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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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漆黒の騎士は姫と共に戦う

シノンとの念入りな作戦をたて、洞窟を抜けると、ダークは息を吐く。
午後九時四十五分。本大会開始から七回目のサテライト・スキャンが行われる時間。
ダークは端末を取り出すと、表面に触れた。パネルが点灯し、周囲のマップが表示される……が。
「……ったく、彼奴は」
そこには、ダークとシノン以外、濃いグレーに沈むドットがあった。恐らく、ミヤビであろう。で、自らも死んで、決着を付けろと言うことらしい。
「……余計な事を。まぁ、助かったぜ、相棒」
ダークは居ないミヤビに言うと、背にある<漆黒の狂戦士>を抜き放つ。
「さて、ザザは何処に居るかな?」
俺は眼を閉じ、耳を澄ます。
途端、微かな銃声の音が聞こえ、ダークは漆黒の太刀を振る。
キュイン!と音がし、太刀が揺れる。
「ーーーーーそこか」
一筋の幻影を残し、ダークは砂を蹴り、走り出した。

シノンSaibo
シノンは、ダークの指示で低い岩山の頂上から狙撃態勢を取っていた。
別にダークを疑う訳では無い。
「……今度こそ、俺は私を守る………か」
つい数分前に言われた言葉を思いだし、シノンは笑う。
「なら、私は貴方を守る。絶対に」
シノンはヘカートllのスコープを覗くと、視野の端を、白い光が右下から左上へと、横切った。恐らく、死銃が発射した338ラプア弾だ。
それをダークが太刀で斬ると、駆け始める。
ーーーーー速い!
シノンはダークを見て思う。
彼処までの速度を持つのは、闇風辺りだと思っていたからだ。
シノンは気を取り直して、スコープの倍率を上げ、銃弾の発射位置を捉えた。
ーーーーー居た。大きなサボテンの下!
シノンはその姿を見て、静かに息を吐き、言う。
「……貴方は亡霊じゃない。人殺し。そんな人に、私の大切な人は撃たせない」
ボルトハンドルを引き、初弾を装填した愛銃の照準を、シノンはうずくまるぼろマントのフードの奥へと向けた。
トリガーに触れ、僅かに絞る。
瞬間、死銃の頭がピクリと動いた。恐らく、勘か何かか。だが、それだけではーーーーー
「勝てない」
死銃がスコープの中でL115を動かし、銃口を向けた途端、トリガーを引いた。
轟音。同時に、死銃のライフルも火炎をほとばしらせる。
途端、瞬時にスコープから顔を離すと、ヘカートに装着していた大型スコープが、跡形も無く吹き飛んだ。
そして、ヘカートの放った弾丸は、L115のレシーバーへと命中した。
「後は、貴方の仕事よ、翔夜さん」
シノンはそう言うと、ダークの無事を祈る。

ダークSaibo
シノンの弾丸のお陰で、サイレント・アサシンは破壊された。後は、奴を奴足らしめる銃剣作成スキルで作った刺剣を破壊し、奴をゲームオーバーさせるだけだ。
「ザザ、これでお前もゲームオーバーだ!!」
初手、いきなり大技の<ヴォーパル・ブレイク>で、一気にザザに接近する。
「くっ……」
ザザは刺剣を取り出すと、それを防ぐ。
「お前、それは、剣、か」
「俺の相棒さ。システム外スキル<武器創造>で造り上げた、俺だけの相棒」
そして、そこから回転して<フューチャー・イグニス>。白い剣閃がザザを切り裂く。
「くっ……」
ザザはスタースプラッシュで応戦するが、此方は天城流体術<三ノ型 雷閃・閃撃>で全てを弾く。
「何、だと」
「言っただろう?所詮、殺人者と滅殺者は天と地ほどの差があるんだよ!」
そして、体術スキル<業撃>を発動。
横っ腹目掛け、踵で思いっきり蹴り飛ばす。ミシミシ言ってたのは聞かなかった事にする。
「ぐ、ふ………」
「終わりになんてさせない。お前は、人を殺しすぎた……」
そして、俺は俺のいつもの言葉を言う。
「さぁ、審判の時だ。有罪(ギルティオア)無罪(ノットギルティ)か……当然、貴様は有罪(ギルティ)。監獄に送ってやるよ」
瞬間、<滅殺剣>体術スキル<ストムリーバー>で刺剣を叩き落とすと、胸に蹴りを叩き込む。
「ハアッ!!」
更に、<ブラッティ・デス・ブレイド>二十連撃を発動。菱形の様に連続で斬撃を放ち、最後に回転して一閃する。
「お前は、死んだ人間の家族の事を思ったことは一度も無いのか?」
「決まって、いる。人間は、全て屑だ。それを、殺して、何が悪い」
「ああそうかよ。なら……」
ダークはある構えをすると、左手にもう一つの漆黒の太刀が現れた。
「テメェは地獄で、閻魔に懺悔でもしてろ、社会の塵屑(ごみくず)が」
滅殺剣太刀二刀流禁断技<世界(ワールド)崩壊(カタフストロフ)>全二百五十連撃をザザに放った。
ザザはそれを食らうと、HPを消滅させ、その場に崩れ去る。
「……審議、完了」
ダークはそう言って身を翻すと、そこには、スコープの無い、ヘカートを持った狙撃手の女の子が立っていた。
「……シノン、終わったぜ」
シノンは初めて微笑を浮かべると、拳をぶつけた。
「……さて、後は、俺とシノンだけだが……流石に殺すのは気が引ける」
「それは私も一緒だけどね」
シノンがそう言うと、思い出した様にダークは言う。
「取り合えず、大会での危機は去って、シノンが狙われる心配は無いけど……一応、ログアウトしたらすぐに警察を呼べ」
「でも、………うん、分かった」
シノンはダークに何かを言おうとしたが、納得したらしい。
「よろしくな。俺の方からも依頼主には話を付けておく。遅くとも十分で着くようにしてもらう」
「ん、解った」
「さて、ログアウトするにはまずBoBを終わらせねぇとだな。何かいい案在るか?」
すると、シノンが言う。
「うん。レアケースだけど、北米サーバーの第一回BoBは、二人同時優勝だったんだって。理由は、優勝するはずだった人が油断して、<お土産グレネード>何て言うケチ臭い手に引っ掛かったから」
「お土産グレネード……如何にもな罠だな……」
「負けそうな人が考え付きそうな物だからねぇ……はい、これ」
シノンから黒い球体の物を受け取ると、シノンはそれの上を少しいじる。
直感でそれが何かを察したダークは投げようとしたが、それを阻止しようと、シノンがダークに抱き付く。
途端、二人のアバターの間に、眼も眩む程の強烈な光が生まれ、ダークの呆れ顔とシノンの微笑を純白のスクリーンに溶かした。
試合時間、二時間四分三十二秒。
第三回バレット・オブ・バレッツ本大会バトルロイヤル、終了。
リザルトーーーーー【Sinon】及び【Dark】同時優勝。 
 

 
後書き
最後チートですが何か?
ダーク「開き直るなよ!!」
まぁ、過ぎた物はしょうがない。お土産グレネードしたかったんだもん♪
ダーク「だもん♪じゃねぇし!!」
さて、次回は新川某の横暴を止める為、ダークが駆ける!!
ダーク「よし、原型留めない程文ぶん殴る」
程ほどにしいよ。
では、次回もお楽しみに!! 
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