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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章
  評定の間(2)→トレミー内での大軍議

トレミーではそういう会話をしていたそうだけど、発注をした張本人である一真は大天使化をしてから数十分。さすがに力を集中しているのか喉が渇いたと思ったので、一時的に集中を解いてから座席に座ってタオルで汗を拭いていた。

「お兄ちゃん、まだまだだけどお茶持ってきたよ」

「有難い。ちょうど喉が渇いていたから」

武田陣営に座っていたはずの薫が、お茶を準備していたので助かった。差し出されたお茶に口を付けるが、大天使化は解かない。今はやっとであるが評定の間に魔法陣を敷いたところだったからだ。間違えると空に転移してしまうから慎重に座標を固定していたところだ。

「ふうー。これから頑張れそうだよ。ありがとな」

「あははっ。もうちょっとしたら全員来るから、それまで我慢してね。お兄ちゃん♪」

「ああ。でも全員揃うまでまだまだ時間はかかりそうだな、光璃たちは何をしているんだ?」

「もうちょっと時間がかかるんだって。何か打ち合わせしているみたい(船での打ち合わせ通りになっているね、お兄ちゃん)」

「打ち合わせね・・・・。(その打ち合わせ事態が無駄なんだけどな、こっちで進行するつもりだから)」

連合を組む事を正式発表してからの打ち合わせでもいいのではと思ったが、どうせこっちに来てこちらで進行させるから意味ないと思うが。まあいい、光璃のところに武田家の精霊と一緒にいるから、何かあったら連絡くれるだろう。ここは今半透明となった神仏たちが飛び回っていてちょっとした独壇場になっている。

「それにしても、こんなにたくさんの神仏を見るのは初めてだよ。でもほとんどが女神なんだね~」

「もちろん男神である者もいるけどな。お茶ありがとうよ、また集中するんでな」

「うん♪どう致しまして♪」

我が飲み干した湯飲みを抱えるようにしながら、薫は立ち去った。そして我の瞑想タイムにと入るので上座の席から座禅を組むようにしてからだった。こちらに来る目線は「何してんだろー」がほとんどじゃないのと思ったけど。話しかけてきても我の代わりに護法五神が話しかける者の前に現れては注意をすると言っていたけど、立札じゃないのかと思ったが直接神仏から語りかけた方がいいと帝釈天が言っていた。で、薫と入れ替わりに入ってきたのは・・・・。

「お兄ちゃーん!」

「お兄様!お久しぶりです!」

『・・・・・・・・』

今度は近江のオシドリ夫婦がやってきた。が、我は瞑想をしているので会話はしない。

「あれ?お兄ちゃん?」

『我が主はただいま瞑想中なので、お静かにお願いします』

「この声は・・・・?『我が名は愛染明王、目の前におります』嘘!?」

「金ヶ崎の退き口以降、神々の噂は本当だったんだ。それで兄様は何をしていらっしゃるのですか?」

『我が主は規模の大きいある術式の準備のために、瞑想中であります』

「では市、挨拶は後にしようか」

「そうだね。ホントは挨拶したいけど、あの集中を途切れさせるわけにもいかないから、市も挨拶は後にする」

と愛染明王に注意をされた浅井夫婦は、割り当てられた場所へと行ったのだった。でも少しだけど声は聞こえたからな、お前ら。ホントは心配させてごめんよと言いたいくらいだけど、これからやるのは場所を固定させないと危険な術式でもある。昨日のような人数だったらすぐに転移可能だけど、今回は数十人という規模でもある。

「やれやれ。あの夫婦はいつも仲の良いことだ」

今度は白百合か。で、こちらを見ると神仏たちが注意することもなく割り当てられたところに向かった。さすがに白百合に関係する神は知らんからな。でもまあ声は紫苑にそっくりでもあるし体型もそっくりだけど性格だけが違うという所かな。さすが乱世の梟雄であり、堂々としていた。

