美しき異形達
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第二十六話 姉妹の日々その九
「色々あるけれどね」
「昔のギャグ漫画か」
「天才バカボンとか?」
「マカロニほうれん荘とかかよ」
「コロコロコミックの昔のギャグ漫画も凄かったみたいね」
少年雑誌のギャグ漫画の破壊力は凄まじい、講談社が出していたコミックボンボンのギャグ漫画にしろ名作が多かった。
「今も色々あるけれどな」
「面白いギャグ漫画ね」
「パワーとノリのあるな」
「そうした漫画がね」
「そうした漫画はね」
黒蘭は何時しか二人と一緒にコミックコーナーに向かっていた、その中で彼女達とわりかし仲良く話していた。
「読んでいてもね」
「パワーとノリを感じて」
「余計に笑えるのね」
「そうした漫画もよく読むわ」
そうしたギャグ漫画もというのだ。
「私はね」
「そうか、それじゃあ」
「これからもよね」
「黒蘭ちゃんそうした漫画も読んで」
「自分も描いてるのね」
「私が描く漫画はギャグ漫画じゃないけれど」
それでもだというのだ。
「参考にさせてもらっているわ」
「違うジャンルでもか」
「そうしてるのね」
「ギャグも入れるから」
自分が描いているその漫画にだ。
「だからね」
「笑うことと一緒に」
「自分の漫画の為にも」
「読んでるのか」
「両方の目的で」
「そうなの、それでだけれど」
ここでだ、黒蘭は二人に問うた。
「貴女達さっきマカロニほうれん荘って漫画出したけれど」
「ああ、あたしだよ」
出したのはとだ、薊が答えた。
「あの漫画な」
「かなり昔の漫画だけれど知ってるのね」
「孤児院にあったんだよ」
その漫画が、というのだ。
「院長さんが漫画も図書に置いていてさ」
「それで読んだのね」
「他にも色々あったよ、漫画は」
こうも答えた薊だった。
「ギャグ漫画だってさ」
「そしてその中にあって」
「読んだら抜群に面白くてさ」
それで、というのだ。
「あたしも好きなんだよ」
「そうなのね、私もね」
「黒蘭ちゃんもか」
「ええ、あの漫画はね」
マカロニほうれん荘は、というのだ。
「たまたま文庫で見付けて読んで」
「滅茶苦茶面白いよな」
「あのセンスは最高よ」
作者のそれは、というのだ。
「そうそう真似出来ないわ」
「だよな、あれは」
「天才って言うのかしら」
「その域に達してるよ」
薊も黒蘭のその言葉に頷く。
「本当にさ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「ギャグ漫画は難しいって言われているわ」
「難しいっていうと?」
「そのパワーを維持していくことが」
漫画にあるそれを、というのだ。
「そう言われているわ」
「ああ、そうなんだ」
「何年も描いていくことはね」
「それはそうだろうな、やっぱり歳取って大人しくなったりするしな」
人間というものはそうだとだ、薊も頷く。
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