仮想空間の歌う少年
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11ーSchrödinger's cat
前書き
今回は長め!ちなみに題名はシュレーディンガーの猫。
量子力学の矛盾をついた思考実験のことです。
詳しくはググろう!
それでも問題無いぜ!という方はどうぞ!
シノンとキリトの一戦はキリトの戦意喪失から始まった。
「…キリト。」
お前のやっている事…それは無礼な事だ。
そう、言うならライブでやる気ないのを全面に出して演奏することや、指揮者が指揮のやる気なしに演奏するのと同じだ。
どうやらそれに怒ったのか。シノンがキリトに怒鳴っている。
「…」
それに目が覚めたのか。キリトはいつもの覇気を出してーー
「…光剣⁉︎」
この世界でも剣とは…あいつらしいね。だが僕は次に衝撃のシーンを目撃する。
「あいつ…へカートの弾斬りやがった。」
なんと至近距離のーーー音速をも超える弾を斬ったのだ。
そして…
「シノン!」
僕は思わず叫んだ。まずい。
シノンはグロックのハンドガンで応戦するが、キリトはもう首元に光剣を突き付けてた。
「…」
僕はその場面を見て。シノンが来る控え室へと急いだ。
早く…!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「シノン!」
僕は控え室に行くとシノンを見つけた。
「スノー…負けちゃった。」
「…」
僕はなんて言えばいいのか。分からなかった。強さを求めてたシノンにこの敗北は痛いだろう。
僕は…歌も歌えない。
…いや…!こんな時こそ歌だ!下手と思っていても。音程が取れなくても。あの人のように!歌うんだ!
「…大丈夫………だよ君に……♪」
…!歪だが僅かに。今までの歌声が少しだけでた。今まで歌ったことないけど。
「スノー…歌声が…!」
僕は泣きそうなシノンの口元に人差し指を前に出して。
「まだダメだよ。戻ってない。
…シノンもまだ負けてない。本戦あるでしょ?…だからその泣きそうな顔じゃ台無しだよ?クールなシノンちゃんはどうしたの?」
僕は笑って…そっとシノンの顔に顔を寄せ。
一瞬の事だった。
僕は。シノンの唇を奪った。
「〜⁉︎」
「油断してるからだよ…バーカ!バーカ!」
ニヤッとして笑うとシノンも真っ赤になって…猫パンチしてきた!
「〜⁉︎けーい‼︎」
「ほらほら!ログアウトするよ!」
「〜‼︎絶対やり返すわよ!」
「はいはい。」
そんなこんなやりとりをして僕とシノンはそれぞれのホームへ帰って行った。
シュピーゲルが物影から見てるとも知らずに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕はログアウトすると先にキリトがログアウトしていた。僕は
「キリトー!肘関節をあり得ない方向に曲げるね…?ってどうしたの。」
キリトの肘をガチで360°回そうとしようとしたらキリトは呆然としていた。
「なあ…スノー…。」
「なーに?」
「ラフィン・コフィンをまだ…覚えているか…?」
ラフコフ…それは…
「ああ、覚えてるよ。それは君も知ってるだろ?…僕はラフコフのメンバーと…まあ、リーダーの方と組んでいたからね…。」
「さっきラフコフらしき奴をみたんだ…おそらくそいつが死銃。
でも名前を思い出せない…!」
キリトは苦しそうに僕を見る。僕は少し真顔で。
「…僕もあったよ。恐怖で歌を忘れるくらい。人殺しのオーラが出てからね。僕と同じさ。」
「え?」
僕は言葉を紡ぐ。
「だけど、思い出せないのは僕も同じだけどね。
…もしも僕はそいつが死銃で。僕の大好きな人を狙っているとしたら。」
僕は笑っていた。だがこの笑顔は冷笑だったのだろう。
キリトが一瞬引いていた。
「…何をするかわからないぜ?」
その後僕は、呆然とするキリトを置いて。病室を後にしようとしたが。
