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If・魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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ファーストアラート

初日の訓練を終えた一同は食堂で夕食を取っていた。

なのはだけは他にも仕事が残っていたらしくこの場にいなかったが、大盛りのパスタを注文して全員で取り分けて食べていた。

ちなみに、剛以外のフォワード陣は疲労困憊だったのに対し、剛は多少息が乱れているだけだったと言う。

「・・・しかし、うちの部隊って関係者繋がり多いですよね?」

ひょんなことから八神部隊長とスバルの父親であるゲンヤ・ナカジマの話になり、隊長陣やバックヤード、更にはフォワード陣にさえ何かと関係が多いことにティアナが突っ込んだ。

「隊長たちも幼馴染同士なんでしたっけ?」
「そうだよ。なのはさんと八神部隊長は二人とも同じ世界出身でフェイトさんも子供の頃はその世界で暮らしてたとか」

ティアの疑問にシャーリーが答える。

「確か・・・管理外世界の97番目でしたっけ?」

そこのエリオがかつてフェイトから聞いた話を挟む。

「そうよ」
「97番ってうちのお父さんのご先祖様がいた世界なんだって」

そこにスバルも加わってきた。

「そうなんですか?」
「うん」
「そう言えばなんとなく名前の響きとか似ていますよね。なのはさんたちと」
「似ているどころか、中島昴と名乗っても普通に通じるぞ」

今までただ食べていたキャロや剛も口を開いた。

「そうなの?・・・まあその世界には私もお父さんも行ったことはないんだけどね。・・・・そう言えば剛さんもそこの出身なんですよね?」
「少し違うが・・・まあそうだな・・・」
「フェイトさんが言っていました。何でも地球の並行世界出身だとか・・・」

並行世界のこともあり曖昧に誤魔化そうとした剛にエリオが喋りかけてきた。

「並行世界?何それ?」
「馬鹿スバル。『もしかしたらあった可能性の世界』って次元世界とは対をなす異世界概念で訓練校でも習ったでしょうが!!」
「そうだっけ?ティア?」
「・・・もういいわ」
「アハハ・・・。そう言えば、はやてさんが『剛さんは魔法警察のエリート部隊出身やから期待しとき!!』って言ってましたよ」
「エリート?」

シャーリーの言葉に首をかしげる剛。

「剛さんが所属している黒狼連隊って一人で一部隊分の戦力として数えるから『連隊』って命名されているって聞きましたよ」
「へー。剛さん本当に凄いんですね!!」

シャーリーの言葉に目を輝かせてエリオが剛を見る。

「いや、そんなことはないよ・・・」

一応嘘は言っていないので特に触れずに流す剛。

(それにしても、エリートね・・・・)

剛はその実態とは正反対の評価に内心で自嘲していた。

「そう言えば、エリオはどこ出身なの?」

少し脱線していたが再び出身世界の話に戻り、今度はエリオに話が振られる。

「僕は本局育ちですので・・・・」

その一言に勘のいいティアナは直ぐに気付いたが・・・・。

「本局?住宅エリアってこと?」

鈍いスバルは気付かずにそのまま尋ねた。

「いいえ。本局の特別保護施設育ちなんです。8歳までそこにいました」
「あっ・・・・!!」
(馬鹿スバル!!)
(あ、あははは・・・・)

エリオの地雷をうっかり踏んでしまったスバルにティアナが念話で注意してきた。

「あ、あの!!気にしないでください!!優しくしてくれましたし、全然普通に幸せに暮らしてましたんで・・・」
「そうそう。そのころからフェイトさんがエリオ君の保護責任者だったんだよね」
「フェイト副隊長が・・・?」

シャーリーの言葉に剛が聞き返した。

「はい。物心ついた頃からよくしてもらってて、勉強も魔法もフェイトさんに教えてもらいました。フェイトさん、子供の頃に家庭のことでちょっと寂しい思いをしたそうで、悲しい子供や寂しい子供のことをほっとけないそうなんです。『自分も優しくしてくれるあったかい手に救ってもらった』からって」
「それ、凄く分かります!!」

