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レインボークラウン

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第百七十三話

              第百七十三話  やってみて
 とりあえず亜美は一曲作詞と作曲をしてみた、そうしてみてから母に対してその曲を見せて問うたのだった。
「どやろ」
「ええんちゃうか」
 これが母の返事だった。
「これで」
「ええんかいな」
「うん、一曲目にしてはな」
 生まれてはじめて作詞作曲した曲としてはというのだ。
「ええやろ、これで」
「何か微妙な評価やな」
「微妙って思うか」
「ちょっとな、ええか悪いかやなくてな」
「けど亜美ちゃんはじめてやろ」
 母は娘にこのことをまた言った。
「それやったらな」
「こんなもんかいな」
「そや、こんなもんや」
 そうだというのだ。
「ええと思うで、うちは」
「何かその言い方やったら」
 亜美は母にこう返した。
「もっと作ってみろっちゅうふうに聞こえるで」
「音楽も数や」
 母は娘に強い声で告げた。
「数やってな、どんどんな」
「よくなってくんやな」
「そやからや」
 だからだというのだ。
「もっと作詞作曲するんや」
「それでその中で一番ええ曲をか」
「メンバーに出したらええんや」
「そういうこっちゃねんな」
「そやからええな」
「これからもやな」
「作詞作曲や」
 これに励めというのだ。
「そうしいや」
「何でもかんでも数やることやねんな」
「お料理でもしていけばどんどんよくなるやろ」
 母は笑って娘にこうも言った。
「そやからな」
「作詞作曲も数やる」
「そういうこっちゃな」
「ほなええな」
「わかったわ、どんどん作詞作曲やってくわ」
 亜美は母の言葉に素直に頷いた、そうしてだった。
 作詞作曲を続けていく、そうして十曲程作ってだった。
 出来た曲を全てクラウンのメンバーのところに持って行くのだった、一曲だけ持って行かなかったのには訳があった。


第百七十三話   完


                         2014・10・3 
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