ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~
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第4章 俺の幼馴染とテロ屋さんが修羅場すぎる!
第61話 部長のお仕事
前書き
今回はまたしても長くなってしまいました。
なんか最近、気がついたら一話が2万字前後になっちゃってるんですよね。
本編ではない、さらっと流すはずの短編なのに!
次回からは本編に戻りますのでもう少々お付き合いください。
そして前回まで更新で作品(文章)評価、作品(ストーリー)評価をしてくださった方が共に100人を突破! さらに感想数も200件突破!
皆様本当にありがとうございます。
これからもドシドシ、特に感想をお待ちしています!
感想が作者の励みになります!
これからもよろしくお願いします!
「ここは?」
「博物館、だな」
部長に連れられ魔法陣で跳んだ先は遺跡からの発掘品などが所狭しと展示された博物館だった。あんまり詳しくないけど、古代エジプトなんかの発掘品なんだと思う。
「これはグレモリーさん!」
そして跳んで来た俺達に話しかける白衣を着た初老の男性が一人。この人が今回の依頼主か?
「ごきげんよう教授。例の依頼を叶えに来ましたわ」
どうやら依頼主らしい。教授ってことは大学の先生さんが研究で博物館に出入りしているのかな?
「おぉっ! それはありがたい限りです!」
「こちらは西浦教授。世界各地の古代文明について研究されているの」
と部長が俺達に依頼主を紹介してくれた。
「それで教授、私達に調べてもらいたいものとは?」
「えぇ、それなのですが、その前に私の研究室の研究生を紹介させてください」
そう言って携帯で何処かへ連絡を取ろうとする教授。それを部長は慌てて止めようとした。
「きょ、教授? あまり依頼と関係のない者を関わらせるのは……」
「いえ、それがどうやらすでにグレモリーさん他何人かとは面識があるようでして……」
「え!? い、一体誰かしら?」
俺達と面識がある? まぁ今の言い方だと部長とは面識はあっても俺とは面識がない可能性もあるけど……一体誰だ?
そして教授が電話してやってきたのは……
「あ、あの……」
見間違えるはずもない、武者鎧から見事な金髪をなびかせ、その姿からは想像も出来ないほどの可愛らしい声をお持ちの!
「お、お久しぶりです、悪魔さん」
そう! かつて夜の大学のキャンパスへノートを取りに行くのに付き合い、更にはラブレターの書き方まで指南した鎧武者少女、スーザン! さらに!
「やぁ、君たちのことはスーザンから聞いているよ」
学生服の上から漢服のようなものを羽織っているスーザンの元想い人、曹操さん! もう会うことのないと思ってた人たちとのまさかの再会だった!
「スーザン! あなただったのね! それでどう? その後彼とは?」
「え、えへへへ……、お、お陰様で私、今幸せの絶頂です。堀井くんとは時間があればいつも一緒にいるくらいラブラブです! その節は本当にありがとうございました!」
「いいのよ、私達も代価を貰って仕事としてしたことですもの。でもその後も順調なら何よりだわ!」
と、にこやかに会話を交わす部長とスーザン! 会話だけ聞いてると微笑ましいのに絵面は絶世の美女と鎧武者だからひどいもんだ!
し、しかしスーザン、あの西洋甲冑を着た堀井さんとラブラブか……。
「あの、スーザンと堀井さんってそんなにラブラブなんですか?」
ちょっとばかり興味が湧いて俺は曹操さんにこっそり尋ねた。
「それはもうラブラブさ、校内では知らない人もいないくらいにね。鎧武者と甲冑鎧のカップルといえば今やうちの学校の名物の1つだしね」
そりゃ有名になるだろうよ! なんたってビジュアルがすごいもん! っていうか今の聞く限り、日中もあんな格好してるのか!? 前に聞いた時は鎧着るのは夜だけって言ってたのに悪化してるじゃん!
「おまけに同じ研究室にいることもあって、普段から惚気けられて大変だよ。それはもう砂糖を吐くくらいに」
「あ、あははは……ご愁傷さまです」
そりゃ大変だな。でも、鎧と甲冑の惚気話ってどんなのなのか、ちょっとだけ興味があったりして……と、そこで
「イ、イッセー、あの人とは一体どういった知り合いなんだ?」
と、表情を引き攣らせたゼノヴィアが聞いてきた。そしてその後ろではイリナや、スーザンを初めて見るオカ研部員たちも興味津々といった感じで、でもスーザンの格好に若干戸惑いつつ注目している。
しかしあれだな。この中で一番感性がズレてるゼノヴィアもスーザンのあの格好には戸惑ってくれるのか。うん、やっぱりそれが普通だよな。あんなのとにこやかに談笑してる部長のほうがズレてるよな。さっきレイナーレは俺が変人の対応が得意分野だなんて失礼なこと宣ってくれたが、部長の方が得意なんじゃないだろうか?
と、俺も部長に対して少々失礼なことを考えつつ、ゼノヴィアの問いに答えることにした。
「えぇっと、詳細は省くけど、依頼でスーザンが意中の相手を射止めるためにラブレター書くのを手伝ったんだ」
「……今更だが、本当に悪魔らしくないな君たちは。悪魔なら心をそのまま操ってしまいそうなものだが」
「自覚はある。それから部長が一応提案してたけど、本人が自分の力で振り向かせたいからってさ」
「うん? 彼女は悪魔ではないのかい?」
と、そこで曹操さんが興味深げに聞いてきた。
「えぇ、彼女たちは教会の人間で、悪魔の仕事の見学をしてるんです」
「……へぇ、それは面白いね」
……うん? 悪魔と教会の人間が一緒にいるのは、例え裏の事情に詳しくなくても疑問に思うところだろうけど、面白いってなんだ?
