ぶアリサちゃんがハイタッチ。
「フェイト。後は頼んだぞ」
「うん。任せて、クロノ!」
今度はフェイトちゃんとクロノ君がハイタッチを交わす。次は「ヴィヴィオ、アインハルト」、『あとはお願い!』トーマさんやリリィさんと、「任された♪」ヴィヴィオちゃん、「はい。託されました」アインハルトちゃんがトーマさんと継ぐ次とハイタッチ。
「キリエ・・・。頑張りましたね」
「当然よ。わたしが大元だし。ここで頑張らきゃ。・・・その、あとはお願い」
「はいっ! キリエで言う、OSG――お姉ちゃん、精一杯、頑張ります、です!」
アミティエさんとキリエさんもハイタッチを交わして、アミティエさんもなのはちゃん達に続く。そんで最後にわたしとリインフォースがルシル君の元へ。
「気を付けろ、はやて、リインフォース。さっきまで俺たちが相手にしていた砕け得ぬ闇とはまた違うぞ」
「うん。大丈夫や。わたしは独りやない。リインフォースが一緒に戦ってくれるし、なのはちゃん達も居ってくれる」
「はい。私が精いっぱいサポートしますのでご安心を」
すぐ側に居ってくれるリインフォースが心強い。そやからわたしは何も恐れることなんてない。ルシル君もそれが判ってくれてるからこそ「あとは任せる。頼んだぞ」って右手を上げた。
「うん、頼まれた♪」
「ああ、任せてくれ」
わたしに続いてリインフォースもパチン!とルシル君とハイタッチを交わして、そのまま通り過ぎて行く。王さまはルシル君たちと、さっきまでのわたしらと同じように離れたところで待機や。今の王さまはわたしらの誰よりも強いけど、マテリアル全員分の魔力と力は王さまの体に大きな負担を掛けてる。その事もあって長時間の戦闘は出来ひん。
「リインフォース。わたしとリインフォース、これが最後の戦いになるかもしれへん」
「はい。そう・・ですね。ツヴァイ――リインの起動も近いですから、余程の大きな事件が無ければ、私と主はやてがユニゾンして戦うのはこれで最後となるでしょう。ですが憂いはありません。共に戦うことが出来なくなりますが、共に在ることは出来ます。それにリインが私の代わりにあなたを守ってくれる。ですから・・・、最後になりますが、私と共に戦ってくれますか」
リインフォースから差し出された右手。わたしも右手を出して、「もちろんや!」リインフォースの指とわたしの指を絡め合うようにして手を繋ぐ。
「「夜天の祝福を今ここに! ユニゾン・イン!」」
そしてユニゾンする。わたしの内に生まれるリインフォースの鼓動と温かさ。この感じをわたしは絶対に忘れへん。大人になっても、お婆ちゃんになっても、ずっとずっと・・・。
「行こか、リインフォース!」
『はいっ! いつまででも、どこまででも! あなたと共に!』
VS◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦
其は暴走からの解放を望む者・砕け得ぬ闇
◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦VS
すでに一触即発な雰囲気になってた前線に合流。ヤミちゃんは今すぐにでも襲い掛かって来そうな雰囲気なんやけど、それを必死に抑え込もうとしてるようにも見える。赤い色彩に変わったら戦闘人格ってゆう凶暴性が備わるって話やったんやけど・・・。とにかく。
「レイジングハート、ネーベルベルファー、カートリッジロード!」
「バルディッシュ、ホルニッセ、カートリッジロード・・・!」
「フレイムアイズ、シュメッターリンク、カートリッジロード!」
「クリス、ドーラを起動して!」
「ティオ! グスタフ起動です!」
なのはちゃん達がそれぞれ対U-Dプログラムが搭載されたカートリッジをロード。続けて「インストールプログラム、ヴァッフェントレーガー、ドライブ!」わたしも“夜天の書”に搭載してもらったプログラムを起動。アミティエさんも一対の片刃剣になってる“ヴァリアントザッパー”のグリップをギュッと握り直した。
