| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

十九章 幕間劇
  疑似奥さん体験

「一真様・・・・。おはようございます・・・・一真様」

「ああ・・・おはよう詩乃」

「今日も良いお天気ですよ?」

「そうみたいだ・・・」

「一真様。はい、濡らした手拭いです」

「ありがとよ・・・・」

冷たい手拭いを渡されて、顔を拭く。本当なら直接水で洗顔剤を使って洗うが、ここは越後であるからな。見渡せばここは一真隊の長屋ではなく春日山神社の一室である。あまりにもボロかったので、リフォームしといたけど。布団や畳を新品同様にしたし、神社内を一掃させたからな。おかげで神社の主である神仏は喜んでいたけど。

「こうやって起こされるのは久しぶりだな」

「そうですね。あの頃のときは一真様の料理が食べれましたし、一発屋の焼き魚も懐かしいですものね」

「最近料理してないからなー」

まあ、ここでは作っていなくともトレミーに戻ればたまに作っている訳だけど。

「一真様の料理までとはいかないですが、朝食は用意してありますよ」

「マジ?」

詩乃が料理するところはほとんど見ないからな。最近始めたのだろうか?

「すぐに支度いたしますから、一真様は目覚ましがてらに辺りを回ってきて下さいませ」

「そう?なら、そうさせてもらおうか」

で、その辺を歩いていると久々に俺の相棒が声をかけてきた。

『おはよう、相棒』

『ドライグか。最近出番なんてないからな、久々に外に出そうか?』

『そうしてくれると助かる。寝てばかりだと体がなまるからな』

「じゃあ来い!ドライグ!」

手をかざしたら、魔法陣からドライグが現れた。そういえばヴァーリから返してもらったときから出してなかったな。で、しばらく飛んでくると言って飛んで行ったけど。

「ふぁあ・・・・」

「どうした?二人とも」

危ない危ない。ドライグを出してた辺りに出くわしたらパニックになるかもしれなかったな。といっても二条館襲撃のときに見てたと思うから大丈夫なのかもしれないけど。

「ああ、おはようございます一真様」

「これまたお早いお目覚めで・・・・ふぁあ・・・・」

「二人とも眠そうだな」

「はい。昨日は、その・・・・」

「不寝番だったもので」

「お疲れさん。というか、幽も?」

足利衆の不寝番は一真隊や森衆と持ち回りだが、幽まで不寝番してるというのは初めて聞いたな。

「ああ、その・・・・」

「公方様に押し付けられ・・・・もとい、任されましてですね」

「一葉も不寝番してるの?そんなのは初耳だが」

戦時ならともかく、こんな時に不寝番なんて報告は聞いてない。

「ええ。まあ、そういう事にして頂けると・・・・」

「相棒」

と幽が言ったあとに、こちらに飛んで帰ってきたドライグ。

「って龍!」

「こいつは俺の相棒で、名はドライグ。で、どうした?」

「ああ。久々にペルペルと追いかけっこしたいのでな」

「そういえばこの世界に来てからペルセフォネ出してないな」

手をかざしたあとに、フクロウのペルセフォネが出てきた。そして、しばらくドライグに付き合えと言って飛んで行ったけど。あと、皆は嘘が下手なのか。

「ころさん、幽さん・・・・あ」

「おはよう、雫」

「お・・・・おはようございます。一真様」

雫まで俺を見てビビっているが、なんかあったのか?

