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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章
  評定の間(1)

一方俺と薫は久遠たちに引き離されてから、大広間へと続く廊下を歩いていた。まあ途中途中にダイレクトコールをしていたので、無言になっていたけど。薫は知っているからか、ダイレクトコールのときには静かにしてもらっていたのだった。

「やあ。これはこれは良人殿。お久しゅう」

「お久しぶりです・・・・」

「一二三に湖衣がなぜ躑躅ヶ崎館にいんだ?下山の方は大丈夫なのか」

「あまり大丈夫ではないんだけどね。大至急、躑躅ヶ崎に集合って粉雪から聞かされたんだ」

「下山城は、小山田さんと小幡さんに任せてあるので、大丈夫だとは思いますけど・・・・」

「まあ大丈夫だろう。俺の船でも下山の方に監視させているだろうに・・・・。そんで事情は把握してんのか?」

「当然。情報収集はうちの得意分野だしね。・・・・で、キミは薫様を連れて何をしているんだい?」

「まあ別にしょうもないのだったから、薫と一緒にさっさと屋敷の中に入ったのさ。俺にとってはしょうもない修羅場だったけど」

「なるほど~。確かに畿内の覇者、越後の龍に甲斐の虎。そんな三人に囲まれても、動じない君の方が凄いと思うけど」

「そりゃ~何千年生きているんだから、動じないさ」

そう言ったら確かにと、そう言われた。あと俺の話題はどうやら湖衣からのようで、赤くなっていたな。一二三も湖衣も自らを処女と言っていたけど、これにも動じない俺だったのか。薫もまだだけどーとか言っていた。

「武田家棟梁の御妹君まで夢中とは。・・・・この勢いだと日の本全土に留まらず、世界をも征服してしまいそうだ」

「全てを創った神なら目の前にいるだろうが・・・・。鬼を討伐したあとはもう考えていることだし」

「合図だ。・・・・・じゃあそろそろ評定の間に入るから、これにて失礼するよ。あと創造神ということは忘れてはいないからね」

「お先に失礼致します」

と言ってしまったが、トレミーでは準備完了とのことで通信機から聞いていた俺に対して静かにしてもらっていた薫だった。

「船からはなんて言ってたの?お兄ちゃん」

「準備完了したそうだよ。それで、こちらから転移したあとに、皆が部屋に入ってくるそうだ。まだこの事は一部の者しか秘密だからな」

「分かっているよ。それにお兄ちゃんは大天使化をして集中をするんでしょ?声がかかったらどうするの?」

「護法五神と武田の精霊たちが、立札で知らせるとか言ってた」

まあ一二三についてツッコみたくはなるが、今は船での軍議を集中しようと思った。評定の間にいる全員を転移させるには、集中力が必要だからな。あとは真田についても知っている。ちなみに解説があった気がするなー。あと最初は半透明のはずが、躑躅ヶ崎館から転移させるので船ではなく評定の間で大規模な転移魔法を発動するようにした。

真田家・・・・信濃の豪族。真田幸隆の代より武田に仕え、以降、知謀知略で戦国時代を駆け抜けた。

「じゃあお兄ちゃんは、大天使化をしていてね。また後で」

「ああまたな。大天使化!」

今いるのは評定の間だけど、ここに浮いているのがこの我だ。大天使化をしてこの部屋全体に魔法陣をかけての全員を移動させるので、我が座る所に座ったあとで目を瞑り「集中してますよ」みたいな感じで魔法陣を形成していた。薫は武田四天王たちが座る一角に腰を下ろしていた。けど薫以外の者たちはなぜ神の姿なのだろうと不思議がっていたそうな。

「ハニー『梅さん、静かにお願いできますか?』ああ、そうでした。では静かにしておきますが、一真隊は全員来たとお伝え願えますか?でうす様」

とここにいるのは、デウスを始めに、ヤハウェや護法五神を始めとする数々の神仏たちが、浮かんでいたり飛んでいたりとしていたのだった。そして事情を知る梅は、デウスが注意をしたので静かに従ったのだった。