エリオの言葉にキャロが同意する。

「私もフェイトさんに引き取られてあったかい手で握ってくれたから『ここにいてもいいんだ』って思えるようになったんです。だから、フェイトさんにはとっても感謝しています!!」
「う~~~。エリオ~、キャロ~!!」
「きゃっ!!スバルさん!!」
「ちょ、ちょっと!!」

瞳にかすかに涙をにじませたスバルがエリオとキャロを抱きしめ、ティアナはその様子に少し呆れながら、シャーリーは微笑ましそうに眺めていた。

そのため、誰も剛が苦虫を噛み潰したような表情で二人を眺めていたことには最後まで気付かなかった。

その後は剛の持つ『気』について一通り説明し、正確には希少技能でも何でもない普通の技術であるが、管理局では認知されていない力なのでレアスキル扱いとなり、あまり他言しないように言い聞かせた。

余談であるが、肉体派であるスバルとエリオが気功術に興味を示したらしく、訓練の合間に教えることを約束するのであった。





翌日、剛は誰よりも早く起床し、隊舎の裏手の森の中で武術の型の練習をしていた。

「フッ!!・・・・ハッ!!」

その動きは最初は太極拳の様に体の動きを整えるための緩慢なものから徐々に瞬動も織り交ぜた激しいものに変わっていった。

「フ~~~~~~~~」

春の早朝ということもあり、大して汗もかいていない剛は一旦部屋に戻ろうと隊舎に向かったが・・・・・。

「く~ん?」

そこで隊舎の方から出てきた赤い子犬を見て足を止めてしまった。

「「・・・・・・・・・・・」」

何故か無言で見つめあう一人と一匹。


キングクリムゾン!!!


気が付けば剛はその子犬にも知覚できない速度で近づき、ベンチに座ると膝の上に載せてモフモフし始めた。

「くっ!!きゅう~~~~~~~~~~~ん!!」

背中を撫で、頭を撫で、お腹を撫でられたその子犬は剛の愛撫にあっという間に骨抜きにされ、なすがままにされる。

(ああ・・・・・・いい!!)

剛はこう見えて大の小動物好きなのである。





(フ、フェイト~~。お願い助けて!!)

フェイトがアルフからその念話を聞いたのは、無限書庫に依頼していた資料を届けてくれたアルフが隊舎から帰った直後だった。

(どうしたの、アルフ?)
(とにかく来てくれ・・アフゥン!!)
(アルフ!?)

フェイトはただならぬ感じに急いでアルフの元に向かった。

そこでフェイトが見たものは・・・・・。

「ほれほれ~~。ここがええんか?ここがええんか?」
「きゃう~~~~~ん♡」

まるでムツゴ○ウのような満面の笑みを浮かべ、仰向けになったアルフのお腹を撫でる剛の姿であった。

「・・・・・・・・・・・・・・なにこれ?」

しばらく呆然としていたフェイトだが、意を決して剛に話しかけた。

「あ、あの・・・タケル?何してるの?」
「これはこれはフェイト副隊長殿。なに・・偶々子犬を発見いたしましてね。見ての通り撫でていた次第です」

おそるおそる話しかけてきたフェイトに対し、剛は即座に表情を戻して答えるが、気まずい沈黙が流れる。

まるで見てはいけないものを見てしまったかのようあった。

「タケル・・・その・・・アルフから助けてって念話が来たから来てみたんだけど」
「アルフ?」
「そこの子犬・・・私の使い魔なんだ」
「使い魔?この子犬が?」
「うん」

