問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜常識を謳うチートな彼も来たようですよ?〜 【更新停止】
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始めてのギフトゲーム(見学と説明)とギフトの初使用♪
前書き
遅くなりましたが、
この作品は、ほぼ原作と一緒のことになりますが一部省略したりします。
12/30ギフトの一つを変更しました。
1/24 ギフトの一つを変更しました。
ギフトの変更しすぎて申し訳ありません…
女性店員さんと別れ、白夜叉と呼ばれた少女に案内されて僕達は暖簾をくぐり不自然な広さの中庭に出た。
「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で我慢してくれ」
そう言われて和風の中庭を進み、縁側で足を止める。
障子を開けて招かれた場所は香のようなものが焚かれており、風と共に僕たちの花をくすぐる。
個室と言うにはやや広い和室の上座に腰を下ろした白夜叉さんは、大きく背伸びをしてから僕達に向き直る。
「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている"サウザンドアイズ"幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」
「はいはい、お世話になっております本当に」
投げやりな態度で受け流す黒ウサギ。その隣では耀が小首を傾げて問う。
「その外門、ってなに?」
「箱庭の階層を示す外壁にあるもんですよ。数字が若いほど都市の中心に近く、同時に巨大な力をを持つ者達が住んでいるのです」
黒ウサギが描いてくれた上空からみた箱庭の図は、外門によって幾重もの階層に分かれている。
その図を見た僕と三人は口を揃えて
「…超巨大タマネギ?」
「 樹の年輪?」
「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」
「そうだな。どちらかと言えばバームクーヘンだ」
うん、と頷き合う三人組。身も蓋もない感想にガクリと肩を落とす黒ウサギ。
どうでもいいけど、君らは食べ物のことでしか表せないのか?
対照的に、白夜叉さんは阿々と哄笑をあげて二度三度と頷いた。
「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は"世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ ーーー その水樹の持ち主などな」
白夜叉は薄く笑って黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を投げつけた。
「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ? 知恵比べか? 勇気を試したのか?」
「いえいえ。この水樹は十六夜さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめして来たのですよ」
自慢気に黒ウサギが言い、白夜叉が驚いているが僕も正直驚きだ。神って本当にいたんだな。くすっ、面白そうだね。
黒い笑みを浮かべて思考に没頭していたようで気づいたら問題児三人が白夜叉にギフトゲームを挑もうとしているところだった。
そして、白夜叉さんが着物の裾から一枚のカードを取り出して壮絶な笑みで一言、
「おんしらが望むのは"挑戦"か ーーー もしくは"決闘"か?」
刹那、僕たちが投げ出されたのは白い雪原と凍る湖畔 ーーー そして、水平に太陽が廻る世界だった。
「………はっ…!!?」
余りの異常さに、同時に息を飲んだ。箱庭に招待された時とはまるで違う感覚。
遠く薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を廻る、白い太陽のみ。
まるで星を一つ、世界を一つ作り出したかのような奇跡の顕現。
唖然としている僕達に、もう一度、白夜叉は問いかける。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は"白き夜の魔王" ーーー 太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への"挑戦"か? それとも対等な"決闘"か?」
魔王・白夜叉。少女とは思えない凄味に、またしても唖然としてしまった。
そして、しばしの問答があり十六夜がゆっくりと挙手して
「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けると言うことでいいかの?」
「ああ、これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格がある。 ーーー いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」
「くく、可愛らしい維持の張り方もあったものよの」
白夜叉、十六夜をあまりからかわないで欲しいよ。確かに事実だけどさ…
「 して、他の童達も同じか?」
「………ええ、私も、試されてあげてもいいわ」
「右に同じ」
よかった。これで、もし、戦うとすれば確実に負けていたからね。流石にこの年では死にたくはない。
「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!"階層支配者"に喧嘩を売る新人に、その喧嘩を買う"階層支配者"なんて冗談にしても酷すぎます!それに、白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」
「何?じゃあ元・魔王ってことか」
「はてさて、どうだったかな?」
えと、黒ウサギ、今、何千年って言いましたか?え、ええ!?箱庭ではこう言う人が沢山居るの!?………いや、いそうだな…。
「それに、香夜さんも傍観していないで黒ウサギを手伝ってください!」
「いや、無理です無理です。この人たち相手にツッコミ入れられるほど常識は捨ててはいないんです」
それは黒ウサギが常識外れってことですか〜!!!と言わんばかりにハリセンで叩かれた。……あぅ、痛い…。
僕が叩かれて痛みに悶絶していると、山脈の方から甲高い叫び声が聞こえた。
「ふむ、あやつならばおんしらを試すには打ってつけかもしれんの」
そう言いながら、白夜叉は湖畔を挟んだ向こう岸に手招きをする。
すると、体長5mはある巨大な獣が翼を広げて空を滑空して来た。
その獣は人なら一度は聞いたことがある鷲の翼に獅子の下半身を持つ、グリフォンだった。
「さて、肝心の試練だがの。おんしらにはこのグリフォンと"力"知恵"勇気"の何れかを受けてもらおうか」
『ギフトネーム名 "鷲獅子の手綱"
・プレイヤー一覧 逆巻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
椎崎 香夜
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。
・ 敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“サウザンドアイズ”印』
「私がやる」
僕たちがギアスロールを読み終わると耀が指先まで綺麗に挙手をしてそう言った。
止めようと思ったけど、彼女はグリフォンを羨望の眼差しで見つめているし、動物とも会話ができるとか言ってたから大丈夫だろう。と思って止めなかった。そもそも止まってくれないだろうし…。
それと、なんで僕までギフトゲームにはまってるんだろう。一回も口には出してないんだけど?
