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ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~

作者:りんまろ
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唯一無二の不確定因子
  第十七話 希望からの絶望

 
前書き
視点変更していきます。今回はアリスsideです。 

 
 アリス達の耳に、カシャアァァン! とひときわ鋭く、儚い破砕音が響いた
 それは、この世界に生きているならば、必ず一度は聞いたことがある音であるのと同時に、このデスゲームの中で一部のプレイヤーを除く全員が最も聞きたくない音。

 そう、プレイヤーの死亡エフェクト音。

 三人は目の前で爆散したポリゴンの欠片たちを、呆けたようにただ見つめた。一瞬訪れる静寂。それを初めに破ったのはアリスだった。

「・・・・・・リオン?」

 アリスの口から今さっきまでそこにいたはずの男の名前が呟かれた。しかし、その呼びかけに反応はない。もう一度。

「リ・・・・・・オ・・・・・・ン・・・・・・?」

 二回目は、まるで返事を願うかのような声だった。だがそれもただ空しく響いて終わった。直後、アリスは悲鳴をあげた。

「い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 抑えようもない叫びとともに、アリスは膝を突いた。石畳の上にペタリと座り込み、子供のように大声で泣いた。次々と地面にこぼれ、弾ける涙の粒が、リオンの残した青い光の欠片と混じり合い、消えていく。その傍らで、不意にキリトが叫んだ。

「まだだ!! まだ間に合う!!」

 その叫びにアリスは濡れた顔を上げると、そこには今まで見たこともないような必死な形相をしたキリトの姿があった。

「蘇生アイテムだ!! あのクリスマスの夜、君に渡した〔還魂の聖晶石〕!! あれならまだ間に合う!! 手遅れになる前に早くしろ!!!!!」

 キリトの鬼気迫る怒鳴り声にハッとした顔を見せたかと思うと、左手を瞬時に振り、メニューウィンドウを呼び出す。
 アリスは赤く腫れた顔に涙を流しながらも必死に右手の指を動かし、ある場所でその指を止めて〔還魂の聖晶石〕を実体化させた。ウィンドウの上に、卵ほども大きな、そして七色に輝く途方もなく美しい宝石が浮かび上がる。それをアリスは奪うかのように掴みとり、涙混じりの声で叫んだ。

「蘇生!! リオン!!」

 直後、パアァァン!! とガラスが砕けたような大きな音ともに七色に輝く宝石が凄まじい光の奔流とともに粉々に弾けた。突然の光に、三人は目を閉じる。その光の中でアリスの顔には先ほどとは違い、安堵の表情が浮かべられていた。

(間に合って本当によかった・・・・・・顔を合わせたら、耳にタコができるくらい文句を言ってやろう)


 そう思った。





























 だが、光がおさまったその先に、アリスが望む人物はいなかった。目の前に広がるのは、先ほどと何ら変わらぬ景色だけ。どこを見渡しても、あの白いコートを羽織った、銀髪の少年の姿はなかった。










「・・・・・・どう・・・・・・して・・・・・・ですか・・・・・・?」










 座り込んだアリスの口からその一言が小さく漏れた。
 涙は流れなかった。期待が裏切られた分、心が深く傷ついた。






 ――――また見れると思っていた。あの力強く、ふてぶてしくも、子供のような笑みを。




 ――――またできると思っていた。バカみたいなやり取りを。




 ――――また癒してくれると思っていた。私が辛いとき、泣きそうなときに、頭に手をのせてくれると。





 だが、それができる彼はもういない。生き返ってはくれなかった。胸の中に大きな穴が空いていくような感じがした。目の焦点が合わなくなってきた。だんだんとぼやけていき、意識が途切れそうになる寸前。

「――――ス!」

「――――リス!」

「――――アリス!!」

 自分の名前が聞き覚えのある声に何度も呼ばれたことで、アリスの視界が戻った。目の前には一層からの付き合いであり、SAOの中で一番の親友である、アスナの姿があった。

「アス・・・・・・ナ・・・・・・」

 途切れ途切れだが、その親友の名を口に出した。アスナは反応を返してくれたことに対する嬉しさからなのか、涙を流しながらも、顔がぱあっと明るくなった。だが、次の言葉を聞いた途端にその表情は正反対のものに変わった。

「・・・・・・一人にして・・・・・・」

 アスナの顔が一瞬にして悲しみと絶望に包まれていく。そして、その表情のまま、何度も口を開いては閉じたりを繰り返す。アリスにどんな言葉をかければいいのかが分からないのだろう。不安も見えた。
 そんな親友の姿を見たアリスは、ボロボロになった心から、どうにか優しさを絞り出した。

「部屋に・・・・・・戻ってるから・・・・・・だから・・・・・・一人にして・・・・・・」

 その言葉に含めた意味を理解したのだろう。アスナの頬を涙がすうっと流れ、声を漏らした。

「アリ・・・・・・ス・・・・・・」

 だが、アリスはその呼びかけに反応を示さずに、無言で転移結晶と取り出して、小さな声で

「転移・・・・・・セムブルグ」

 鮮やかなブルーの光が全身を包み、アリスの視界を奪う。
 青の輝きが薄れると同時に、風景が再び戻る。そこにはいつもの見慣れた街並みが広がっていた。
 アリスはその通り慣れた街道を、アスナと一緒に暮らす部屋まで重い足取りで歩いた。そして、自室に着くなり、身体を壁に預け、そのまま糸が切れた人形のように床に座り込んだ。

――――セムブルグは、六十一層にある美しい城塞都市である。
 規模はそれほど大きくもないが、華奢な尖塔を備える古城を中心とした市街は全て白亜の花崗岩で精緻に造り込まれ、ふんだんに配された緑と見事なコントラストを醸し出している。
 半年ほど前にこの街が開いたとき、私とアスナは一目でその美しい町並みを気に入り、目抜き通りから東に折れてすぐのところにある、小型の美しい造りをしたメゾネットの3階の部屋を購入した。購入した部屋の内装にはかなりこだわった。模様替えに一層分丸々の攻略をつぎ込んだほどだ。
 そのことに多少罪悪感が湧いたが、あとにその層の出現モンスターを聞いたときは、アスナと二人で、休んで正解だったね、と口を合わせた。
 愛着があった自室。
 だが、今のアリスの目にはそれは酷く無味乾燥なものに映った。お気に入りだった家具がただのガラクタに見える。
 世界がまるで影絵のようだ
 アリスの目にはもう何も映らない・・・・・・空っぽな心







 ―――もう何もかもがどうでもいい―――






 
 

 
後書き
十八話目です! なんか文才の神が舞い降りました(笑)すらすら書けるwww
この間に書けるだけ書いておこう・・・・・・

さて、どうでしたか?還魂の聖晶石を予想した人は多いと思いますが、こんな展開になると分かった人はいましたか?(笑)
予想をはずせたらなによりです^^


視点を変更するので、読みにくいかもしれません。その場合はメッセージでもなんでも送ってもらえればその箇所を直します!!

誤字、脱字、ここ意味わからん!!と言う場所があれば、遠慮なく言ってください!!
感想もお待ちしております! 
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