『今は集中をしているが、少しなら話せる』

「では今の内に、先触れが来たと小耳に挟みましたので」

『久遠だったよ。先触れはな』

「やはりか、で、主様は何故神の姿をしておるのじゃ?」

「それについては事情がありますの。詳しくは言えませんが、ここにはでうす様を始めとした神仏たちが集まっていますから」

「皆で話してましたが、当たりましたか。きっと久遠様は自ら来られるんじゃないかって」

「・・・・今頃、本陣では壬月が苦虫を潰しておるころだろうの」

と一葉はそう言ったが、今頃の本陣はというと。壬月がくしゃみをしていたのだった。

「ふぇーくしょんっ!」

「あら。お風邪ですか?」

「分からん。が、おちおち風邪なんぞ引いてはおれん。特に今のこの状況ではな!」

「はっはっはっ!織田の大将はなかなかの傾奇者よ」

「松永ぁ!笑い事ではないぞ!後を誤魔化す我らの苦労も・・・・・!」

「でも、待ちきれずに飛び出すなんて、今までの殿には無かった事ですもの。良い変化なのかもしれません」

「それはそうかもしれんが・・・・」

「ふふっ、物事、諦めが肝心ですよ、壬月様」

「やれやれだ・・・・」

という事だったけど、一葉の言っている事はホントのようだった。

「いやはや。柴田と丹羽の両人には、心より同情を献上せねばなりませんなぁ。・・・・この細川与一郎、涙と共に深く深く同情致しますぞぉー!(一真様と船の準備のほどは出来ておられますかな?)」

「天井に向かって何を吠えておるのだ?」

「さあな?(既に準備完了だと。こちらが揃い次第、転移を開始する)」

「さて。久遠様もいらっしゃった事ですし、我らは末席より大評定の行く末を見分させて頂きましょう(船での打ち合わせ通りですね)」

「ではまた後ほどです、お頭!」

ぺこりと頭を下げて広間の隅に行ったが、実際は久遠側の側に座る事になるし船での打ち合わせ通りの状況になっていた。久遠たちの後ろに一真隊の主要メンツを座らせる予定ではある。それからしばらくしたときだった、我は集中をしていたので何も感じなかったが護法五神を始めとする神々たちが、何かピリピリと感じると言っていた。それも外から人馬の喧噪が聞こえ始めたのだった。我は腰を下ろしているが、周りには神々が盾となっているので我の姿を視認することが出来ない様になっている。座標とかちゃんと打ち合わせ通りの席の近くに転移させないとどえらいめになるからか。

『創造神様』

『うむ。どうやら来たようだが、ちゃんと注意書きをした立札を立てておけよ?俺の妹たちに、各神話の神々よ』

音に気付くと同時に、武田四天王の一角から、心がスッと立ち上がり評定の間を出て行った。たぶん出迎えの指揮にでも行ったんじゃないのかなと。

『・・・・・・』

我の前に広がるのは、この評定の間にて全勢力が会合を果たすと思っているが、昨日の関係者以外の者たち。関係者の者たちは、近くにいる者とのアイコンタクトで頷いていた。全勢力というのは俺達黒鮫隊と黒神眷属も入っているからだ。それと俺の妻たちである奥方衆との初めての会合でもある。

躑躅ヶ崎館は連合縮結の会場となるこの館の所有者にして甲斐六十万石の勢力、甲斐の虎・武田家。越後四十万石を領し、戦の天才を大将に頂く越後の龍・長尾家。そして尾張、美濃、南近江、大和、伊勢、北紀伊、山城二百万石を治める、畿内の覇者、織田家。三河、遠江五十万石、松平家江北四十万石、浅井家。石高では計れない影響力を持つ足利家。群雄割拠が続くこの国の中でも、有数の有力勢力が一堂に会し、日の本を脅かす鬼に反抗するための大連合が組まれる事となる。それは表での事で裏ではそれに加えての黒神眷属で、力は今言った者たちよりはるかに上である奥方衆と仲間たち。鬼がドウター化になった事についても一部の者しか知らない事でもある。

「(黒神眷属無しだと合計で約四百万石以上。賄える軍勢の数は、少なく見積もっても八万くらいか。黒神眷属は全員合せても百行くかどうかだけど、黒鮫隊も入れる数百ぐらいだ)」

『お兄ちゃんは集中してて。私たちも力を貸すけど、主力はお兄ちゃんのだから』

『分かっているよ。補佐してくれるんだろ?護法善神たちと各神話の神々も・・・・』

まあ今回は長い回り道もようやく本流にと戻れる。今のところ、我が座っているところは久遠たちが座るところでもある。しかし力を貯めているので、少し浮かんでいるけどな。まあ俺達の目的はドウターを倒すのが任務だし、鬼がドウター化したのなら俺達以外の者では倒せない。

「織田家家臣一同ご到着。また長尾家家臣一同、ご到着なされました」

心の案内の声を聞こえたとしても、我は目を瞑っていた。廊下の方が騒がしいが、半透明にして浮かんでいる神々が注意してくれるだろうな。この声は三若か?

