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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十二章 幕間劇
  赤×赤

「えりゃああああああああああああああっ!」

「おりゃああああああああああああああっ!」

俺の脇をかすっていくが、紙一重で躱してからの一撃を躱す綾那。十分な気合と共に一撃を込める、それは武人でもあるがその前に俺は戦闘慣れしている。威力と気合を入れたのを理解しながら、回避をするがすぐに次の一手を入れるがそれも躱される。

『まだ俺らの活躍はなさそうだな、相棒』

と話してくるのは俺の相棒のドライグ。それとサマエルに最近来たティア。俺の中にいるが活躍はまだだろうなと考えていた。

「一真様、さすがです。退いてはすぐに攻撃をする、前線を指揮するくらいです」

「一真様と仕合をすると加減を使わない方がいいと悟るのです!このくらいがやる気出るです」

殺気こそはないけど、闘気は鬼を殺す並みだ。だけど、俺の持っている剣はびくともしない。まあ今の綾那は新兵なら気圧されて動けなくなるのがオチだな。たまには身体を動かした方がいいと相手を探してたら綾那がいたからやっているけど、槍と剣では間合いが違うが俺には関係ないね。

「よっしゃ!これでまた俺の勝ち!」

「また負けたのです。ですが、今度こそは負けないのです」

結局夕方までやっていたが、久々にエクスカリバーの能力を使ったからなのか、いつもより余裕に勝てた。俺自身でも勝てるけど、能力使うとさらに俺が勝ってしまうな。

「おーい、旦那ー!」

「っと、綾那」

「分かっているですよ」

俺は空間にしまって、綾那はどこからともなく蜻蛉切りをしまったと同時に粉雪が顔を見せたのは、同時だったけど。

「ああいたいた。探したんだぜ!」

「粉雪、どうしたんだ?」

「典厩様がお呼びなんだぜ。二人もついでだから一緒に来るんだぜ」

「もしかして鬼でも出た?」

「旦那の言う通り、鬼が出たんだぜ!」

「鬼が!?」

俺達が粉雪に連れられている間に俺は通信機でトレミーに連絡したら、やはりいるようだ。しかも普通の鬼では無さそうと言っていたが、上段の間に着くと通信をやめた。そしたら既に詩乃達が心と話し込んでいるところだった。

「一真様、お疲れ様です」

「詩乃達も呼ばれたのか」

「はい。部屋で書見をしていたら、心さんから鬼を発見したというお話が」

上段の間にいるのは、心に粉雪と、俺ら一真隊のメンツだけ。他の武田の将は顔を出していないようだ。

「・・・・また普通の鬼ではない強化版のでも出たのか?それか下山の防衛線突破でもされた?」

「さあ。話に聞く限りでは、下山を守る武藤殿と山本殿はかなりの手練れということでしたが・・・・」

「そうなると、必然的に考えるのは強化版の鬼か」

山本勘助は、越後にもその名を轟かせる名将。武田四天王や夕霧たちも猛者ではあるが、強化版の鬼かドウター化した鬼であればいくら武田の者でも倒せることは不可能に近い。

「・・・・二人は何か聞いていないのか?」

「あたい達もまだなんだぜ。な、ここ」

「ええ。恐らく、下山城のある身延道沿いではなく、右左口峠側の周辺から侵入してきたのだとは思いますが・・・・」

「うばぐちとうげ、ねぇ」

通信機からの新たな情報によると、強化版の鬼が多数いるとのこと。今はまだ待機中だが、俺の命で出撃可能とのこと。心と粉雪も知らんとなると、残りの武田四天王か光璃たちが来るまでは俺以外の者たちは不明という訳か。

