戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー
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第六話 石川大尉!!合気道でも勝つ!!その六
「十七で駄目なら成長してからだ」
「ですね、本番は十八になってから」
「何しろこの作品は健全な教育小説ですから」
「子供達見てるか?女の子といいことするのは十八歳からだぞ」
「十八歳になってから楽しめよ」
読者の方をびしっと指差して言う二人だった、何と作者も今知ったことだがこの作品は健全な児童教育作品だったのだ。
その教育作品に登場する悪役が日帝衆だ、その首領と言っていい西郷はこの時茶室の中で腕を組み深く考えていた。
その西郷にだ、源田とハルトマンが尋ねたのだった。
「元老、先程からご思案の様ですが」
「何かおありでしょうか」
「天下国家のことでしょうか」
「そのことでお悩みなのでしょうか」
「うむ、世界の子供達のことでごわす」
彼等のことで考えているとだ、西郷は二人に答えた。
「太平洋経済圏は出来たでごわす」
「そしてこの太平洋は文字通り太平となり」
「繁栄していますね」
源田とハルトマンも言う。
「貧困もかなり改善されました」
「貧富の差がかなり縮まっています」
「差別も減り誰もがお互いを認め合う」
「王道楽土に近付いています」
「その通りでごわす、しかし」
西郷は自分達の為してきたことを振り返っていた、それは確かにいい面が多かった。だがそれでもだというのだ。
「まだまだでごわす」
「餓えている子、学べない子がいる」
「そう仰るのですか」
「そうでごわす」
まさにその通りだというのだ。
「ことは完璧でなければならないでごわすな」
「はい、それは」
「何があろうとも」
「百のうち九十九でまだ途中です」
「千里の道の最後の一歩まで道です」
「それが世の常です」
「全ては完璧でなければなりません」
「まだまだでごわす」
餓えている子、学べていない子が一人でもいる限りは駄目だというのだ、西郷は完全を目指しているのだ。
それでだ、今も言うのだ。
「特においどんが憂いていることはでごわす」
「子供達のことで」
「そのこと、ですか」
「いじめと虐待でごわす」
この二つだった。
「己より力の弱き者、違う者をいたぶる」
「人としてあってはならないことですね」
「何があろうとも」
「それは間違っているでごわす」
いじめそのものを否定する西郷だった。
「人は誰もが違うものでごわす」
「同じ人であろうとも」
「個性がありますね」
源田とハルトマンも言う。
「かつて皇軍もいじめがはびこっていましたが」
「あれはあってはならないことであったと」
「その通りでごわす、上官のいじめもでごわす」
それもだというのだ。
「階級の上下は確かに強弱になるでごわすが」
「その階級に奢って下をいたぶってはならない」
「決してですね」
「よって日帝衆ではいじめは絶対の法度となっているでごわす」
日帝衆の法度は厳格なること金剛石の如きだ。かつての日本軍をも遥かに凌駕するまでに厳格であり絶対のものだ。
そしてその法度がだ、彼等の道徳心を支えているのだ。それは武士道に基づく誇り高いものである。
「あってはならないことであるが故に」
「ですな、いじめは醜きこと」
「己の弱さをこれ以上はないまでに見せるもの」
「それで、ですな」
「決して許されぬと」
「左様です、そしてでごわす」
さらに言う西郷だった。
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