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凡人? 天才? それとも……。

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第十一話【プレゼントするべ】

 
前書き
これが連続投稿のラストです。
サボった分を挽回できていないので今後も頑張りたいです。 

 

「「「ハッピーバースディ。凛」」」
 凛が暗闇の中、ケーキの上に灯った火を消す。
「電気つけて! 変態」
 陽奈に言われるまでもなく、つけるつもりだって。
 部屋の電気を入れる。電気が灯り少し眩しい。
「みんな、ありがとう。とても、嬉しい」
 楽しい時間はあっと言う間に過ぎて、加藤君。百田君、神凪さん、葭原さん、光君は帰っていった。
「今度も一緒にギャルゲな!」
 また、快は訳の分からないことを。
「少しは見直した、いつも変態から、役に立つ変態に変えてあげる」
 陽奈は玄関で靴を履きながら言う。履き終わると、じゃあね。と言ってドアを開ける。快もそれに続いて、快が片手で手を振り、もう一方でゲームをしながら出る。
「陽奈! 今日は計画してくれてありがとう」
 陽奈は足を止めたが振り返らず、また進み出す。
「夜道には気をつけて帰れよ。また、明日学校で」
 二人を見送ってから、部屋に戻る。まだ、食器やらの片づけが終わっていない。
「誕生日、祝ってくれてありがとう……」
 何処から片づけようかと迷っているとソファに座っている凛がお礼を言う。
「俺は場所を提供しただけでなにもやっていないに等しい」
「そっか。でも、ありがと」
 なんか歯切れが悪いな。気に入らなかったのか? でも、それならありがとうなんて言わないし。
 チャイムの音がする。俺は凛のことも気になったが、玄関に向かう。ドアを開けると百田君と光君がいる。
「どうしたの? 忘れ物?」
「いや、光が凛さんにプレゼント渡し忘れたから」
 光君を見ると手には凛へ渡す予定のプレゼントらしき包装された箱がある。
「俺は、廻や美砂と外で待っているから」
「分かった。栗生おじさん」
 百田君はそう言って外に出る。
「凛なら、リビングだし上がるか?」
 光君は首を横に振って断る。
「大地さん、凛姉ちゃんに渡しとい下さい。じゃあ、お母さんによろしくお願いします」
 光君からプレゼントを受け取る。
「お母さんって、俺の母さんでいいわけ?」
 なぜか、動揺する光君。変なこと言ったか、少し焦る。
「や、やだなー。僕はお母さんなんて一言も言ってないですよ」
 あれ、お母さんによろしくって? 聞き間違えかな?
「もしかして、聞き間違えた? そうだったら、ごめんね、光君」
「き、きっと、そうですよ。それでは、栗生おじさんたち待たしているので」
 頭を下げて、急いで玄関から出る光君。妙に忙しない感じだった。
 プレゼントを持ってリビングに戻る。
「……誰だった?」
 すぐさま凛に光君のプレゼントを渡す。
「光君がプレゼントだって、ほらよ」
 凛に渡す。凛は包装紙をはがし、箱の蓋を開けると中には
「ネックレスか? 二つ入っている」
「……ペアネックレス」
 チェーンの先に指輪見たいのが二つ交わるように着いている。それが二つ。
 光君のこんな物どこで買ったんだ?
 ふと、時計を見るとまた九時を回っていた。
 前みたいになると凛が可哀想だな。
「今日は家まで送って行くぞ。また、昨日みたいになるのは嫌だろ?」
 それからでも十分に片づける時間はあるしな。
「って、どうしたんだ。さっきから俯いて? そんなにプレゼントが嬉しかったか?」
 屈んで顔を覗き込んでみる。目と目が合う。凛の瞳が潤んでいる。
「凛、泣いているのか?」
 凛は慌てて涙を拭く。うっさい。と一言言ってまた俯く。
「……懐かしかったのよ。大勢の友達に祝ってもらうの……」
 そう言えば昔は、よく俺ら家族と凛の家族で誰かの誕生日が来たら、盛大に祝っていたな。
「良かったな。あんなに大勢で誕生日祝ってもらって」
「うん……。いい誕生日になった」
 そっか。よかったな、凛。俺も頑張った甲斐があったよ。
 少しの間が空く。
「……大地、私に一回しか誕生日プレゼントくれなかったね」
「確かに凛から色々もらったのは覚えているけど、あげたことはなかったかもな」
「一回、あったけどね。覚えてないか」
 一回あったことすら覚えてない、一回って酷い男だな、俺。
「覚えてないな。なにあげたんだ、俺は?」
「……秘密」
 そう言えば、今日も買ってきてないな。ずっと家の飾り付けとかしてたし完全に忘れていた。
「今日もあげてないな。明日の放課後買って来る」
「……ありがとう」
 凛の言った、ありがとう。がどことなく寂しそうに感じた。
 やかんのお湯が沸騰して蒸気が出る。俺は、火を止めに行く。棚に置いてあるミルクティーの粉をマグカップ二つに適量入れ、沸いたお湯を注ぎ込む。スプーンで混ぜて、ミルクティーを二つ作る。両手に持って、再び凛の方へ行く。ソファの前に一つを置き、凛の隣に座る。
「冷めない内に召し上がれ。ってな」
 凛がそっと一口飲む。
「……甘すぎるよ」
 そう文句を言って、また一口飲む。

    ☆

「さて、送るけど。どうする?」
 凛は泣きやむと、片付けを手伝ってくれた。その御陰で直ぐに終わったけれど、その分凛の帰る時間が遅くなって現在、十時前。
「取り敢えずは聞きたいこともあったから、お母さんに連絡してみる」
 凛の家と俺の家は言うほど離れていなく、比較的近くにあるから、送る事なんて朝飯前なのだが俺に気を遣って親に電話してくれるみたいだ。
 電話を終えて、凛が近くに来る。
「おじさんが迎えに来るって?」
 俺は個人的に送っていきたかった。その方が凛と少しでも一緒にいられると思ったから。
「迎えに来て貰えない」
「分かった。なら送るよ、俺も心配だから」
 凛は悪いけど、少し得した気分。
「それが。昨日の着替えがどうも一日分じゃなかったみたで、理由をお母さんに聞いたら当分帰ってくるな。って、言われた……」
「帰ってくるなって、じゃどうするんだよ?」
 つまりどういうことだ? 帰るなって、そしたら凛は何処で寝泊まりすることになるんだ?
「って! まさか! この家に住むのか?」
 凛は無言で頷く。
「私だって反対したけど、親が勝手に……。家の鍵閉めたからって」
「なんで、凛だって家の鍵持っているだろ?」
「私はいつも家には誰か居るから持ってないの!」
「なんで持ってないんだよ! 普通は持ってるだろ?」
 凛と同居みたいなのができるのは嬉しいけど、男と女が一つ屋根の下って言うのは不味い。確かに部屋は余っているけど。
「うっさい! こうなるなんて、想像してなかったのよ! バカーァッ!」
 完全に凛の機嫌を損ねてしまった。
「私、先にお風呂はいるから!」
 お風呂? まあ、沸いていると思うけど。
「下着どうするんだよ?」
「さっき、一日分じゃないって言ったでしょ!」
 痛い、またぶたれたよ。どうなるの、お爺さん! 教えてくれ!
 
 

 
後書き
後半は文字数もダメダメだし、やばいな……。
全体を通して、誤字脱字などが多いかもしれません。
また機会があったら連続の奴を丁寧に修正したいと思っています。 
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