――フェニックスフェザー――
するとヤミちゃんが問答無用で攻撃をわたしらに仕掛けてきた。魄翼を翼状にしてバサッと羽ばたかせると、無数の炎の羽根が周囲に舞い散った。その1枚1枚がとんでもない魔力で、防御なしでの直撃は危険すぎる。その羽根を避ける中、「ヤミちゃん!」わたしはそう呼びかける。
「今度は君たちか。夜天の主、そして融合管制騎」
――ナパームブレス――
『お下がりください!』
リインフォースに従ってその場からすぐさま離脱すると、さっきまで居ったところにわたしの身長以上の赤黒い魔力球が発生。以前、ルシル君を撃墜寸前にまで追い込んだあの魔法や。
「ごめんな、ヤミちゃん! わたし、夜天の主やのに・・・、あなたのことに気付いてあげることが出来ひんかった。わたしがヤミちゃんのことにちゃんと気付くことが出来てれば、こんなに寂しい思いも、悲しい思いも、苦しませることもなかった・・・」
『夜天の書の管制プログラムである私からも謝らせてくれ。奥底に眠っていたとはいえ、私はお前たちに気付いてあげるべきだった』
「知ったところで、気付いたところで、君たちにはどうしようも出来なかった。だから謝罪は無用だ。用が済んだら去れ」
――バレットダムネーション――
そう言い放ったヤミちゃんは、魄翼からわたしに向かって魔力弾幕を張ってきた。急いで射程圏内から離脱してると、『追撃が来ます!』リインフォースから警告が入った。
――ジャベリンバッシュ――
魄翼で創られた巨大な槍や。避けることは今からやと無理っぽいからパンツァーシルトで受け逸らそうとした時、「バスタァァーーーッ!」上空から桜色の砲撃が降って来てその槍を撃ち落してくれた。
「おおきに、なのはちゃん!」
「君は、シュテルのオリジナル・・・」
「うんっ。・・・あの、私、高町なのは、っていいます! はじまして、ヤミちゃん! 少しお話しませんか!」
「話すことなど何もない。私が君たちを壊す、その前に・・・去れ」
――エターナルセイバー――
ヤミちゃんに向かって来るなのはちゃんと、背後に回ろうとしてたアリサちゃんに向かって炎の剣がそれぞれに1本ずつ薙ぎ払うように振るわれた。なのはちゃんは「ごめんだけどそれは出来ないかな。だって私は、私たちは、あなたを迎えに来たんだもん!」バレルロールで回避して、アリサちゃんは足場としてた魔法陣に深く屈むことで躱した。
「迷子? 私が? おかしなことを。私は、迷子などではない」
「いいえ、あんたは迷子の最中よ! 今もだし、これまでもずっと迷い続けてる!」
――アルゴス・ハンドレッドレイ――
なのはちゃんに続いてアリサちゃんもヤミちゃんに語りかけた。ヤミちゃんは「くだらない妄言だ」そう言い捨てて、大きく広げた魄翼の両面から無数の砲撃弾幕を放った。わたしは急いで空戦が出来ないアリサちゃんの元へ向かう。けどそれより早く、「掴まってアリサ!」フェイトちゃんが急降下してアリサちゃんの腕をキャッチ、砲撃弾幕の中を翔ける。
「迷子だよ。心の迷子。私も同じ経験があるから解るんだ。独りぼっちが寂しくて、何も出来ない自分が嫌だった」
わたしと一緒に砲撃の合間を翔け回るなのはちゃんが語り続ける。その間にもヤミちゃんは、近接戦タイプのヴィヴィオちゃんやアインハルトちゃんの接近を拒むかのように魔力弾幕も張る。ホンマに無尽蔵の魔力を持ってるんやな、ヤミちゃん。少しでも気を抜けば即撃墜や。
「だけど変われたんだ。私に明確な夢・未来をくれた魔法、多くのことを学べる経験をさせてくれた友達、今の私を育んでくれた大切な人たち、そんな色んなことと出会えたから!」
「さっき戦った少年にも言った。私と私以外の他人は違う」
「・・・でもね。私たちは今こうして同じ空に居て、同じ時間に在って、お話が出来てる。言葉で、体で触れ合えたら、世界はきっと広がる。だからあなたもきっと変われるって、私はそう思ってる」