「さて、全員揃ったところでいよいよ例の物を見てもらいましょう。グレモリーさん、よろしくお願いします」
「えぇ、そうね。では早速始めましょうか」
お、いよいよか。まぁちょっと曹操さんの感想がおかしかったけど、まあこの人もスーザンほどではないにしろ変わった格好してるし、少し変な感性してるんだろ。それよりも依頼だ依頼! 部長のような上級悪魔に見てもらいたい物なんて、いったいどれほどのものが飛び出てくるのか楽しみだぜ!
それにしても……
俺はちらっと背後を振り返る。俺の視線の先にはアーシア、そしてイリナとにこやかに話す火織がいた。ぱっと見普段通り、何の異変もないように見える。現に姉妹の黒歌姉たちも何も言わないし。でも……ずっと見続けてきた俺だからこそ分かる。火織、なんだか強張ってる、っていうか緊張してる? いや、俺もなんとなくとしか言えないんだけど、なんかスーザンたちがここに来てからギクシャクしてるような気がするんだけど、気のせいかな? 一体どうしたんだ、火織?
「こちらです」
俺達が連れられて来られたのは博物館のバックヤード、置いてある物を見るに遺跡の出土品などを研究しているであろう場所だった。そしてその研究室の中央、そこには1つの棺、石で出来てるからおそらく石棺が鎮座していた。
「ある遺跡から出土したもので、貴重な歴史的遺産なのですが……」
そこで言いよどむ教授。と、そこで……
「う~ん、これ、あんまり良くないにゃあ」
「さっさと処分するべきかもです」
そう言って石棺の蓋の隙間を覗きこむ黒歌姉と白音ちゃん。
「良くないってどういうことだ?」
という俺の疑問に答えてくれたのは部長だった。
「棺からオーラが漏れているのよ。それもあまり良くない、ね。仙術を操る黒歌と白音には私達よりもなおはっきりそのオーラが見えているでしょうね」
「マジっすか!?」
なんとなく不気味だなぁとは思ってたけど、まさか結構やばい物なのか!?
「西浦教授、この中にはどんな危険なものが収められているか分かりませんわ。彼女達の言う通り即刻処分した方がよろしいと思いますが?」
「危険であるというのは百も承知です。実はこの棺に関わった者が謎の病に倒れたり、不幸な事故にあったりなど続出しておりまして。しかしだからこそ! 私はこの棺の謎を解明しなければならないのです! 彼らの犠牲を無駄にしないためにも!!」
「あらあら、それはもしかすると棺の呪いかもしれませんわね」
「はぅぅっ!? 怖いですぅっ!!」
「おいおい! そんな危ねぇもんそこはさっさと諦めて処分するところだろ! 死んでからじゃ遅ぇんだぞ!」
「あ、ちなみに死者は出ていませんのでご安心を」
「って注目すべきはそこじゃねぇ!」
いや死んでないことも大事だけどさ!? ダメだこの人、完全な研究バカだ。
「取り敢えず調べてみるだけ調べてみましょうか」
そう言って皆で石棺に近寄って表面の模様を覗きこむ。どうやら古代語の文字が書かれているらしいんだけど、当然のことながらなんて書いているのかは分からない。
「教授、この表面にはなんと?」
「……実はですな、そこに書かれている事こそグレモリーさんをお呼びした理由なのです」
「と、言いますと?」
「ここにはこう記されています。『我が眠りを覚ますのは乳の豊かな美しき魔なる女性だけ』、と」
ち、乳の豊かな美しき魔なる女性?
「要約しますと、『私はおっぱいの大きい悪魔の美女に起こされたい』ということだと私は解釈しました!」
ズルっ
そのあんまりな内容に俺達はその場でずっこけた!
「要約しすぎだ! っていうか本当にそんなこと書かれていたんですか!?」
「間違いありません!」
ダメだ、頭痛がしてきた。まぁ……
「おっぱいの大きな悪魔の美女に起こされたいってのは、まぁ気持ちが分からんでもないが……」
「分かるんだ……」
祐斗が苦笑しながら言ってくる。っていうかお前も男なら分かるはずだろ? 知ってんだぞ? お前も意外とムッツリだってこと。
「ちなみにこれまで棺に触って開けようとした研究者は、皆むさいおっさんばかりでした」
「男が触るのは論外か。まぁそれも分かるな」
「つまりこの中の人、イッセーみたいな変態さんってことかにゃ?」
「ってヒデェな黒歌姉!?」
「でも自分の眠る棺にそんなこと書くなんて、お兄ちゃんレベルの変態であることには間違いないと思います」
「えぇっ!? っていうかその言い方だと俺の方が変態レベルが高いように聞こえるんだけど!? 白音ちゃん!!」
「ん、もしかしたらイッセー、中の人の生まれ変わり、かも」
「今のが一番傷ついたぞ龍巳!」
「まぁ、満場一致でイッセーは変態ってことよね」
「って話の方向がぶっ飛んだ挙句別の場所に着陸してるぞ火織!」
皆ホント言いたい放題だな! 俺だって自分の墓にこんな言葉刻まねぇぞ! せめて火葬場で焼く前に棺桶に一緒にエロ本入れてもらうくらいだって! 全然変態チックじゃないよな!?
