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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十五章
  一乗谷へ向けて

俺達黒鮫隊の準備も完了したので、一真隊に合流した。10人と人数は少ないが、歴戦の強者だ。6人がIS部隊からで、4人が野郎どもだしな。それにIS部隊からの6人は半分が近接特化型で半分が中遠距離型にした。詳しくいうと、インフィニットジャスティスとサバーニャだ。ジャスティスは中距離攻撃もできるが、近接面が武器だし、動力源はハイパーデュートリオンだしな。サバーニャは狙撃ではなく乱戦下での銃撃戦(つまり「乱れ撃ち」)を得意とする機体だ。無論シールドビットはジャスティスにも付けているので問題はない。食料とかは、いつでも空間から取り出せるし、野郎どもの装備はアサルトライフルを持たせているが、状況により俺が手渡しでショットガンを渡すことにしている。あとは、手榴弾もいくつか持たせているし、問題ないだろうな。

「それにしても、こんな強行軍で大丈夫か?」

「満月を迎える前に一乗谷に肉薄し、警戒しながら大休止・・・・といったところでしょう」

「敵前での大休止なんて、本来ならば賛成しかねますが・・・・今の状況では致し方ありませんね」

「そうだな。・・・・」

それにこの違和感を感じるのは、俺達黒鮫隊全員が感じているはずだ。久遠は無茶振りが多いが、焦っているような采配はしないだろう。だけど、近くには明智がいる。焦っていても、自分の焦りを抑え込み、確実に勝てるまでは動かないし。勝てるのが分かったときに、一気呵成に動いて、望むものを手に入れるというのが久遠のやり方。

「ひよ、小荷駄のほうはどうだ?」

「みんな、ちゃんと付いてきてくれてますよ。無駄は徹底的に省いて、まだまだご飯が一杯です」

「武器やや玉薬は大丈夫だろう。敦賀城攻めで使っていないし、携帯食や玉薬は?」

「それはもちろん。さすがに三日分程度しか携帯出来てませんけど」

「まあ無くなればうちの隊から支給されるけど、今のところ大丈夫か」

「どうかしましたの?ハニー」

「念には念をな。梅、隊列が間延びしないように注意と、鉄砲隊は一真隊にとっては主力だからはぐれないように注意を」

「了解しましたわ」

必要な指示を出しながら、俺達は更に奥へと進んでいく。一真隊は本陣後方、殿に近い位置にいる。小波の助けやトレミーでの監視を続けから後方からの偵察も大丈夫。史実のように奇襲を受けることも、包囲されることはないがそれでも俺と黒鮫隊の諸君はピリピリムード。連合軍は粛々と進軍し、目的地まで残り少しいうところで全軍に停止命令が出た。そして、野営を準備を始めるが俺たちは何もしないで音楽聞いていたりトランプで遊んでたりしていた。

「主様」

「何、一葉」

「暇じゃ。戦がないというのは、何とも暇じゃ」

「明日は決戦なんだから我慢しろ」

「そう言うな。暇を我慢できるほど、余は人生を楽しみ尽くしておらんのだ。と言う訳で主様よ。一つ手合せを」

「阿呆。ここで力を温存しておきたいのだから無理に決まっているだろ」

「じゃあオレとやらないか?公方の姉ちゃんよ」

そしたら一葉は遠慮しておこうと言った。仕合いならできるが死合いは全力を出さないと行けないとかで。で、鞠と仕合することになって、小夜叉もついて行ったけどね。今度は幽が来たらため息を吐いていたけど。

「さようですか。やれやれ・・・・二条館を出てから、活動的になられて困りますなぁ、全く」

「一葉は面白いことがあればすぐ首を突っ込むからな。二条を出てから活発になったな」

「三好衆の圧迫で、自由に動くこともできなかった。破天荒ではた迷惑な公方様が落ち着いたと思ったら」

「では、俺たちが初めて会った一葉は・・・・」

「生まれて初めて、大人しくしてた時期でしょうなぁ」

あれでもまた魅力の一つだというけどな。文句を言いながら付き従っている幽も苦労してるわけか。一真隊に漂う雰囲気が気になるという事らしいので、俺は後ろを指した。まさか後ろから奇襲があるとでもと聞かれたけど。それに他の衆には、それどころではないと判断し一真隊と少数の黒鮫隊とトレミーで監視をしているとね。で、足利衆にも言っておいてほしかったらしいが、足利衆は前を向いてほしいと言った。後ろを見るのは俺達だけでいいとな。一真隊と足利衆は共に動くとしていたらしいのでちょうどよかった。そして、幽には一葉の手綱を頼むともね。

「奇襲の話を伺った途端に浮かび上がったのは、狂喜しながら鬼の集団に踊りかかり、笑いながら刀を振るって鬼どもを虐殺する、公方様の姿を」

「俺もな。と言う訳で頼むわ。俺は俺の隊に指示を出さなければいけないのでな」

軽く頭を下げたあと、足利衆の陣所へと戻って行った。それからしばらくしてから、音楽を聞いていたら一真隊の皆が一乗谷攻略に向けて意見を交換していたところに、久遠達がやってきた。

「久遠にそれに葵たちか。どうかしたか?」

久遠の側で護衛を務めている桐琴はいいとして、葵や眞琴、市まで揃って来てた。

「ふむ。悩み事があって、ここに来たな久遠」

「・・・・なぜそう思う?」

「顔を見れば分かるさ」

「そうか。・・・・」

眞琴と市は一葉のところに行ってしまったけどね。葵は小波のところに行って、桐琴は小夜叉のところに行ったようだ。何かを察知したのかな。

「一真」

俺の名を呼びながら久遠が腕の中に入ってきた。匂いを嗅いでいたが、船に戻ったあとにシャワーを浴びたのかいい香りがするとな。ではお返しにと、今度は久遠の匂いを嗅いだ。

「ふむ。いつもいい匂いだな」

「そうか?自分では分からんのだが・・・・」

「自分では分からないけど、他人には分かるんだよ。で、どうした?」

久遠は黙り込んでしまった。肩を振るわせて俺にしがみ付く。長い沈黙だったが、俺は久遠の言葉を待った。

「越前は・・・・人の気配が無くなっていた・・・」

「そうだな・・・・」

「村に人の影もなく・・・・声だって聞こえない・・・。これは鬼のせいなのか、それとも・・・・」

「大丈夫だ。絶対にな」

久遠は越前討ち入りが遅かったと思ってるのかな。だから、自分のせいで越前は・・・と言いたいのであろう。

「俺達は最善を尽くした。越前だけでなく、日の本全土の今後を考えてな。大義名分を手に入れたり、仲間や物資、兵を整えた。一人で全部出来ることなんて、出来ないことだ。俺もだけど、部下や副長がいないと自分ができないところをやってくれる。神だって全てが出来るわけではないからな。それに、人は間違いを犯すがそれは周りの人が修正をしてくれるからな」

と言いながら、久遠に邪気を払った。翼での運気アップやお祓いなどもした。そしたら、悩みがなかったように元気になった久遠。だけど、俺には分かるんだ。この世界が鬼との戦いが終わった後に消滅することを。それは外史の終わりではなく、言葉通りの消滅。ドウターゲートが複数現れて百万から一億体出てきたら、さすがの俺達でも無理だ。なので、消滅する前に保護はする。それが俺たちの使命だ! 
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