ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第十一幕その二
「水泳もです」
「不得意な人もですか」
「はい、僕の様に」
いるというのです。
「僕はスポーツ全体が苦手でして」
「それで水泳も」
「はい、ですから」
それでだというのです。
「僕は泳げないのです」
「左様ですか」
「そうです、それに」
「それにですか」
「ロイヤル=ネービーの水兵は泳げない人も結構いたのですよ」
先生は加藤さんにこのこともお話するのでした。
「実は」
「えっ、水兵さんがですか」
「はい、泳げない人が結構いました」
「そうだったのですか」
加藤さんはこのことにもびっくりでした、目を白黒させています。
「そちらでは」
「そうです、昔のお話ですが」
「それでも水兵さんが泳げないとは」
「泳げたら船から泳いで逃げますよね」
「脱走ですか」
「そのことを危惧していてもいましたし」
それで、だったというのです。
「泳げない水兵さんもです」
「水泳を教えなかったのですか」
「そのまま船で働かせていました」
「ううむ、凄いことですね」
「それに。日本ではないと思いますが」
先生はこんなこともお話しました。
「かつてのロイヤル=ネービーは徴兵制ではなく」
「では傭兵ですか」
「いえ、強制徴募でした」
「強制徴募!?」
「そうです、日本ではない制度ですね」
先生は加藤さんにこのことも確認しました。
「これは」
「徴兵制ではないのですか」
加藤さんが知っているのはこちらでした。
「若しくは武士の様な」
「代々軍人の家系はありましたが」
「水兵さんはですか」
「はい、港等で体格のいい人を見付けたら」
そうした人を、というのです。
「泥酔させるなり殴って気絶させるなりしてです」
「無理矢理水兵にしていたのですか」
「そうです、本人の意思とは関係なく」
「また乱暴なやり方ですね」
「そうですね、今の視点からしますと」
「日本にはありませんね」
到底とです、加藤さんはその強制徴募について信じられないといったお顔のままでこうも言ったのでした。
「そうした制度は」
「ですね、徴兵制でしたね」
「海軍は基本志願制でしたし」
加藤さんはこのことからお話しました、一行は今はその砂浜の場所を確認しただけでした。長老さんは帰って先生達はシンポジウムの場所に歩いて向かっていてその途中にこうしたことをお話しているのです。
「それに徴兵制自体も」
「そちらもですか」
「実際は検査がかなり厳しくて」
それでだったというのです。
「選抜徴兵制でした」
「戦前の日本ではですね」
「軍隊に入ることは容易ではなかったのです」
戦前の徴兵制があった頃でもです。
「第二次世界大戦の頃は別としまして」
「徴兵検査は厳格だったのですね」
「四段階に分かれていまして、検査結果が」
「それで、ですね」
「一番上の合格であることが第一で」
そして、というのです。
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