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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十三章
  美濃での会話

一方無事に三河に戻った松平衆とその護衛で、美濃に戻ってきた森親子だった。

「じゃあ、越後から加賀渡って、また越前を抜けてきたってのか!?すげえな!」

「・・・・大したことじゃねーな。一真からの神の加護を受けていたんだからな!ガキ!」

「ああそうだな。これも一真が残してくれた力のお陰だ」

「大した事だよー。だって越前って報告じゃ、もう隅々まで鬼が出てきてるって・・・・。近江もこっちの手伝いが出来ないくらいの激戦地だって聞いたよ?」

「でも、加賀から美濃に戻るなら、越前よりも飛騨を通った方が良かったんじゃないのか?あっちはまだ鬼が少ないって・・・・」

「阿呆。飛騨は武田が付いておる。武田は何考えているか、分からん」

「そうだぜ。それに甲斐にゃ一真もいンだよ」

「そっかー。でも、だからって越前かぁ・・・・」

「近江までならいいけど、越前は恐いよねー」

「・・・・ふぇっ!?ボ、ボクは別に恐くなんかないぞ!恐いのは犬子だけだろ?」

「あ・・・・いや、私だって恐くないようっ!さっきのは言葉のアヤってだけだし・・・・。桐琴さんや小夜叉みたいに見た奴全部ぶっ殺すー!とかみたいなもんだよー!」

「ん?ワシらは越前だと葵のと逃げ回っていたぞ。なあガキ?」

「そうだな。オレら、十匹くらいの雑魚の群れならぶっ殺したけど、強い奴らとは殺ってねーよ。いくら一真の加護があってもな」

「え・・・・?」

「逃げたの・・・・?森一家が・・・・?」

「ン?何か文句でもあるのか、ガキが!?」

「わ、わぅん・・・・っ」

「いや、ないけど・・・・でも・・・・森一家が?」

「うっせぇぞ・・・・。ワシらだってちったら気にしてる。それはガキも一緒だ。それ以上言んなら・・・・!」

「そうだ。桐琴や小夜叉の判断は最善のものだ。それを言ったのは一真様だからだ。・・・・貴様らもよく見習え!」

「壬月様!」

「って、よりによって、森親子を見習えって・・・・!」

「よくぞ自重したな、森の。松平衆を守りながらの越前越え、見事であった。・・・・恐らく一真様の加護と神の運でも貰ったのであろう」

と言ったら、桐琴と小夜叉の身体が光ったと思えば、俺の分身体が出てきたと思えば空に向かって行ってしまった。それはまさしく神の加護、それがなくても守りながら戦えたのだからな。

「これが神の加護か。だが、次の戦は容赦などいらん。神の力無しでも戦えるように、我らはここにありと、鬼共に見せつけてやれ」

「当たり前だ。一真の指示で動いたから、今回ワシらは我慢した」

「この屈辱は万倍でも足りねえ・・・・。兆倍にして返してやらぁ」

「よく言ったぞガキ!ワシら森一家の屈辱を晴らすためだ!」

「ねえねえ、麦穂様ー」

「何?」

「・・・・何だか森親子、変わりました?」

「そうね・・・・。本当は見つけた鬼は全て倒したかったみたいだけど、一真様の指示で動いてよく我慢したなと思うのであれば、随分と成長しましたね」

「でも、三河は全然変わってないですねー。雛たち畿内の平定でちょー忙しかったのに、久遠様に挨拶したらさっさと三河に帰っちゃうし。薄情ー」

「まあ・・・・。金ヶ崎や越前越えで兵力も減っちゃったし・・・・三河武士は、お家のことが一番だから」

「日の本が鬼で一杯になったら、お家も何もないって思うんですけどー」

「・・・・義よりも優先すべき事があるのだろう」

「壬月様」

「一真様の妾になることも拒んだようだしな。桐琴や小夜叉の話では・・・・あの草に加えて何人かの将も、出向の名目で一真様の所に放逐されたらしい」

「狡兎死して走狗烹らる・・・・ですか。良い言葉ではありませんね」

「武一辺倒の無骨者からすれば、耳が痛い話だ」

「でも、一真さんの所に追い出されたのなら、それはそれでいいんじゃないですかねー?」

「・・・・そうね」

「まあ、そうだな」

「はい。一真さんなら、烹るなんてしないで・・・・ずっと可愛がってくれるでしょうしー」

一方俺らはある城に到着していた。桐琴や小夜叉に持たせた神の加護も戻ってきたようだけど、何やら綾那が叫んでいるな。俺らが最初に辿り着いたところは、若神子城。武田家が諏訪や信濃方面へ向かうときの起点となる場所。川中島に向かう今回も例外ではなく・・・・今も甲信の各地から集まってきた武田の寄子たちが、続々と部隊の編制を行っていた。 
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