「何かあったのか?雫」

「い、いえ・・・・何でもないでしゅ」

久々に噛んでる事を聞いたな。朱里以来だ。嘘というより隠し事が下手なようだな。

「で、三人揃って何か企んでいるだろ?」

「べ、別にそういうわけでは・・・・」

「・・・・あるのですが」

「ちょっと、幽さん?」

「いやはや。企んでいるにも、こう眠くて頭が回らなければ誤魔化しようがありませんからな。ここは正直に言った方がよろしいかと。神に隠し事はいけないと思いますぞ」

「幽さん、それは・・・・!」

「そうそう。神仏の類の前で隠し事はダメだよ。で、三人揃って何してたわけ?」

「内緒です」

内緒で言い切るのは、清々しいがそれはなんか納得がいかない。

「ゆ、幽さん・・・・それはあまりにも堂々としすぎていますよ!?」

「いくらなんでも通じませんよ・・・・」

「・・・・ま、いいや」

「ええええええ・・・・・・」

「・・・・よろしいのですか、一真様」

「後々分かる事ならそれでよろしい」

それにそういうのは大きな問題ではなさそうだし、ドライグとペルセフォネはまだ帰って来なさそうだな。

「それに別に無理には聞かないが、話して良い時がきたら教えろ」

「承知致しました。委細につきましては、いずれ近いうちに・・・・ころ殿か雫殿から」

「ええええ・・・・・」

「わ、私たちに丸投げですか!?」

「それがしよりもお二人の方が、一真様には信用されておいででしょうからな。それがしでは胡散臭くて」

「信用していないわけではないが」

胡散臭いのは否定はしないが、ん?小型ゼットンがこちらに来るな。ドライグとペルセフォネが攻撃をしているようだ。

「それは光栄の至り」

「うぅ・・・・一真様。すみません」

「終わったらちゃんとご説明しますから・・・・。ってあれはなんですか!?」

炎がきたので俺はハイドロカノンで撃つ。ったく、いつ来たんだか。

「ちょいとお掃除してくるわ。お前ら、疲れているときはちゃんと寝ろよ?」

言いながらドライバーをセットして、メモリを取り出した。

「あ、はい。一真様もお気をつけて」

「おう『God Emperor!』変身!」

変身したあとに即効でケリを付けたけど。今回は新たな武器での試作品だけど。神皇帝専用武器であるライフルを使っての狙撃。Triggerメモリを差したら色んなのが出せる。実体弾からビームとかも。で、今回は新たなメモリを使ったRailgunメモリだ。これでRailgun!MaximumDriveを放った。雷を溜めた攻撃で追尾能力もあるから外れても追い続けるような効果もあるけどね。倒したら地上に戻ってドライグとペルセフォネを俺の体の中に戻ったけど。

「ただいまー」

小型偵察型ゼットンを倒したあとにトレミーで顔を洗ってから戻ってきた。戻ってきたらちょうど詩乃が朝食の支度をしていた。

「お帰りなさいませ。何やら外が騒がしかったのですが、何がありましたか?」

「ちょいとお掃除をしてきた。こいつを使ってな」

俺はGod Emperorのメモリを見せたら納得した詩乃だった。ちなみに詩乃の格好は割烹時である。

「その格好も似合ってるじゃないか」

「ありがとうございます。さ、お掛けになって下さい」

俺はメモリをしまうとお膳の前に座った。お膳にはご飯と味噌汁、漬物に焼いた干物がある。

「これは詩乃が作ったのかな?よく出来ている方だと思うぞ」

「さすがですね。この魚の無惨に焼け焦げた所や、米の微妙に芯の残っている感じがいかにも・・・・」

「人には人の作り方があるさ。こういうのは、他の人では出来ないことなんだから。ころと幽が作ったら全然違うだろ?俺が作ると更に違うけど、詩乃らしい料理だと俺は思うがな」

「まあそうですね。ころや幽殿と一真様では作り方は同じでも違いがありますからね。あとそれは褒め言葉として受け取っておきます。あと、お召し上がりください。せっかくの料理が冷めてしまいます」

「そうだな。ついでにこいつらも呼んでいいか?」

と言いながら再びドライグとペルセフォネを召喚した。

「この龍はあの時のですよね?大きさが違いますが」

「大きいままだと、一緒にご飯食えないだろ?あとお前らのはこれな」

と言ってドライグとペルセフォネ専用の食べ物を出してから、皿に乗せた。

「詩乃はもう済ませたのか?」

「はい。今日はこうしていたいので」

「そうか。ということでいただきます」

「はい」

というわけで食い始めた俺とドライグとペルセフォネ。俺のは人間用でドライグとペルセフォネのは、冷凍庫から解凍させた生肉だ。

「ふむ。うまいな」

「よかったです」

味噌汁に浮かんでいる白い物はあれかな。

「豆腐なんてどこで手に入れたんだ?」

この時代、豆腐はかなり貴重だと聞いたことがある。精進料理で使うような希少食材だと聞いたが、一般だとおめでたい時にしか出回らないはずなんだが。トレミーでの味噌汁の具は様々あるがスタンダードが人気でもあるな。