「変われる可能性を持つ君たち、持たない私。それが絶対の事実だ」
――アルゴス・ハンドレッドレイ――
「そんな絶対、あたし達が覆してやるわ! たとえ力づくでも!」
――イジェクティブ・ファイア――
フェイトちゃんに抱えられて砲撃弾幕の中を翔け回るアリサちゃんから火炎砲撃が発射された。ホンマは開戦直後から攻撃を仕掛けるべきやった。すでにルシル君たちとの話し合いは決裂してて、戦闘行為に入ったんやから。そやけど、やっぱりどこか話が出来るって思うてて。
「面白い。私が話だけで止まらないこと、すでに承知のはず。私を止めたいのなら、力づくで来てください。そして思い知ってください。私に、救いなんてものが無いことを」
アリサちゃんの火炎砲撃を素手で受け止めて握り潰したヤミちゃん。アリサちゃんが「うっそーん」って驚きを見せる。多層防壁でも防御魔法でも魄翼の防壁化でもなくて、単純に魔力付加した素手で握り潰しなんて予想外やった。
「私に救いなんて言葉は通じないし、君たちの魔法もまた、私のエグザミアの前には無意味だ」
――アルゴス・ハンドレッドファイア――
砲撃弾幕の火炎版が発射されてきた。普通の魔力砲撃から火炎砲撃となったことで、回避中に衝撃波だけやなくて熱波まで襲い掛かって来ることに。
「そんなことない!」
――エクセリオンバスター――
「リインフォース。あの駄々っ子を止めるよ!」
『はいっ!』
――ナイトメア――
なのはちゃんとわたしとでヤミちゃんを挟撃すると、「無駄です」ポツリと呟いたヤミちゃんは魄翼に包まれるように防御姿勢を取った。と思えばバサッと大きく広げて、「えっ・・・!?」魄翼で砲撃を弾いてわたしらの元に反射してきたから、慌てて回避に移る。
「ヤミ、あんたね! 本当は救われたいくせにそんな・・・要らぬ諦観なんて捨てちゃいなさいよ!」
――フレアブレード――
銃剣形態バヨネットフォームの“フレイムアイズ”の刃を超高熱にしたうえでの振り下ろしの斬撃を繰り出したアリサちゃん。ヤミちゃんは右側面からの攻撃を半歩分後ろに後退することで躱した。
「動かぬ事実に希望を持ったところで意味なんてない。希望を持つから絶望する。そうして私は過ごしてきた。永く、永く、永く・・・!」
――ドゥームプレッシャー――
攻撃を避けられたことでアリサちゃんは無防備な体勢のままヤミちゃんの目の前に。そんなアリサちゃんへの攻撃として、ヤミちゃんは魄翼を怪物の腕へと変えて、アリサちゃんを握り潰そうとした。
「その感情の揺れ動きが、あんたが救われたいって思いの強さよ」
「っ!」
――ハーケンスラッシュ――
ヤミちゃんの意識が完全にアリサちゃんに向いたその時、ヤミちゃんの背後からフェイトちゃんが「諦めることなんてないんだよ! 帰ろう、ディアーチェの、あなたを待つ王さまの元に!」大鎌形態ハーケンフォームの“バルディッシュ”の魔力刃で斬撃。
「アクセルシューター!」
「ブリューナク!」
わたしとなのはちゃんで魄翼に向けて集中攻撃。アリサちゃんを握り潰す前に着弾させて妨害。それと同時にフェイトちゃんの斬撃がヤミちゃんを捉えて、アリサちゃんは一足飛びでヤミちゃんから離脱。
その先に「フローターフィールド!」すずかちゃんの展開した魔法陣の足場に着地したアリサちゃん。すずかちゃんも遅れて第二チームとして参戦。すずかちゃんの代わりにルシル君が結界維持チームに回ることになってた。無茶してほしくないけど、ルシル君聞いてくれへんし。もう。
「タイミングバッチリ、すずか! フレイムアイズ、行くわよ!」
「うん、お待たせ!」
≪おう! イジェクティブ・ファイア!≫
すずかちゃんと頷き合って間髪入れずにヤミちゃんへ火炎砲撃を放つアリサちゃん。フェイトちゃんのバリア破壊効果の斬撃と一緒に撃ち込まれたアリサちゃんの砲撃。フェイトちゃんが離れたと同時にヤミちゃんが爆炎に覆われる。濛々と立ち上る黒煙。その中から、「私はずっと孤独でいい。その方が誰も哀しまない、苦しまない、痛い思いをしないで済む」そんな悲観に満ちた声が聞こえてきた。