「・・・・一真様。ご壮健で何よりです」

『葵か。久しぶりだな・・・・。と言っても今の我は瞑想中だ』

『その通りでございます故、我が主は大きな術式を発動しようとしておりますが故』

「なるほど・・・・。その姿は神の姿でしたね・・・・。ではお礼だけは言っておきましょう、綾那・歌夜・小波がお世話になったと聞いております」

「はいです!綾那たくさん頑張ったです!」

「お力になれて光栄です」

「・・・・御身のためならば」

『と、我の名は不動明王です。貴殿たちをずっと見ておりました』

今度は不動明王が葵たちに話しかけていた。隣には妙見菩薩がいたけど、それを聞いたら小波のお家流の力としていつでも貸しますとか言っていたな。歌夜も綾那も落ち着いていたが、あの悠季にだけは落ち着いていなかったようだ。小波は妙見菩薩から我にと言ってほしいことがあるので、聞いたが。小波は松平の家人ではある、が、一真隊に所属していて我を大切に思っている仲間として我に尽くす模様と。主家が目指すことに歌夜たちが邪魔になるのなら、身を引くことも三河者として当然だとか言っていた。まあ挨拶が続くけど、これは序の口だと考えるべきだろう、関係者しか知らないことを全員が揃った時点で始めるつもりだ。詩乃・梅・雫は織田に与する者たちと一真隊に所属する者たち。幽は一葉に説明。秋子は長尾勢の者たち、そして光璃たち三姉妹は武田勢の者たちをそれぞれ説明をする係だ。もちろんあそこに着いたら先にいるスタッフたちにも説明の補佐をするように言ってある。

「兄上ぇ~・・・・疲れやがりましたですぞぉ~・・・・・」

『夕霧か。ご苦労さんとでも言っておくよ、義光』

『はい。夕霧さんはもう知っていますよね?』

「我らの家祖でやがりますか、先触れとしてやってきた織田の使者相手にしていたでやがるが、言葉を交わす隙がないでやがるわ、果ては馬でぶっちぎられやがってしまいやがって・・・・(それについては任せるでやがる♪)」

『先触れを迎えに行って先導しようにも、先行させてしまったということですか?』

「で、やがりますよぉ・・・・。夕霧、馬乗りで負けたことが無かったでやがるから、今、凄く落ち込んでやがるのですよ・・・・」

『ああ、それについてのお気持ちは分かります』

今度は新羅三郎義光を使って聞いていたが、久遠も馬に乗るのは得意だろうな。

「あれほどの家臣がいるとは。尾張者なんぞ軟弱者と相場が決まってやがるのに、織田はなかなか侮れんでやがりますなぁ・・・・」

『おや、光璃たちとは会っていないのですか?』

「??夕霧、今、戻ってきたところでやがりますぞ」

『ああなるほど。織田の先触れについてですが、あれは家臣ではなく織田久遠信長だったのですよ』

「・・・・なっ!なんでやがりますとーっ!?」

まるでどこの人?と思わず尋ねているような無茶苦茶になった言葉遣いとなったが、目の前にいるのはお前ら武田家の家祖だろうが・・・・。まあ義光にとっては妹と見ているそうだから、ちょっとの言葉遣いでも構わないらしい。まあ混乱して頭が沸騰中みたいな感じではある。

「で、ではあれが兄上の最初の妾の一人でやがりますか?」

『そうですよ。あの子が我が主でこの世界の降り立ち最初の妾となった者ですよ、・・・・どうでしたか?』

「いやはや・・・・なんというでやがるか、抜き身の刀のような鋭いものでやがりました」

『鋭い・・・・。ですが、主の前になるとですね。実際に触れると刃引きされてたというオチになりますね、という女の子ですよ』

「鋭いに見せて、でやがるか?」

『そうです。それに我らも本来なら鋭いはずが、今は刃引きのようでしょう?』

「なるほど・・・・。それが夕霧たちでは篩い分けと言うでやがるが、厄介な御仁でやがるなぁ」

で、久遠と仲良くなれたら柔らかくなるかという質問には答えてやった義光であった。それに家祖だって話しかければ、鋭くなくて柔らかい会話となっているからだ。あとは夕霧は興味があるらしい、武田と違い新興勢力なのに、いったいどうやってあれだけの勢力になったのかと。とりあえず我は話かけられないがダイレクトコールで接待ご苦労と言っておいた。夕霧は答えるかのように武田四天王がいる場所に行ったのだった。

さてと、ここにいる大広間には各方面の勢力が固まりつつある。今いるのは、それぞれの主要人物たちだけだ。つまり戦国†恋姫で紹介された将だけということになる。他の武士たちは消滅対象となるので、ここでの大評定には参加していない。それぞれの将が座っている位置を船にある席に転移させるのが難しいところである。本来なら一度バラバラにしてから、席に座ってもらいたいが久遠辺りが納得しないと思うので座っている座席と船にある席の座標をそれぞれに固定させる。まあ今は初めての者も多いがすぐに仲良くはなろうけど、俺の妻たちとはすぐには仲良くなれるかが心配だな。絆はここのメンツたちはすぐに固く強くなりそうだけど。大広間に音が響き渡るぐらい、勢いよく開いた襖。その音に談笑の花が咲いていた各所が、一瞬にして静まり返った。我の方も最終固定にと差し掛かる事となる。皆の視線は入り口に集まるが、我は目を瞑ったままだが、神仏たちが我の近くで浮かんでおった。