「そのくらいにしておきなさい。この中にいるのがイッセーのような者かは別として、そろそろ開け方を考えるわよ」
って部長もヒデェっ!
「ふむ、私のエクスカリバーでこじ開けてみるか?」
「ゼノヴィアの破壊の聖剣なんて使ったら棺が壊れちゃうわよ。むしろここは私の自由に姿を変えられる擬態の聖剣の出番じゃないかしら? ほんの少しの隙間からでも潜り込めるから、中から開けられるかも……」
「いえ、魔のオーラが出ていることを考えると簡単に開くでしょうけど、同時に中の物が消滅してしまう可能性があるわ。依頼上、それはあまりいい手ではないわね。触った人が昏倒していることを考えるとあまり触れたりしたくもないし……どうしようかしらね?」
まぁ今まで触ったのがむさいおっさんだからといって、部長たち女性が触っても大丈夫という保証もないしな。
「ちなみに一度、触らず重機を用いて開けようとしたこともあるのですが、びくともしませんでした。力ずくという方法も不可能かと」
「となると明らかに何かしらの力、結界か、もしくは封印術式のようなものが働いていると見て間違いないわね。黒歌、白音、仙術で何か見えないかしら?」
「残念ながらなんにも見えないにゃ」
「どうやら棺の外側ではなく、内側に力が働いているようですね」
「やっぱ正攻法でここに書かれてる通り美女の悪魔が起こすのがいいんじゃないっすか? 幸い俺と祐斗以外は皆美女なんですし」
「イッセー、面と向かってそんな……」
って部長が真っ赤になって恥ずかしがってた! っていうか皆顔赤いじゃねぇか! 皆自分が美人だってくらい自覚してるだろうに、このくらいで恥ずかしがるなよ!
「と、とにかく! 試してみましょうよ! おっぱいの大きい悪魔をご所望みたいですし、この中で一番おっぱいが大きいのは……朱乃さんですかね?」
そう言った瞬間、背筋がゾワリと総毛立った!! な、何だ今の!? いったい何が!? と思った瞬間ガシッと両肩が掴まれた!?
「黒歌姉!? レイナーレ!?」
なんか2人とも口元は笑ってるのに目は全く笑ってないんですけど!?
「いったいどういうことかしら、イッセー?」
そして正面に立つ部長も2人と同じような表情をしていた! 更にその後ろには涙目のアーシアやイリナ、怖い表情で睨みつけてくる白音ちゃん、俺でも読みきれない完全な無表情で俺を見つめる龍巳が! い、一体どうしたんだよ皆!? そんな中ゼノヴィアが
「な、なぁ火織、皆一体どうしたんだ?」
と、俺の疑問を代弁してくれた。
「ゼノヴィアもそのうち分かるようになるわよ。まぁ今は黙って見ておきましょ?」
「う、うむ?」
って助ける気も説明する気も無しですか!? っていうか本当にどういうこと?
「あらあら、イッセーくんったらいつの間に私のバストサイズを把握していたのかしら?」
……へ?
な、なんか朱乃さんが恥ずかしがりつつも若干嬉しそうに頬に手を当ててるぞ?
「おかしいわね? 私と朱乃はバストサイズが殆ど変わらないのに、どうして迷いもなく朱乃の方が大きいと分かったのかしら?」
「……あ!?」
し、しまった、失言だった! この中でおっぱいが大きいのは上から順番に朱乃さん、部長、黒歌姉だけど俺がそれ知ってるのはおかしいよな!? でも実は背の低い黒歌姉のおっぱいの方が大きく見えて、実際に体格に対する比率で考えると黒歌姉のほうが大きかったりするんだけど、ってそれは完全に蛇足だな!
「ねぇイッセー、そんな少しの違いが分かるなんて……朱乃の胸をじっくり見る機会でもあったのかしら?」
そう部長が言った途端、両肩に更にぎゅっと力が込められる! 痛い痛い痛い!! っていうかあらぬ疑いをかけられてるぞ俺!
「ち、違うんです部長! 実は友達の元浜ってやつが見ただけでスリーサイズを当てられる特技を持っていまして! そいつから聞いて知ってただけなんです!」
俺がそう言うと両肩の手が外された。よ、良かった、誤解は解けたか……。
「ちっ、あのガキか」
「ふ~ん、あの子にはお仕置きが必要かにゃあ?」
う、すまん元浜、お前に明日はないみたいだ。
「イッセー、詳しい話は後で聞かせて貰うわよ?」
ぐっ、俺も逃げられなかったか。実は元浜よりスリーサイズスカウターを伝授されてて今もリアルタイムでおっぱいの大きさが分かるなんて絶対言えないし、ましてや部長と朱乃さんは成長がもう止まってるのに対して黒歌姉は未だに成長していて、もうすぐ部長も追い越しそうなんて口が裂けても言えないな。
っていうか黒歌姉! いったいどこまでおっぱい大きくなるんだよ! この分だと部長はおろか朱乃さんまで近いうちに追い越しちまうだろ! いや、俺としては大きくなってくれるのは嬉しいんだけどさ!