「兄上、皆様がた。お呼び立てして申し訳ないでやがります」

「で、鬼の状況は?こちらで掴んでいる情報はあるけど、まずはそちらから」

「さすが兄上でやがりますな。物見から報告が入ったでやがります。数は十匹程度で、どれもいつもの鬼のようでやがりますが・・・・」

「下山城が抜かれたのですか?」

歌夜の問いに、夕霧は首を横に振りつつ、抱えていた大きな地図を広げて見せてくる。

「今回の鬼は下山ではなく、こっちの右左口峠付近の山中を抜けてきやがりますよ」

地図に描かれているのは、駿河と甲斐の国境辺りの様子だな。

「先ほど心たちが言ってた道か・・・・」

駿河から甲斐に向かうにはいくつかのルートがあるが、下山城が守っているのは、駿河から甲斐の直通の川沿いルートの方だ。今回鬼達が通ってきたのは、その東側。富士山の西側の裾野を抜ける山沿いルートからだった。

「鬼も道沿いに来るですか?」

「道を歩く訳ではありませんが、あの巨体で猿や狼のように身軽に山中を抜けるという話はあまり聞きませんね」

鬼はもともとの素体が人間だ。動物は獣道を作るくらいだし、鬼が歩きやすい経路を選択をしたとしても不思議な事ではない。

「それに、道沿いには宿場町もあるんだぜ」

「歩きやすい道があって、獲物のいる集落も近い、という事ですか・・・・」

鬼が道沿いに動かない理由もないな。

「今は日が出ているから、動きは鈍いようでやがりますが・・・・日が沈めばすぐに動き出しやがるかと」

本格的に動き出せば、右左口路の宿場町に辿り着くという事だが。トレミーからの情報もそこまでは同じ。

「そういえば、今日は光璃様や春日さん達は?」

「姉上と薫は、春日と兎々を連れて諏訪に出掛けてやがりますよ」

「なるほど。だとすれば、今いる手勢で何とか撃退するしかないわけですね」

「でやがります。兄上・・・・」

「そこまで言わなくても分かっている。俺も出るし、今回の鬼は強化版の鬼もそうだが推測としてあれも出るかもしれない」

あれ、というと一真隊と夕霧だけは分かった様子だった。あれについてはホントに頭の片隅にでも置いておけと言ったがもう出るとはな。

「あれとは何なんだぜ?典厩様」

「まだ話せないでやがるが、粉雪は兄上の同行を任せるでやがるよ。そして鬼の強さを見てきてほしいでやがる」

「そうこなくっちゃだぜ!赤備え隊も、最近大した戦いがなくてうずうずしてたんだぜ!」

「ちょっと、不謹慎だよ。こなちゃん」

「まあ、意気軒昂なのは良いことでやがりますよ」

と言ってから、綾那も出たいと言ってきた。まあ、あれに関しては綾那も知らないところだし。粉雪は二人のお手並み拝見したいそうだ。

「なら、頼むでやがります。夕霧は躑躅ヶ崎館を動けないでやがりますから、心は後詰めを頼むでやがりますよ」

「承知しました」

「やったです!歌夜ー!」

「はいはい」

「だったら、すぐに出陣の支度を始めるんだぜ!旦那達も、遅くなったら置いてくんだぜ!」

この段階でお手並み拝見という訳か。まあ今回の鬼はドウター化した鬼が数十匹と聞いている、強化版の鬼を入れて。物見の報告と違うのは、俺らの技術違いだろう。

「では俺らも出陣する!」

あかね色の夕焼けを背負いながら東へ東へ走るのは、粉雪率いる騎馬軍団の一団だ。

「・・・・ホントに真っ赤です」

『まるで俺らの禁手化みたいに赤いなー』

綾那はそう言い、ドライグはまるで禁手化したあれみたいだと言っていたが、ホントに赤い。鎧全体が赤いなんて、赤龍帝の鎧とほぼ同じで赤い。

「何せ、赤備え隊だからなー」

「赤備え・・・・」

「そうなんだぜ。あたいの赤備え隊は、この武田でも指折りの精鋭なんだぜ!」

「そうですね・・・・。武田の赤備えと言えば、その精強ぶりは三河にも轟いているほどですから」

「そんなに強いの?」

「当然だぜ。最初は虎姉が始めたんだけど、今はあたいが受け継いで、虎姉の時よりもっともっと強く育ててるんだぜ!」

虎姉・・・・飯富虎昌という。本作では未登場。

「・・・・虎姉?」

「あたいの姉ちゃんだぜ。今はお屋形様から信濃の内山城を預かっているから、躑躅ヶ崎の赤備えはあたいが引き継いだんだぜ」

内山城・・・・信濃佐久郡に築かれたお城。

「粉雪、お姉ちゃんがいるですか?」

「ふふん。うらやましいだぜ?」

「綾那、一人っ子だからうらやましいですよー」

「ふーん。だったら、あたいが姉ちゃんになってやってもいいんだぜ?」

「おいおい。そんな簡単にできる訳ないだろ」

「そういう話を聞くと、ちょっと放っておけないんだぜ」

「いいですかっ!」

綾那も簡単に乗るのかいっ!

