美しき異形達
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第二十六話 姉妹の日々その十三
怪人に一気に向かい突きを繰り出した、怪人はそれを手で受け。
そのまま激しい接近戦に入った、裕香はその闘いを見て薊に問うた。
「あの、今の状況は」
「まずいっていうんだな」
「相手は虎よ」
その力を持つ怪人だからだというのだ。
「虎だからね」
「強いよな、虎は」
「ライオンに勝つ時もあるのよね」
「ああ、らしいな」
薊はそのことを確かめたことはない、しかし話に聞いて知っている。それで裕香に対してこう答えたのである。
「中国じゃ獣の王様だしな」
「そうした相手と接近戦に入ったら」
「黒蘭ちゃんでも勝てないっていうんだな」
「体格が全然違うわ」
見ればだ、黒蘭は薊位の背で小柄だが。
怪人は優に二メートルを超える、しかも体格がいい。
筋骨隆々とさえしている、その身体も見て言うのだ。
「あんな相手と正面から闘っても」
「まあ勝てないよな」
「とてもね」
「普通はな」
ここでこう言った薊だった。
「普通は勝てないよな」
「普通は?」
「ああ、普通はだよ」
裕香にまた言ったのだった。
「勝てないぜ」
「普通はっていうと」
「黒蘭ちゃんは普通じゃないからな」
「普通の女の子じゃないから」
だからだというのだ。
「それに体格だけでやるのが闘いじゃないだろ」
「技やスピードでも」
「まああの怪人技とスピードも相当だけれどさ」
このことも認めるしかなかった、とにかく尋常ではない強さだ。
「それでもだよ」
「他にもなのね」
「ああ、もう裕香ちゃんもわかるよな」
にやりと笑ってだ、薊は裕香に問うた。
「その辺りのことは」
「うん、私も薊ちゃん達の闘い何度か見ているしね」
「そうだろ、確かにあの怪人強いぜ」
それも相当に、というのだ。
「パワーにスピードがな」
「まさに虎ね」
「この二つ、特に力はな」
その点がというのだ。
「相手が遥かに上だよ」
「そうね、一撃でも受けたら」
「終わりだよ」
「スピードは微かにって位だけれど」
しかしパワーは、というのだ。
「本当に一撃でも受けると」
「終わりだよ、け3れどな」
「攻撃を受けないといいのね」
「そういうことだよ、それにな」
「もう一つの要素ね」
「技とな」
そして、というのだ。
「それだよ」
「それで勝てるのね」
「黒蘭ちゃんもな」
「そうよね、それじゃあ」
「ああ、見ていようぜ」
薊は確かな顔で笑ってだ、そうして二人の闘いを見るのだった。怪人は虎のスピードとパワーで黒蘭を攻め続けていた。
黒蘭は微かに劣るスピードでもかわしていた、怪人はその彼女に拳と爪での攻撃を交互に浴びせながら問うた。
「スピードは私の方が上よね」
「そうね、僅かにだけれど」
黒蘭もこう返す。
「貴女の方が上よ」
「それでよくかわせるわね」
「コツがあるから」
「コツ、ね」
「そう、そして」
攻撃をかわしつつ言う黒蘭だった。
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