戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十六章 後編
撤退戦の作戦会議
俺は、殿組であった者たちと一緒に一真隊と黒鮫隊の前線に向かった。
「レノックス、今どうなっている?」
「隊長、現在先行組のIS部隊により攻撃を開始しています」
「よし。詩乃、先行組の救援が来るまではどんな状態だった?」
「松平衆は数を半分まで減らし、かなり苦戦をしておりました。我らと合流したあとは、ご覧の通りかと」
前線を見ると、全機ビームライフルでの駆逐戦をしていた。鉛の弾ではないから、鬼であったとしても瞬殺だ。
「ここからの戦いは更に激しくなりますが、救援に行ったあとは疲労の顔でしたが黒鮫隊の介入により何とかなっています」
「そりゃ俺が回復の力で、何とかしたからな。まあ、こちらに来たとしても俺達には兵器があるからな」
「状況は困難どころか、こちらが押しております。これなら何とかなるかと」
「一真隊・黒鮫隊、足利衆で戦線を維持して、松平衆を休ませておりましたが一真様の回復により士気が上がっております」
「ですが、そろそろ撤退戦を始めることを提案致しますな。それがしは」
「・・・・・」
「お姉ちゃんも賛成だって」
「このまま、この場に留まってもいいですが、人と鬼とでは限界があります。早々と撤退すべきだと私は思います」
「そうだな。人は限界がある、が、俺達には限界を超える力がある。なあ、みんな!」
『うぉぉおおおおおおっ!』
「というわけで、ここの指揮は任せたぞ、レノックス。俺は葵のところに行って撤退戦を提案してくる。詩乃と一葉と鞠と小波は来い」
「はっ!」
四人は頷いたあとに、ひよやころ、あと雫と梅には一真隊の指揮を任せる。といっても元気になった松平衆が戦っているからな、士気もハイマックスだ。そして、俺たちは葵の陣幕に向かった。松平衆の陣幕の中に入ると、床几に座って休んでいた葵が、立ち上がり、俺達を迎えた。
「これは一真様。この度の援軍につきましては、この葵、心より御礼申し上げます」
「困ったときはお互い様さ。怪我はないか?」
「ええ。綾那と歌夜が働いてくれましたから」
「そうか。それは何よりだ」
働いてくれたということに、若干の違和感はあるが、葵の無事にホッとした。俺の横には、主人が無事だったのかよかったという表情を見せる小波。
「それにしても。森衆は我らと同じく先鋒を務めておりますれば、ここに居るのも分かるのですが。後方に布陣していた一真隊と足利衆がなぜ、このような北にまで?」
「そうだな。鬼から逃げて行くうちに、逃げる方向を間違えてしまったということだな」
「迷った?・・・・ははははははっ!それはなかなか。さすが一真隊の皆さんと言うべきか。・・・・いやぁ愉快愉快。ひいぃ」
「てめぇ、助けてもらったのに愉快だぁ。ふざけるのもいい加減にしろ、今はふざけてる状況ではないぞ!この女狐がぁ!」
言いながら、殺気と覇気を解放してから、お仕置きをした。ハリセンで。本来なら、四つん這いにさせてからケツに鞭ではたこうかと思ったが、今はやめておこう。あと鞭も馬用の鞭の方がよかったかな。
「で、仲間の状況は分かる?」
「先鋒を務めていた森衆と我ら松平衆の他は、久遠様を守って西に落ちていくのを確認しております」
「鬼に追われて彷徨っている間に、友軍らしき影を見たことはありません」
「悠季の言う通りです。・・・・鬼の動きから見て、この周囲にはすでに友軍はいないと判断しておりますが・・・・」
「うむ。船で確認したが、この周囲に友軍はいないことをな」
だとすれば、この辺りにいる鬼全てが俺たちに襲い掛かってきたのであろうな。これぐらいだといいんだけど、まだ増えるのなら、神の姿になって戦わないといけないな。こいつらを逃がしている間に、神を召喚して戦うかな。
「葵。俺たちは加賀に向かうとする。協力してくれ」
「加賀に向かい、その後は?」
「南下して美濃に向かいたいが、本拠地である美濃に鬼を連れて行くわけにはいかない。遠回りになるが、加賀を通り抜けて越中に入り、南下して信濃を通って美濃という道のりで考えている」
でも、これだとあいつには会えないからな。帝釈天と四天王を召喚する人間のもとに行くには。あの道具を帝釈天たちに渡した意味がない。この道乗りはかなり時間を使うが、一葉の言うとおりやらなければならない。
「ザビエルとやらは、この度の戦の結果を受けて、越前のような国を増やす動きを早めるだろう。その動きに対抗するためにも、余らは主様の力を借りて生き残り、久遠達と合流して反撃に移らねばならん」
「そうですね。この日の本の平和を守るためにも・・・」
しばし考え込む素振りを見せた葵が、小さく頷いた。
「よし。ではこれより作戦を説明する。詩乃」
「御意。松平衆は陣を畳んだ後、蜂須賀衆と合流し、本隊を形成してください。その本隊を主力と致します。ひよ率いる小荷駄隊と工作組は、黒鮫隊の何人かと先行して退路を確保すると共に、柵を打ち立てて簡単な陣を作りながら、加賀に向かわせます」
「なるほど。その陣に籠りながら、敵を押し返して行くのですな」
「そうです。柵があるのと無いのとでは、防御力に雲泥の差が出ますからね」
「さすが今孔明。素晴らしい策ですな『パシィィィィィィィイン!』うぅ・・・」
「この阿呆。詩乃は今孔明と呼ばれるのがとても不愉快なんだよ。二度と呼ぶなよ、女狐」
女狐は俺のハリセンをまた喰らったからか、静かになった。あと、一葉は聞こえないように柵だけになとか言ってたがまあいい。
「ところで松平衆の鉄砲は何丁ほど残っています?」
「うぅ・・・・。え、えーと、二百前後となりますな」
「それは重畳。一真隊、八咫烏隊を合わせれば、かなりの火力になります」
「なるほど。鉄砲の火力を前面に出し、鬼に対抗する訳ですね」
「はい。非力な人が鬼に対抗するには、槍や刀よりも、弓や鉄砲の方が与しやすい。ですから一真隊は鉄砲を戦力の中心と考えております」
「・・・・分かりました。では我らの鉄砲隊は、全て一真隊に預けましょう」
ということで、鉄砲隊すべては一真隊に入ってもらった。梅の部隊に入れたけど。あと言ってないが、俺らのIS部隊は本隊の守備だ。なので本隊の周りを飛んでいたりする。レノックスたちは一真隊の鉄砲隊と一緒に移動する。トレミーによるミサイル攻撃のときには、マークしてもらうように言ってある。
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