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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第10話 普段優しい人ほどキレたら恐ろしい

 
前書き
どうも蛹です。
今回はリオさんの恐ろしい戦闘シーンです。
一体どういう原理で凍らせているのか。
どういった戦闘方法を取るのか。
それは読めばわかります。
それでは第10話 始まります!! 

 
あの口でただでさえしゃべりにくそうなのにリオさんにもぎられて
もう完全に何を言っているかわからない。
蚊型の"侵略虫"はもだえ苦しみながら叫んだ。

「ごボダであッ‥‥‥あデらがビロど‥‥だバべばッッ!!」
「ゴチャゴチャうっせぇんだよ‥‥‥‥何なら口が戻るまで待ってやろうか?」

次の一言は良く聞こえた。

「殺ずゥッッ!!」

 ダンッッ!

蚊型がリオさんに高速で飛びかかった。

「リオさんッ!」

マリーが叫んだ。アーロンは冷静につぶやいた。

「大丈夫ですよ。私ならまだしも真の"鎧人"であるリオさんが
 あんなザコに負けるわけがありません」

バシュゥゥゥゥゥッッ!

背中の肩甲骨付近から噴き出したジェット噴射のようなもので
リオさんは高速移動をした。

「待じヤガれェッ!!」

蚊型も翅を使い急カーブをしてリオさんを追いかけた。

「ここじゃ危ないからな‥‥‥場所を変えよう」

 バシュッ! バシュゥゥゥゥゥッ!

左右のジェット噴射の出力を変えて道を曲がりながら
広場の中の人のいなさそうな場所に出た。

「ここらへんかな」

 バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!

両手からガスを噴出し急ブレーキをかけた。
背中からのジェット噴射でホバリングを行っている。
後ろからは猛スピードで蚊型が追いかけて来た。

「待ちやがれクソ野郎がァァァァッ!!」

口は完全に再生したようだ。 罵倒する声がよく聞こえる。

「!!?」 

ブンッッ!

蚊型も翅を使い急ブレーキをかけた。
あたりには謎の冷気が漂っていた。

「どうした‥‥‥来ないのか?」

人差し指でリオさんは蚊型に挑発をした。
だが、さすがに馬鹿ではないようだ。

「チッ‥‥‥これがお前の"超技術"か」

蚊型は周りの冷気をにらみながら言った。

「このちっぽけな冷気がおまえの能力か?」

リオさんは少し笑いながら言った。

「そうだな‥‥‥お前がこのガスをそう思うんならそうなんじゃないのか?」
「ぬかせ‥‥‥‥‥‥‥ハッ!」

足元のタイルが凍り付いておりアイススケートリンクの様になっていた。

「"鎧人"も"侵略虫"も翅で空を飛ぶことは出来ない。
 せいぜい走る時のアシストが限界だからな。
 テメェの機動力を奪わせてもらったぜ」

蚊型は舌打ちをした。

「チッ‥‥訂正してやるよ‥‥‥‥お前は―――」
「うるせぇよ」
「!?」

リオさんは蚊型の言葉を遮った。そして言った。

「テメェみてぇなザコからどう思われようが俺には関係ねぇからな」

 ブチッ

蚊型はついにキレた。

「てめぇ‥‥黙って聞いてりゃザコだとぉ?」

 ダンッ!

蚊型はリオさんに向かってジャンプした。

「こうすりゃぁカンケ―ねぇんだよぉ!!」

 バシュゥゥゥゥゥゥッ!

リオさんはジェット噴射で左に避けた。

「そうだな、こうすりゃカンケ―ねぇな」

嫌味まじりに言い放った。

 ドスッッ!

「!!」

蚊型の口器がリオさんの肩付近の“鎧骨格”の関節の間に突き刺さった。

「ひゃひゃひゃぁッ!始めからこうすることが目的だったんだよォ!
 血ィ吸い尽くしてミイラみたいにしてやるぅぁッ!!」

 ジュルッ ジュルッ ジュルッ

口器に血管が浮き出ていた。血を吸っているのだろう。
追いついたマリーはそれを見て駆け寄ろうとしたが、アーロンに止められた。

「今度こそリオさんが死んじゃうよ、アーロンさん!」 

アーロンはまだ冷静そうだ。 アーロンは言った。

「さっきも言いましたよ、マリーさん。私ならともかく―――」

 パキパキパキパキパキ

蚊型の身体が徐々に凍結し始めた。

「かッ‥‥な‥‥何だこりゃぁ‥‥‥」

  ズボッッ

リオさんは口器を引き抜いた。
口器の先から半透明の液体が漏れていた。

そこまで見た後にアーロンはマリーに言った。

「リオさんは負けるはずがないと」

口器まで凍り付いて、まるでおがくずの様にもろくなっていた。

「冥土の土産に教えといてやるよ。てめえがさっきからゴクゴク飲んでたのは 
 俺がさっきから出してる冷凍ガスのもとさ。それを飲んじまったオメェはもう
 内臓やなんやら全部が完全に凍り付いちまっておしまいってわけさ」
「か‥‥‥は‥‥‥‥‥‥‥」

そのまま蚊型は地面に落下していった。

 ガチャァァァァン!