ちなみに最近一番成長著しいのは実はアーシアだったりする。あれだな。ここ最近食事が一気に豊かになったおかげだろうな。昔いた教会はかなり質素だったらしいし。
ついでに一番成長を望み、なおかつ一番努力してる白音ちゃんは……まぁその、うん……察してくれ。
「で、朱乃? どうやらこの棺を開けるのに一番適しているのはあなたのようだけど、試してみる?」
「あらあら、私としてもあまり触れてみたくないのですけど……」
「やっぱりそうよね」
うん、まあ普通はそうだよな。何人も倒れてるらしいし。さて、どうしたもんか。
と、その時
「えいっ」
ベリィッッッ!!!
『『『え、えぇぇぇえええっっ!?!?!?』』』
た、龍巳が石棺を開けたぁっ!? っていうか開ける時の音が明らかにおかしい!!
「ちょっ!? 龍巳!?」
「思ったより固かった」
「そんなことよりあなた、体の方はなんともない!?」
「ん、問題ない」
それを聞いて俺達は安堵の息を漏らす。
「龍巳、あなたが強いことは分かっているけれど、悪魔ではないのだから無理しないで。いい?」
「ん、分かった」
ったく、龍巳にはホントいつも驚かされるよな。というわけで開いた石棺の中を覗き込む。
「う~ん、やっぱり内側に封印術式が展開してたみたいにゃね」
「じゃあさっきの音はやっぱそれを無理やり引きちぎった音か」
「これ、前に危険な新興宗教の団体を潰した時に見た術式に似てるわ。呪術の一種じゃないかしら」
「で、肝心の中身は……」
「ミイラ、だな」
石棺の中には一体のミイラ、そしてそれを取り囲むようにして様々な用途の分からない道具のようなものが並べられていた。こういったミイラを生で見るのは初めてだからよく知らないけど、普通こういうのって財宝なんかが一緒に入ってるもんなんじゃねぇのか?
「これが良くないオーラを出していた危険なもの、なんですか?」
「気をつけろ。こういったものは大抵ロクでもない罠や呪いがかけられているものだ。以前任務で油断して苦労した覚えがある」
「う~ん、とてもそうは思えないけどなぁ……」
そう言って俺はもっとよく見ようと少し顔を近づける。
「イッセー、注意なさい」
と部長が言った、その時!
「がっっ!?」
「イッセー!?」
ミイラの目がいきなりギョロッと開いたと思ったら体が金縛りに!? っていうかこのミイラ、生きてるのか!? っていうかなんで金縛りに!? 体が全く動かねぇ!!
そして
『わぁぁれを目覚めさせた者はだぁぁれかぁぁ』
く、口が勝手に言葉を!?
「まさか、このミイラに体を乗っ取られたのか!?」
んなっ!? なんだって!?
「あなたを目覚めさせたのは私達よ。あなた、何者かしら?」
『わぁぁれはウナスなりぃぃっ! こぉぉっきなる神官にしてぇ、呪術を執り行うものであぁぁぁるぅぅぅ!! わぁぁれを目覚めさせてくれたことぉ、まずは例を礼を言わせてもらうぞ悪魔たちよぉぉおおっ!!』
「意識を飛ばして私の眷属の体を乗っ取るなんて、いい度胸ね、ミイラ男さん。今すぐそこから立ち去りなさい!」
『その願いは承諾しかねぇぇるぅぅ』
「なんですって!?」
なっ!? こいつ俺の体返さないつもりか!?
とそこで……
『ぬ、主ら一体なぁぁにをぉぉおおっ!?』
「じっとしてください」
「その体は渡す訳にはいかないにゃ」
黒歌姉と白音ちゃんに両側から羽交い締めにされた!? さらに
「イッセー、待ってて。今助ける」
正面には見たことない真っ黒な刀を構えた龍巳が!
『ま! ままま待てぇぇぇいっ! 主ら、まさかこの体を!』
ちょっと待て! その刀で俺をバッサリ斬るつもりじゃねぇだろうな!?
「ちょっと待ちなさい龍巳! あなた一体何をするつもり!?」
「はぅぅぅっ! い、イッセーさんを斬っちゃダメですぅぅぅっ!」
「大丈夫、神鳴流奥義、斬魔剣弐の太刀なら!」
ってそれ、漫画の技じゃねぇかぁっ!!
「火織さん、神鳴流奥義斬魔剣弐の太刀って?」
「あ~、神鳴流っていうのは古来、平安の時代から京都を妖怪や悪霊から守ってきた人たちの流派で、斬魔剣っていうのは文字通り魔の者を斬るための奥義。で、弐の太刀っていうのはその中でも人に取り付いた悪霊なんかを、取り憑かれた人を素通りして悪霊だけ斬ることの出来る剣技のことよ」
「あら、じゃあ今回のことにはうってつけの技じゃない。っていうか龍巳ってそんな技も覚えてたのね」
「……ただしこれは漫画の、つまり架空の技よ」
『『『ってダメじゃないそれ!!』』』
「龍巳! あなた本当に出来るのでしょうね!?」
「……練習はしてた。出来たことないけど。………………でも今なら!」
「「「「「それじゃダメぇっ!!」」」」」
部長に朱乃さん、アーシア、レイナーレ、イリナが龍巳に飛びついて龍巳の凶行を止めてくれた。
「くっ……でも、火織お姉ちゃんなら!」
「えっ、私?」
って今度は火織かよ!?
「火織お姉ちゃん、ずっと剣、振ってきた。なら、斬魔剣弐の太刀使えるはず!」
「えぇぇ……」
困惑したように声を漏らす火織。そして
「えっと……初めてやるし失敗したらバッサリ逝っちゃうかもしれないけど……それでもいいならやってみる、イッセー?」
といつの間にか腰に挿していた七天七刀に手を伸ばしながら聞いてくる火織!
