戦火に捧げるレクイエム
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僕がここにいる理由
前書き
5話目の投稿です
皆さん、おはこんばんちわ。
なんだか話数が少ないのに今回の回はクライマックスな感じ!?
どうしましょう……
と、そのことは置いといて、ごゆっくり
森の中の木にもたれかかり、ここに来た理由を僕は考えていた。
おかしな事の始まりはあの夢……女性が死ぬ直前に友達に会いたいと願った夢。
あの夢をなぜ僕が見たのか、それが不思議でたまらなかった。理由は僕とあの女性の接点が全く持って感じられなかったからだ。
どこかで会ったわけでもない。さらにいえばあんな戦いが行われていた時代に僕が関係しているとは全く思えなかったからだ。
「ふぅ……」
自分の足元に視線を落とす。考えても考えても、理由はわからない。逆に考えるほどわけがわからなくなりそうだ……。
僕はどうすればいいのか……どう動けばいいのか……。
下ろしていた視線を上げ、雲ひとつない空を見ながら僕は考え続けていた。
**
「んっ……」
どうやら寝てたみたいだ……空は夕日で姿を変え、その色をオレンジ色で染めていた。
「そろそろ戻らないと……」
立ち上がり戻ろうとした時。
「澪様!」
「はい?」
ノエルさんがこっちに向かって走ってきていた。なにやら焦ってるように見えるけど……
「すずか様とアリサ様を見ませんでしたか!?」
「えっと……見てないですけど?」
「そう……ですか」
まるで苦虫をかみつぶしたようか顔をしていた。
「どうかしたんですか?」
「実は……お二人が誘拐されてしまったんです」
「なっ!?」
なんでそんなことが……お金持ちだから…なのか……わからないけど、とにかく今は
「どこにいるかはわかってるんですか?」
「はい、捕まっている場所はわかっています」
「ならすぐにっ!」
行きましょう、と言おうとした瞬間。まるで僕がいうことがわかっていたかのように、ノエルさんはこう言った。
「澪様はここでお待ちになっていてください。お二人は私が助けに行きます」
「なっ!?一人でなんて危ないですよ!」
「大丈夫です、助っ人は頼んでいますから……それに、貴方を連れていっても、きっと……貴方が危険にさらされるだけですから」
「っ!?」
遠まわしな言葉……その言葉は確実に僕を戦力外だと語っていた。
「それでは……」
ノエルさんがその場を離れる……。
僕はその場で仰向けになって倒れ、考えていた。
ノエルさんの言葉で思い出されたこと……自分の無能さ。ここに来る前の弱くて情けない自分のこと。
ふと、あの強盗の時の自分を出せればどうにかなるかもしれないと思ったが……どうすればなれるのかも、今の僕にはわからなかった。
「いっそのこと……全部夢ならいいのに……」
こんな思いをするなら、ここに来る前の方がまだマシだったかもしれない。
できないことを全部知っていたあの頃……でも、今はもっとできないことを知ってしまった。
自分の無能さがさらに強まってしまった事実から目を逸らしたい気持ちを感じながら。
もう一度、僕は考える……なんで僕がこの世界に呼ばれたのか……
この世界に来た時に聞こえた声の主に聞けばわかるだろうか……
考え疲れた頃……ふと、僕は願ってみることにした。
「自分自身が欲しい……自分に自信が持てるような……そんな自分が」
その時……
「っ!?」
僕はどこか、見たことのない場所に来ていた。暗くて、冷たくて……寂しい場所。
「ここは……」
立ち上がり、周りを見回す。見回す限り、全てが同じ景色だった。
『ごめんね…』
聞いた覚えのある声が聞こえた……声が聞こえた方を見るとそこには、見たことのある女性がいた。
「貴女は……」
夢で見た、女性がいた。
『ごめんね……私の身勝手な思いを貴方に押し付けて……』
なんとなく気づいていた……この人の願いが僕をここに連れてきたのだと。でも……納得できないことがある。
「聞きたいこともあるけど……一ついいかな?」
『なに…かな?』
「なんで僕なの?……どうして僕を選んだの?」
女性は俯き、その後、僕のことをしっかりと見つめ……口を開いた。
『私の夢を見た貴方なら知ってるよね……私がどんな姿でもいいから友達に会いたいって』
僕は頷く。
『その夢は叶ったといえば叶ったんだ……』
「それって……」
『うん……貴方は私の生まれ変わりみたいなものなの…だから……』
その時、僕の中の何かが弾けた気がした。今まで疑問に思っていたことが解消されたからなのかもしれない。
自分が弱いことも……無能なことも変わっていないけれど、知ったから……自分がやらなければいけない事が、目標を知れたから……
その時、空間が歪んだ。
『もう……時間みたい……力なら私の力を貸すね……だから……お願い、図々しいけど……私の友達に……』
次の瞬間……もうあの空間はなく……目の前にはさっきまでの森の中だった。
そして、僕の気持ちはなぜか晴れ晴れとしていた。理由はわからない……けど、自分がここにいる意味を知った。
それだけで今は体が軽かった。
それから、僕の手の甲には紋章が刻まれていた。あの女性の瞳の色と同じアクアブルーの紋章が……
僕は大きく深呼吸をして、そして呟いた。
「さぁ……行こうか」
その言葉に応答するかのように、紋章が光り輝いた。
後書き
読んでくださりありがとうございます。
なんといいますか、今回は駄文に磨きがかかった気がします。
もうあの女性が登場って早くないっ!?っと自分でも思いました。
で、でもまだ名前は出してないからセーフのはず…
こほん、それでは次回もよろしくお願いします
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