ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第九幕その八
「何も」
「僕もです。そのことがよくわかりました」
「白人でも黄色人でも黒人でも」
「変わらないです。実はアフリカのある国の王子と友人なのですが」
「アフリカのですか」
「そうです、実は王子に紹介してもらって」
そうしてというのです。
「日本に来ました」
「そして八条大学の教授になられたんですね」
「そうです」
加藤さんにこのこともお話するのでした。
「思えば縁ですが」
「その王子様はどういった方でしょうか」
「気さくで気品があって頭の回転のいい方です」
「そうした方ですか」
「僕の親しい友人の一人です」
先生は王子のことを思い出しつつお話するのでした。
「イギリスにいた時から」
「かつてお国ではそうしたことは」
「あまり望ましいとはされていませんでしたね」
人種を超えたお付き合いというものはです。
「しかしそれはです」
「昔のことで、ですね」
「僕はそれが間違っていたと思いますので」
「だからですね」
「僕はです」
「そのアフリカの王子様ともお友達なのですね」
「とてもいい友人です」
先生は王子のことを加藤さんに笑顔でお話します。
「日本でも仲良く一緒にいます」
「それは何よりですね」
「王子も日本に親しんでいますし」
「それは余計に嬉しいことですね」
加藤さんはこのことは日本人としてとても嬉しく思いました。
「まことに」
「そうですね、王子は洋食がお好きでして」
「あっ、洋食は実は」
「欧州の料理ではなくですね」
「あれは日本のお料理になっていますね」
「ハンバーグもエビフライも」
「スパゲティも」
こちらのお話にもなるのでした、その洋食の。
「そうですね」
「王子からナポリタンをご馳走になりましたが」
「あれは日本で生まれたスパゲティです」
「イタリアにも何度か行っていますが」
先生はこの国にも訪問しています、本当に世界中を旅してきているのです。そしてそこでイタリアのスパゲティもなのです。
「あちらではスパゲティにケチャップは使わないです」
「そうですね」
「本当に日本ならではです」
「あのナポリタンは」
「他のパスタもそうですが」
「ミートソースやマカロニもですね」
「このことからも考えると洋食は」
そのお料理は、というのです。
「日本のお料理です」
「そうなりますね」
「はい、しかしナポリタンは美味しかったです」
先生はその目を自然と微笑まさせました、ナポリタンの美味しさを思い出して自然にそうなったのです。笑顔になったのです。
「他の洋食も」
「意味しかったですか」
「ハンバーグもよかったですし」
「他のものもですね」
「美味しいです、王子は洋食も好きで」
先生にナポリタンをご馳走してくれただけはあってです。
「それにです」
「他の料理もですか」
「王子はお好きでして」
「どんなものがお好きなのでしょうか」
「たこ焼きにお好み焼きとかもです」
そうした食べものもです、王子は大好きなのです。
「大好物で」
「お好み焼きも、ですね」
「はい、そうです」
「お好み焼きは実は」
「関西とこの辺りではですね」
「違います」
同じ名前ではあっても、というのです。
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