ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~
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唯一無二の不確定因子
第十六話 消失
前書き
二か月も空けてしまったので、急遽次の話を書きました。短いですが、お楽しみください。
「アルキミア・ディバージョン!!」
その叫びとともに、体を渦巻くオーラが白銀から赤へと変化し、同時に拳を中心に辺り一帯へそのオーラは広がっていった。その様子に気付いたライトは目を見開き、振り下ろす手を止めたかと思うと、すぐさま後ろに飛んで俺と距離をとり、叫ぶ。
「PoH!! なんかやばい!! こいつから距――――」
しかし、その叫びは爆発音のようなものにかき消され、最後まで続くことはなかった。
否、続けることができなかったのだろう。
俺の目の前に広がるのは、辺り一帯の地面から無数に飛び出した剣と、それに体の至る所を貫かれた、見るも無残なライトの姿があった。
「こ、これは、反則でしょ・・・・・・」
息絶え絶えの声で剣に貫かれた男は言った。俺の後ろからも、息を呑む音や声にならない声を漏らすのが聞こえる。しかし、俺の中では満足してはいなかった。その理由は。
「wow・・・・・・すげーなこりゃ、ライトが警告しなかったら俺までやられてたぜ」
そう、この男。PoHを逃してしまった。しかし、完全に回避したわけでないようで、HPバーはすでに黄色くなっていた。
だから俺はためらうことなく、右手を開き、高くあげた。赤いオーラがライトの真上と、POHの周りを覆う。
(前言撤回だ!! この状態になった以上こいつらはこの場で殺す。俺の命と引き換えにでも!!)
その覚悟を胸に俺は右手を、左に来たボールをキャッチするかのように動かした。赤いオーラから剣が射出される。そして、両者の体を貫く直前、二人は青い光に包まれ消えた。それを見た俺は茫然とした。
「転移・・・・・・結晶・・・・・・?」
そう。今の光は転移結晶を使った時に起きるエフェクトであった。俺の中で激しい疑問が浮かぶ。
(なんで、使えたんだ!? PoHはともかくライトは完全に――――)
しかし、その疑問に答えは出ず、代わりにピーと言う無情な音が耳に流れた。俺の視界に小さく紫色のメッセージが表示される。{You are dead}死の宣告。右隅に浮かぶHPバーを見ると、そこに色はなく、灰色に一色に染まっていた。
俺はそれを虚ろな目で見つめていた。
(・・・・・・やっぱりダメだったか)
今回使用したスキル、{アルキミア・アーマメント}、{アルキミア・ディバージョン}はエクストラスキル{錬金術}の一段階目と二段階目である。先に使用したアーマメントと比べ、ディバージョンは威力、性質ともに段違いの代物である。が、この二段階目には二つ欠点がある。
一つ目は、一段階目と違い、スキルの能力を発動させるたびにHPが消費され、その消費量はHPがMAX状態であっても規模にもよるが、三発も使えばなくなるくらいだ。そして二つ目はセーフティーがないこと。一段階目はHPが1になると強制的にスキルが解除される。だが、二段階目はHPが消失する規模でスキルを発動させようとも、そのまま解除されずに実行される。
ある意味二段階目はプレイヤーのさじ加減で決まるものであるが、俺はそれを間違えてしまった。
そしてそれは死と言う形で俺を襲う。全身に激しい冷気が侵入してきた。体の感覚がだんだんと薄れていく。それに伴い、意識も闇に沈んでいった。そして自分の体が千のかけらとなって飛散するのを感じた。聞きなれたオブジェクト破砕音が響いた。急速に遠ざかっていく意識の中、三人の声がかすかに聞こえた。その中でもひときわ強く聞こえた声があった。アリスの声だろう。
(やっぱ約束守れなかったな。ま、俺の命でアリスが守れたからいいか・・・・・・今度はあんな思いをしなくて済んだしな)
深い暗闇の中、そう自分に言い聞かせゆっくりと目を閉じた。直後聞き覚えのある声が頭に響いた。
――――これでよかったと本気で思っているのか?――――
――――残された方がどんな気持ちになるかお前が一番知っているだろう――――
(んなこと言ったってあれしか救う方法はなかったんだ)
――――本当にあれしかなかったのか?――――
(・・・・・・うるせえよ。んなこと言ったってもう遅いだろうが・・・・・・)
ごめん、アリス・・・・・・
俺の意識が消えた。
後書き
十七話目です!
はい、殺りました。二か月開けたお詫びにとりあえず主人公を・・・・・・
まあそんな理由ではありませんが(^^:
さあどうなるんでしょうか!!(笑)
次の話も頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
誤字脱字、感想お待ちしております!!
↑こ、ここらへん特に(笑)
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