「おう!任せるんだぜ!」

「ちょっと、綾那。粉雪さんに悪いでしょ」

「気にすんなだぜー。そんなの、お互い様だぜ」

とても緩い会話だな。妹分ならそういうノリOKみたいな感じなのか?

「あ・・・・でも、大丈夫です。お気持ちだけもらっとくですよ」

「ちぇ、何だぜ。せっかく妹が出来たと思ったんだぜ?」

「よく考えたら、今は一真隊の皆が姉妹みたいなものだったです。もうお姉ちゃんも妹もたくさんいるですよ」

「綾那・・・・」

まあそういうと思っていたけどな。一真隊は上から下まで揃っているし、姉は梅で妹は鞠辺りかな。黒鮫隊は別件だ。

「へー。・・・・そういえば、旦那の恋人って何だかたくさんいるって聞いたんだぜ」

「そうですね。歳で言えば私たちが真ん中辺りですから、ちょうど姉も妹もそこそこいるような感じですね。黒鮫隊は半分一真様の奥さんになりますが」

「そんな大所帯の家族だったら、あたいの方が羨ましいんだぜ」

「だったら粉雪も綾那たちの家族になればいいです」

おいおい。粉雪も緩いと思ったら、今度は綾那もかよ。

「んー。それって、旦那の妾になるって事だぜ?」

「です!」

「家族が多いのは楽しそうだけど、そういうのはまだちょっと遠慮しとくだぜ。あたい、まだ旦那のことそんなに信用してないんだぜ」

「何か余計なことだと思うのだが、素直と言うべきなのか。まあ信用するんなら、鬼を倒すところを見せればいいいところさ」

「そうですね。実力見せれば、気が変わるかもですね」

まあ裏でコソコソ話されているよりかはマシだけど。

「旦那はお屋形様の恋人になったけど、旦那らしいスゴイ所とか全然見てないから、信用出来るか分からないんだぜ」

「一真様は凄いですよ!阿弥陀様のお使いで、田楽狭間に現れたときもぴかーって光ってたです!」

「そうなんだぜ!?やっぱり旦那、凄い力とか持ってるんじゃないのかだぜ?」

「まあ言い分は間違いではないけど、訂正を入れるなら阿弥陀様のお使いじゃなくて神そのものな。あと田楽狭間のときに光ったときは今でも見せられるけど。例えばこういう風にっと」

俺は馬に乗りながら6対12枚の翼を出してからぴかーって光らせてみて。そしてその後、光を纏いながら馬を走らせたけど。その間に翼をしまったが。

「この光です!」

「旦那、マジで神様なんだぜ!?」

とか言っていたが、ここはマジと言わせてもらおう。何の神かはあとでのお楽しみなんだが。山が近付いてきたから例の右左口路らしいが。

「で、ここから先はどうすんの?」

「山道に入ったら動きにくいから不利になるだけだぜ。それよりも、山から鬼がまとめて下りてきた所を平地で後ろから叩くんだぜ」

「背後からの攻撃はいい策だと思いますが・・・・相手の動きは把握できているのですか?」

「もう三つ者が出てるんだぜ。相手の位置や出てきそうな場所はだいたい分かってるし、どこに隊を置くのがいいかは次の報告で決めるんだぜ」

相手の鬼ならそうだと言いたいが、俺らのターゲットはただの鬼じゃないって事を知っているのは俺と綾那と歌夜のみ。強化版の鬼とドウター化した鬼は簡単に倒せない相手だし、もうその情報は劣化しているな。俺らが掴んだ情報だと、今俺らの部隊が光学迷彩を使っての牽制で動きを止めている。