蚊型は粉々に砕け散った。

 プシュウウウゥゥゥゥゥ‥‥‥  スタッ

リオさんはゆっくり地面に着地した。

 ガシャシャシャシャン!

そして変身を解いた。
 

「‥‥‥ふぅ」
「リオさぁぁぁーーーーーーん!」

全員は走ってリオさんに駆け寄った。

「さっきからジェットみたいなので飛んでたけど
 一体リオさんは何の虫の"鎧人"なの?」
「それ、オレも気になる!」

マリーとホークアイは目がキラキラと輝いている。

「え~~っと‥‥‥‥まぁ、こんなとこで話すよりアスラくんがいる部屋に
 戻って話した方がいいんじゃないかな?」
「あっそうだ!アスラのとこまで早く戻んないと!」

全員はまた基地の医療室まで戻って行った‥‥‥。



    **********



 ー巨大基地 医療室内ー

 ガチッ ドボボボボボボボボ‥‥‥‥

医療装置内の液体が排出されていった。

 ピ―――ッ ピ―――ッ ピ―――ッ ガチャンッ

医療装置のフタが開いた。

「‥‥‥‥‥‥ガハッ!‥‥‥‥ゲホゲホッ‥‥‥おえ‥‥‥‥」

中に入っていたアスラが水を吐きながら立ち上がった。

「ここは‥‥‥記憶が抜けてるな‥‥‥どこだっけ?」

 ガチッ ウィィーーーーン

円柱型の水槽が上に上がっていった。
アスラは部屋の中を見回した。 

「どこが出口だ?」

 ウィ―――ン

と、そこにリオさんたちが帰って来た。

「あっ、アスラが起きてる!」

マリーはアスラに駆け寄った。
そしてぺちぺちとアスラの胸を軽くたたいた。

「治ったみたいだね、アスラ」

そういえば骨折していたということを思い出したアスラは
自分でさすりながら言った。

「本当だ‥‥‥あの変な装置のおかげなのかな?」

それを聞いたリオさんの後ろにいた金髪の白衣を着た女の人が言った。

「変な装置とは何よ。これと同じレベルの治療マシンは世界中を
 探してもあるかないかの物なのよ」

女の人はタオルをアスラに差し出した。

「あ‥‥‥すいません‥‥‥」

アスラは謝罪とお礼の意味をこめて言った。
女の人は眼鏡の位置を戻しつつ言った。

「早く拭かないと風邪ひくわよ、パンツ一丁なんだから」
「‥‥‥‥あ」

目覚めたばかりなので、まだ少しボーっとしているようだ。
アスラは体を拭きながら向こうの服のある部屋へと歩いて行った。



    **********



 ー巨大基地 休憩室ー

 ウィ―――ン

ドアを開けてアスラが入って来た。

「ごめん、思った以上に体がだるくて‥‥」

服装も所どころ中途半端になっている。

 ヂィッ

マリーはアスラに近寄ってパーカーのチャックを閉めてあげた。

「治ったけど、かなりお疲れさんだね」

眼鏡の女の人が言った。

「身体の細胞のエネルギーを使って治すから少し疲労するのよね
 それが克服できれば重傷者の治療もできるんだけど‥‥」
「あの‥‥‥」

アスラは話を遮りつつ言った。

「あなたは誰ですか‥‥?」

 ガクッ

女の人は肩を落とした。

「それ訊くの遅くない?まあいいけど‥‥‥
 私はレイラ。ここの装置の製作を主に担当しているわ」

アスラは納得した。

「あの医療マシンもレイラさんが作ってたんですね。
 あっ‥‥‥変なのとか言ってすいませんでした」

レイラは微笑みながら言った。

「いいわよ、別に怒ってないから」

アスラは少しホッとした。

「アスラくん、レイラ、そろそろいいかい?」

リオさんは2人に訊いた。

「あっ、はい‥‥」

アスラは急いで椅子に座った。

「アスラくんには名乗ってなかったね。俺はリディ二―ク。みんなは俺のことを――――」
「リオさんと呼んでいます」
「だからぁ‥‥‥まぁいいや、よろしく」
『俺のあだ名がリオさんとしてどんどん広がっていく‥‥‥‥』

リオさんは心の中で悲しんだ。

「よ‥‥‥よろしくお願いします」

アスラは少し人見知りなところがある。
リオさんは話しやすいように話題を与えた。

「俺は君と同じ"鎧人"なんだよ」

リオさんの言葉にアスラは驚いた。

「そしてマリーちゃんと同じく"超技術"が使える者さ」
「マジですか‥‥」

みんなはもう知っているがアスラは全く知らないので
口が開いたまま塞がらないでいる。

「次の話で俺の"超技術"について話してやるよ」
「‥‥‥‥次の話?」
「まぁ、今の一言は気にするな」

リオさんは顔を逸らした。 
 

 
後書き
思った以上に長くなったので、リオさんの能力の説明は次に回させていただきます。
まぁ大体凍らせる能力ということは理解されているでしょうがね。
リオさんは何の虫の"鎧人"なのかも次に分かります。
もしかしたら某有名マンガを読んでいる人ならわかるはずです。
Gが襲いかかって来るアレね。

次回 第11話 カップ麺は3分では食べられない お楽しみに! 
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