「はい。近くの寺で作っている所があるという話を、小波さんから教えて頂きましたので」

「よく見つけたな。小波」

「美空様を探してたときに、たまたま見つけたそうで」

豆腐を作っている寺を探す極秘任務じゃないだろうな。

「ご飯も美味いな」

「本当ですか?思ったよりも、焦げてしまったのですが・・・・」

「かまどで炊いたご飯はそれでちょうどいいんだよ。俺もたまにかまどで炊くけど、詩乃みたいにそうなるときがあるからな」

「そうなんですか・・・・」

まあ事実なんだけどな。たまにはかまどで炊いたご飯は美味しいというらしいから、キャンプの時に炊いてたけど。それに固いところもあるけど、そういうときもあるからな。俺だって最初はこんなもんだったし。

「干物も美味しいな」

「相棒、もう一つ肉ないか?」

「おいドライグ。もう食べたのか?もう一個だけだぞ」

と言って空間から肉をもう一つ出した。ペルセフォネはゆっくり食べているけど、ドライグは久々に外に出たのか相当腹が減っていたようだ。

「干物は炙っただけですが」

「炙らないと食べられないからな。肉だって焼かないと食べられないだろ?」

「ですが、ドライグさんは生で食べていますが」

「俺は生の方がいいんだよ。あと呼び捨てで構わんよ、俺も詩乃と呼ぶ」

「そうですかドライグ」

「あとペルセフォネもな。たまに俺はペルペルと呼ぶときもある」

「可愛らしい呼び方ですね」

と言いながらペルペルをそっと触っていたけど。ペルペルも嫌がらないしな。敵には威嚇するけど。

「一真様。ご飯のお代わりはいかがですか?」

初めて会ったときよりかはだいぶ良くなってるような気がする。最初はあまり喋んなかったけど。

「なら、頂こうかな」

「承知致しました」

「それと、味噌汁のお代わりってある?もう一杯飲みたいんだけど」

「こちらには持ってきていませんが、まだありますよ」

「なら、お願いして来ていいかな?」

「はい。少々、お待ち下さい」

と、詩乃は行ってしまったので、今の内だな。詩乃の足音は嬉しそうな感じだったけど。

「相棒」

「分かっているよ。そこにいる奴、隠れてないで出てこい!」

何となく気配で分かるが、誰かな?隠れるの下手なようだけど。

「気配がダダ漏れだぞ。出てこないのなら、俺の相棒が火を噴くぞ」

そう言ったら観念したのか、隣の部屋へと続く襖がすっと開いた。

「・・・・申し訳ありません」

「・・・・雫か」

何となく分かっていたけど、雫か。こういう場面に覗きに来るのは、梅か一葉だろうし。あの二人は隠れるより堂々と見るかもな。そのときはそのときでドライグやペルセフォネが威嚇していると思うけどな。今の所料理作れるのは俺とひよ、ころ、幽あたりだろうし。なるほど、さっき言っていた企みって。