「旦那は何か他にいい作戦があるんだぜ?」

「そちらに策があるんなら、俺らはそれに従うのみ。ただし、予想外だったら俺の指示に従ってもらうが。いいかな?」

「ふーん・・・・。その予想外というのはまだ教えてくれないだぜ?」

とか言われているが、赤備え隊の実力も知りたいし、今は粉雪の言う通りにしておくが。

「旦那ー」

「何?」

「鬼退治が終わったら、ちょっと勝負しようだぜ」

「勝負すんのは別にいいとして、他に理由があるからじゃないのか?」

光璃が認めた相手だけど、兎々みたいに納得できないとか言っていたがそれを気に入らないというのではと思った。まあ勝負してもいいけど、奴らを倒せたらいいと思った。

「山県さま!物見が戻りました!」

俺や綾那と歌夜の実力を見定めるとか言っていたが、俺は逆に粉雪の部隊を見定めるね。

「何か俺らが囮役って感じがすんの気のせいか?」

「私もそう思います。前に行かせておいて、見定めるからだと」

「でも、先手ですよ先手!策もちゃんとあるし、囮だっていうならその囮が本隊も食い破ってやるですよ!」

「まあ、綾那がいいならいいか・・・・。でもあれもいるでしょう?一真様」

「まあな。あれがいるのはほぼ間違いない」

と俺らが話していると、どうやら鬼共が姿を見せ始めたようだった。見たら普通の鬼だが、さて、強化体とドウター化した鬼は奥にいるだろ。

「なら、てめえら行くぞ!」

「応!」

「総員、突撃ぃっ!」

鬨の声が聞こえてきたのは、俺達がいる辺りからはるか先、右左口路の山から下りてすぐの辺りからだった。俺の分身体と綾那たちがいるからであって、ここにいる俺が本体な訳だ。

「おー。始まったみたいだぜー」

「ああ。ところでよかったのか?」

「何がだぜ?」

「綾那たちに先手をを譲るの。本当は粉雪も暴れたいんだろ?」

「妹分には良い所を譲るのがお姉ちゃんなんだぜ」

「ほう・・・・。でもそれだけじゃないんだろ?」

「先手は乱戦になってバタバタするから、旦那の戦いっぷりがよく見られないんだぜ」

「そう言うとは思ったけど、先手にも俺がいるけど」

「そうなんだぜ?」

とそう言ってる間にも、俺分身体が普通の鬼を倒しまくっているな。

「ホントに旦那が戦っているんだぜ。それにあの二人もなかなか良い動きしてるんだぜ」

二人の評価はまあまあということか。今の所普通だし、問題はない。俺本体が出れば、話は変わってくるしな。普通の中に強化版が混じっているが。

「はあああああああっ!」

「ガアアアアアアアッ!」

「にゅやぁぁあぁっ!」

「はあっ!」

「「ギャアアアアアアアアアっ!」」

と鬼を殲滅中の俺ら分身体と綾那達。

「一真様、歌夜、敵陣を抜けたですよ!鬼共は大混乱なのですっ!」

「おう!総員反転しろっ!このまま総崩れの敵陣を仕留める!山県の嬢ちゃんに獲物を残す必要はない!遠慮はいらんっ!」

「総員、もう一回突撃っ!」

「・・・・さて。ここまでは粉雪さんの予想通りだけど。・・・・一真様も思っているけどこちらこそ、お手並み拝見よね」

「織斑様!」

「何だ!」

「隊の後方の山中から鬼の増援出現!挟撃です!」

「了解した!」

とこちらから分身体からのを聞いていたら、粉雪にも届いたようだった。

「いよっしゃぁっ!」

「あーらま」

トレミーの報告通りに別動隊がいたが、そいつらが強化版とドウター化した鬼だそうだ。まあ最近の鬼はホントに知恵を付けているし、ドウター化になればいくら粉雪でも倒すのは無理。久々に禁手化できるかな?