「ちょっと待ってぇぇぇえええっ! お願いだから他の方法を考えてくれぇぇぇえええっ!!」
『こ、この少年の言う通りだぞぉぉぉおおおっ!!』
あ、あれ? 必死だった所為か今一瞬口が思い通りに動いたぞ?
『そぉぉおおもそも! わぁぁれは何も未来永劫この少年の体を貰い受けるつもりではなぁぁああいっ!!』
「……黒歌、白音。離してあげなさい。で、呪術師ウナス。それはどういうことかしら?」
『わぁぁれはかつて、呪術師として更なる高みを目指すため、高位のあぁぁくまを召喚したのだぁ。しかぁぁああし! わぁぁれはその悪魔に肉体とともに呪術の大半を封印され! こうして呪われた体にて長年の眠りにつかなければならなくなったのであぁぁるぅぅ! 今! この呪われた体に戻ったとしてぇ! その魂の安息が保てるか! いや! 保てはしなぁぁああいっっ!!』
そんな事情があったのか……でもそれと俺やっぱ関係ないじゃん! さっさと俺の体返せ!
「どうしてそんなことになったのかしら? 高位の悪魔って、一体誰を呼ぼうとしたの?」
『ふっ、聞いて驚くがいい。なぁぁんとあの………………お、おぉぉぉおおおっっ!? き、きぃぃさまはぁぁああっ!? あの時の女悪魔ぁぁああっ!?』
『『『えぇぇぇぇええええっっ!?!?!?』』』
ぶ、部長がこのミイラを封印した女悪魔!? でもそれって!
「教授、このミイラ、いつくらいの年代のものなんですか?」
「ま、まだ正確な年代は測定していないのですが、棺の出土した場所から考えますと大体紀元前800年辺りかと」
「えぇっ!? じゃあリアスさんって実は2800才以上ってこと!?」
「相当な若作りだな。っていうかなんでわざわざ学校に通ってるんだ?」
「相当おバカでもう一度1から学校の勉強やってる、とかかにゃあ?」
「そんな訳ないでしょう!? 私は正真正銘今年で18よ!」
『えぇいっ! 黙れ黙れ! 貴様の顔、忘れはせんぞ! どう見てもあの時の大王バアルの縁者の女悪魔であろぉぉぉうっ! 髪の色を変えてみたところでぇ、わぁぁれの目を誤魔化せはせんぞぉっ!』
「……え、バアル? あなた、バアル家の者を呼ぼうとしたの?」
『ぬぅっ? 思い出したか?』
「いえ、そういうことではなくて……」
何故か部長が困惑気味になったぞ?
「その悪魔……もしかして亜麻色の髪の毛をしていなかったかしら?」
『たぁぁしかにそうであぁぁったがぁぁ』
それを聞いた部長は
「はぁ……、そういうこと……」
え、なんか分かったのか?
「あらあら、これは意外な繋がりでしたわね」
「こんなこともあるんですね」
な、なんか朱乃さんや祐斗も分かったみたいだ。でもつまり……どういうこと?
「その女悪魔、おそらくお母様だわ……」
え……
『『『えぇぇぇぇええええっっ!?!?!?』』』
お母様って、部長のお母さん!?
「私、髪の色こそグレモリーに代々伝わる紅色なのだけれど、容姿はバアル家から嫁に来たお母様にそっくりなのよ」
「っていうかリアスさんのお母さんって大王家の方だったんですか!?」
「えぇ、この滅びの力も、元々はバアル家で受け継がれてきた力なの」
す、すげぇ、部長の家って元七十二柱の1つだって聞いてたからVIPなのは知ってたけど、その中のさらに大王家の血を引いてて、しかもお兄さんが魔王とくればその七十二柱の中でもかなりのVIPなんじゃねぇか!?
『むぅ……たぁぁしかに言われてみれば、目元のあたりなどぉ、もっと鋭かったようにも思えるがぁ……』
「まぁ何にせよ、あなたにかけられた呪いを解けば、その体を返してくれるということでいいのかしら?」
『うぅむ、たぁぁしかにあの悪魔の娘であればぁ、この忌まわしき呪いも解けるやもしれぬぅ。では! 頼らせていただこうか! 解呪さえしてくれればぁ、この体を変換することを保証しよう!』
よ、良かった。なんとか俺の体を返してもらう算段はついたな。一時はどうなることかと思ったぜ。
「それで? その呪いを解くには何をすればいいのかしら?」
『まぁずはこれを見るがいい』
そうして俺の指が指さした先には棺の蓋、その裏側に3つの魔法陣が重なるように描かれていた。
「その魔法陣、確かにバアル家の紋章ね」
「どうやら、3つの呪いが重ねがけされいるようですわね」
『そのとぉぉおおり! そしてこのぉぉぉっ、3つの呪いを解くにはそれぞれ儀式を行い順番に解いていく必要が」
「えいっ」
ベリィッッッ!!!
『『『え、えぇぇぇえええっっ!?!?!?』』』
た、龍巳が魔法陣をまとめて素手で引剥がしたぁぁああっ!? っていうか棺の裏に直接刻まれた魔法陣を剥がすって一体どうやったんだ!?
