美しき異形達
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第二十一話 菖蒲の友人その十二
「青だと見ているだけで落ち着きもするから」
「制服も青だしね、菖蒲ちゃん」
「他の身の回りのものもね」
「とにかく青よね」
「菖蒲ちゃんは」
「私の色はね」
まさにというのだ。
「青よ」
「下着の色もよね」
「・・・・・・ええ」
友人の一人の今の問いにはだった、菖蒲は少し気恥かしそうに答えた。
「そうよ」
「コバルトブルーとかライトブルーとかね」
「ダークブルーもあるけれどね」
「菖蒲ちゃん下着もいつも青よね」
「そこも」
「青が落ち着くから」
やはり気恥かしそうに答える菖蒲だった。
「いつも着けているの」
「とにかく青ね、菖蒲ちゃんは」
「青が好きなのね」
「昔からそうなの」
それこそ子供の頃からだというのだ。
「青が好きで」
「全部それでなのね」
「統一してるのね」
「そうしているわ。それと」
「それと?」
「それとっていうろ?」
「これからどうしようかしら」
クレープの後はというのだ。
「一体」
「ううん、そうね」
「買いたいもの買ったしね」
「もう夕方だし」
「暗くなるからね」
それで、と言う友人達だった。今度は彼女達が答えていた。
「だからもうね」
「これ食べたら帰ろう」
「それでね」
「今日は解散しましょう」
「それがいいわね」
菖蒲は普段のクールな雰囲気に戻って述べた。
「遅くなると危ないから」
「変な人が出たらね」
「よくないしね」
「変な人は何処にでもいるわ」
それこそ、というのだ。
「そうした人がいると考えて」
「だからよね」
「夜は出歩かない方がいいわね」
「危ない時間には出ないに限るわ」
それが身の安全を守る第一だというのだ。
「最初からね」
「ええ、菖蒲ちゃんの言う通りね」
「だからよね」
「もうこれ食べたら帰った方がいいわね」
「それでね」
「ええ、そうしましょう」
また言う菖蒲だった。
「これでね」
「それじゃあね」
「そういうことでね」
こう話してだった、菖蒲達はクレープを食べ終えると帰路についた。そして一人また一人と家に向かい。
最後の一人が菖蒲と手を振り合って別れた、そこで。
菖蒲は最後の彼女の姿が見えなくなったところでだ、次第に暗がりに覆われようとしている道の中でこう言った。
「もういいわよ」
「気付いていたか」
「それだけ殺気をみなぎらせていたらね」
それこそ、というのだ。
「わからない筈がないわ」
「誰もいなくなることを見計らって声をかけてきたか」
「そちらもその筈よ」
菖蒲は気配がする方に鋭い視線を送りながらこうも言った。
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