剛の膝の上から降りたアルフは子犬の姿から10歳程度の少女の姿に変わった。

「う~~~~~~~!!」

顔を真っ赤にし、太腿を擦り合わせながら恨めしそうに剛を睨みつけるアルフ。

「・・・・・・・・・・」

対して剛はまさに鳩が豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべ、言葉を失っていた。

「この世界の使い魔はここまで進んでいたのか・・・・いや、それよりも・・すまないことをしたね・・・・」
「別に・・・・・・・・」

そっぽを向いたまま黙りこくるアルフ。

「じゃあ、フェイト。今度こそ戻るからね」
「うん。気を付けてね」
「あいよ」

そして、アルフは逃げるように去って行った。

「私も朝練の準備があるので失礼します」
「あっ!!タケ・・「ではこれで!!」」

フェイトが何かを言おうとしたが、剛は強い口調で遮り、すたすたと去ってしまった。





最初の訓練が始まって一週間が経ったころ。

訓練の最後に行ったシュートイベーションにおいて、スバルのローラーブーツがオーバーヒートを起こしてしまった。

「ティアナのアンカーガンも結構厳しい?」
「はい、騙し騙しです・・・」
「う~ん。みんな訓練にも慣れてきたし・・・そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えかな?」
「新デバイス?」


訓練が終わった一同は着替えとシャワーを済まし、シャーリーのいるメンテナンスルームに集合した。

「これが、私たちの新デバイスですか?」
「そうで~す!!設計主任、私!!協力、なのはさん、フェイトさん、レイジングハートさんとリイン曹長で~す!!」
「ストラーダとキュルケリオンは変化はなし・・かな?」
「うん・・・そうみたい」
「違いま~す」
「「リイン曹長!?」」
「変化なしは外見だけですよ~。二人はちゃんとしたデバイスの使用経験がなかったので、感触に慣れてもらうために基礎フレームと最低限の機能だけで渡していたです~」
「あ、あれで最低限ですか!?」
「本当に?」
「はい。みんなの使うことになる四機は六課の前線メンバーとメカニックスタッフが技術と経験の粋を集めて完成させた最新型。部隊の目的に合わせて、そしてみなさんの個性に合わせて作られた、文句なしに最高の機体です」

フォワードたちのデバイスが机の上から離れ、それぞれの新たな主の元に向かう。

「この子たちはまだ生まれたばかりですが、いろんな人の思いや願いが込められ、多くの時間が掛けられてやっと完成したです。ただの武器や道具と思わないで大切に、だけど性能限界まで思いっきり全開で使ってあげてほしいです」
「この子たちも、きっとそれを望んでるから」

丁度その時、なのはがメンテナンスルームに入ってきた。

「ごめんお待たせー」
「なのはさん。ちょうどこれからこの子たちの機能説明を行う所です」
「そう。もうすぐに使えるところなんだよね?」
「はいです~!!」

空中にモニターが表示され、モードや機能、出力リミッターなどについて説明された。

「出力リミッターって言ったらなのはさんたちにも掛かっていますよね?」
「まあ、私たちはデバイスだけじゃなくて本人にもだけどね」
「「「「え?」」」」
「リミッターがですか?」
「能力限定って言ってね、うちの隊長と副隊長はみんなだよ」

なのはの言葉に困惑する一同。

「ほら、部隊ごとに保有できる魔導師ランクの総計規模って決まっているじゃない?」
「「「「は、はい」」」」
「一つの部隊でたくさんの優秀な魔導師を保有したい場合は、そこに上手く収まるように魔力の出力リミッターを掛けるですよ」
「まあ、裏技っちゃ裏技なんだけどもね」
「うちの場合だと、はやて部隊長が4ランクダウンで隊長たちは大体2ランクダウンかな?」
「4つ!?八神部隊長ってSSランクのはずですから・・・・・・Aランクまで落としてるんですか!?」
(SSランク!?)