「うっうー、き、緊張するぅ~・・・・」

「ば、ばっかだな犬子ー。こ、こんなの堂々としときゃ良いんだよ!俺たちゃ織田家の三若なんだぞ!」

「そういう和奏も震えているけどねー」

「ち、違うぞ雛!別にびびってなんかないんだからな!これは武者震いって言って、ブルッてるだけなんだからな!」

「どっちにしても一緒だよぉ~」

「ふふ、怖がるのはそれぐらいにして、先に入室なさい、和奏ちゃん」

「け、けど麦穂様ぁ・・・・」

「ほら、早くしないと、私の後ろで眉間に皺を、こめかみに血管を浮かべている鬼柴田様が、大爆発を起こしてしまいますよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ひゃうっ!わ、わっかりましたぁー!ほら、犬子お前から行け!」

「えー!やだよぉ!和奏から行きなよぉ!」

「なんだよ、こういう時こそ槍の又左の出番だろ!」

お前らなー、出来れば静かにしてほしいんだが。

「そんなの、この場合は関係ないわん!」

「もー・・・・じゃあ雛から入る?」

「え、雛、平気なのー?」

「うん。全然平気ー。・・・・どうするー?雛が一番乗りしても良いんだけど?」

「うーん、雛がそう言うなら私も一番乗りしたいかな」

「なんだよそれ!じゃあボクも一番乗りしたいぞ!」

「「どうぞどうぞ」」

とっとと入って来いよ!お前ら!壬月の怒りが爆発しそうなんだが・・・・。

「な、なんだよそれーっ!謀ったなぁ!」

「いつまでグダグダしとるか貴様らぁーーーーーーーーっ!」

「のわーっ!?」・「きゃーんっ!」・「ほへー」

だから言ったのに、まあ我は集中したいから入るならさっさと入って来いっつうの。で、拳骨を入れたあとに、そのまま入ってきた三バカ・・・・。じゃなくて三若だった。

「い、いったーいっ!」

「なにするんですか壬月様ーっ!」

「何もくそもあるのか!いつまでもごちゃごちゃ抜かして動かんから、こうなるんだ馬鹿者どもが!」

「暴力反対ー」

「やっかましい!ほれ、さっさと入らんか!」

「ほーい。って、あ、一真さんだー。でもあれ?神様の姿してるよ?」

『創造神様はただいま集中をしています故、静かにしてもらいたい』

と護法五神の一人である帝釈天が言った。そして犬子と和奏はどこから声が聞こえるんだと思いながらだったそうで。三若は声の元が分からぬまま、織田家の割り当てた場所へと向かったのだった。その後ろから、二人の女性が入室してきたのだった。

「久しぶりだな、一真様」

「お久しぶりです、一真様」

と二人からの声が聞こえたが、我は集中をしていながらだったので喋れない様子を見た二人とも。そしてもう一声かけようとしたら、再び帝釈天からの注意を話したのだったけど。

「この声はどこから聞こえてくるのだ?」

『目の前におりますゆえ』

「何と・・・・。すると貴女様も神の一人と?」

『初めまして、我の名は帝釈天。そして四天王を率いております、護法五神でございます』

「護法五神とは、あの長尾のお家流から呼ばれるとお聞きしましたが」

『我らを御創りになった創造神様の妹でもあります故。ただいま創造神様は大規模な事をこれからなさいますので、お静かにお願いします』

「相分かった。一真様には『聞こえてはおりますが、難しい魔法をかけようとしているので』なるほど」

とか言っていたそうだけど。壬月に関してはご愁傷様だと言っておきたいね。久遠が先触れだったから、きっと壬月は全軍の指揮をしていたに違いない。あとは単騎で独走はアカンらしくそう言いたかったと。で、二人は織田家の席に行ったのだったけど。双葉と結菜は出ないそうで、ホントは奥の管理のはずだけどそんなのないからな。

「おーっ。一真さんっすー」

「元気か一真さん」

『お兄ちゃんの代わりに言うけど、よく来たなと言ってます』

「この声は毘沙門天っすか!というか、一真さんは神の姿をしているっす!」

「なぜ神の姿?」

『それは後々分かる事だよー。それにここにいるのは私だけじゃないからね』

それで秋子は心と打ち合わせだとかだけど、秋子も関係者の一人だからなのか心の声で分かっているとの事だった。大所帯らしいし、昨日の敵は今日の友らしいから知らない人や聞いたことない人も多いとかでその調整だとか。柘榴や松葉には出来ない事らしいけど。でまあ来る人来る人での挨拶をされたが代わりに帝釈天や毘沙門天がしてくれるのはとても助かることだ。 
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