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美しき異形達

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第二十二話 菊の日常その六

「活発でどっちかっていうと腕白で」
「そうそう、そんな感じでね」
「明るくてね」
「それで賑やかで」
「女の子っていうよりかはね」
 どうかというのだ、入学当初の菊は。
「男の子だったわよね」
「スカートの中はスパッツだから大丈夫っていつも言ってて」
「スタイルとかもね」
「そうした感じで」
「それがね」
 今の菊に話が移る、今の彼女はというと。
「何か乙女になってきたわよね」
「物腰とかね」
「活発なのは変わらないけれど」
「女の子らしさが入ってきてるわよね」
「趣味とかね」
「スタイルだって」
 そちらにも話が及ぶ。
「大きくなったしね、胸が」
「そうそう、ウエストが締まってきて」
「もう今じゃね」
「グラビアアイドルだって出来そうな」
「グラドルって。そんなの出来る訳ないじゃない」
 菊はクラスメイト達の話を聞いて笑ってこう返した。
「私そんなのじゃないわよ」
「いやいや、胸あるし全体のスタイルいいから」
「明るいしね、表情も」
「それでいて女の子らしいし」
「出来るわよ」
 グラビアアイドルもだというのだ。
「今の菊ちゃんだとね」
「それもね」
「私はあくまで忍者だから」 
 それで、というのだ。
「グラビアアイドルとかはね」
「ならないのね」
「じゃあAKBとかも?」
「関西だとNMBだけれど」
「そっちには行かないのね」
「行かないわよ、私は将来お嫁さんになるから」
 ここでもこう言う菊だった。
「アイドルにはならないの」
「その外見と動きだと特撮もいけるけれど?」
 さっきとは別のクラスメイトはこのジャンルも話に出した。
「アクションでもね」
「スーツアクターとか?」
「そういうのもね」
「スーツアクターならね」
 この仕事についてはだ、菊はこう述べた。
「実はお家でもしてるわ」
「あっ、そうなの」
「探偵業の他にアトラクションの仕事もしてるの」
「へえ、そうなの」
「そっちでも声がかかってね、お祖父ちゃんの代に」
「今は伊賀に隠棲してるっていう」
「そうなの、関西での特撮のヒーローショーとか撮影のスタントマンにね」
 そうした仕事に、というのだ。
「お声がかかって」
「今もしてるのね」
「道場でも高弟の人がしてくれてるの」
 そうしたスーツアクターなりスタントマンなりの仕事を、というのだ。
「道場も人が多いし探偵もしてて」
「そうしたお仕事もしてて」
「うちも忙しいのよ」
「それでお金も?」
「正直困ってないわ」
 仕事には困っていない、それが即ちそれになっているといういい状況だというのだ。少なくともワーキングプアではない。
「有り難いことに」
「それはいいことね」
「そうしたお仕事ってお金がいいのよ」
 スーツアクターやスタントマンの仕事は、というのだ。 
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