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美しき異形達

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第二十二話 菊の日常その四

「これでもお料理だってお洗濯だって出来るのよ。お料理は和食専門だけれど」
「最近急に女の子になってきたな」
「まあそれは確かだな」
「当たり前よ、胸のことはともかくとして」
 その大きさの話は置いて、というのだ。
「私も女の子だからね」
「高校生になればか」
「流石にな」
「鬼の娘も十八っていうでしょ」
 菊は諺も出した。
「番茶も出花ってね」
「まあな。それじゃあな」
「菊にも彼氏とか出来てな」
「仲良くやれそうだな」
「そして将来はな」
 兄達だけでなく父も言ってきた、それも笑顔で。
「菊が連れて来た相手にたっぷりと嫌味を言ってやろう」
「何でそうなるのよ」
「それは父親の特権だ」
 それ故にというのだ。
「娘を取られる父親のな」
「そんな特権あるの?」
「日本にはあるんだ」
「訳のわからない特権ね」
「ましてや御前はくノ一だからな」
 忍者だからだというのだ。
「それだけにな」
「忍者の人連れて来いっていうの?」
「いや、忍者なんてもう滅多にいないからな」
「普通の人でいいのね」
「普通の人でな」
 そして、というのだ。
「真面目で浮気をしない人を連れて来るんだぞ」
「わかったわ。それじゃあね」
「そうだ、その時は嫌味を言ってやる」
 その相手にというのだ。
「楽しみにしているからな」
「菊ちゃんの花嫁姿はね」
 母も笑顔で言うのだった。
「やっぱり金襴緞子よね」
「和服?」
「ええ、お母さん持ってるから」
「ひょっとしてそれを着て?」
「そうよ、お父さんと結婚したのよ」
 結婚式を挙げたというのだ。
「だから菊ちゃんもそれを着てね」
「結婚ね」
「そうしなさいね」
 菊は家族と朝からこうした話をした、そして学校に行ってだ。
 朝のそうした話題をクラスメイト達にするとだ、クラスメイト達はいささか引いて返した。
「あの、ちょっとね」
「高校生で結婚はね」
「幾ら何でもねえ」
「早いわよね」
「法律的にはね」
 結婚、そして家族のことも決めているこれについての話になると。
「いいけれどね」
「そうそう、結婚してもね」
「十六歳になってるからね、私達」
 高校二年生だ、花の十七歳と言うべきか。
「だからね」
「それでね」
「一応結婚は出来るし」
「校則にも結婚するなとは書かれていないわ」
 普通の高校では書かれていない、想定していないことだからであろうか。高校生での結婚そして家庭生活は。
「だからいいけれどね」
「ただね、普通はね」
「高校生で結婚とかね」
「まずないからね」
「殆どね」
 クラスメイト達も言うのだった。 
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