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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十九章
  崖登り×陽動作戦

次の日になり、崖登りは順調に進んでいた。蒼太が中心に登っていき、それをサポートするのが大地と海斗である。

「蒼太さん、次はここですか?」

「そうだ。そこから登っていけ」

今登っているのは、ひよと綾那。サポート役は後ろで落ちないかどうかだ。風が強いのか、たまに危ない時があるけどな。まあ、基本的にスペックが高すぎるから綾那は登り下り出来るくらいになったけどな。初日で覚えてしまったので、ころと歌夜はバックアップとして地上にいる。IS隊は今の所役目はないので、トレミーに戻っている。なので二人は周囲の警戒や調査を任せている。俺はひよと綾那が登っているところで浮かんでいるけど。

「では、蒼太様。私もここまでですから、後は頑張って下さいね!」

「ああ。ひよさんも、下のことは頼みますよ」

「了解です!脱出の支度は万端、整えておきます!」

そう応えた蒼太に手を振って、俺達のバックアップとして途中まで壁を登っていたひよも慣れた様子で懸垂下降をする。今はヘルメットを被っていないけどな。命綱だけ。後詰のひよも生まれつきの身軽さを生かして、現場三日目には蒼太たちと変わらないくらいのレベルになっていた。俺達は日々訓練としてやってきていたが、まさか基礎訓練込みで一週間経たずにマスターするとは思わなかったと指導をしている者たちが言っていたな。少々へこむが、彼女たちが味方にいる事自体がありがたいことだ。

「さてと、隊長。このまま先行します」

「ああ。命綱はあるが、気を付けて行けよ。綾那もだ」

「分かっているです。油断は禁物なのです」

木にしがみ付いたり、足場を作りながら登って行く蒼太と綾那。それを見ながら近くで飛んでいるが風は突風並みだな。ロープのところに途中にボルトで打ち込んである。そこにロープを結びながら進んでいく蒼太。それを追って行く綾那だったけど、グローブを用意したが、よくよく考えるといらなかったので今は命綱であるのしか身体に装着していない。地上には予めマットが置いてあるから、落下しても大丈夫にしてある。

「鉄砲の音が聞こえたです!」

時計を見ればちょうど陽動作戦の打ち合わせ通りだった。長尾の陣にいる詩乃が、うまく動いてくれるだろうな。

「隊長は先に上に行ってください。我々もすぐに向かいます」

「分かった。あと護衛役のIS隊も出動させておこう。出来るだけ急げよ」

「です!」

と言いながらトレミーで待機していたIS隊を呼んだ。俺は目的地に行き、先に上に向かったけどな。IS隊は登っている間の周囲の警戒をしてもらっている。一人は蒼太たちが登っている早さに合せて進んでいく。あとの二人は俺がいるところに行っていた。一方陽動作戦のほうでは。

「城には近づき過ぎるな!鉄砲と声で挑発するのみにせよ!」

「・・・・こんな感じで良いのかしら?」

「はい。一真様は既に春日山への侵入を始めていますので、城内の目と意識がこちらに向けば、あとは何とかしてくださるかと」

「へぇ・・・・あれだけ毎晩お小言漏らしてたのに、あいつのこと、信頼してるのね」

「私たちのお頭・・・・いいえ、未来の旦那様ですから」

「・・・・ふーん」

「御大将ー、城方が釣れたっすー!」

「釣れた釣れたー」

「・・・・出てきたのですか?」

「バカだって思うでしょ・・・・」

「・・・・正直。私でしたら、籠城して無視を貫ぬきますが」

「・・・・だからあいつらに越後を任せたくないのよ。バカだから」

「っすねー。あとは詩乃の作戦通りでいいすか?」

「ええ。好きにやっておいで。こちらの護衛には頼もしいのがいてくれるから」

「なの!」

「はいっす!柘榴にお任せっす!」

「頼むわ。松葉もお願い」

「分かった」

「あの二人に任せて大丈夫でしょうか・・・・」

「釣った城方に逆に釣られるかもしれないけれど・・・・まぁ大丈夫じゃない?あの子たちもあれで、越後の要を張ってるんだから」

「念のために、向こうが陽動に乗ってきただけの場合と、それが罠だった時の対応も授けてありますから」

「・・・・攻めるのに夢中で、ちゃんと覚えてるかしら」

「牡丹は一真隊にもいますので、それについても織り込み済みです」

「ああ・・・・貴女も大変なのですね」

「本気で攻める訳じゃないんだし。その辺りは二人も心得ているわよ。ダメなら、私が出るだけだし」

「それも困るんですけど・・・・」

「それについても問題ありません。もし美空様が前に出ようとするならば、護法五神が全力で止めると言っていましたから」

「私が出ようとすると妹たちに止められるのか。それもいいけどね。それにしてもちゃんとした軍師がいると楽ね。二人とももうずっとウチにいたら?禄ははずむわよ」

「申し訳ありませんが、遠慮しておきます」

「鞠も一真がいいの」

「即答ね。そんなにアイツが良い?」

「一真様には、死ぬべき所で一度、命を救われております。その時から、私の命はあの御方のものになりましたから」

「あらそう。残念。ところで・・・・半兵衛。あなたの見立てを聞きたいんだけど」

「なんでしょう?」

「空と愛菜の拐かし。・・・・成功すると思う?」

「成功するかどうかと問われれば、可能性は高くないと言えるでしょう」

「そう・・・・」

「しかし」

「・・・・しかし?」

「それが普通だったら成功は高くないですが、一真様直属の部隊と一緒ならば必ず成功します」

「直属部隊。その存在自体私も知らないけれど、信じているのならば成功するんでしょうね。それに帝釈たちが見張っているというのは本当のようね」

美空たちの周りには半透明だけど、護法五神がいる。俺がそうさせたからな。美空のお家流ではなく、俺個人で呼んだので美空がお家流を使おうとしても使えない。護法五神を使役しているのは、美空ではなく創造神である俺だからな。使役って言っても本当の妹のように接しているけど。 
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