ティアナの言葉に表情に出さず驚く剛。

剛の世界では公式ではSランクまでしかランクが存在しないが、非公式ならその上も存在するためである。

SSランク・・・・通称、神域魔導師。

世界にたった13人しか存在しない人外に与えられる称号なのだ。

世界が違う上に、ランクに対する認識も違うことがわかっていても、内心で動揺を隠せない剛であった。

「はやてちゃんも苦労しているです」
「・・・・・」

ここで、剛は疑問に思ったことがあったが、大まかな答えは想像がついたので口には出さなかった。

その答えの根幹にはミッドと地球の魔法に対する認識の違いがあると気付いたからだ。

出力リミッターが魔導師ランクに直結するのも、質量兵器を禁止し、物理攻撃の手段が極端に乏しく、あってもその動力に魔力を必要とする。

つまり、ミッドの魔導師は不必要な所まで魔力で運用しようとするため、より多くの魔力を必要とするのである。

まあ、砲撃や広域殲滅などと言った、魔力の馬鹿食いのようなタイプの魔導師が優遇されやすい社会基盤も関係しているだろう。

魔導師ランクが高い程、昇進も早いこの世界ではそれを落とすことは何かと苦労するだろし、部隊長も事態によっては最前線に出てくるのが普通ならその魔導師ランクの低下は不安要素でもある。

「まあ、隊長たちのことは置いておいて。みんなのデバイスについて一通り説明が終わったから・・・次は剛さんだね」
「はい?」

なのはからの指名に呆気にとられる剛。

「剛さんにも新しいデバイス・・・正確には違うんだけど便宜上そう呼ぶとして、シャーリー!!」
「は~い!!」

そう言ってシャーリーは机の下からアタッシュケースを取り出し蓋を開けた。

「これは・・・?」
「剛さん専用デバイス『飛穿・M6(マークシックス)』と『鬼切・❘M6《マークシックス》』です」

その中には女性用の小型拳銃の形をした物と、短めの警棒の形をした物が入っていた。

飛穿の方を手に取ると、銃身が伸び、銃に入っているラインが光り出す。

どうやら、今ので電源のようなものが入ったらしい。

銃身が銃から外れ、引き金を起点に先端が下に下がり銃弾を入れる穴の様な物(ただし、円形ではなく長方形型ではあるが)が見える。

ぶちゃけ、トリプソン・コンデンターであった。(分からない人はWikiで検索、もしくはFare/Zeroの衛宮切嗣を参照)

鬼切の方も手に取ると同じようにラインが光り出す。

警棒の先端にはスタンガンの二本の金属棒が出ており、警棒の柄を掴んで引きぬくと黒い膜状のものに覆われた鬼切の刀身が出てきた。

「飛穿は専用弾を装填すると自動でゴムが引かれて弾丸にセットされます。使用されているゴムは電気刺激で収束する力を自在にコントロールできる、ガジェットにも使用されている最新の人工繊維を使用しています。鬼切の方は普段は特殊カバーで切れ味を抑えていますが緊急事態になれば自動で解除されて普通に使用できますので、前みたいにいちいち刀身を変える必要もありません」

ちなみに人工繊維が使われているのはガジェットのうねうね動く触手みたいなあのアームの部分である。

「剛さんの武装は危うくロストロギア指定と質量兵器と言うことで没収されるところでしたが、はやてちゃんの交渉でどうにか六課が用意する武装と言う形なら所持が認められました」

なるほど、M6(マークシックス)とは六課の6か。

「至らぬこの身に数々のご厚意。感謝します」
「今度はやてちゃんにあったらしっかりお礼言うのですよ~」
「それじゃあ、午後になったら調整しようか」
「「「「「はい!!」」」」」

丁度その時・・・・。

ビーーーーーーーーー!!ビーーーーーーーーー!!ビーーーーーーーーー!!