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

そこに立っていたのは森親子と各務だった。一言も発しないまま、こちらに近づいてくるが目を瞑り何かを集注しているのに気付く桐琴に小夜叉だった。我は両手を挙げたので、桐琴と小夜叉は無言ではあるが、手を叩き合った。

「・・・・・殺るぞ一真」

「母に台詞取られたが、同じく殺ってやるぞ一真」

『・・・・・(コクッ)』

無言で頷いてから、森親子も織田勢の席に座ったのだった。で、エーリカはと思う者もいるがあいつについては後々に語るであろう。躑躅ヶ崎館の中に響き渡る、評定の始まりを告げる音色。それと同時に大規模な術式をもうすぐで完了しそうだった。あとは久遠、美空、光璃が席に座ればパーフェクトとなる。やがて心が立ち上がると、出迎えの声を上げたと同時に浮かんでいた神仏たちは我の後ろにて整列をしたのだったけど。

「織田家当主、織田上総介久遠信長様。長尾家当主、長尾弾正少弼美空景虎様。武田家当主、武田大膳大夫光璃晴信様、ご出座~」

心の穏やかな声と共に皆が一斉に平伏したのだった。我はそんな事しないので、そのままの態勢となり目を瞑ったままとなる。そのままこちらに来る三人だったが、久遠と美空はなぜ我が目を瞑っているか不思議であった。

「なぜ貴様は目を瞑っているのだ?」

「右に同じく。なぜ『美空様、あまり我が主を困らせないで頂きたい』って、何でここに護法五神が揃っているのよ!」

「・・・・久遠に美空。今は静かにするのが上策。あとで怒られるのがオチだから」

と渋々座った久遠と美空だったけど、ようやく術式を作り終えた我であったので。立ち上がり、術式を発動させたけど。

「・・・・一真。準備できた?それと皆表を上げよ」

『今さっきだ。と言う訳で、大型魔法陣展開!転移魔法始動!』

と言ってから床に張り巡らされた魔法陣に驚く一同であったが、関係者一同はこれから始まると思いながらであった。そして一気に光輝いてから襖を閉めた我は転移魔法で一気にトレミーの大部屋である会議室にと一斉転移完了したのであった。そして光が収まったので、目を開けると関係者以外の者たちは机があって隣にはそれぞれの主やその他関係者たちであった。

「な、何よこれー!!!!」

「い、一体何が起こったのだー!!!!」

「静かにしてもらいますかな?皆様方」

と言いながら、昨日集められた関係者が立ち上がり久遠達の席の前まで来たのだった。詩乃・梅・雫・幽・秋子・光璃・夕霧・薫。この8名が立ち上がったのでますます意味が分からないような口ぶりだったけど、詩乃たちが説明を始めたと同時にこの部屋に入ってきたスタッフの一人である桜花・結衣・沙紀であった。桜花たちは詩乃たちにマイクを渡してから、説明を始めたのだった。

「あ、あー。と大丈夫のようですね。皆さん、困惑していると思いますが、ここは一真様の戦艦の中でございます」

「戦艦だと・・・・!なぜここに座らせるのだ!」

「それについても、私たちがお教え致します。まずここにいる席の意味を申し上げますと、一番向こうの席がハニーと奏様たち家族の席でございます。いわば正室ですわね、そして縦長い席は側室のお方とその仲間たちの席でございます」

「最後にそれがしが仰いますと、皆様方が座っている席が一真様の愛妾とその仲間たちの席となっております」

「なぜ戦艦の中でやるんですかー?」

「それについても、ですが。一真様曰く俺達の妻と一緒にやった方が早いと仰いまして・・・・」

「秋子、それホントなの?昨日遅くに何していたのか話してくれなかったけど、これのこと!」

とかだったけどね。久遠と美空はこの後言おうとした口上があったが、それについては光璃が無駄だと言ったからであった。そして桜花たちと我たちが呼んで召喚された神仏たちは、さっそくここに来た久遠たちにピンマイクを付けさせていたけど。それは桜花たちの仕事だけど、まあいいか。浮かびながらの仕事だと手っ取り早いし。