「確かに誰にも迷惑の掛からない企みではあるな」

あと俺には言えないと言う理由も分かったし。

「ご慧眼、恐れ入ります」

「ということは、幽ところは、詩乃に教え疲れたということか」

「はい。既にお休みかと。・・・・起こして来た方がよろしいですか?」

「別にしなくていいよ。企みにしては悪い事ではないから、ゆっくり寝かせといてやれ」

謎の企みというのも分かった気がするし。

「で、今更だけどなぜこんな事を?」

「はい。詩乃、一真様がいつも料理をしてくれますけど、正式に妻になったら手料理を覚えるためだと言っていました」

「なるほど。確かに俺の妻で料理できるのは大半が出来るからな。一真隊は料理が出来る者が多いような気がするけどな。じゃあ、この干物や豆腐も」

「小波さんやひよさんも調達を手伝って下さいましたよ」

干物を探すひよについては絵になるが、小波が豆腐を越後の山野を駆け巡るのが現実なのか。

「で、実際の調理指導は雫たち三人ということか」

「私はほとんど見ていただけなのですが・・・・。成果がどうだったか、幽さんところさんに見届けるよう頼まれて、こうして」

「そういうことね」

「あと、見届けると話したら・・・・」

「他に誰に頼まれた?」

「ひよさんと、一葉様と、梅さんと、小波さんにも・・・・」

「おいおい。相棒の主要面子じゃねえかよ」

「あと綾那ちゃんと歌夜さんも・・・・」

「ドライグ、本当に一真隊全員だな」

「・・・・それでは、私はこれで失礼します。皆さんには、大成功だったとお伝えしておきますので」

「そうか。協力をした者は感謝すると伝えろ。雫も含めて俺の未来での自慢の奥さんとな」

「は・・・・はい。承知致しました。それと・・・・」

「雫がいた事は、詩乃には内緒な」

まあ、俺も裏情報を知っていて接する訳にもいかないし。あとドライグが変な事を喋りそうだから、俺の中に戻った。空っぽの皿はトレミーの台所に置いといた。ペルセフォネは喋れないから問題ないだろうし。

「はい。よろしくお願いします」

そう言い残して、雫は静かに部屋を出て行った。

「遅くなりました」

詩乃が台所から戻ってきたのは、雫が姿を消してから少し経ったときだった。

「別に気にしてはいないぞ。あとドライグは腹が一杯になったから元の場所に戻って行ったよ」

少しぎこちない手つきで膳の上に置いてくれるのは、温かい味噌汁とご飯。ドライグの事は納得した様子であった。ペルセフォネはまだ食べているけどね。

「そうですか。ですがペルセフォネはまだ食べていますが」

「ペルペルはゆっくり食べる派なんでね。そういえば今思い出したことなんだが、最近は詩乃が起こしてくれるのは久しぶりだなっと」

「最近は人の数が増えましたし、それに一真様と接する時間も減りましたから」

そうなんだよな。初期の一真隊は主に詩乃が起こしてくれたけどな。でも今は禁裏の妾状で、一真隊全体での将は俺の恋人になってしまった。だからなのか、接する時間というのが、初期より短くなってきている。詩乃も忙しいが、俺も別行動が最近多い。まあ元々黒鮫隊の指揮は俺に任せられているからな。今日詩乃が起こしてきたのも、美濃にいたときと思ってしまったもんな。

「詩乃は昔の方、初期のメンツであるひよところ、三人だけの方がよかったかな?」

「まさか。私たち三人と一真様だけでこの難局を乗り切るのは、常に黒鮫隊を展開しないと不可能だったでしょう。殊に金ヶ崎は・・・・黒鮫隊がいたおかげと一真様が神仏の類いのおかげで生き長られたのです。一真様がただの人間であって黒鮫隊がいなかったら、一真隊の誰一人欠けていたとしても凌ぎ切れなかったでしょう」

「詩乃・・・・」

「それと一真様が全ての神の頂点でなければ、護法五神やいろいろな神様を現世に召喚はできなかったでしょうし。一真様たち神様のおかげで私たちはこうして生きているのです。・・・・悔いがないようには、したいです」

「うむ。俺もそうするつもりだ・・・・。ごちそうさまでした」

「おそまつさまでした。・・・・もう宜しいのですか?」

「本当に美味しかったからな。今度料理を作るときは一緒に作ろうな、未来の嫁さんになったら共同作業するときがあるからな」

「そうですね。そのときはよろしくお願い致します、一真様」

そうしているうちに、ペルペルも食い終わったので、しばらくは俺の肩に止まっていた。で、ちょうどいいから共同作業をするために、食い終わったお膳を詩乃が持っていき、指導することになった。ついでに、皿洗いをしてからは今日はずっと俺の傍にいたけどね。暇だったから今持っているメモリを拭いていたら、見せてほしいと言われたので、畳みの上に置いた。

現在あるメモリは、God Emperor、Cyclone、Heat、Joker、Luna、Trigger、gravity、space cut、Blade、Shield Bit、Black Steel、Black Steel Joker、Railgunの13本所有している。

護法五神には、それぞれ専用のを持たせているから。それをたまにきれいにしとかないとほこりとかで、接触不良になるからな。試しに音も鳴らしてみたけどね。そのとき詩乃はどういう意味なのかも聞いてきた。英語はここでは南蛮語という感じだし。綺麗にしたあとは、全てのメモリを空間に入れてから今後のためを話してた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