東方紅魔語り
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紅霧異変
Part8 主人公
前書き
前回の投稿から数分、私です。
今回はあまり話すことも無いです、はい。
では、ゆっくりしていってね!
紅霧異変・・・まさかここまでとは、と言葉を思わず漏らす。
ベッドに転がってその部屋にある窓から空を眺めていたのだが、何か赤いものが空を覆っていくのが見えたのだ。
一瞬だけパニックになったが、それはすぐに解消された。
レミリアが動いたのだ。異変を起こすべく。
「博麗の巫女・・・博麗 霊夢か、確か主人公だったかな」
主人公を相手取るというのは些か忍びないが、戦わなければならないのだろう。
もし戦った場合、勝てない自信がある。
「ま、レミリアの考えだと確か二日後だったか?ま、それまでは大丈夫だろ」
そう思い、窓から目を離した。
「とりあえず今はゆっくりと寝させてもらうと・・・」
そこまで言えたが、その後の台詞が口に出せなかった。
口を塞がれたのだ。凄まじい力で。
「む、ぐがぐぐぐ・・・!?」
携帯を取り出す暇すら無い。
まさか、もう誰か異変解決に来たのか!?と悪い考えが頭の中を過ぎっていく。
だが、その考えは一瞬にして消し飛んだ。
「しー、私だよ?フランだよ」
声が聞こえてきた。
口を塞いでいた手が離される。
急いで背後を振り向いて、その人物を見た。
そこには虹色の翼を持つ吸血鬼、フランドールが人差し指を立てながら座っていた。
「フ、フランドールさん?」
フランはニッコリとした笑顔で頷いた。
警戒した体から緊張が抜けていく。
「ふー・・・それでどうなさったんですか、フランドールさん」
「あのさ、私だけ今回の異変への参加がされてないよね」
「ああ、はい」
言いながら頷いた。
確かフランが組み込まれていない理由は『力の制御が不安定だから』だったか?と、レミリアから聞いた事を脳内でリピートしていく。
まあ個人的に、フランには危険な目にあって欲しくはないから反対などしなかったが。
「そこでね、ほら、あなたって弾幕撃てないんでしょ?咲夜から聞いたよー」
「まず撃ち方を教えてもらってませんし・・・」
「私がサポートしてあげるー」
・・・はい?、と思考がショートしかけた。
此方の反応は無視し、フランはカードを手に持って、そのカードに息を吹きかけた。
瞬間、目の前の空間が陽炎のように揺らめき、その揺らぎはやがて人型へと姿を変えた。
それを見て、驚愕に顔を染める
その人型というのは何者でも無い、『俺』だった。
「私の得意分野、まず炎の熱でその人そっくりの幻を作り出すの、『蜃気楼』みたいなものかな?それに私自身の魔力を注ぎ込んで肉体を作り出し、コントロールするってね」
フランはそのカードを差し出してきた。
「スペカあげるよ、宣言すれば使えるからさ」
フランの手からカードを受け取る。
「スペル名は、幻符『ドッペルゲンガー』かな」
赤い十字架が描かれたカードに、確かにそう記載されている。
「効力は使ってみてからのお楽しみー」
そう言うと、フランは翼をゆっくりと動かし、空へ浮かび上がった。
「それじゃ、あんまり外に出ているとお姉様辺りに気付かれちゃうから。またねー」
手を振りながら、フランは扉の向こうに消えていった。
一人取り残された俺は、貰ったカードへ視線を向け、口を開く。
「・・・フラン・・・めっちゃいい子じゃねぇか」
よく『危険で幽閉されている』と聞かされていたが、その認識は間違っていたのか?と、いま何処にいるのか分からない友人の言葉を疑う。
そういえば、あいつは2次小説関連しか読んでなかったな。と思い出した。
「そうだよな、よく考えれば、『フランが幽閉されていた〜』なんて設定、原作の何処にも無かったしな」
確かに『495年間、外に出ていない・地下にいた』とはあったが、『幽閉されている』なんて無かったような・・・、と思いながら、そのカードを懐にいれた。
とりあえず、このカードはフランからの差し入れ。大事にしよう!
と心に決めた所で・・・。
「いる?」
部屋の扉がノックも無しに開かれた。
そこには、悪魔のような翼を持った吸血鬼・レミリアが佇んでいた。
「まあ居ますけど、ノックくらいして欲しいのですが・・・」
「私の館だからいいの。まあいいわ、ちょっと貴方の能力を貸してくれない?」
「俺の能力ですか?」
俺の能力・・・100と0のアレか?でも、あれが役に立つ場面なんてあんまり無いと思うが・・・。
「いーから、早くしなさい」
レミリアは俺に背を向けながら急かす。
まあ、俺は雇われている身だから断れない。
大人しく頷き、その背中に付き添うように歩いた。
「・・・?」
廊下を俺と歩いていたレミリアは、突然足を止めた。
上方を見ながら動きを止めている。
気になり、その方向へ視線を移動させた。
そこにはーーー。
「よし、霊夢の奴は今頃コタツの中かな?」
無残に破壊された壁と、その瓦礫の上に降り立っている一人の少女がいた。
竹箒を肩に担ぎ、キョロキョロと周囲を見渡しながら、その魔女少女は呟く。
まるで何かを確かめるかのように。
「それじゃ、霊夢に先越されないようにぱっぱと攻略しますか!」
俺達の存在には気付いていないのか、その少女は無防備なまま意気揚々と腕を振ると、その竹箒に跨り、軽く瓦礫を蹴った。
瞬間、その少女の体は重力に逆らうように空中へ浮かび上がり、その身を屈めた。
「さあ何処にいるかな?異変の首謀者は!!」
気合を入れ直すように大声で叫ぶと、少女の体が眩い光に包まれた。
すると次の瞬間、少女は閃光となって消え去った。
その場には、破壊された壁の瓦礫のみが残っている。
「・・・なんなの、今の?」
何が起こったのか、と首を傾げながら呟くレミリア。
だが、俺の頭はある一人の人物を思い浮かべ、少しパニックに陥りかけていた。
忘れていた、霊夢に並ぶ主人公を。
霊夢『だけ』を倒すためだけに練られた作戦を帳消しにしてくる。
霧雨 魔理沙。
魔法を操る程度の能力を持つ、魔法使いの少女。
「博麗の巫女では無さそうね、巫女服じゃないし。興味本位で侵入してきたバカかしら?」
魔理沙を知らないレミリアは、心底呆れたような表情を作る。
「と言っても、妖精メイド達でやれるかは分からないわね。博麗の巫女が来るまでに排除しときたいけど・・・」
そこまで言うと、レミリアは此方に視線を送ってきた。
何か嫌な予感が・・・。
「貴方、あれを潰しなさい」
「・・・マジすか」
予感は的中。
冗談ではない。相手は主人公の一角、魔理沙だ。俺程度で勝てるかどうか分からない。
・・・いや、そもそも武器が『フランから貰ったスペルカード』しか無いから、戦闘すら出来ないのですが。
「はい、早く行く」
どうやら此方に拒否権は無いらしい。
・・・どうなっても知らねえぞ。
「はあ・・・移動速度を100に」
ただし、俺は速度に関しては並べる自信がある。
携帯をポケットにしまい、床を蹴った。
紅魔館の中で、高速と高速の戦闘が始まる。
後書き
イラスト見ていただけた方へ→下手ですみませんでした。後日、完成体(笑)を描きたいと思っております。ハイ。
少し急いでいるので、今回は失礼させていただきます。
では、次回もゆっくりしていって下さいね!
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