『相棒。こちらはいつでも準備できてるぜ』

『禁手化使うのはまだだ。とりあえず様子見な』

「にしし、このくらい、武田の将なら出来て当然なんだぜーっ。野郎ども!赤備え隊!丹塗りの甲冑を改めて真っ赤に染め直してやるんだぜ!一気に殲滅してやらぁぁっ!」

「ヒャッハー!一気に殲滅してやんぜ!」

「・・・・旦那。尾張じゃそんな変な叫び声するんだぜ?」

「織田家の切り札である森衆だけだよ、早くしないと取り逃すぞ?」

「それなら行くんだぜ!進め!進め進め進めぇぇっ!」

粉雪たちは馬腹を蹴って一気に街道を走り出す。俺?俺なら馬並みに走っているよ、まあ騎馬と隣で走るのは危険だから空を飛んでいるが。それにしても武田騎馬隊の速度はバイク並みだな。奇襲の鬼達が俺分身体たちにぶつかるより早くその背後に突けるというのを。粉雪の計算通りではあるが、計算外というのもあるくらい。

「はああああああっ!」

「ギャアアアアアッ!」

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃあっ!」

「ガアアアアアアアっ!」

「挟撃の鬼部隊の後方に丸に桔梗の旗!山県様です!」

「・・・・もっと勇を頼みに突っ込むだけかと思っていたけれど。さすが、赤備えを任される山県殿ね」

「てめえら!敵はこちらの思い通りに動いてるぜ!このまま俺に続けぇ!」

「それ綾那の言うセリフですよ!」

「綾那も気にしないで。鬼の奇襲部隊は山県殿と、お屋形様の恋人本体様が蹴散らして下さる!このまま目の前の敵を一気に叩くぞ!」

で、今俺らは戦っているが、やはりというか。予想通りになっていた。

「うりゃあああああああっ!」

「ガアアアアアアアッ!」

馬上から猛烈な跳躍から放たれた鋭い槍の一撃は、鬼が後退したからか不発に終わった。

「なっ!あたいの一撃を避けた!?」

「そいつは強化版の鬼だ。いつもみたいにしていると、やられるぜっ!はああああああっ!」

「ギャアアアアアアアアッ!」

ホントなら、「武田衆先鋒!赤備えの山県たぁ、あたいのこと!テメェらに言っても分かんねえだろうから、この槍の一撃で刻みつけてやるんだぜぇっ!」とこのように格好よく決めるはずが、不発に終えての鬼が粉雪に来たので、金色の刃で終わらせたけど。

「山県様!こいつら、斬っても斬れねえ!」

「なっ!」

「そいつらは鬼の強化版のさらに上だっ!」

と言いながら走りながら斬りおとす俺。それを見る粉雪と赤備え隊の者たち、で、今度はドウター化した鬼が現れたようだった。

「たく。やはり現れたか。お前ら人間には敵わない相手だ!ならば俺はこれを使わせてもらう、禁手化!」

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』

と赤く光出したら、輝きが無くなったと思ったら赤い全身鎧が鬼共を嬲り殺ししていくのを見た粉雪と赤備え隊の者たち。

「あれは何ですかい!山県様!」

「あたしにも分かんねえ。とりあえずあの赤い鎧のところに行くぞ!」

と言って俺らの方に行くが、俺が倒そうとしたら赤備え隊の者たちが刀で斬ろうとしても斬れない。逆に刀が折れた。折れたと同時にその者に向かうから、それを斬り殺したけど。そしたら今度は粉雪が前に出てきた。槍でぶつかったが弾かれた粉雪。

「な、なんで弾かれるんだぜ!?」

「おい!前に出てくるなと忠告したのに、出てくるとはいい根性しているじゃねえか」

「だ、旦那!その赤い鎧は何なんだぜ!?それにどうして旦那なら倒せるんだぜ?」

「それは見てのお楽しみだぜ!ヒャッハー!」

と言いながら剣を伸ばしり、剣の分身体を創っての串刺しにしてやった。でも加減が少しできないかも、ドラゴンブラスターを放つと威力がバカみたいになるからな。

『相棒。抑えるのは任された』

「だったら頼むぜー。ドライグ!」

言いながら鬼共を一塊にしたあとで、綾那たちがいるところにいる分身体に指示を出して鬼を一塊にしろと言った。その間に雑魚は倍加した力で斬撃を放つ。一方俺分身体は指示を聞いて綾那達に指示を出していた。

