| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

十七章
  春日山城落ちた

「おんたいしょーーーーーーー!」

「・・・・なんだありゃ」

「見てわからんのか、ガキ。あれは胸だぞ」

「・・・・おっぱいが走ってきます」

「何を言っているんだ、そんなの冗談に・・・・」

決まっているだろうとこっちに向かってくるのを見たら。

「おんたいしょーーーーーーー!」

雫の言うとおりおっぱいが走っていたな。

「・・・・走るのに邪魔そうだな」

「それはワシも含まれるのか、ガキ?」

桐琴も同じぐらいの大きさなのか、巨乳で走ってくる者が来た。

「っていうか、おっぱいってあんなに跳ねるものなんですね・・・・」

「俺の妻の一人にあれぐらい大きな者がいるが、邪魔だとは言ってなかったな」

むしろあれは役得だと思うんだけど。女性も胸が大きければ肩が凝るとか言うが。紫苑や桔梗と祭はそんなことは言ってなかったな、たぶん。

「お、御大将ーーーーー!」

「秋子?あなた、どうしてここに?」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

余ほどの急ぎだったのだろうな、この巨乳さんは息を荒げたままで、なかなか整えられないでいる。

「何があったんすか?」

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・かひゅが・・・・」

「良いから、まず落ち着きなさい」

「早く話す」

「かひゅが・・・・ひはぁ・・・・」

「だから落ち着きなさいってば。柘榴たちも遊ばないの」

「はーい」

「水、飲むっすか?」

「あ、ありがと・・・・・ごじゃいまひゅ・・・・」

秋子と呼ばれた女性は、柘榴から水の入った俺達でいうなら水筒か。竹筒を受け取り、飲み干していく。

「んっ、んっ、んっ・・・・・・ふはぁ・・・・」

それで少し落ち着いたのだろうな。さっきまでよりはいくらか聞き取りやすい言葉で、ゆっくりと話し始めた。

「か、かすが、やまじょうが、おちました・・・・・!」

「・・・・・・っ!?」

「かすがやま?どこかで聞いたような」

「春日山です。長尾家の本拠地ですよ」

春日山城・・・・・長尾景虎の本拠地。春日山に築かれた山城。歴史は古く、南北朝時代に築かれたとも云われている。

「ああそういうのだったな。ということは、本拠地が落ちたと言う事か。俺の勘はよく当たるなー」

「一真様の勘はこういうことだったのですね」

今回、俺から越後へ行くということは俺の勘によってだ。それによって、一真隊、足利衆、八咫烏隊、森衆は俺の勘が当たることをよく知っている。松平衆も疑問だったが、俺の勘=神の勘みたいな感じだからついて来てくれたようなものだし。

「なんっすかそれ、それなんすかー!?」

「・・・・落ちたって意味がいまいち分からない」

「御大将の留守を狙って、晴景様が・・・・・」

「あんの無能姉、まだ未練たらたら持ってたのかっ!」

「っていうか秋子は何してたんすか!」

「突然の事でなすすべくもなく・・・・」

「・・・・まあいいわ。なら私が直々に乗り込んで、今度こそ引導を渡してやればいいって事よね。あれでも姉だからと思って目を瞑っていたけど、もういいでしょ」

「ちょっといいか?」

「何よ、あんたに口を聞くほどでは『いいから聞け、小娘!』・・・分かったわよ。で何?」

「そこの御嬢さんに聞くが、その城には人質がいるな。それも二人」

「え?なんであなたが知っているんですか?」

「どういうこと?秋子」

「その人の言う通り、空様が城内に取り残されていまして。もう一人は私の娘なのですが、申し訳ありません」

なるほどな、トレミーから春日山城の様子がおかしいとのことで、小型偵察機を放ったが。その中に人質と思われる者が二人いたからな。

「・・・・・そう」

俺とその人が言った途端に、空という者の名を聞くと、顔が青ざめたような感じであった。

「娘の命を盾にとって、家督を譲れと言ってくる可能性は・・・・あるでしょうね」

「残念ながら・・・・・」

「あたー・・・・どうするっすか、御大将ー?」

「・・・・じたばたしても始まらないわね。とにかく越中攻略は中止して、春日山城を取り戻す方向で動きましょう」

「まじっすか?ああん、もうちょっとで越中完全征服だったのにー・・・・残念っすね」

「春日山城は大事・・・・取り返さないとお金もなくなる」

「っすよねー・・・・」

「柘榴、こう考えれば良いじゃない」

「どうっすか?」

「春日山城で守勢に回るならともかく、私たちが春日山城を攻める機会なんて滅多にないわよ」

「おおおっす!それは盲点だったっす!」

「春日山は難攻不落」

「確かに、一度寄せ手に回ってみたかったっす!やる気出てきたっすー!」

あの女性は腹を切った方がいいかと聞いていたが、美空は今後の働きで汚名返上をしろとな。

「ちょいといいかな?」

「まだいたの、一真」

「盗み聞きは趣味が悪い」

「てめえ、そうやって言って見ろや。毘沙門天の怒りに触れるぞ。そんなに大声で話してたら聞こえるだろうが」

まあ、ここにいるんだけどね。帝釈天と四天王が、今は美空にも見えないようにしてある。周囲に他国のスパイがいたらたまったもんじゃないからな、さぞかし楽な諜報活動だなと思うだろうが。

「で、空って誰のことだ?」

「ああ。空は私の娘よ」

「ふーん。娘じゃなくて、養子だろうに」

「どうして、わかるの?」

「決まっているだろう。俺の部隊の者から聞いた。ここにいる者たちではなく、俺直属の部隊からな」

「その部隊の者ってのは気になるけど。ご名答、空は私が養子にしようとした子。まだ本当の娘って訳ではないけどね」

「そうか」

「なに?天人はおぼこの方がいいの?大丈夫よ、私まだ処女だもの」

「そんなの聞かなくてもわかるわ」

となんか騒いでいたので、殺気を籠めた目を向けると黙ってくれた。これはありがたいことだけど。それと視線をそらしているかのようだけど、俺の前にいる美空たちにとってはなぜだろと顔をしていたそうだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