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戦国異伝

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第百八十一話 諸法度その十

「それには興味はない」
「あくまでお家の存続ですな」
「それが第一ですな」
「天下を目指せば何時か敗れてじゃ」
 そして、というのだ。
「滅びる、それよりもじゃ」
「生き残ることですな」
「まずは」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「天下を目指さぬ、だからな」
「上洛もしませぬな」
「それも」
「織田家も滅ぼさぬ」
 この家もだというのだ。
「織田家との戦になるがじゃ」
「程のいいところで、ですな」
「戦を止めますか」
「そうするぞ」
 これが元就の考えだった、この考えは変わらなかった。
 それでだ、三人の息子達にも言った。
「わしも出陣するが」
「それでもですか」
「この戦では」
「本願寺に兵糧を届け家も守る」
 このことはするというのだ。
「しかしじゃ」
「上洛はしませぬか」
「決して」
「織田家の領地も奪わぬ」
 この考えもないというのだ。
「それもせぬ」
「ではやはり」
「お家も守りますか」
「そうするぞ、よいな」
 こう彼等に言うのだった。
「我等は天下を望まぬだからな」
「それでなのですが」
 隆元が父に言ってきた、ここで言ってきたことはというと。
「東の織田もl気になりますが」
「西じゃな」
「はい、九州ですが」
 そちらの話をするのだった。
「大友は我等と和議を結びましたが」
「その大友が、じゃな」
「龍造寺、島津と争う様です」
 この二家とだというのだ。
「特に島津と」
「あの家とじゃな」
「あの家は」
 その島津はというと。
「四兄弟の采配もかなりのものですし」
「兵が強いのう」
「鬼の様です」
 そこまで強いというのだ。
「あの家の兵は」
「刀や槍を使ってもな」
「かなりです」
 そうだというのだ、しかもだった。
「鉄砲も多いです」
「我が家よりもな」
「種子島でかなり作らせております」
 だから鉄砲が多いのだ、そもそも鉄砲はその種子島から天下に伝わったものである。言うならばこの国のおける鉄砲発祥の地だ。
「ですから」
「うむ、だからな」 
 このことからだというのだ。
「余計に強い」
「では九州を制するのは」
「おそらく大友ではない」
 元就はその目を鋭くさせて言い切った。
「そして龍造寺でもない」
「では、ですな」
「島津じゃ」
 まさにこの家が、というのだ。 
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