「綾那に歌夜。本体から指示が来た。鬼達を一塊にしろと。あとは本体がやってくれるんだと」

「ホントですか!なら、指示通りにするですよ!」

「一真様本体より指示が来ました。皆さん鬼を一塊にしてください。一真様のいえ、神の一撃を食らいたくなければ、指示を聞いて下さい!」

と言っている間に、兵たちは指示通りに鬼を一塊にする。殺さずに手足を斬りおとしてから分身体が浮かして一塊にしている。そうして全ての鬼を集めたので分身体が指示を本体に飛ばす。飛ばしたあとに、兵たちは巻き込まれないように避難した。そして俺本体は力を倍加しながら鬼を一塊にして鬼の道を作った。こちらは支配で鬼たちを動かしていた。それを見る粉雪と赤備え隊の者たち。

「さてとそろそろ一撃を決めるぜっ!」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』

『explosion』

「行くぜ!ドラゴンブラスター極減!」

と言って溜めた力を一気に開放してから、まるで龍の火炎放射みたいに一本道で次々と鬼達を葬る。そしたらちょうど綾那たちのところにも俺のが届いたらしく、照明弾が撃たれたので、この戦は終了となった。

「すごいんだぜ!旦那の力もだけど、その金色に光る剣に最後の放射はまさに神の力なんだぜ!」

とそう言ったら赤備え隊の者たちも、俺をまるで神を見るような目を見た。まあいいかと思い、今は帰り道。一応鬼と戦った跡は消してある。そして俺分身体が戻ってきたと同時に綾那と歌夜も戻ってきたが、俺の姿を見て驚いていた。そういえば見せるのは初めてだったか。

「その赤い鎧は誰ですかー?」

「俺だよ、綾那に歌夜。俺分身体もお疲れさん」

「やはりそちらには、あれが出たのですか。それにしてもその鎧はまさしく神の御姿」

と喋っていたら俺分身体が赤龍帝の鎧を纏っている俺に戻ってきた。あとドラゴンの翼も出してみたけどな。

「綾那たちのは普通の鬼だったようだな」

「はいですっ!でもそちらは強化体が出たですか?」

「まあな。しかも強化体のさらに上のだったよ。赤備え隊の者たちの刀は折れたあとにやられそうだったが」

「その赤い鎧は初めてみますが、何かを模しているのですか?」

「これは龍の力を鎧化したもんだ。名前は赤龍帝の鎧という」

と言っていたけど、正直こちらの方が危なかった。死傷者を出すくらいだったが、今回黒鮫隊を派遣しなかったのは強化体とドウター化した鬼に対して、人間の力がどれほどなものかを立証したわけで、これに関しての報告をしたら光璃たちもようやく理解するだろう。まあ粉雪は綾那たちを見て認めていたけど。

「粉雪さん、一真様はどうでしたか?」

「こちらの鬼は普通の鬼じゃなかったぜ。もし旦那がいなかったらやられていたかもだぜ!さっきの剣捌きといい、光るものといい。そして赤備え隊よりも真っ赤な鎧は初めて見たんだぜ。あれを見たら誰もが認めてやるぜ!にしても、旦那も悪いんだぜ。あんなお家流を持っていたなんて、先に見せていたらすぐに認めてやったのに」

綾那の頭を撫でていた手は俺の背中にバシバシ叩くが、今は鎧着ているから全然痛くない。まあ逆に粉雪が痛がっていたけど。

「ほへ?一真様、お家流使ったですか?」

「あれはお家流じゃないさ、ちょっとした技だ。それに俺の真の姿はこの場では出さないだろ」

「でもあの威力は確かにお家流みたいだったわね。まるで神の雷って感じだったわね」

「綾那もです!」

まあお家流の中には護法五神を召喚する美空のもあるが、俺の場合は違うし。お家流があるとするなら、たくさんあるからな。さっきの息吹もそうだけど、剣での串刺しに各精霊によるもんとか、エレメンツとかかな。

