戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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二十三章
敦盛
「人間五十年・・・・・下天のうちを比ぶれば・・・・・夢幻の如くなり・・・・・一度生を亭け、滅せぬもののあるべきか・・・・・。・・・・・ふぅ」
「お疲れ様、久遠」
「おけい」
「久しぶりに見たわ。敦盛は、田楽狭間以来かしら」
敦盛・・・・久遠が好んで舞う幸若舞。人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり一度生を享け、滅せぬもののあるべきか。
「そうだったか」
「ええ」
「・・・・そうか。なら、あいつは見た事ないがないのか」
「見せたら惚れ直すかもよ?」
「・・・・別にそんな事はないだろう」
「あるわよ。私が惚れ直すくらいだもの。それに久遠、あの時に比べて、嬉しそうだった」
「だ、だから・・・・そんな事はないと・・・・!我はいつもと変わらん!」
「はいはい、強がらなくても良いわよ。あなたの顔、ニヤけちゃってるから」
「・・・・・!!」
「・・・・ほんと、私が嫁いできた時には、こんな久遠が見られるなんて思わなかったわね~」
「・・・・・・」
「・・・・どうしたの。顔をそんなにぺたぺた触って」
「いや、その・・・・だな。結菜。我はニヤついているのか・・・・?その・・・・気持ち悪くないか?変と思われてしまわんか?」
「大丈夫よ。あいつだって、久遠に会えば絶対ニヤつくんだから」
「あいつのにやけ顔を見たら、それはまるで神の微笑みだ。我までそんな顔をしておったら天罰でも下るのではないのか?」
「もしそうだったら、今頃になって下るわよ。それに嫌じゃないんでしょ」
「そ、それは・・・・まあ、見慣れればそう悪いものでも」
「ああもう、久遠っ!」
「わぷっ!ど、どうしたのだ、結菜。いきなり抱きついてなど来て・・・・」
「ううん。・・・・可愛くなったなあって」
「な・・・・・・・っ!?ななななな、そんなことはないぞ・・・・・っ!」
「おや。お邪魔でしたかな」
「白百合か。どうした」
「いえ。夫婦の愛を確かめ合っている場に踏み込むのも野暮ですゆえ・・・・お下がり致しましょうか?」
「おけい。何だ?」
「・・・・もうっ」
「畿内の鬼の封じ込め、完了致し申した。これにて、しばらくは後背の憂いなく動けるかと」
「ならば憂いは貴様だけか」
「左様。まあ、裏切るとすれば全ての鬼を根切りにしてからでしょうがな。今はあまりに益がない」
「・・・・ふむ」
「ふっ・・・・ようやく恋人を迎えに出向けるな」
「貴様もそれか。そういうのではない」
「別に恥ずかしがる事などあるまい?惚れた男を迎えに行くなど、まさに女としての誉れ。堂々としておれば良いのだ」
「そうよねぇ・・・・。ほら、もっと嬉しそうにしてていいんだってば」
「ははは。夫婦で似たような顔をしておる」
「い・・・・いいのよ私は!・・・・私だって、あいつの妾なんだから・・・・文句あるの!?」
「まさか。ただ、女として、少々羨ましくはありますがな」
「だ・・・・だったらいいじゃない・・・・。もうっ」
「ははは、言われておるわ」
「久遠もおんなじ顔してるんだからねっ!」
「ぐぬぬ・・・・」
「・・・・それと、封じ込めの部隊から一点、具申があり申した」
「何だ?」
「こちらは全力で後を追います故、先行していても構いませぬとの由」
「・・・・・・・」
「・・・・ふふっ。分かってくれてるじゃない、みんな」
「・・・・余計な気を回しおって」
「近江からも同じ内容の具申が来ておりますぞ」
「市もか!」
「さてさて、織田三郎殿。忠義の将の気遣いを踏みにじるや、好いた男をひたすらに追うや。・・・・返答や如何に?」
「・・・・ええい。うるさい!陣貝を吹け!出陣する!」
「承知!」
「・・・・一真を迎えに行くぞ!結菜!」
「ええ!」
との事だったが、実はすぐそこに神の使いがそこにいたのだが。そして会話の内容を使いから神界に行かせてから俺の脳に直接伝えている。待っているぞ、久遠!
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