美しき異形達
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十二話 菊の日常その十一
「流石ね」
「あれっ、新体操部は体育館じゃなかったの?」
「ランニングをしていたのよ」
外でだと答える黒蘭だった、見れば黒のジャージ姿だ。菊は言うまでもなく黄色のジャージ姿である。
「私達もね」
「ああ、それでなの」
「たまたまここを通りかかったのよ、ランニングを終えて体育館に帰るところでね」
丁渡体育館の前だ、黒蘭以外の新体操部の部員達もいる。
「貴女を見たのよ」
「成程ね」
「それでだけれど」
「うん、何?」
「流石に身体が柔らかいわね」
ストレッチを見ての言葉だった。
「忍者だけあって」
「まあね。忍者もね」
「身体が柔らかくてこそね」
「新体操と同じでね、身のこなし勝負だから」
「そういうことね」
「忍者やれたら新体操も出来るかしら」
「ええ、出来るわ」
その通りだとだ、黒蘭は声を微笑まさせて菊に答えた。
「貴女の身体能力だとすぐに大会に出られる様になるわ」
「道具触ったことなくても?」
「基礎の身体能力があるから」
その分がプラスされて、というのだ。
「大丈夫よ」
「だといいけれどね」
「だからね」
それでだというのだ。
「入部するのなら歓迎するわ」
「掛け持ちね」
忍術研究会とだ。
「それも悪くないわね」
「掛け持ちは普通よ」
部のそれは、というのだ。特に八条学園では。
「楽しむものだから」
「そうよね。部活はね」
「楽しむものよ」
「怪我をしないでね」
菊はストレッチを続けながら黒蘭に笑って答える。
「あんたの方も」
「そのことは私もね」
「気をつけてるのね」
「まずは怪我をしないことよ」
「スポーツはね」
「だからお互いに」
「怪我には気をつけて楽しもうね」
こうストレッチをしつつだ、菊は黒蘭と話をした。そしてだった。
その時にだ、黒蘭は菊にこんなことも言った。
「今日の帰りだけれど」
「?どうしたの?」
「今日姉さんは遅いの」
それで、というのだ。
「だからよかったらね」
「私と一緒に、っていうのね」
「何処か行かない?」
「そうね、だったらね」
菊は黒蘭のこの申し出にまずは考える顔になった。そのうえでこう彼女に言った。
「ハンバーガーとか?」
「それね」
「マクドでも行かない?」
「マクドね」
「ハンバーガー食べる?」
こう黒蘭に提案するのだった。
「そうしない?」
「ハンバーガーね」
「あんたハンバーガー大丈夫ね」
「ええ、大好きよ」
これが黒蘭の返事だった。
「そちらもね」
「じゃあいいわね」
「ハンバーガーとコーラね」
この組み合わせが、というのだ。
「私はこれよ」
「いいわね、よく身体に悪いとか言われるけれど」
「そんなことは聞かなくていいわ」
「いいの?」
「ファーストフードが悪いとは思わないわ」
よく栄養のバランスがどうかと言われるがそれでも、というのだ。
ページ上へ戻る