「それとでやがるが、大評定はこれからでやがる。しばらく待機している間に目の前にある目録を見るでやがるよ」

「目録・・・・。これの事か?何やら分厚い書物のようだが・・・・」

「それに関しましても、公方様にとっては関係のある書物であります。その書物には、一真様の妻全員の情報が記載されております。ただ黒鮫隊の者に関しては名前だけでございますが」

幽がその本が俺の妻たちの情報だと聞いた瞬間に、本を開いた一同。まず最初は俺達のことだった、基本的な情報と種族に関してとかだったけど。俺が終わると奏となって優斗と深雪の情報が書かれている。

「娘がいただと・・・・?そんな事は初耳だな」

「当たり前ですね。久遠様のときはまだ深雪さんはまだ生まれてなかったのですよ」

「なんと!」

本を読みながらであったが、桜花たちと月たちはお茶を机に置いていくのだった。本来なら久遠たちが座ってから口上するはずがお釈迦になったからな。で、あとは側室の席には、召喚された神仏たちが座っていた。そしてみんなはちょうど桃香たちのページまでいくと顔を驚く顔となった。何せ劉備、曹操、孫策という三国志では有名な王の名前でもある者が一真の妻の一人だからだ。その間にヴァーリチームと英雄チームが入室してきた。黒神眷属の仲間の方だし。そして恋姫・大江戸・ISとそれぞれ入室してくる頃になって、ある者が声を上げた。

「なぜ松平の家紋が、この者と記載されているのだ?」

久遠が言ってから、葵たち松平家の家臣たちはそのページを見たら本当に松平の家紋と同じく入っていたからだった。徳川葵の家紋も入っているし、葵にとってはこのあと改名する予定の名字までもがあった。その人物は今側室の席に座っている。そして側室の席は黒鮫隊の妻たちと黒神眷属で一杯となり、そして準備完了と共に一番先の方から大天使化をした一真たちが現れたのだった。

「お待たせしまい申し訳ない。これより大評定を始める、異論はないか!」

「異論はある!なぜ我らをここに召集させたのだ?躑躅ヶ崎館で十分なはずなのでは?」

「久遠様、落ち着いて下さいませ。今ここは序列はあるのですから、本来は発言権はないに等しいのです」

「発言を許可する。何か用かな?織田上総介に長尾弾正少弼よ」

我はそう言ったらまた驚愕してしまったけど。まあそうだな、今までは通称で呼んでいたのを今はその名で呼んでいるという意味を知ったのだった。

「用がなければ、始めたいと思う。まずは織田上総介が言いたかった事を我が言おう。織田を中心とする、浅井・松平・足利・松永を含む畿内連合。そして長尾、武田・・・・日の本でも有数の力を持つ勢力が一堂に会する日が来た事を。そして我ら黒神眷属はそれぞれの者たちとの会合を楽しみにしていた。関係者の者たちには感謝を申し上げると同時に、この連合は日の本から鬼を駆逐するというだけで組まれた連合である」

「織田久遠、長尾美空、武田光璃、公方・足利一葉様を最初に挙げますが、私がここでいうなら正室である織斑奏と申します。そして連合の旗頭は、我が夫である織斑一真が勤める事となる。そして左右にいるのが、私たちの家族である息子と娘。そして長い列は一真の仲間と側室である、代表者は劉備元徳、曹操孟徳、孫策伯符、徳河吉音、徳河詠美、同じ苗字ではありますが織斑千冬。今言った代表者はそれぞれのチームの代表者であり、チームとは共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体とでも言いましょう」

と代表者である者たちが立ち上がり、投影型の映像にて久遠達は確認できたのだった。この投影についても関係者である詩乃たちには説明してあるので、奏が言っている間にその説明をさせておいた。特に織田の方は人数が多いので、神仏たちにも協力させての説明会となった。

「ごほん。では本題に入りたいと思う。そもそも敵である鬼とは何だ?と思う者も多いであろう。・・・・長尾の方はまだ鬼の脅威とはいかないが。鬼という存在がなぜ、これほどの脅威となったのか、これほど力を付けてきたのかは私の父上である全てを創ったとされる創造神ブラフマー様に聞こうと思う。・・・・がそれだと納得する者がいると思うのでそちらにいらっしゃる武田光璃晴信様に説明を頼みます」

優斗がマイク越しでそう言ってから頷いた光璃だった。そして数秒無言になってから、ピンマイクを装着した光璃が話始めたのだった。 
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