戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十七章
春日山城落ちた
「おんたいしょーーーーーーー!」
「・・・・なんだありゃ」
「見てわからんのか、ガキ。あれは胸だぞ」
「・・・・おっぱいが走ってきます」
「何を言っているんだ、そんなの冗談に・・・・」
決まっているだろうとこっちに向かってくるのを見たら。
「おんたいしょーーーーーーー!」
雫の言うとおりおっぱいが走っていたな。
「・・・・走るのに邪魔そうだな」
「それはワシも含まれるのか、ガキ?」
桐琴も同じぐらいの大きさなのか、巨乳で走ってくる者が来た。
「っていうか、おっぱいってあんなに跳ねるものなんですね・・・・」
「俺の妻の一人にあれぐらい大きな者がいるが、邪魔だとは言ってなかったな」
むしろあれは役得だと思うんだけど。女性も胸が大きければ肩が凝るとか言うが。紫苑や桔梗と祭はそんなことは言ってなかったな、たぶん。
「お、御大将ーーーーー!」
「秋子?あなた、どうしてここに?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
余ほどの急ぎだったのだろうな、この巨乳さんは息を荒げたままで、なかなか整えられないでいる。
「何があったんすか?」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・かひゅが・・・・」
「良いから、まず落ち着きなさい」
「早く話す」
「かひゅが・・・・ひはぁ・・・・」
「だから落ち着きなさいってば。柘榴たちも遊ばないの」
「はーい」
「水、飲むっすか?」
「あ、ありがと・・・・・ごじゃいまひゅ・・・・」
秋子と呼ばれた女性は、柘榴から水の入った俺達でいうなら水筒か。竹筒を受け取り、飲み干していく。
「んっ、んっ、んっ・・・・・・ふはぁ・・・・」
それで少し落ち着いたのだろうな。さっきまでよりはいくらか聞き取りやすい言葉で、ゆっくりと話し始めた。
「か、かすが、やまじょうが、おちました・・・・・!」
「・・・・・・っ!?」
「かすがやま?どこかで聞いたような」
「春日山です。長尾家の本拠地ですよ」
春日山城・・・・・長尾景虎の本拠地。春日山に築かれた山城。歴史は古く、南北朝時代に築かれたとも云われている。
「ああそういうのだったな。ということは、本拠地が落ちたと言う事か。俺の勘はよく当たるなー」
「一真様の勘はこういうことだったのですね」
今回、俺から越後へ行くということは俺の勘によってだ。それによって、一真隊、足利衆、八咫烏隊、森衆は俺の勘が当たることをよく知っている。松平衆も疑問だったが、俺の勘=神の勘みたいな感じだからついて来てくれたようなものだし。
「なんっすかそれ、それなんすかー!?」
「・・・・落ちたって意味がいまいち分からない」
「御大将の留守を狙って、晴景様が・・・・・」
「あんの無能姉、まだ未練たらたら持ってたのかっ!」
「っていうか秋子は何してたんすか!」
「突然の事でなすすべくもなく・・・・」
「・・・・まあいいわ。なら私が直々に乗り込んで、今度こそ引導を渡してやればいいって事よね。あれでも姉だからと思って目を瞑っていたけど、もういいでしょ」
「ちょっといいか?」
「何よ、あんたに口を聞くほどでは『いいから聞け、小娘!』・・・分かったわよ。で何?」
「そこの御嬢さんに聞くが、その城には人質がいるな。それも二人」
「え?なんであなたが知っているんですか?」
「どういうこと?秋子」
「その人の言う通り、空様が城内に取り残されていまして。もう一人は私の娘なのですが、申し訳ありません」
なるほどな、トレミーから春日山城の様子がおかしいとのことで、小型偵察機を放ったが。その中に人質と思われる者が二人いたからな。
「・・・・・そう」
俺とその人が言った途端に、空という者の名を聞くと、顔が青ざめたような感じであった。
「娘の命を盾にとって、家督を譲れと言ってくる可能性は・・・・あるでしょうね」
「残念ながら・・・・・」
「あたー・・・・どうするっすか、御大将ー?」
「・・・・じたばたしても始まらないわね。とにかく越中攻略は中止して、春日山城を取り戻す方向で動きましょう」
「まじっすか?ああん、もうちょっとで越中完全征服だったのにー・・・・残念っすね」
「春日山城は大事・・・・取り返さないとお金もなくなる」
「っすよねー・・・・」
「柘榴、こう考えれば良いじゃない」
「どうっすか?」
「春日山城で守勢に回るならともかく、私たちが春日山城を攻める機会なんて滅多にないわよ」
「おおおっす!それは盲点だったっす!」
「春日山は難攻不落」
「確かに、一度寄せ手に回ってみたかったっす!やる気出てきたっすー!」
あの女性は腹を切った方がいいかと聞いていたが、美空は今後の働きで汚名返上をしろとな。
「ちょいといいかな?」
「まだいたの、一真」
「盗み聞きは趣味が悪い」
「てめえ、そうやって言って見ろや。毘沙門天の怒りに触れるぞ。そんなに大声で話してたら聞こえるだろうが」
まあ、ここにいるんだけどね。帝釈天と四天王が、今は美空にも見えないようにしてある。周囲に他国のスパイがいたらたまったもんじゃないからな、さぞかし楽な諜報活動だなと思うだろうが。
「で、空って誰のことだ?」
「ああ。空は私の娘よ」
「ふーん。娘じゃなくて、養子だろうに」
「どうして、わかるの?」
「決まっているだろう。俺の部隊の者から聞いた。ここにいる者たちではなく、俺直属の部隊からな」
「その部隊の者ってのは気になるけど。ご名答、空は私が養子にしようとした子。まだ本当の娘って訳ではないけどね」
「そうか」
「なに?天人はおぼこの方がいいの?大丈夫よ、私まだ処女だもの」
「そんなの聞かなくてもわかるわ」
となんか騒いでいたので、殺気を籠めた目を向けると黙ってくれた。これはありがたいことだけど。それと視線をそらしているかのようだけど、俺の前にいる美空たちにとってはなぜだろと顔をしていたそうだ。
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