「そう。私に近付きさえしなければ・・・!」
――ヴェスパーリング――
魔力リング型の射撃魔法や。魄翼を羽ばたかせるたびに十数発と連射してきた。回避の最中、「優しいんだね、ヤミ」フェイトちゃんが魔力刃を飛ばす魔法、ハーケンセイバーでリングを迎撃したんやけど、魔法を切り裂くことが出来るセイバーをも消滅させたリング。
「無駄だ。込められた魔力が違いすぎる」
魔法での迎撃は不可能ってことは判った。うん、やっぱりどうしても基本的には回避しかないんやって改めて再確認。けど撃ってる最中は結構な無防備やと思うよ、ヤミちゃん。わたしは「クラウ・ソラス!」“シュベルトクロイツ”の先端から砲撃を、「ストライクスターズ!」なのはちゃんはディバインバスターとアクセルシューターの同時発射砲撃を、リングを撃ち続けてるヤミちゃんへ発射。
「アキレウスシールド」
ミッドチルダ魔法陣とベルカ魔法陣を1枚に重ね合せた障壁を2つ展開して、わたしとなのはちゃんの砲撃を防御。魔力爆発の余波で起こった煙幕がヤミちゃんを覆い隠すと、リングの乱れ撃ちも止んだ。
「「デュプルブレイズ・シオンズクリーバー!」」
そこで追撃をするんがフェイトちゃんとアリサちゃん。2人ともデバイスをフルドライブモード、“バルディッシュ”・ザンバーと“フレイムアイズ”・クレイモアにしてる。振るわれた魔力刃はまるで鋏のようにヤミちゃんを左右から襲撃。
煙幕を切り裂いてヤミちゃんへと到達した2つの刃は、「なんで判ってくれないんですか? 無駄だということが」さっきのアキレウスシールドってゆう障壁に拒まれてた。あの鋏のような魔法は、防御魔法や結界魔法を切断するブレイク効果があるけど・・・。
「だって、それだと君が悲しいじゃない・・・!」
「強がるのも結構、意地を張るのも結構! でもTPOだけは考えなさいっつうのよ!」
――サイズディカピテイション――
このまま攻撃を続ければシールドを壊せそうやけど、その前に空いてる魄翼が動きを見せた。魄翼が大鎌へと変化した。
「バルムンク!」「アクセルシューター!」
フェイトちゃんとアリサちゃんにその刃が届く前にわたしとなのはちゃんの射撃魔法で迎撃しようとしたけど、ヤミちゃんが新しく張ったパンツァーシルトが防いだ。アカン。そう思うた時・・・
「ディバインバスター!」「ファイネストカノン!」
虹色の砲撃と、魔力とはちゃうエネルギー砲弾が、魄翼を迎撃してくれた。ヴィヴィオちゃんとアミティエさんの一撃や。直後、フェイトちゃんとアリサちゃんの魔力刃がアキレウスシールドを切断して、ヤミちゃん自身の多層防壁に当たる。拮抗も短く、ガシャァンと防壁を破壊。
「っ!? ・・っ、バレットダムネーション!」
わたしらに向けて魔力弾幕を張るヤミちゃんやったけど、アインハルトちゃんは「旋衝破!」自身とヴィヴィオちゃんに当たりそうやった魔力弾5発を次々と受け止めて、そのままヤミちゃんへと投げ返した。
これには回避中のわたしらやヤミちゃんも「っ!」ビックリ。しかもヤミちゃん自身の魔力で攻撃力とゆうこともあって、「んくっ・・・!」5発の着弾と同時にガシャァンとまた多層防壁が砕けたから、ヤミちゃんは二重にビックリや。
「すみません! 出番はもう少し後の予定でしたけど、出て来てしまいました!」
「で、でもフェイトマ――フェイトさんとアリサさんが危なかったのでつい!」
「お許しを!」
アミティエさん達が頭を下げて謝る。アミティエさんは、ドクターやティファレト先生に体を治してもろたけど、ヤミちゃんを相手に戦えるほどにはまだ全快やないって、キリエさん共々そう診断された。そやからわたしらの対U-Dプログラムの効果が切れる寸前で参戦することになってた。
ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんも似たような感じや。ヤミちゃんを相手に近接格闘なんて危なすぎる。空戦レベルもそんなに高うない。ホンマは前線に出すべきやない、シグナムやヴィータ、ザフィーラの意見がそれ。でも今にして出して良かったって思える。
「ううん。おかげで助かったよ。ありがとう」
「ええ。アミティエ、ヴィヴィオ、ありがとう」
フェイトちゃんとアリサちゃんにお礼を言われて照れるヴィヴィオちゃんと、ホッとしてるアミティエさん。
「アインハルトちゃん、今の魔力弾を投げ返す技、すごいね!」
「それも覇王流っていう格闘の技なのかな? すごかったよ!」
なのはちゃんとすずかちゃんに褒められて照れるアインハルトちゃん。そんな中で、「ゆりかごの聖王・・・? 覇王イングヴァルト・・・? いや、違う。君たちは一体・・・?」ヤミちゃんが、ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんを不思議そうに見た。
「オリヴィエと」
「覇王イングヴァルトは」
「「私たちのご先祖様なんです」」
ベルカの歴史はよう判らんけど、2人がヤミちゃんへとそう答えると、「クラウスが子を残したのは知っていますが、オリヴィエに子は居なかったはず」ヤミちゃんはさらに困惑したようで。
「えっとまぁ、わたしの出生には色々あるんだけど、今はそんな過去は横に置いておこうよ!」
「はい。今、大事なのは過去ではなく現在。私たちも、泣いてるあなたを助けたいんです」
「・・・またそれですか。私は一体何度、その行為が無駄なのかと言えばいいのか」
ヤミちゃんの小さな両手がギュッと握り拳になるんが見えた。アインハルトちゃんが「何度でも言います。独りでは出来ないことも、誰かが支えてくれれば出来ることは増えます」語りかける。続いて「独りが楽しいんならそれでいいよ。けど違うんでしょ? ホントは誰かと繋がりたいんだよね」ヴィヴィオちゃんも語りかける。
「くどいです。君たちの言うことは全て幻想、夢物語だ」
――ジャベリンバッシュ――
魄翼で創られた槍8本が扇状に発射された。みんなそれぞれ回避する中、「その幻想を、夢物語を、今こそ現実にしましょう!」アインハルトちゃんがそう言って、掌底を突き出して衝撃波を放った。
それを裏拳で弾き逸らすヤミちゃん。動きを止めたその隙――とも言えへん一瞬に「ジェットステップからの、アクセルスマッシュ!」ヴィヴィオちゃんの魔力付加された拳がヤミちゃんのお腹を捉えた。ガキンと防壁に防がれた音が響いた。
「さらに、リボルバー・スパイク!」
「覇王・・・断空拳ッ!」
ヴィヴィオちゃんの打ち降ろしの回し蹴りがヤミちゃんの小さな右肩へ打ち込まれて、それと同時にアインハルトちゃんの拳が、ヴィヴィオちゃんが打ったところと同じ場所を打った。バキンと音が漏れ聞こえてきた。
「憧れた夢があるなら、それを叶えよう、ヤミちゃん!」
「はい。あなたにはきっとその力があります!」
――ファイネストカノン――
ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんが一足飛びで離脱したと同時、アミティエさんの砲弾が着弾して、また防壁を打ち砕いた。ヤミちゃんの表情が本当に小さくだけど焦り、それに期待のようなネガティブやない方の感情が見えた気がした。
――ソニックシューター――
「わたしだってまだ全然弱いし、いつも挫けそうになる。だけど諦めずに前を向いて頑張れば、前に進んで行ける! そう大切な人に教えてもらった!」
――空破断――
「私たちもお手伝いします!」
ヤミちゃんが回避行動を取った。横移動することでヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんの攻撃を躱した。
――アクセラレイター――
わたしの側に居ったアミティエさんの姿が消える。アミティエさんが姿を現したんはヤミちゃんの回避先で、「止まっていただきます!」一対の片刃剣形態になってる“ヴァリアント・ザッパー”の斬撃を連続で振るった。