「でも認められたのなら何よりなのです。これで胸張って帰れるですね」

「いつも張っていたが。ところでこの姿のまま帰るの?俺」

「さーて。物見の三つ者どもが帰ってきて何もなかったら、さっさと撤収するんだぜー。旦那はしばらくその姿を維持してもらいたいんだぜ!綾那達が見る限り初めて見たという感じだから、ここや典厩様にも見せたいからだぜ!」

と言っていたが、最後はやはり心のご飯が待っているぜとか言っていたけど。ご飯なら俺らの者が作って待っていると思うと言ったらここ以外の者のを食うのは初めてだぜとかだったが、物見よりもトレミーからの情報ではこの辺りにはもういないがさらに発見したとのことだった。

「おやおや。山の東側に数匹の鬼の群れを発見したと。そちらの物見も同じことを言っているな」

「一真様。やはり、鬼が策を使うようになってきましたね。それでその鬼は?」

「聞く限り普通の鬼だと。そいつらを倒したら夕霧に報告だな」

下山ルートが封じられたから別の道という考えで、別動隊の背後を突こうとしたが。その事といい、策を考えるようになったのはそれだけ知恵を付けているようだな。まあ金ヶ崎みたいになるんだったら、黒鮫隊ので一気に殲滅だが。

「ちょ・・・・もう旦那の見定めも終わったんだから、鬼とかいらないんだぜ!空気読めないんだぜ!」

「じ、自分に言われましても・・・・」

「ですっ!早く帰って美味しいご飯を食べるです!」

『ぶっ殺すだぜ/です!』

あーあ。こういうパターンで行くのか。まあいいけど、粉雪たちは暴れたりなさそうだし。

「総員騎乗!全速で山を回り込んで、空気読めない鬼共を残らず血祭りだぜ!」

「綾那について来るですよーっ!」

「あーあ」

「ちょっと、綾那・・・・!

「「突撃ー!」」

「行っちゃったけど、俺らはどうする?幸い普通の鬼だから綾那達でも倒せるけど?」

一部のテンションが高い赤備えを連れて、二人はあっという間に街道の彼方へと。

「あ、あの・・・・・・織斑様・・・・・?」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「俺達も行くか~。あいつら、あとでお仕置きだ。聞け!俺たちは後方から二人を援護しつつ、前が伏兵や奇襲を受けんように支援する!俺は空から様子見しているから、あとはよろしく。歌夜」

「了解ですっ」

「ええっと・・・・自分たちは・・・・・」

・・・・赤備え隊の全員があのテンションなわけないよなー。ついて行ってるのは一部だし。見ると騎馬の兵や馬を置いてきた兵のいくらかはまだこの場に留まったままだった。

「お前らも悪いが、騎馬隊は粉雪たちに追いついて、周辺の警戒をしておいてくれ。もう少ししたら落ち着くと思うが、今伏兵を受けたらヤバい事になるのは間違いないと思うから」

俺の鎧姿を見ていたのは平然と話しかけてきた赤備えの兵たち。食べ物の恨みは怖いとは言うが、腹減っているときの恨みとはそれこそダブルアップトリプルアップの領域と言うらしいが、俺は意味が分からんで言ってみたが。勢いは俺並みに威力だと思うけど、その分隙が大きく出来るわけだし。

「はっ」

「一真様」

「歌夜たちは急いで行って来い!俺は空から様子見しているから。お前ら歌夜の言う事をちゃんと聞けよ!」

と指示を出してから、俺の馬をバイク飛行モードにしてそのまま鎧姿であとを追った。それを見ていた歌夜たちも馬へと飛び乗って後を追って行った。ちなみにこの後KYな鬼を倒したあとに説教をした。そのあとにやっと躑躅ヶ崎館に戻ったが俺の鎧姿に圧倒されていた者達。で、やっと禁手化を解いたあとに報告をしたら夕霧と心による説教の第二ラウンドが発生。その間俺らは、トレミーから夜食を持ってきた桜花たちと共に夕食を食べた俺と歌夜だった。 
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