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美しき異形達

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第二十六話 姉妹の日々その三

「テレパシーを使ってもね」
「その力があっても」
「その人の無意識まではわからないわ」
「無意識ね」
「人の無意識は本人にもわからないというから」 
 それは底なしの沼である、中には何があるのかそしてどこまで深いのか。誰にもわからないものなのだ。
「だからね」
「私のこともなのね」
「よく知っているとは言えないわ」
「そう言うのね」
「ええ、それで姉さん」
 黒蘭はあらためて姉に言った。
「今日だけれど」
「今日どうかしたの?」
「私遅くなるかも知れないわ」
 このことをだ、姉に前もって言うのだった。
「少しね」
「部活かしら」
「部活の後で本屋さんに寄るつもりだから」
 それでだというのだ。
「少し遅くなるかも知れないわ」
「本屋さんに寄る分だけね」
「そう、だからね」
「わかったわ、それじゃあね」
「いいのね」
「それ位ならね」 
 本屋に寄るレベルなら、というのだ。
「何でもないから」
「そう言ってくれるのね」
「晩御飯は何がいいの?」
「何でも。と言いたいけれど」
 言ってすぐにだった、黒蘭は自分の言葉を訂正してだ、鈴蘭にこう言ったのだった。
「シチューお願い出来るかしら」
「わかったわ、シチューね」
「ビーフシチューをね」
「それじゃあそれとね」
 ビーフシチューに加えてとだ、鈴蘭は笑って話した。
「グラタンかしら」
「グラタンも作るの」
「気分でね。マカロニグラタンをね」
 作ろうというのだ。
「それとやっぱり御飯ね」
「その組み合わせね」
「ええ、じゃあね」
「晩御飯も楽しみにしておくわ」
「そうしてね、それではね」
「今日もね」
「楽しんでいきましょう」
 学園生活をだ、そうした話をしてだった。
 黒蘭も白蘭も学校に行った、そうして部活の朝練に出た後でだ。
 黒蘭はクラスでクラスメイト達と一緒に学校の休み時間にポーカーをしていた、その彼女にだった。
 一緒に遊んでいるメンバーとは別のクラスメイトがだ、来てこう言って来た。
「黒蘭ちゃん、お客さんがね」
「お客さん?」
「ええ、教室の前の扉のところにね」
「誰かしら」
 クラスメイトの言葉を受けてそちらを見るとだ、そこには薊が笑顔でいて右手を大きく振っていた。その薊を見てだ。
 クラスメイトは少し笑ってだ、黒蘭にこう言った。
「あの娘がね」
「薊さんね」
「そう、黒蘭ちゃんに用があるんだって」
「何かしら」
「それはあの娘に聞いてね」
 その用件は、というのだ。
「そうしてね」
「それじゃあ」
 こう話してだ、そしてだった。
 黒蘭は薊のところに行ってそうしてだ、彼女に尋ねたのだった。
「どうしたのかしら」
「ああ、実はさ」
「実は?」
「あたし達全員で夏休みに旅行に行くことになったんだよ」
 薊は黒蘭にこのことを明るい笑顔で話した。
「それで黒蘭ちゃんと白蘭ちゃんもって思ってさ」
「お誘いに来てくれたのね」
「ああ、どうかなって思ってさ」
「そうなの、夏休みに」
「場所は関西全域な」
 何処に行くのかもだ、薊は黒蘭に話した。 
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