「OK、先手は譲ってやる」
「気を付けてね、春日部さん」
「無理しない程度にがんばってね」
「うん。頑張る」
耀は激励に短く返してグリフォンと一緒に少し遠くに離れた。
多分、僕たちや白夜叉を巻き込まない為だろうね。
「え、えーと。始めまして、春日部耀です」
耀がグリフォンに話しかけると微かに動揺したようなそぶりをした。耀のギフトって幻獣にも効くんだな。
僕的には、あまり騒動はしないで欲しいけど、多分無理だろうな。
「私を貴方の背に乗せ………誇りをかけて勝負しませんか?」
予感的中ですか。グリフォンは気高いって言われてるから誇りへの挑発は最も効果的だけど、どうするのかな?
耀さんがグリフォンと交渉を続けると、いつの間にか誇りと命を賭けた勝負へと変わった。
◆■◆■◆
結論から言うけど、耀が最後にグリフォンの背中から落ちかけたこと以外は順調に進み、今は白夜叉からお礼をもらうところだ。
「………ん。か…さん。香夜さんっ!聞いてるのですかっ!?」
「っひゃあ……な、なにっ!?」
「「「「……………////」」」」
黒ウサギがさっきから話しかけられていたようで最後の怒鳴り声に驚き、つい女の子のような声を出してしまった。しかも、怒鳴った黒ウサギや問題児の三人も顔を赤らめている。……ぅぅ…恥ずかしい// ……って、あれ? 白夜叉も顔を赤くしてない? 気のせいですよね?
「っん、んんっ! さて、白夜叉様。ギフトの鑑定をおねがいしたかったのですけど…」
微かに顔を赤らめていた白夜叉が鑑定と言われると気まずそうな顔になった。
「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」
困ったように白髪を掻き上げると着物の裾を引きずりながら僕たちの顔を見てきた。
「どれどれ…ふむふむ…うむ、全員ともに素養は高いのはわかった。しかし、おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「さっぱりわかりません…」
「うおおおい? いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのがわかるがそれじゃあ話も進まんだろうに。 しかも、真面目に答えたおんしもそれじゃあ意味がなかろう」
本当にごめんなさい…。 でも、元の世界では使ったことがないんですよ………と言うか、この問題児たちは魔王様に喧嘩を売ってるのか?
「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札を貼られるのは趣味じゃない」
十六夜がきっぱり拒絶すると同意するように頷く二人。
それをみてしばらく悩んでいたようだけど妙案が浮かんだようににやりと笑った。
「ふむ、何にせよ"主催者"として、星霊のはしくれとして、試練をクリアした恩師らには"恩恵"を与えなければならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度よかろう」
白夜叉が柏手を打つと僕たちの目の前に光り輝く三枚のカードが現れた。
コバルトブルーのカードに 逆廻 十六夜・ギフトネーム"正体不明
ワインレッドのカードに 久遠 飛鳥・ギフトネーム"威光
パールエメラルドのカードに 春日部 耀・ギフトネーム"生命の目録"・"ノーフォーマー"
クロムシルバーのカードに 椎崎 香夜・ギフトネーム"神眼"・"概念武装庫"・"形骸変容"
カードを手に取ったと思ったら黒ウサギが説明してくれた。 例のごとく黒ウサギが説明して問題児三人が茶化している。 黒ウサギが助けを求めるような目線を向けてきた気がするけど今は無理だよ。だって、僕のギフトカードに書いてあるギフトなんだけど色々おかしくないかな? と言うか、見つかったらやばそうな気がするんだからね…
とりあえず、白夜叉がくれたカードは、正式名称を"ラプラスの紙片"と言う全知の一端らしい。カードに刻まれたギフトネームは本人の魂と繋がった"恩恵"の名称らしい。
十六夜が何かを言うと白夜叉が十六夜のギフトカードを覗き込む。そこに書いてあった文字が変だったのか、ヤハハと笑う十六夜とは対照的に表情を激変させていた。
うん、あっちはあっちで取り込み中らしいし僕もギフトを確認しておこうかな? バレたら怖そう…いや、怖いけど一つわけのわからないものがあるし。うん、確認しないといけないよね? とりあえず神眼は今は使っても意味がなさそうだし、概念武装庫と形骸変容だけど、どっちかって言うと形骸変容の方が興味の方が上なんだよね♪ と言うことで使ってみよう。初めて使うし声に出せば使えるかな?
「じゃあ、『形骸変容』」
唱えた途端に僕の周囲に僕の背丈くらいの光の柱が取り囲み、その現象と共に自分と言う存在が変化する恐怖を軽く感じた。
時間にして十秒ほどで光と恐怖が消えた。さっきの現象を自分の中で反芻していると頭の上で何かがピコピコ動いている気がした。疑問に思い頭の上にあるそれに触れると触られたと言う感覚があった。………あった?
しばらく触ると硬直していた黒ウサギが慌てたようにこちらに向かってきた。
「か、香夜さんっ!? それは、そのウサ耳はどうしたのですかっ!!?」
「ウサ耳……? え? えっ!?」
驚いて周囲を見回すと全員が首を縦に振った。白夜叉もあっけに取られたような顔をしている。僕も驚きなんだけどね?
しばらく現実逃避をしているとその場にいる全員にギフトカードを覗かれ、十六夜すら苦笑すると言ったラインラップが並んでいた。僕も十六夜と同じように規格外なのかもしれない。
後書き
久しぶりなので色々詰め込みすぎました…。
いとこと協力して書いたのでちょっとおかしいとこがあるかもしれません。
感想は募集してます
12/1誤字を訂正しました。
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