『む、娘よぉぉぉおおおっ!? な、なんてことを、お、お……おぉぉぉおおおっ!? な、何だ!? って、体が戻った!?」
「イッセーさん!」
「おわっ!? アーシア!?」
アーシアが抱きついてきた!?
「イッセーさん、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。……って呪術師は!?」
ってなんか俺の体から変なオーラみたいのものが立ち上ってる!? これ、もしかして呪術師の魂的な何かか!?
そしてそのオーラはミイラへと入っていき……ミイラが急激に光りだした!?
「な、何だ!?」
「邪なオーラが高まってます!」
「「「「邪なオーラ!?」」」」
「イッセーのオーラと同種のものにゃ!!」
「えっ!? 俺のオーラってあんなのなの!?」
「ここにいるとマズいわ! 皆避難して!」
と、部長が避難を促した……その時!
ズガァァァアアアンッッ!!
ミ、ミイラが爆発した!? あまりの閃光に俺は目を閉じ、衝撃に備えて抱きついているアーシアを抱きしめて庇う……んだけど、あれ? 衝撃が来ない?
「イッセー、アーシア、大丈夫?」
って俺龍巳にアーシアもろともお姫様抱っこされてる!? 白音ちゃんに引き続きまたしても俺がされる側かよ!?
そして周りを見渡せば俺達は召喚された展示ブースの方に移動しており、周りには曹操さんを抱えた黒歌姉やスーザンを抱えている白音ちゃん、教授を抱えている火織がいた。そして更に離れたところにはエクスカリバーや聖魔剣、魔法陣などで防御の体制を取っている皆が。見たところ皆大きな怪我はなさそうだ。
そしてこの展示ブースからさっきまでいた研究室に続く扉は周りの壁ごと吹っ飛び、今ももうもうと煙をあげていた。
「いたた、一体何なのよ?」
「皆無事?」
「ごめんアーシア、腕のところ治してくれない?」
「は、はい! 今行きます、レイナーレさん!」
「すまんアーシア、私の方も頼む。不覚を取った」
「僕の方もお願いしていいかな?」
「は、はい!」
やっぱ剣で防御した祐斗にゼノヴィア、光の槍で防御したレイナーレは防ぎきれなかったか。イリナはエクスカリバーを盾の形にして防いだんだな。
それにしてもあの呪術師、魂の安息がどうのと言ってたけど、呪いが解かれて爆発するってどういうこっちゃ? てっきり俺は成仏するもんだとでも思ってたんだけど、もしかして龍巳が強引に解いたせいで変な副作用が?
そして次第に煙が晴れてきて……煙の先に人影が!?
「ふふふはははは! ふぅ~ぁっはっはっはっはっ!! わぁぁれの名は偉大なる呪術師ウゥゥナァァスゥゥっ! ここに復活せりぃっ!!」
「なっ!? 復活!? じゃあ魂の安息なんて真っ赤なうs「「若本ボイスじゃない!?」」ってうぉいっ!? 反応するとこそこかい!?」
「だってイッセー、あのしゃべり方!」
「期待するなという方が無理です!」
そりゃ俺もちょっとは思ったけれども! でも今はそんなこと言ってる場合じゃないだろう!?
「……私もてっきり渋いおじさまボイスかと思ってたわ」
「って火織、おまえもかい!?」
「えぇぇえいっ! うるさい! 人がせぇぇぇっかく復活したというに、声に文句をつけるとはぁ、ぬぅぁぁああにごとかぁぁぁあああっっ!!」
あ、はい、もっともでございます。
「……まぁぁいぃぃ、おい! そこのバアルのむぅぅぅすめぇぇよぉぉぉっ! 貴様の母親の元へ、わぁぁれを案内するがいいっ!!」
「……案内したとして、その後一体どうするつもりかしら?」
「きぃぃぃまっておろう。積年の呪いが解かれた今! あのバアァァァルの女にぃぃぃ、必ずやふくしゅぅぅぅうううっを遂げん!!」
「……はぁ、そんなことだろうと思ったわ。あなた程度がお母様をどうこう出来るとは思わないけれど……聞いてもいいかしら、ミイラ男さん?」
「なぁぁんだぁぁっ?」
「あなた、どうしてお母様に呪いをかけられたのかしら?」
「うぐっ!? そ、それはぁぁ……」
な、何だ? なんか言い淀んでるけど……人に言いにくいような願いか? お得意様の砂戸さんや昨日の社長さんみたいな? 大昔からそういう性癖ってあったのかな?
「なぁ、虐めてほしいならわざわざ大王家の悪魔召喚せんでもいいんじゃねぇか?」
「なぁっ!? なぁぁああにを言っているか貴様ぁぁぁあああっ!? わぁぁれはただ召喚された悪魔があまりにも美しかったのでぇぇぇ、つい勢いで求こnゴホンゴホン!! もとい! わぁぁれの奴隷となれと要求しただけであぁぁぁるっ!」
こいつ今絶対『求婚』って言おうとしたよな!?
「流石にそれは……大王家の悪魔を呼び出すのならそれ相応の願いでないと。そもそも私よりもプライドの高いお母様にそのような要求をして、よくあなた呪いを掛けられるだけで済んだわね」
おぉぉう、部長のお母さんって部長よりプライド高いのか。そりゃなんというか、呪術師も命知らずだな。……まあ部長のお母さんが部長並みに美人なら迷わず求婚した気持ちも分からんでもないが。俺も火織たちがいなければ部長に惚れてたかもしれないしな。
「えぇぇえいっ、黙れ悪魔! 予定を変更してぇぇ、貴様から倒してくれるわぁぁぁあああっ!!」
って結局こうなるのかよ!?