「この警報!!」
「第一級警戒態勢!!」
「グリフィス君!!」
『はい!!教会本部から出動要請です!!』
『なのは隊長!!フェイト隊長!!グリフィス君!!こちらはやて!!』
「はやて部隊長!!」
『状況は!?』

はやてとフェイトかも通信が入り、状況が整理されていく。

『調査部で追っていたレリックらしきものが発見された。場所は山岳地帯。対象はリニアレールで移動中』
『移動中って!?』
「まさか!?」
(・・・最悪な状況だな)

剛は心の中で最悪のシナリオを思い浮かべていた。

もし、リニアが高速で脱線し、レリックが爆発してしまえば多くの被害が出る。

今は山岳地帯だからまだいいものの、これが街中に出てしまえばその被害は計り知れない。

『そのまさかや・・・内部に侵入したガジェットのせいでリニアの制御が奪われとる。リニア内のガジェットは最低でも30体。大型や飛行タイプの未確認体も出ているかもしれん。いきなりハードな初出動やけど、行けるか?なのはちゃん、フェイトちゃん』
「私はオッケーだよ」
『私はいつでも・・・』
『フォワードの皆も大丈夫か?』
「「「「「はい!!」」」」」
『いい返事や。グリフィス君は隊舎での指揮、リインは現場管制、なのはちゃんとフェイトちゃんは現場指揮をお願い』
『『『「了解!!」』』』
『それじゃあ、機動六課フォワード部隊、出動!!』
「「「「「「了解!!」」」」」
『みんなは先行して、私もすぐに向かう』

機動六課始まって初めてのスクランブルが発令された。





先行部隊であるなのは、リインとフォワード部隊はヴァイスの操縦するヘリに乗り込み、現場まで急行していた。

「新デバイスでぶっつけ本番になっちゃったけど、訓練通りで大丈夫だからね。危なくなったら、私やフェイト隊長、リインや剛さんがしっかりフォローしてくれるから、おっかなびっくりじゃなくて思いっきりやってみよう!!」
「「「「はい!!」」」」

初めての任務に気合十分な一同。

しかし、一人だけ顔色が優れない人物がいた。

「大丈夫?」
「あ、だ、大丈夫・・・」

キャロである。

「・・・・・・・・・・」

その様子を見ていた剛はキャロの目の前に寄って来た。

「あ、あの・・・?」

そして・・・・・・。

「きゃっ!!」

剛はキャロの頭に手を置き、ぐりぐりと撫でだした。

「何するんですか!?」

キャロは剛の突然の行動に戸惑いながら尋ねるが、剛は腰を落とし、キャロと同じ高さに目線を合わせた。

そして、彼女の手を掴み・・・・・。

「怖いか?」

そう彼女に問いかけた。

「へ?」
「初めての実戦が怖いか?怪我をするかもしれないのが怖いか?・・・・・それとも、自分の力が怖いか?」
「っ!?」

本音をつかれ動揺するキャロ。

必死に誤魔化そうと口を動かそうとした。

「いや・・その・・・・」

しかし、上手く言葉にできない。

「そう。それでいいんだ」
「「「「へ?」」」」

剛の口からもたらされた意外な言葉にキャロだけでなく他の皆もポカンとした表情を浮かべる。

「『力を振るう者はその力がもたらすものを常に忘れてはいけない』。私の父の言葉だ。いいかいキャロ?私たちは力を振るい人々を守るのが仕事だ。しかし、その力を振るえば人々の命を守ることができるが、奪うこともまた容易いと言うことを決して忘れてはいけない。だが、君が自分の力に対する恐怖を忘れなければ、そして、その力を振るうことでもたらす惨劇を常に忘れなければ、その力を決して人に対して間違った形では向けないはずだ」

剛の言葉に聞き入っていたキャロはいつも間にか、さっきまで感じていた恐怖や体の震えが消えていたことに気付いた。

そして、剛はキャロだけでなく他の3人にも言い聞かせるように続きを述べる。

「みんなも覚えておいてほしい。力を振るうことの意味を間違えるな。力を振るうことしかできない人間にはなるな。・・・・・私の様な人間にはなるな」

悲しそうな表情を浮かべながら懇願する剛。

その時の彼女たちには、何故彼がそのような顔をするのか終ぞ分からなかった
 
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