「それって…また人殺しをする気か?」
キリトが震えてそう言う。僕は振り向く。
「それはさすがにしないよ。僕はもう人殺しなんか出来ない。」
「なら…!」
「だけど護ることは出来るよ。」
僕はさっきとは違う笑顔。いつもの笑顔でキリトを見る。
「僕は…もうあの時『俺』が言った過去の自分のようにハサミで人を殺す僕じゃない。…もう誰も傷つけない。例え…あいつが傷つけられそうになっても僕は護る。殺す以外の方法でね。」
「佳…。」
「キリト…いや、和人。お前『俺』と同じ事に苦しんでるだろう?まあ、あの世界の事だろうね。」
「…」
「これだけは言っておくよ。…人は壁を越える方法はいっぱいあるんだ。目的地もいっぱいね。僕も目的地に着いてない。だからまだ歌が歌えないんだろうね。
…安岐さん!すみません。これはオフレコで!」
僕はこの話を黙って聞いてた安岐看護師を見る。安岐さんはしぶしぶと言った感じで。
「わかったわ。…それにしてもとんでもない物を持ってるわね。君たちは…」
「…それが僕ですから。」
僕は今度こそ病室を出て行った。
国立病院を出ると雨が降っていて。仕方なく折りたたみ傘を使い。僕は雨の道を歩いていた。一週間後にBOBの決勝がある。それまでにリズム感を…無理なら工夫するためにいろいろ道具を用意しないと。
「ラフコフか…」
僕はあいつらの事を思い出していた。…嫌いだ。彼らが。人殺しをバーチャルで楽しいと言っている奴らが。
「あの時…逃がさなきゃ良かったかな…。」
SAO時代。ラフィン・コフィンの討伐戦があった。殺すのではなく、捕らえるための。
だか無力化するはずが、ラフィン・コフィン側の不意打ちで乱戦になった。
「なんで…逃がしたんだろう…僕は。」
赤眼のザザ。ラフィン・コフィンの幹部の一人だ。
それを逃がした。
ーーー彼にとって屈辱的な言葉と共に。ーーー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「貴様…なんで逃がす。」
目の前には膝を着く赤眼のザザ。僕は笑いながら。
「いや。むかつくんだよね。逃がすのは嫌がらせだよ?だって君はどう頑張っても僕を殺せない。…POHが不意打ちで僕を襲っても倒せないくらいだからね。こんだけ君の戦闘のリズムを壊してしまえばPK出来ないでしょ…さよならさよなら♪君にはまだ早いよ♪てね?」
この討伐戦。赤眼のザザとの戦闘を行ったのだが。見ての通り完勝。しかも僕の歌いながらのリズムを狂わす戦闘で赤眼のザザは戦闘が当分出来ない。…なので逃がすことにした。そうすれば僕しか殺す対象にしないだろうし。
僕は大鎌『アリオーソ』をしまい。後ろを向き。
「頑張ってね?僕を殺すという無理な行為を…」
「お前だけは…絶望させて…心を完璧に折ってから殺してやる。」
「出来るの?君に?」
赤眼のザザは憎しみがこもった目で。
「必ず…殺ってやる。」
それだけ言うとラフィン・コフィンのアジトから撤退した。
その後、3人で襲ってきたけど…まあ、上手くかわして。ゲームをクリアしたんだよね。
だからもう気付いていた。
「さあ?僕を絶望させて。殺せるかな?赤眼のザザ?」
「お前の…弱点…分かってるんだよ…『音の死神』」
死銃はシノンの写真に向かってダーツを放っていた。
「朝田さん…あいつから解放させてあげるからね…。」
とある少年は狂気的な笑顔で朝田詩乃の写真を眺めていた。
後書き
スノー「シリアスな僕だ!かっこいい!」
後書きでは平常運転のスノー君であった。
作者「感想待ってます!あと次はおそらくコラボです!」
スノー「誰と!誰と!」
作者「スノーが遊びたい!って言ってた人だよ。」
スノー「ということは…あのコンビ…!」
スノー&作者「「次回もよろしくお願いします‼︎」」
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