「赤龍帝の籠手!!」
まずは左腕に赤龍帝の籠手を装備し、すかさず倍加を開始する!
「危ないからアーシアは後ろに下がってろ!」
「は、はい!」
戦闘態勢になる俺達。そして俺達の先頭には我らが部長が立った。
「教授、このミイラ男は危険ですわ。消し去ってしまってもよろしいかしら?」
「大変もったいないのですが、仕方ありません。でも、出来れば棺だけでも……」
「分かりました。スーザンと曹操を連れて下がっていてください」
「はい、ではよろしくお願いします。行きましょうスーザンくん、曹操くん」
「は、はいぃぃぃっ」
「お手並み拝見させてもらうよ」
さて、一般人は避難させたし、後はイリナとゼノヴィアだけど……
「あなたみたいな邪悪な存在、放ってはおけないわ!」
「貴様はすでに滅んでいるはずの存在、我々の手で輪廻の輪に返してくれる!」
2人もやる気だな! ……けどゼノヴィア、キリスト教に輪廻の輪はなかったと思うぞ? 学校通うようになって色々学んでるせいか、頭の中ごっちゃになってないか?
「さてミイラ男さん? あなたには棺だけ残して消えてもらいましょうか」
「ふん! 娘だけあってぇぇぇ、そのごぉぉぉうまんな物言いがぁぁぁ、あの忌々しきバアルの女にそっくりだなぁ小娘ぇぇぇっ!! ぶぅぅぅるぁぁぁぁあああっっ!!」
と呪術師が叫ぶと同時、全身に巻いていた包帯がほどけてものすごい速さで俺達に伸びてきた!?
「くっ!?」
これだけの数、全部避けきれるか!? 赤龍帝の籠手で弾きながらならなんとかいけ………………ってあれ? なんか俺の方に伸びてきてないぞ? っていうか俺一歩も動いてないのに包帯が俺の横素通りしていくんだけど……
「きゃあ!?」
「あらあらぁ……」
「くぅっ!?」
「って部長たち、またですか!」
部長に朱乃さん、レイナーレが包帯に巻きつかれて吊るしあげられていた! っていうか本当にまたかよ!? 部長たちが縛られるのこれで何度目だ!? ほら! 火織たちだって頭抱えて溜息ついたりかわいそうなものを見る目で部長たち見てるじゃん!
ちなみに火織たち姉妹は当然難なく包帯を退け、また彼女達の庇護下に入っていたアーシアも無事、祐斗には俺同様包帯は伸びていってなかったみたいだな。で、最後にイリナとゼノヴィアは
「あぁんもうっ! しつこい!」
「くっ、エクスカリバーの敵ではないにしろ、これだけ数が多いと!」
執拗に包帯の攻撃を受けていた! 襲い掛かってくる包帯を紙くずのようにエクスカリバーで斬り裂いていくんだけど、いかんせん数が多くて完全に足が止まっちまってる!
「はぁ~っはっはっはっはっは!! むぅぅっだな抵抗はやめたまえ! でないと彼女達を絞め殺すぞぉ!!」
「あぁっ!?」
「このぉっ!!」
悲鳴を上げる部長と朱乃さん! っていうかこれマズいんじゃ!?
「おのれ! 卑怯だぞ!」
「リアスさんたちを放しなさい!!」
「これ、私達が助けるしかないのかなぁ……」
「あんなに修行したのに……」
「こう何度も何度も……あの努力は何だったんでしょうね……」
「情けなくて涙が出てくるにゃあ……」
「みなさんそんなこと言ってないで早く助けましょうよぉっ!」
火織たちに対して涙ながらにすがるアーシア! でも無駄だアーシア! だって火織たち、一歩も動かず手だけ動かして包帯に対して無双するなんてとんでもないことしてるくせに、目が完全に死んでるんだもん! 捕まった3人に対して呆れ返ってる顔だ!
くっ、こうなると俺と祐斗でどうにかするしかないか! 今も2人で包帯を次々ちぎったり斬ったりしてるんだけど、数が多くて際限がねえ! こうなったら俺の力を祐斗に譲渡して一気に決めるか!?
と、その時
「あまり、舐めないで頂戴。いつまでも同じような手にやられる私達ではないわ! 朱乃!」
「えぇ、部長!」
「「はぁあっっ!!」」
と、2人が掛け声を出すと同時、全身から滅びの魔力と雷の魔力を吹き出して巻き付いていた包帯を吹き飛ばした!?
「ぶぅぁぁぁぁかなぁぁぁあああっ!? わぁぁれが長年念を込め続けた包帯がぁぁぁあああっ!?」
そして翼を生やし、呪術師に突っ込んでいく部長と朱乃さん!
「さ、させるかあああっ!」
それに対して全ての包帯を部長たちの迎撃に打ち出す呪術師! と、そこで
「私達を忘れてもらっては!」
「困るわね!」
「なぁっ!? しぃぃぃっまったぁぁぁあああっ!?」
隙を突いて呪術師に近付いていたイリナとゼノヴィアが包帯を根本から断ち切った! そしてそこにそれぞれ膨大な魔力を手に纏わり付かせた部長と朱乃さんが突っ込む!
