戦国異伝
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第百七十九話 集まる者達その十一
「特にな」
「十二家の一つ松永家の棟梁であられるからですか」
「それだけの力をお持ちですか」
「これだけの神仏の結界の中にいても」
「ご無事なのですか」
「しかも楽しくもあるわ」
苦しいどころか、というのだ。
「むしろな」
「流石殿ですな」
「そこまでのお力がおありですか」
「左様ですか、そここまでのものが」
「殿にはおありなのですな」
「いや、むしろな」
ここでこうも言う松永だった。
「わしが変わったのやもな」
「変わった!?」
「変わったといいますと」
「そう思うわ」
あえて言外に多くのものを隠しての言葉だった。
「わしが変わったのじゃ」
「左様ですか」
「お力が備わりましたか」
「左様ですか」
家臣達はこう考えた、松永の今の言葉を聞いて。
「殿はここにきてさらにお強くなられましたか」
「流石は殿ですな」
「近頃遊びが過ぎると思っていましたが」
「織田家に入れられてから」
だから彼等も松永を急かしていたのだ、それではと想い。
「しかしそれはですか」
「違いましたか」
「密かにお力を蓄えられ」
「今もこれだけの結界の中にいても耐えられる」
「そこまで修行をされていましたか」
「我等の知らぬ間に」
「ふむ、そう思うか」
ここでも多くは語らない松永だった、そしてあえて隠しもしている。
そして隠したままだ、こう言うのだった。
「ならよい」
「ではやがては」
「織田家もですな」
彼等は完全に織田家とは別の者達として話していた。
「その中から」
「次第に」
「そうせよと言われておるな」
今度はだ、何処か空虚に言う松永だった。
「はい、長老様から」
「今もですな」
「しかも急げと」
「他の十二家の方々からも」
「わかっておる」
こうは言っても言葉は焦っていない。
「そのことはな」
「では間もなくですな」
「また本願寺との戦になります」
「本願寺は毛利と結ぶ様です」
「そして東も」
こちら側もだというのだ。
「どうやらですが」
「武田とじゃな」
「はい、北条が取り次ぎ」
相模のこの家が、というのだ。
「そのうえで」
「武田と上杉が結ぶか」
「北条も入れて三家で」
東国のこの三国が、というのだ。
「織田家に当たるそうです」
「織田家は東西から攻められます」
「そして都でも」
そこでもだというのだ。
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