――パンツァーシルト――
「さっきも妹が性懲りもなく来ていた。君もまた来たんだね」
「はい。その節は、不肖な妹がご迷惑をお掛けしました。ですが、わたしも妹もこの間とは違って――」
「私を助けに来た、ですか。本当にいい加減にしてください。私の無力も、孤独も、この暴力を成すだけの旅路も、終わりはしない!」
――アルゴス・ハンドレットファイア――
魄翼の両面から放たれる火炎砲撃の弾幕。アミティエさんは至近距離にも拘らずホンマに僅かな横移動だけで避けきった。
「あなたの事情、伺いました。永く孤独の中で、自分の望まない動作を強いられてきた」
――バルカンレイド――
左の片刃剣でヤミちゃんを斬って、右の銃で斬った箇所にエネルギー弾を連射しながら「私も、人の手によって生み出された人工物――ギアーズですから、それがどれだけ辛く悲しい、絶望なのかよく解ります」そう続けて、振るわれた大鎌状態の魄翼を紙一重で躱したと思えば、さっきと同じように斬撃、そんでエネルギー弾の連射を撃ち込んだ。
「っ!・・・同情は要らないと、何度言えば・・・! 早々に私の前から、君たち全員が消えてくれれば、それだけで私は・・・!!」
――アルゴス・ハンドレッドレイ――
「クラウ・ソラス!」
「エクセリオン・・・バスタァァァーーーーッ!」
「プラズマ・・・スマッシャァァァーーーッ!」
「イジェクティブ・ファイアッ!」
「ディバインバスタァァァーーーーッ!」
わたしらの集中砲火を受けた魄翼が今まで以上に霧散したし、ガシャァンと防壁が皿砕けた音が響いた。さらにアミティエさんの「ファイネストカノン!」による追撃を、ヤミちゃんは「っくぅぅ・・・!」障壁で防御。
「個の思考とは、誰かと触れ合って初めて、心、となる。父が教えてくれました。どれだけ独りで思考を続けたとしても、心は決して育たない。今度は私からあなたに贈らせてもらいます」
「うるさい・・・うるさい・・・うるさい・・・!」
ヤミちゃんがまるで逃げるように明後日の方へと向かって飛んで行く。この空域一帯には結界が張られてるし、ルシル君たちが逃がさへんように張ってもろてるけど、逃げてる最中に回復されるのは厄介すぎるし、対U-Dプログラムの効果が切れるのも痛い。
「あ、待ってください! 話はまだ終わっていませんよ!」
アミティエさんに続いてわたしらもヤミちゃんを追う。ヤミちゃんを追う中、アミティエさんは「あなたには、共に居られる、触れ合える、支え合える、大切な仲間が居るでしょう!」そう話を続ける。
「独りで思い悩むからダメなんです! あなたはどこか妹に似ています。悪ぶっているけれど、本当は真面目で一生懸命! それでいて責任感が強い。それなのに他人を頼るのが苦手! まさに不器用! ですけど!」
――鋼の軛――
――吹雪け、汝の凍波――
ヤミちゃんの行く手の先、海面から突き出して来たのはシャマルとザフィーラの拘束条10本以上と、ルシル君の氷の柱20基以上。ヤミちゃんがそれらを壊そうとする前に「そんな不器用だけど優しい子が悲しまないよう、笑顔にしてあげるのが、お姉ちゃんの役目なんです!」アミティエさんの姿がまた掻き消える。
「無限の運命なんて、私が、私たちが終わらせてあげます!」
ヤミちゃんの周囲を高速移動で翔け回るアミティエさんが、ヤミちゃんに斬撃を打ち込みながら周囲にエネルギー弾を配置――とゆうか、あまりに速すぎて発射から着弾前のホンマに短い間に撃ち続けてるだけなんやね。
「エンド・オブ・デスティニー!!」
とにかくアミティエさんの全方位からのエネルギー弾がヤミちゃんに着弾。その間にわたしらは、最後の役目を果たすために魔力チャージ。ルシル君みたくみんなの砲撃を強化できるような魔法なんてないし、連携でもない。ただ、ヤミちゃんや王さま達への想いを籠めた一撃を撃ち込むだけ。
「ヤミ! あんたの目を覚まさせてあげるわ!」