「悪い子にはお仕置きですわ!」
「滅びなさい!!」
「ぎぃぃぃやぁぁぁあああっっ!!! おのれぇぇぇえええっっ!!!」
2人の魔力が呪術師に直撃! 呪術師を跡形もなく吹き飛ばした!
「ふん、いつまでもあなた達に助けられてばかりの私達ではないということよ。ね、朱乃?」
「えぇ部長」
「……そういうセリフはそもそもあの程度に捕まらないようになってから言ってほしいにゃあ」
「「うぐっ」」
ははは、まあ何にせよ、ようやくこれで一件落着か。ってあれ? なんか忘れてるような……。
「うぅぅ……誰か、助けて……」
ってあぁっ!? レイナーレが包帯から脱出できずに天井から吊るされっぱなしじゃん!? 視線を上げればさめざめと泣くレイナーレがそこにいた!
「れ、レイナーレさん! い、今助けますぅっ!」
慌ててレイナーレを助けに行くアーシア……なんだけど天井から吊るされたレイナーレ助けるにはアーシアじゃあ力も身長も足りないな。しょうがねぇ、俺も行くか。
それにしてもレイナーレ、もうちょっと頑張ろうぜ? 部長や朱乃さんも自力で脱出できるようにはなってるんだしさ。……まぁ、未だにアーシア除いて眷属最弱の俺が言えた義理じゃないんだけどさ。取り敢えずお互いもうちょっと頑張ろうな、レイナーレ。
☆
「で、彼女達はどうだったんだい、曹操?」
「残念ながらゲーム時の映像以上のことは分からなかったな。ゲオルグ、また何か用意してくれるか? 出来ればあんなミイラ男ではない、彼女たちが出張らなければならないような本当に凶悪なやつを」
「気軽に言ってくれる。あんなものでも足が付かぬよう紛れ込ませるのは相当骨だったんだぞ?」
「分かっているさ。だが君も気になるだろう? 彼女たちの本気、そしてあの龍の正体に……」
「……まぁその点については同意するがな。時間はかかるからな?」
「あぁ、まだまだ時間はあるんだ。それで構わn『ズガァァァアアアンンッッ!!!』なっ、何事だ!?」
「正面入口の方からだ! こちらゲオルグ! 応答しろ! 何があった!?」
『ゲオルグ様!! こ、こちら正面入口! 奴らが!
ま、
魔崩掌女が!!
……っ、ぎゃぁぁぁあああっっ!?!?』
「なぁっ!? や、奴らがここに!? 聞こえるか!? 返事をしろ! おい!」
『……』
「くっ! 警備室! こちらゲオルグ!」
『ゲオルグ様! 大変です!! 例の』
「分かっている! 1階詰め所には今ジークフリートがいるはずだ! すぐに正面に回せ!」
『ジークフリート様は既に会敵、敗北しました! 意識不明の重体です!!』
「何だと!?」
『ゲオルグ様指示を! 我々は一体どうしたら!?』
「警備室、聞こえるか? 俺だ」
『曹操様!?』
「ジャンヌとヘラクレスを至急現場に向かわせろ。2人が到着するまで何としてでも持ち堪えさせるんだ。それから………………俺も今から出る」
『っ!? りょ、了解しました!』
「曹操、お前……」
「……行かない訳にはいかないだろう? あいつらは俺の仲間で、俺はあいつらのリーダーなんだ」
「なら俺も!」
「いや、お前は撤退の指揮を採れ。このアジトは放棄する。これはお前にしか出来ないことなんだ。絶霧を持つお前にしか」
「……分かった。急げよ曹操。遅れたら置いていくからな」
「ふっ、それは困るな。なるべく早く帰って来るさ………………うぉぉぉおおおっっ! 待ってろ皆ぁぁぁあああっっ!! 今行くぞぉぉぉおおおっっ!!!」
「……任されたからには急がねば。さもなくば犠牲が増すばかりだ。情報は最低限のもの以外は処分して放棄、メンバーを一箇所に集めて即座に私の霧d『ズガァァァアアアンンッッ!!!』なっ!? 今度は何だ!?」
「……見つけたにょ! 悪い霧使いさん!!」
「なっ!? ば、馬鹿な!? いつの間にこんな所まd『ドンッ!』な、何だ? 何かが後ろに……」
「ヌッフ~~ん」
「ひっ!?」
「さぁっ! お仕置きしてあげるにょ! 行くにょ!! ディーネちゃん!!」
「ふんがぁぁぁあああっっ!!!」
「ぎぃぃやぁぁぁあああっ!? 助けて曹操ぉぉぉぉぉぉう!!」
後書き
魔崩掌女たちはもちろんのこと、その配下の魔法生物たちも当然龍巳の蛇で強化済みだったり……。
ほ、本編で出揃うことはないと思います!
多分、おそらく!
と、とりあえず次回予告をどうぞ。
次回予告
「あ、ああ……ア……っ!」
「あぁ、君たちがミカエル殿が遣わしてくれた連絡係かい?」
「これで何か作れたら弟子入りするにゃ」
「ふっ、我の勝ち。口ほどにもない」
「そうねぇ、言うなれば……血沸き肉踊る狩場、かな?」
次回、第62話 不意打ち
「俺の名はアザゼル。墮天使共の頭をやってる。よろしくな、赤龍帝。………………でだ、お前はこんなの所で一体何をしてるんだろうなぁ? 俺の部下のはずで魔王の妹に喧嘩を売るなんて馬鹿なことをしてくれた墮天使レイナーレ?」
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