「しっかりと目を開いて、君の目の前にある希望を見て!」
アリサちゃんとフェイトちゃんが、ヤミちゃんを中心として2時と10時の位置についた。そして、アミティエさんの強烈な攻撃の直撃を受けたことでふら付いてるヤミちゃんへと・・・
――ヴォルカニックスカッシャー――
――ジェットザンバー――
「「サザンクロス!!」」
――アキレウスシールド――
“バルディッシュ”と“フレイムアイズ”の魔力刃が伸長して、ヤミちゃんを襲撃。
「っうぐぅぅぅ・・・・!」
ヤミちゃんは咄嗟に張ったシールドで防御したんやけど、これまでと違って必至って感じで。そんでとうとう魔力刃がヤミちゃんのシールドを貫いて、「くぁぁぁあああああ・・・!」爆発させた。
「この・・・!」
――クリムゾンダイブ――
ヤミちゃんが火の鳥と化してヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんへと突進。とその前に、「すずかさん、お願いします!」アインハルトちゃんが海面へと衝撃波を2連発と打って、激しい水柱を上げさせた。ヤミちゃんがそのまま水柱の中に突っ込んだ。
「オッケー♪ リフリジレイト・エア!」
すずかちゃんの発動した吹雪の竜巻が水柱を一瞬にして氷結。水柱から飛び出して来る直前のヤミちゃんが「体が・・・!?」凍りついて、ヴィヴィオちゃんの目と鼻の先で止まった。
「目を閉じちゃうなら、わたしが開かせてあげる!・・・一閃必中!」
ヴィヴィオちゃんとヤミちゃんの間に、虹色に光り輝く魔力球が発生。
「セイクリッドブレイザァァァァーーーーーーッッ!!」
ヴィヴィオちゃんがその魔力球を殴ると、それが特大砲撃となって発射されてヤミちゃんを「うぁああああああ!」呑み込んだ。砕け散る氷塊、吹き飛ぶヤミちゃん。
「なのはちゃん!」「はやてちゃん!」
わたしとなのはちゃんで頷き合って、かぶりを振ってるヤミちゃんへと・・・
「エクセリオンバスターA.C.S!・・・ドライブ!」
なのはちゃんがヤミちゃんへと突進。ハッとしたヤミちゃんが障壁を展開。“レイジングハート”の先端に展開されてる魔力刃が、その障壁を突破。間髪入れずに「エクセリオンバスターッ!」なのはちゃんが砲撃を発射。それと同時、「マニューバA.C.S!」なのはちゃんから教わった突撃魔法を発動して、大きく吹き飛んだヤミちゃんを突撃。
「もうちょっとや! ヤミちゃん! これまでの悪夢は今日、ここで醒めるから!」
『この後にお前を待っているのは、光に満ち溢れた希望の明日!』
わたしの突撃技を魄翼で受け止めたヤミちゃんやったけど、反論も出来ひん程に消耗してるようで。突撃が防御されたと同時に周囲に展開させた魔力球6基と一緒に「『ナイトメアハウル!!』」多弾砲撃を発射。4発で2つの魄翼を粉砕して、魔力球からの残り2発と、わたし自身――“シュベルトクロイツ”からの1発、計3発が、ヤミちゃんに直撃した。
「あ・・ああ・・・あぅ・・・ぅく・・・くぅわぁぁぁああああああああーーーーーーッッ!!」
わたしの砲撃をまともに受けたヤミちゃんの動きが完全に止まった。多層防壁も全部砕いた。エグザミアの魔力生成も途切れたようや。となれば・・・
「「「王様!」」」「「『ディアーチェ!』」」「ディアーチェさん!」
あとは王さまでの出番やよ。
後書き
タロファ。
昨日の水曜日には投稿する予定でしたが、ボーカロイドの動画めぐり、そして仕事終わりに買ってきたPS3ソフトのプレイなどをしていて遅れてしまいました。すいません。いやぁ、反射神経が随分鈍ってしまっているようで、リズムゲーはもう鬼門認定ですorz
えー、エピソードⅡも次話で完結です。次話以降は、これまでのエピソード通りに番外編を挟んだ後でエピソードⅢへと入って行く予定です。その前に、これまでの加筆修正でしょうかね。
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